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解体工事は高度経済成長期に建設された建物が解体や建て替えラッシュの現在、需要が高く将来性もある工事です。解体工事の工期は、建物の状態や天候に左右されるため一概には言えません。しかし、期間内に収めるための対策法があることをご存じでしょうか。今回は解体工事の工期の目安や、長引いてしまう理由、工期内に終わらせるための対策などを徹底的に解説します。
解体工事にかかる期間の目安
解体工事に係る期間の目安は条件によって異なるため一概には言えません。しかし、一般的な木造住宅であれば7~10日前後と言われています。解体工事の工期に影響する条件は、以下の2つです。
- 建物の面積による違い
- 建物の種類による違い
建物の面積による違い
建物と一言にいっても、様々な規模の建物があります。当然のことながら面積が小さい建物であるほど工期は短く、大きい建物であるほど工期は長くなる傾向があります。具体的な平米数に対する工期の目安は以下の通りです。
- 30㎡前後の小屋・倉庫 2~3日
- 80㎡前後の一般住宅 7~10日
- 200㎡前後の大規模な住宅又は施設 2週間~20日
- 200㎡以上の集合住宅又は施設 1ヵ月以上
建物の種類による違い
建物の面積だけでなく、構造によっても工期は異なります。一般的には木造家屋が最も工期が短く、鉄骨造や鉄筋コンクリート造になると工期が長くなる傾向があります。以下の4つに分けて詳しく説明しましょう。
- 一般的な木造家屋
- ビルやマンションなどの鉄骨造
- 中層マンションなどの鉄筋コンクリート造
- 高層ビルなどの鉄骨鉄筋コンクリート造
一般的な木造家屋
前述したように、木造家屋は別名を「W造」とも言い、解体が比較的容易で、費用も安価な建物と言えます。なぜなら、木材は分断しやすく、解体作業の大半を容易に進められるからです。延べ床面積が25坪ほどの木造家屋であれば、3~10日ほどあれば解体工事は完了すると言われています。しかし、建物の立地によっては工事用車両や重機の搬入ができず、工期が長引くケースもあるため注意が必要です。現地確認の際に道路の幅や駐車スペースの有無を必ずチェックしてもらいましょう。
ビルやマンションなどの鉄骨造
柱や梁に軽量鉄骨を使用した鉄骨造は、別名「S造」とも言い、基本的にビルやマンションに使用される工法です。しかし、耐震性の高さや品質が安定していること、さらに防火地域などの制限のある地域での建築制限から、一般の住宅にも利用されています。延べ床面積が25坪ほどの鉄骨造の建物であれば、解体に必要な工期は10〜20日程度です。アスベストが使用されていた2016年以前の建物であれば、専門家による処分が必要になるため、工期が長く費用も高くなるので注意が必要です。
中層マンションなどの鉄筋コンクリート造
鉄筋コンクリート造は別名「RC造」とも言い、太さ1cm以上の鉄筋とコンクリートを組み合わせた構造です。耐震性だけでなく、遮音性や耐火性にも優れており、中高層のマンションやビルに用いられています。鉄筋コンクリート造の建物の解体は、アスベスト除去や、重機の搬入や搬出、ブロック塀や庭石などの付帯工事が発生するため長くなる傾向があります。延床面積が25坪程度であれば2週間以上、50〜100坪程度の場合は15〜45日程度の工期を見込んでおきましょう。
高層ビルなどの鉄骨鉄筋コンクリート造
鉄骨鉄筋コンクリート造は別名「SRC造」とも言う、鉄骨の周りに鉄筋を囲みコンクリートで補強する工法です。耐震性、耐火性、防音性に加えて耐久性が極めて優れているため、高層マンションや高層ビルに利用されています。解体工事には大型ブレーカーや圧搾機を使用する大規模なものになるため、工期が長くなる傾向にあります。延床面積50〜100坪程度の建物であれば、30〜80日程度の工期を見込んでおく必要があるでしょう。
解体工事の期間が長引く5つの理由
解体工事の工期は、建物の面積や立地、構法によって大きく変化します。しかし、これらを踏まえたうえで工事計画を立てても、工期が長引いてしまうケースもあるのです。なぜ、解体工事の工期は長引いてしまうのでしょうか。理由を以下の5つに分けて説明します。
- 悪天候が続く
- 近隣トラブルが発生する
- 地中埋没物を発見する
- 手作業が多い
- 立地の条件が悪い
悪天候が続く
工期が長引く理由の中で最も多いのは、悪天候です。解体工事は基本的に屋外の作業になるので、雨天が続くときや台風、大雪の時は基本的には行なえません。また、雨が上がっていても地盤が雨の影響で状態が悪くなっていれば、重機を操縦できないため作業ができないこともあります。特に6〜7月の梅雨時期や台風が発生しやすい9〜10月、積雪の可能性のある12~2月の解体作業は、悪天候の影響を受ける可能性が高くなります。余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
近隣トラブルが発生する
近隣からのクレームやトラブルで、工期が長引くケースもあります。解体工事の際には、騒音や振動がどうしても発生します。また、砂埃や粉塵が発生するため近隣の方には洗濯物を干せない、窓を開けられないなどの不自由を敷いてしまうため、トラブルに発生しやすいです。工事前に解体工事を行う旨、騒音などが発生することを事業者と共に挨拶回りすることで、リスクを軽減できます。
地中埋没物を発見する
建物の基礎の下から、地中埋没物が発掘され工事がストップするケースもあります。地中埋没物は、ビニール片や木片のような小さなものから、杭や構造物の残骸、大きなものだと排水管や井戸などが見つかるケースもあります。特に、アスベストの一部であるスレート片が発見された場合は、専門家による作業が必要になるため工期が大幅に伸びる可能性があります。
手作業が多い
建物の構造の関係で、手作業による解体作業が多くなると工期は長くなります。一般的に、解体作業は重機を使用して行います。しかし、面積が狭すぎる建物の解体作業は重機で行うことが難しく、手作業が多くなってしまいます。当然重機を使用するよりも時間はかかるので、狭い建物の場合は重機による作業が可能か、現地調査の際にしっかり確認しましょう。
立地の条件が悪い
前の道が狭い、旗竿地などの立地の建物の場合、重機やトラックの通行が難しいため前述したように手作業が多くなり、工期が伸びるケースがあります。現地調査の際に重機が通れるか否かを事業者にチェックしてもらい、難しい場合は長めに工期を組むようにしましょう。
解体工事の大幅な遅れには損害賠償を請求する
解体工事の遅れは天候や地中埋没物の発見、また建物の面積や立地の関係で手作業が多くなるなど大抵はやむを得ないものです。しかし、伝えた工期よりも大幅に遅れる場合や悪質だと判断される場合は損害賠償を請求できます。具体的には訴訟に発展したのは、以下のケースなので参考にしてください。
- 近隣からのクレームを事業者が放置した
- 現場にいるのが外国人スタッフのみで要望が伝えられない
- 事業者に建設業許可や解体工事業登録がない
解体工事を期間内に収める6つの対策法
解体工事の工期が伸びると、施主や近隣からクレームを受けるなどトラブルに発展する可能性があります。そこで工期を期間内に収め、トラブルを回避する方法を以下で6つ紹介しましょう。
- 早めに業者を選ぶ
- 天候が安定している時期を選ぶ
- 余裕を持ったスケジュールを組む
- 事前に不用品を処分しておく
- 近隣への配慮を怠らない
- 解体業者と密にコミュニケーションをとる
早めに業者を選ぶ
業者選びは早めに行いましょう。解体工事の繁忙期は2~3月の決算月近くで、その近辺になると人材確保が難しく、工期も長くなり解体費用も高くなる傾向があります。繁忙期を避けて解体工事を行なう方が安全ですが、どうしても繁忙期近辺に解体工事をしたい場合は、早めに業者を押さえることで余裕を持った工期で解体工事を行えます。また、工事したい時期ギリギリに業者を選ぶと、悪質な業者の可能性が高くなります。早い段階で優良業者を押さえておくことが、スムーズな解体工事の一番の近道です。
天候が安定している時期を選ぶ
工事の時期は、梅雨や台風、積雪のない天候が安定した時期を選びましょう。具体的には4~5月や10~11月は比較的天候が安定しているため、解体工事に適した時期と言えます。業者の選定から解体工事の完了までは、スムーズに見積もっても2か月ほどはかかると言われているので、悪天候の時期から業者を探し始めることをおすすめします。
余裕を持ったスケジュールを組む
工事のスケジュールは、余裕をもって組んでおきましょう。もしタイトなスケジュールを組んで工期が伸びてしまったら、近隣へ迷惑がかかり改めてお詫びに行かなければならないことも考えられます。また、工期が伸ばせない場合はトラブルがあっても解体工事を強行的に行なわなければならないこともあります。梅雨時期や台風時期に解体工事を行う場合は、10日~2週間ほどの日程を余分に見込んで工事のスケジュールを立てておくと安心です。
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建設業向け工程管理ソフトおすすめ12選!無料ソフトや特徴も紹介!事前に不用品を処分しておく
自宅にある不用品は、解体前になるべく自分で処分しておきましょう。解体工事の際、不用品の処分は建設リサイクル法に基づき手作業で行わなければならないので、多ければ多いほど工期が伸びてしまいます。不要なものは自分自身の手で粗大ごみやリサイクルに出しておくことで解体工事のスケジュールを短縮できます。
近隣への配慮を怠らない
近隣住民からクレームが出た場合、解体工事は中断しなければなりません。前述したように解体工事中はどうしても騒音や振動が発生し、道路にも工事車両が停車することもあるため近隣の方にストレスを与えることを理解しましょう。事前に必ず挨拶に行き、工事のスケジュールと車両が停車することなどを伝えお詫びしましょう。また、騒音が発生する工事は早朝や夕方は避けることも大切です。
解体業者と密にコミュニケーションをとる
解体業者とは工事中、進捗を確認するなどコミュニケーションをしっかりとることで、工事をスムーズに進められます。丸投げにしていると工期の遅れに気づかず、後にトラブルにつながる可能性があります。工程表を見ながら進捗をチェックし、遅れがあるようなら理由を確認しましょう。解体工事をスタートする前に、チェックリストを作成するのも良いかもしれません。
解体工事の流れ
解体工事は、以下の流れで行われます。
- 現地調査
- 近隣への挨拶
- 外構解体工事
- 足場や養生の設置
- 屋根や内装材の撤去
- 構造物本体の解体工事
- 基礎の撤去
- 整地・清掃
- 近隣への挨拶
1.現地調査
まず、解体工事の対象の建築物を調査しに行きます。解体工事の現地調査では、まず現場の道路状況を確認します。重機の搬出入のルートが確保できる道幅かを確認するだけでなく、前面道路の交通状況もチェックしましょう。もし交通量が多いようなら、交通誘導員を配置しなければならないケースもあります。また、隣地との境界線や、外構壁の所有についても確認しましょう。もし、隣地の所有物の塀を破壊してしまったら、大きなトラブルになるからです。現地調査は施主立会いの下で行うようにしましょう。
2.近隣への挨拶
見積もりに了承をもらい、工期が確定したら近隣の住宅へ挨拶へ行きましょう。前述したように、解体工事は騒音や振動、粉塵の飛散を伴うだけでなく、工事車両が停車し道路の使用が自由に使えなくなる可能性もあります。その旨を事前に伝えてお詫びすることで、近隣の住民の方から理解が得られ工事もスムーズに行えます。挨拶の際にはできれば事業者と一緒に、粗品をもって行くと心証が良いでしょう。
3.外構解体工事
近隣への挨拶が終わったら、解体工事に取り掛かります。解体工事は、まず外構の解体から行っていきます。なぜなら外構を解体しなければ、大型重機や工事車両の搬入が難しくなるからです。外構の近くに電柱や街灯などの構造物がある場合、防護カバーをしましょう。具体的な作業内容は以下の通りです。
- ブロック塀の解体
- フェンスの取り外しやテラスやカーポートの撤去
- 門扉や門柱の解体
- 石垣や花壇の解体
- 庭木や庭石の除去
4.足場や養生の設置
外構を解体したら、建物の周りに足場や養生を設置していきます。解体工事は高所の作業が多いため、安全に工事を進めるために足場は必須です。また、騒音や粉塵の飛散を和らげるために、建物の周囲に養生をしっかり行っていきます。これらの作業を丁寧に行うことで、後に行う解体作業をスムーズに快適に行えるようになるのです。
5.屋根や内装材の撤去
足場の設置を終えたら、まず屋根から解体作業に取り掛かります。解体工事は基本的に、高いところから低いところに向かって行います。根瓦や屋根ふき材の撤去は高所で作業員の落下や通行人への危害などのリスクを伴うため、命綱をつけて細心の注意の元で行わなければなりません。
屋根の解体が終わったら、内装材の撤去に取り掛かります。建設リサイクル法に基づき、手作業で分別をしながら行なうため半日〜1日ほどの工期が必要になるでしょう。
6.構造物本体の解体工事
内装材の撤去が終わったら、柱や梁などの構造物の解体を行います。構造物の解体は、多くの場合手作業ではなく重機で行います。一般的な木造家屋の場合は2日ほどで作業は完了しますが、鉄骨造になると工期は5日ほどに伸びるでしょう。また、重機を使用する大がかりな作業になるので、騒音や振動が起こることが予想されます。前述したように近隣へ配慮し、早朝や夕方の作業は控えることをおすすめします。
7.基礎の撤去
建物本体の解体が終わったら、基礎を掘り起こし撤去します。建物の基礎とは、地盤と建物の間にあるコンクリート部分です。基礎を掘り起こし撤去し、土地を何もない状態に戻します。
その後、作業で発生した木片やコンクリートのガラが地表に残っていれば、清掃作業を行います。清掃は重機で行えず手作業で地道にひとつひとつ拾うため、半日ほどの時間を見込んでおきましょう。
8.整地・清掃
建物の基礎を撤去し地表を綺麗にしたら、凸凹な状態の土地の表面を綺麗にならしていきます。整地の作業は、専門の業者に依頼するケースもあります。また、除草剤を用いた雑草対策まで行うケースも珍しくありません。土地を平らな状態に整えたら、作業中に発生したゴミを清掃します。ここまでの作業を終えて、はじめて解体作業は終了になります。
9.近隣への挨拶
解体工事が完了したら、近隣の住宅へ再び挨拶に行くことをおすすめします。木造住宅などの数日で終わる工事であれば挨拶に行く必要はありません。しかし、工期が長引いた場合や大規模な解体工事で1ヵ月以上の工期があった場合には、騒音や道路の使用状況などに近隣の方もストレスを抱えていることが予測されます。そのお詫びや工事に協力していただいた感謝の気持ちを込めて挨拶に行くことは、施主にとっても事業者にとってもマナーの1つと言えるでしょう。
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【まとめ】解体工事の期間は天候や周辺状況が影響する!対策を講じてスムーズに進めよう
解体工事の期間は、建物の面積や構造によって大きく変化します。そして、あらかじめ見込んでいたスケジュールも、天候や近隣のトラブル、地下埋設物の発掘などがあれば伸びるケースが考えられます。トラブルのない解体工事を行うために、天候が悪い季節は避ける、余裕を持ったスケジュールを組むなど、考えられるリスクに対して徹底的に予防線を張りましょう。
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