解体工事で出た産業廃棄物を処理する方法や4つのポイントを解説

解体工事 産業廃棄物

解体工事における産業廃棄物の処理責任は、解体業者にあります。廃棄物の適正な処理は非常に重要です。

この記事では、解体工事で出た産業廃棄物を処理する方法、廃棄物処理時のポイントについて解説します。ぜひ参考にしてください。

廃棄物とは

廃棄物とは、使えなくなって処分する物のことです。廃棄物処理法によれば、廃棄物はごみや粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体といった固形状だけでなく、液状のものも含みます。

参考:廃棄物処理法 第2条第1項

有価物と廃棄物の違い

有価物を扱う場合は、古物営業などの許可を取得すれば問題ありませんが、廃棄物(一般廃棄物や産業廃棄物)を処理する際には、収集運搬に関する運搬業許可が必要です。
無許可での廃棄物の収集や運搬は、刑事罰が科される可能性があります。

解体工事で出る廃棄物の種類

解体工事で出る廃棄物の種類は主に2つあります。

  • 産業廃棄物
  • 一般廃棄物

一つずつ解説していきます。

産業廃棄物

産業廃棄物とは、法令で規定された20種類の廃棄物であり、主に事業活動によって発生します。事業活動は営利を目的とした経済活動を指し、解体工事などもこれに含まれます。

一般廃棄物

一般廃棄物とは産業廃棄物以外の廃棄物です。主に、事業系一般廃棄物、家庭系一般廃棄物、特別管理一般廃棄物の3つに分類されます。

解体工事で出た産業廃棄物を処理する際のポイント

解体工事で出た産業廃棄物を処理する際のポイントは4つあります。

  • 解体工事業者は廃棄物の排出業者
  • 廃棄物を処理するときは分別解体の義務がある
  • 産業廃棄物の処理に許可が必要なケース
  • 排出業者はマニフェストの発行義務がある

一つずつ解説します。

解体工事業者は廃棄物の排出業者

解体工事を行う解体業者が、廃棄物の排出事業者となります。
もし違法行為があった場合、処罰の対象は「解体業者」となります。したがって、施主に責任は及びません。

廃棄物を処理するときは分別解体の義務がある

分別解体とは、建設リサイクル法で規定されている「解体工事における廃棄物の処理方法」の一つです。
建設工事で発生する廃材を適切に処理し、リサイクルを促進するために導入されました。以前は種類にかかわらず一括で処分されていた廃棄物も、法律が施行された今では、廃棄物の種類に応じた適切な処分が義務付けられています。

産業廃棄物の処理に許可が必要なケース

産業廃棄物の処理には許可が必要な場合とそうでない場合があります。解体工事業者が受注から解体、処理まで社内で行う場合は許可は不要ですが、解体工事業者が下請けとして廃棄物の運搬を行う場合は、収集運搬業許可が必要です。

排出業者はマニフェストの発行義務がある

マニフェストは、産業廃棄物が適正に処理されたかを確認するための書類です。不法投棄の防止や適正な廃棄物処理を促進する目的で使用され、解体業者などの排出事業者にマニフェストの作成が義務付けられています。複写式の紙または電子形式で作成、交換が可能です。

マニフェストの罰則規定

産業廃棄物のマニフェストに関する罰則規定は、法律で厳格に定められています。

  • マニフェストの不交付
  • マニフェストの虚偽記載
  • マニフェストの未記載
  • マニフェストの保存義務違反

マニフェストの不交付や虚偽記載、報告義務違反など、これらのルールに違反した排出事業者(中間処理業者を含む)は、廃棄物処理法第25条第5号に基づき、1年以下の懲役または100万円以下の罰金が科される可能性があります。

マニフェストを発行しないケース

産業廃棄物の処理において、マニフェストの交付が不要となる「例外ケース」がいくつか存在します。

  • 処理を都道府県に委託する場合
  • 湾岸管理者、漁港管理者に廃油処理を委託する場合
  • 専ら業者へ処理を委託する場合
  • 再生利用認定制度の認定を受けた業者に処理を委託する場合
  • 都道府県知事の指示を受けた業者に委託する場合
  • 処理を国に委託する場合
  • 運搬用パイプラインなどの処理施設を用いる場合
  • 産業廃棄物の輸出で相手国までの運搬を委託する場合
  • 海洋汚染防止法の規定許可を受けている業者に処理を委託する場合

解体工事で出た産業廃棄物の処理方法

解体工事で出た産業廃棄物の処理方法を解説します。

中間処分場

中間処分場とは、廃棄物の減量、安定化、無害化、資源化するための施設で、中間処理施設とも呼ばれます。

最終的な処分への適切な処理が行われる前段階として、償却や破砕、選別、圧縮、脱水の処理が行われます。廃棄物の再資源化を促進する観点からも、中間処分場での処理は必要不可欠です。

最終処分場

最終処分場とは、排出された廃棄物が最終的に持ち込まれる場所です。廃棄物の種類に応じて適切な安全な処理方法で埋め立て処分が行われます。

解体工事で出た廃棄物の処理費用の目安

解体工事で出た廃棄物の処理費用相場は、廃棄物の種類によって異なります。
一般的な料金相場は下表の通りです。

廃棄物の種類費用
金属くず・ガラスくず・コンクリートくず・陶磁器くず約9,500円(税抜)/t
石膏ボード約40,000円(税抜)/t
廃プラスチック類約50,000円(税抜)/t
木くず、繊維くず、ゴムくず約22,000円(税抜)/t

※これに加えて、産業廃棄物処理税(1,000円/t)と埋立処分費用が別途必要

廃棄物の処理費用は市町村ごとに異なります。また、解体業者や廃棄物処理業者によっても費用に多少の差が出ることがありますので、詳細を知りたい方は事前に確認する必要があります。

一般的に、廃棄物の処理には多くの費用がかかるケースが多いため、事前にしっかり見積もりを行って準備しておくことが重要です。

参考:公益財団法人岡山県環境保全事業団「産業廃棄物種類別処理処分料金表(R2年4月1日〜)」

解体工事で出た廃棄物を処理するときの注意点

解体工事で出た廃棄物を処理するときの注意点は4つあります。

  • 回収依頼は早めに行う
  • 解体工事業者の許可を確認する
  • 不法投棄は避ける
  • アスベスト廃棄物は適切に処理をする

後のトラブルを防ぐためにも、解体工事で出た廃棄物は適切に処理しましょう。

回収依頼は早めに行う

廃棄物の回収はすぐに対応してもらえるとは限りません。特に3〜4月の引越しシーズンは回収業者の繁忙期であるため、回収に時間がかかる場合があります。したがって、解体工事に支障が出ないよう、余裕をもって依頼することが重要です。

解体工事業者の許可を確認する

解体工事を依頼する際には、解体業者の許可を確認することが重要です。一部の解体業者は廃棄物処理に関する許可を持っていないケースもあります。産業廃棄物処理の許可のみを持っている業者に一般ごみの処理を依頼すると、かえって処理費用が高くなってしまう場合もあるため注意が必要です。

解体工事で発生した産業廃棄物については「産業廃棄物処理の許可」が適用されますが、それ以外の一般ごみに関しては「一般廃棄物処理の許可」を持つ業者に依頼するのがおすすめです。

不法投棄は避ける

廃棄物の不法投棄は断じて許されない違法行為です。環境保全の観点だけでなく、処罰をうける可能性が高いので、最後まで適切な処理を行いましょう。

アスベスト廃棄物は適切に処理をする

アスベストは健康に悪影響を及ぼすため、取り扱いには特に厳重な注意が必要です。建物解体前には義務付けられた事前調査を行い、アスベストが存在する場合には業者に依頼して適切な除去作業を行いましょう。

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【まとめ】解体工事での産業廃棄物は適切に処理をしよう

解体工事における産業廃棄物は、解体業者が最終的な処理まで責任を担い、不法投棄が発生した場合には解体業者がその責任を負います。しかし、施主側も依頼した解体業者が適切に処理を行ったかどうかを最後まで確認することが大切です。

したがって、依頼する側も廃棄物の処理に関する理解を深めておくことが求められます。信頼できる解体業者を選び、スムーズかつ安心して廃棄物を処理してもらいましょう。

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