火災にあった建物の解体工事にかかる費用相場や補助金なども解説!

解体工事 火災

どんなに気を付けていても、事故は発生します。火災も例外ではありません。自宅はもちろん、会社が被災したときのダメージはとても大きいものです。しかも、火災後の作業は費用が大きくなる傾向にあります。
火災によるダメージを最小限にするには、被災後の解体工事にかかる費用相場や補助金などの制度を知っておかなくてはなりません。本記事では、火事にあった後の対処方法を解説します。

火災にあった建物の解体工事にかかる費用相場

火災にあった建物の解体費用は、高額になりがちです。通常の解体工事なら解体後の木材などは資源として利用できます。しかし、火災にあった建物の建材は再利用できません。廃棄処分の手間がかかる分、その費用も発生してしまうのです。
費用は建物の規模や火災状況により異なります。以下の金額は、建物の広さごとの相場です。

  • 30坪:約60~180万円
  • 50坪:約150~300万円
  • 100坪:約300~600万円

同じ坪数の建物でも、廃棄物処理費用などの関係から木造よりも鉄筋コンクリート造の建物の方が費用がかかるなど、構造により大きく変化します。見積もりの際は、この点にも注意しましょう。

火災にあった解体工事にかかる費用の内訳

火災にあった建物を解体する際には、以下の費用が発生します。

  • 本体工事費
  • 人件費
  • 火災ゴミ運搬処分作業費
  • 諸経費
  • 付帯工事費

見積もりをチェックする際は、これらの費用内約からある程度正確な費用を計算できます。それぞれの費用内訳を覚えておきましょう。

本体工事費

解体作業にかかる基本費用のことです。1坪あたりの解体費用に坪数をかけて計算します。そのため、首都圏や都市部などの坪単価の高いエリアや広い範囲の作業では高額になりがちです。
本体工事費は建材の種類によっても異なり、相場は以下のようになります。

  • 木造:3万~3万5,000円
  • 鉄骨造:4万~4万5,000円
  • コンクリート造・鉄筋コンクリート造:4万5,000~5万円

坪単価と構造により費用が異なるため、金額を確認する際は注意しましょう。

人件費

解体工事に取り組む作業員にかかる費用です。こちらも地域により金額が変動します。坪単価同様、首都圏や都市部の方が高くなる傾向にあります。費用計算は派遣される職人の人数と派遣日数により計算されるため、人数が多ければ多いほど、工期が長引けば長引くほど高くなると覚えておきましょう。

火災ゴミ運搬処分作業費

火災で焼けた建物の建材や瓦・コンクリートなどはゴミとして処理しなくてはなりません。また、火災ゴミの区分は産業廃棄物となるため、専用の処理場に運搬し、処理する必要があります。

火災ゴミ運搬処分作業費の相場としては、解体費用総額の約10〜20%ほどの額といわれています。しかし、処理場から遠ければ遠いほど運搬費がかかるため、この範囲内に収まるとは限りません。あくまでも目安としてとらえておきましょう。

諸経費

火災で燃えた建物の解体では、上記の費用以外にも様々な費用が発生します。現場の状況ごとに発生する費用は異なりますが、よくかかる費用としては、以下の費用があげられます。

  • 防音対策費用
  • 重機の駐車・燃料費用
  • 足場設置費用
  • 建物やその周辺の養生にかかる費用
  • 役所へ提出する書類の作成費用
  • 近隣への粗品費用

解体業者により対応可能な業務が異なるため、見積もり作成時には費用の詳細を必ず確認しておきましょう。諸経費の詳細をチェックすることで、解体作業やそれに伴うサービスの内容を比較できます。

付帯工事費

建物を解体すると、エクステリアや樹木・ブロック塀や駐車場などの撤去も発生する場合があります。付帯工事費は、これらの撤去にかかる費用を指す内訳です。建物の外側だけでなく、内部の設備や家具などの残置物の処分費用として発生するケースもあります。

火災にあった建物の解体工事は、あくまでも建物の解体が目的です。そのため、付帯工事費が高額になるケースはあまりありません。ただし、工事対象となるものの大きさや広さなどにより、金額が変化します。気になる場合は業者に問い合わせしましょう。

火災にあった建物の解体工事にかかる費用を抑える方法

火災にあった建物はほかの解体工事とは異なる事情があるため、費用が高額になりがちです。少しでも費用負担を抑えるには、保険などを活用したテクニックをおさえておく必要があります。万が一の事態に備えるためにも、火災後の建物の処分にかかる費用を抑える方法を覚えておきましょう。

火災保険を活用する

火災保険を契約しておくと、損害保険金が受け取れるほか、残存物取片付け費用特約もつけておけばがれき撤去などにかかった費用の実損が受け取れます。特約は限度額が設定されていますが、ある程度保証してもらえれば費用を抑えることも可能です。

被災した場合はまず保険会社に連絡して支払いに該当するか調べてもらいましょう。火災対策としては残存物取片付け費用特約のついた火災保険に加入・乗り換えることも有効です。

解体工事をせず売却する

家事の後に引っ越すのであれば、売却してしまうのもひとつの手です。火災保険の保険金をもらったうえで売却すれば、解体や土地売却などの面倒な手間や費用をすべて不動産会社に丸投げできます。

なお、この場合値段がつくのは土地の価値のみです。また、状況により大規模な工事が必要な場合や、火事で死亡事故などが発生した場合、土地の価値が大幅に下がる恐れがあります。このほか、そもそも土地が売れない・売れても大した額にならないケースも珍しくはありません。
この方法を取る場合、経済的な負担や心理的な負担を考慮したうえで決定すべきです。

ゴミを事前に処分しておく

自分で処理できるゴミがある場合、それらを先に処理しておくのも有効です。自分で処理する際は、一般廃棄物として廃棄できます。また、自治体の減免制度を使えば、火災による経済的な負担を軽減する目的で、一般廃棄物にかかる処理費用を免除してもらえます。

業者が火災ゴミを処理する場合は産業廃棄物となるためこの制度は使えません。作業が始まる前に片付けておきましょう。

複数の業者から相見積もりをとる

大きな工事を任せる業者を選ぶ場合、一社からではなく複数社から見積もりをもらうのが安く済ませるポイントです。これは、被災時の解体工事を依頼する際も変わりません。業者選びの際は、複数業者に「相見積もりを依頼している」と伝えましょう。

相見積もりをしていることを伝えたうえで見積もりを出してもらうと、業者側も依頼を得るために価格などでサービスしてくれることがあります。また、地域全体の相場やその中でもお得に作業を依頼できるところが選べるのもこの方法のメリットです。
被災した状態での業者選びは大変ですが、最低でも3社は確保しておきましょう。

補助金を活用する

自治体では地域に住む人をサポートするための補助金が多数用意されています。被災時に利用できるのは、火災ゴミの処分費用免除だけではありません。補助金を利用して解体費用を捻出できる場合があります。
補助金は自治体ごとに内容や条件が異なるため、万が一の事態に遭遇した場合は確認しておきましょう。代表的なものとしては、以下のような制度があります。

災害見舞金制度

火災や水害により生活の拠点となる住居が半壊以上の被害を受けた人に見舞金の支給などを行う制度です。制度内容は自治体により異なりますが、2〜10万円前後の金額を支給するところが多いようです。
支給金額は住居の被害状況や種類・人的被害により異なります。

一般廃棄物処理費用減免制度

天災や火災などの被害により生じた一般廃棄物を同じ市の廃棄処理施設に搬入する際、手数料が免除となる制度です。こちらも自治体により免除となるものや対象となるごみの種類が異なります。また、原則として被災後90日以内と申請期限が決められています。手続きする際は精度の内容や手続き期限に注意しましょう。

火災にあった建物を解体工事する前に行う手続き

火災にあった場合、解体工事を依頼すれば完全に処理できるわけではありません。処理に伴い必要な書類の入手や貴重品の回収などの作業も必要です。万が一の事態に遭遇しても冷静に対処するためにも、火災にあった際の手続きと解体工事を依頼する流れをおさえておきましょう。

1.罹災証明書を発行する

火事にあったときまず手続きしなくてはならないのが、罹災証明書の発行です。罹災証明書は火事にあったことを証明する書類で、被害度合いを証明する書類で、自治体が発行します。火災保険や自治体の補助金制度を利用するときに使います。
鎮火して再燃の恐れがないと判断できたら、すぐに発行を依頼しましょう。取得に現地調査が必要な場合もあるため、次に行う手続きを送らせないためにも、できるだけ早めに手続きしてください。

2.保険会社に連絡する

罹災証明書を得たら、火災保険の保険会社に連絡します。
火災保険の保険金は、被害の度合いや状況を保険会社が調べたうえで算出します。保険会社の調査前に建物を解体してしまうと、保険金が受け取れなくなる恐れもあります。

また、保険金請求には罹災証明書が必要なため、罹災証明書を得たらすぐに保険会社へ連絡しましょう。

3.現場の確認・貴重品の回収

保険会社に連絡したら、現場の確認や貴重品の回収を行います。火災現場ではまれに鎮火後に出火する場合もあります。このような事態が発生しないかをチェックしつつ、貴重品や金品が残っていないか確認しましょう。

金品や利用できる家具・家電は火事場泥棒を招きかねません。新たなトラブルを防ぐためにも、できるだけ早めに回収しましょう。なお、このときに処理できるものを自分たちで片付けておけば解体費用を抑えられます。あわせて掃除もしておきましょう。

4.ライフラインを停止する

火災にあった建物につないでいた電気・ガス・水道などのライフラインは、当然ですが使えません。契約会社に連絡して停止してもらいましょう。消防署から連絡してくれるケースもありますが、自分でも確認しておけばより安心です。
停止していない場合、建物がなく使っていないのに基礎料金を支払い続けることになりかねません。また、漏電やガス漏れによる事故が発生する恐れがあります。
二次災害を防ぐためにも、ライフラインの停止も欠かさず行っておきましょう。

5.近隣へ挨拶をする

火事が故意でなかったとしても、騒音や悪臭などで周囲に多大な迷惑をかけます。近隣の方たちにお詫びしましょう。実害があってもなくても変わりません。お詫びの気持ちを示してください。
火災保険には類焼損害保険特約が付いている場合があります。近隣の建物が燃えた場合は、この特約を使って損害を補償できるため、実害が出た場合は積極的に活用しましょう。

6.解体工事業者へ依頼する

片付けや手続き・お詫びなどしているうちに、火災保険の調査が終わるはずです。解体業者へ作業を依頼しましょう。このとき、複数の企業へ相見積もりを依頼して一番お得に依頼できるところに依頼するのがポイントです。

7.仮住まいを手配する

ここまでの作業をこなすうちは、住居ならホテル・事務所ならレンタルスペースを借りるなどで対応しているかもしれません。しかし、いつまでもそのままで入られないため、仮住まいの手配をしましょう。

焼けた建物を解体して立て直すには、早くても数か月はかかります。今までと変わらない日常を送るためにも、なるべく元の家に近い場所を借りましょう。職場に近い場所、子どもがいる場合は子どもの通学範囲内で探します。事務所などが燃えた場合は、従業員が通勤しやすい場所を選びましょう。
探し方としては、以下の方法が便利です。

  • 地域の不動産屋に相談する
  • 不動産ポータルサイトを利用する

ちなみに、仮住まいや生活立て直しの際、臨時費用の保険金が火災保険から出るケースがあるため、仮住まいを探すときは火災保険会社にも伝えておきましょう。

8.解体工事を開始する

ここまでの手続きがすべて終わったら、解体工事を開始します。解体中は真っ黒な煤が舞い上がるため、洗濯物や家屋が汚れる恐れがあります。これも火災同様近隣住民に迷惑をかける可能性があるため、ごあいさつに回りましょう。
解体工事で再びご迷惑をおかけする旨と、細かな工程を伝えてください。

火災にあった建物の解体工事を依頼する業者の選び方

同じ業者でも作業にかかる費用や提供してくれるサービスはそれぞれ異なります。これは解体工事業者も同様です。建物の解体工事を依頼する際は、以下のポイントをおさえながら探しましょう。

被災者の立場に立ったアドバイスをもらえるか

いい業者は被災した依頼者の立場に立って行動してくれます。具体的には、罹災証明書など、被災者が自己申告しなくてはならない書類の発酵などを教えてくれます。このように、被災者の立場に立ってアドバイスできる業者を選びましょう。

産業廃棄物を適切に処理してもらえるか

産業廃棄物は適切な処理が必要です。処理方法はゴミやその種類ごとに異なるため、廃棄物処理を行う業者は、専用の監理伝票を持っています。これが、マニフェストです。

産業廃棄物を処理する業者は必ずマニフェストを発行しなくてはなりません。この後触れる許認可とともに、マニフェストも確認しておきましょう。

火災現場の有害物質を除去するノウハウや技術を持っているか

火災現場では、度々ダイオキシンやアスベストなどの有害物質が残存していることがあります。これらの物質を外部に漏らさないようにするには、専門的な知識と技術が必要です。

解体工事業者を選ぶときは、できれば火災保険現場専門で扱っている業者を、最低でも火災現場の解体工事を行った実績のある業者を選びましょう。

解体事業者の登録をしているか

建設業や解体工事業は、国から許可を受ける必要のある事業です。必ず許認可を受けている業者に依頼してください。許認可のない業者は、どんなにいい対応や見積もりを提案してきても、信用できません。依頼する前に必ず許認可証類を見せてもらいましょう。

火災にあった建物の解体工事を行うときの注意点

被災後の解体工事を行う際には、注意しなくてはならない点もあります。工事の際は、以下の内容も欠かさずチェックしておきましょう。

火災保険が適用される範囲を確認する

解体業者に作業を依頼する前に、火災保険の適用範囲を確認しておきましょう。同じ火災保険でも、被害の大きさで受け取れる金額が大きく変わります。保険会社の調査には解体作業前に行ってもらいましょう。

火災現場の解体経験が豊富な業者に依頼する

火災現場の解体は、通常の解体工事とは異なる作業が発生します。廃材処理や火災後の臭いを消す消臭処理などです。火災現場の解体作業は、これらの作業に慣れている業者の方がお得に済む傾向があります。
見積もりを出してもらう業者を選ぶときは、火災現場の解体実績がある業者を選びましょう。

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【まとめ】火災の場合は解体工事の費用も高くなりやすい!事前に手続きを行いなるべく出費も抑えよう

火災後の解体工事は、費用が高くなる傾向にあります。被災のダメージを少しでも抑えるためにも、手続きや作業時は費用に注目しながら行いましょう。

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