工事写真台帳とは?作成する手順や活躍するアプリ・ソフトも解説

工事写真台帳は、工事を適切に進めたことを証明する大事な書類です。適切に工事写真を撮影して保存しないと、後々トラブルに発展するかもしれません。

どのような写真が必要なのかを把握して写真を残すことが大切です。さらに、工事写真台帳の作成に役立つアプリ・ソフトを活用することで、手間や労力を減らせるでしょう。

本記事では、工事写真台帳の作成方法、写真を撮影する際のポイント、役立つアプリ・ソフトなどを解説します。

ツクノビBPOは、時間のかかる建設業業務を低コストで代行する建設業特化のアウトソーシングサービスです。 建設業の事務作業や書類作成、図面作成、積算などまで幅広い業務に対応しています。詳細はぜひこちらからご確認ください。
\ 30秒で資料請求完了 / まずは資料を見てみる

工事写真台帳とは

工事中に撮影した写真を台帳にまとめた書類を工事写真台帳と呼びます。工事写真台帳の作成目的、保存期間について解説します。

作成目的

適切に施工したことを客観的に説明できる証拠を残すことが工事写真台帳を作成する目的です。

工事の各工程の進み具合を写真に残しておくことで、発注者や第三者機関などに工事の内容、品質、などを具体的に説明できます。写真がないと施工内容を証明できず、発注者とのトラブルに発展するかもしれません。

施工後に不具合があった場合でも、工事写真台帳で適切な工法で図面どおりに施工したことを証明すれば、自社に責任を押し付けられる事態を回避できるでしょう。

保存期間

工事写真台帳の保存期間は5年です。建設業法第40条の3、建設業法施行規則第28条にて、帳簿類の保存期間は目的物の引き渡しから5年と定められています。

ただし、新築住宅の建設工事に関わる工事写真台帳は10年間保存しなければなりません。

建築物の場合、完成後に問題なくとも数年後に不具合が明らかになるケースが多くあります。トラブルが発生しても速やかに対処できるよう、工事写真台帳を適切に保管しましょう。

工事写真台帳用の写真を撮影する際のポイント

施工内容の客観的な証拠として活用できるように、工事写真台帳で保存する写真は適切に撮影しなければなりません。写真を撮影する際に気を付けるべきことは主に以下のとおりです。

  • ピンぼけのないように対象物を鮮明に撮影する
  • 施工した箇所がわかるように周囲も含めて撮影する
  • メジャーを添えて対象物の寸法がわかるように撮影する
  • 完成後に見えなくなる箇所は施工中に進捗に応じて撮影する
  • 施工前後で可能な限り変わらない画角で撮影する
  • 施工の日時、業者名、内容などを記載した小黒板と一緒に対象物を撮影する

工事写真台帳を作成する手順

以下の手順で工事写真台帳を作成しましょう。

  • 写真を準備する
  • 表紙を作成する
  • 工事写真管理基準にならいアルバム形式で編集する
  • 必要に応じて工事情報を補足する

それぞれの内容を解説します。

1.写真を準備する

はじめに、適切に撮影した写真を準備します。

前述したように、第三者が見ても判別できるように写真を撮影することが大切です。十分に気を付けながら撮影しましょう。

また、写真の撮り忘れや撮り方のミスがないように、事前に撮影すべき写真を決め、計画的に撮影することをおすすめします。発注者から個別に指示がある場合は特に抜け漏れのないよう撮影しましょう。

詳細は、国土交通省が発表している「写真管理基準」を参考にしてください。

2.表紙を作成する

管理しやすいように、工事写真台帳の表紙を適切に作成しましょう。

表紙に以下の内容を記載し、どの工事の台帳なのか一目で判別できるようにすることが大切です。

  • 工事名
  • 工事箇所
  • 工期
  • 工事責任者

適切に表紙を作成しておかないと、必要なときに台帳が見つからず困るかもしれません。統一フォーマットで表紙を作成することをおすすめします。

3.工事写真管理基準にならいアルバム形式で編集する

アルバム形式で写真をまとめます。

国土交通省が発表している「写真管理基準」を参考に編集することをおすすめします。

以下の項目ごとに写真を整理しましょう。

  • 着手前および完成写真
  • 施工状況写真
  • 安全管理写真
  • 使用材料写真
  • 品質管理写真
  • 出来形管理写真
  • 災害・事故写真
  • その他(公害・環境・補償など)

それぞれの内容を解説します。

着手前および完成写真

施工の着手前と完成後に撮影した写真を台帳に用います。

着手前と完成後の写真を載せることで、設計どおりに施工したことを第三者にも具体的に説明できるでしょう。対象物の位置関係がわかるよう、部分的な写真だけでなく全体像がわかる写真も撮影しましょう。

施工状況写真

施工状況が伝わるような写真を用意しましょう。作業工程ごとに写真を残すことが必要です。

時系列順に施工状況の写真を並べることで、施工の流れがわかります。

安全管理写真

安全管理の実施状況の写真を用います。

十分に安全管理が実施されていたことを発注者や第三者機関に説明する際に、安全管理写真が役立つでしょう。安全具の使用、安全標示の設置、安全策の実施などの状況がわかるように写真を整理してください。

使用材料写真

使用材料の写真も台帳に載せましょう。

材料の種類、品番、数量がわかるような写真が必要です。可能であれば対象の材料を納品伝票と一緒に撮影しましょう。

品質管理写真

品質管理の写真も準備します。施工品質を証明するために重要な写真です。

対象物そのものだけでなく、対象物を検査する様子も撮影しましょう。

出来形管理写真

出来形管理写真も工事写真台帳に載せましょう。

発注者が定めた仕様を適切に守って施工したことを証明するために重要です。

対象物の施工精度がわかるように、対象物と一緒に計測器と計測結果を撮影しましょう。

災害・事故写真

工事中に災害や事故があった場合は、写真を撮って残しましょう。

災害・事故写真を用いて原因究明を進め、再発防止に役立てられます。

その他(公害・環境・補償など)

そのほかに公害防止や環境配慮などに関わる工夫があれば写真を残しておきましょう。

また、施工後の補償に関わるような箇所も写真を撮影して残すことが大切です。

4.必要に応じて工事情報を補足する

写真をまとめたら、必要に応じて工事情報を補足しましょう。特に小黒板が写真に入っていなかった場合は、何の写真かわかるように詳細に記載しましょう。

主に以下の項目を記入します。

  • 工事内容
  • 写真を撮影した日時
  • 天候(気温・湿度)
  • 業者名
  • 作業者の人数、配置
  • 材料名、種類、品番、寸法
  • 特記事項(施工の遅れやトラブルなど)

項目を適切に記載しておけば、数年後に見直す場合でもすぐに写真の内容がわかります。

工事情報を補足したら表紙を付けて完成です。完成した台帳は適切に保管しましょう。

工事写真台帳を作成する方法

工事写真台帳を作成する方法を4つ解説します。

  • Excelを活用する
  • 無料のひな形を活用する
  • 専用のソフトを活用する
  • アプリを活用する

それぞれの内容を解説します。

Excelを活用する

工事写真台帳を作成する方法の1つが、Excelを活用して作成することです。

Excelであれば多くの人が簡単に扱えるでしょう。多くの場合、会社のPCにExcelがインストールされているので、導入費用がかかりません。自社独自のテンプレートを作成しやすいこともExcelのメリットです。

ただし、Excelはあくまでも表計算ソフトであり、画像の整理に適したソフトではありません。写真を貼り付ける際にExcelは不便だと感じるかもしれません。

無料のひな形を活用する

無料のひな形を活用することも工事写真台帳を作成する方法の1つです。

近年、多くの工事写真台帳のテンプレートが無料で配布されています。優れたテンプレートを使えば、自分で一からレイアウトを考えずとも簡単に工事写真台帳を作成できるでしょう。特別なこだわりがない人には、無料テンプレートの活用をおすすめします。

ただし、顧客から特殊な要望があった場合に、無料テンプレートでは十分に対応できないケースがあるので注意しましょう。

専用のソフトを活用する

専用のソフトを活用することで、Excelよりも内容が充実した工事写真台帳を作成できます。

工事写真台帳専用のソフトを活用することで、写真の整理や台帳の出力などを簡単にできます。また、優れたソフトであれば、最小限の手間でExcelよりも見栄えの良い台帳を作成できるでしょう。

ただし、専用のソフトを導入する費用や手間がかかります。多くのソフトには無料試用期間があるので、使い勝手を確認してみましょう。

アプリを活用する

近年、PC用のソフトだけでなく、スマホやタブレット向けの工事写真台帳専用アプリも市販されています。

スマホやタブレットで撮影した写真をそのままアプリに反映できることがメリットです。スマホやタブレットは持ち運びやすいので、現場でも簡単に工事管理台帳を作成・閲覧できるでしょう。

PCソフトと同じくアプリにも導入の手間と費用がかかるので注意しましょう。やはり無料バージョンで操作性を確認することが大切です。

工事写真台帳を作成する際に活躍するアプリ・ソフト3選

工事写真台帳を作成する際に活躍するアプリ・ソフトがいくつかあります。

  • ミライ工事
  • 工事写真台帳7
  • 現場クラウドConne

それぞれの特徴を解説します。

ミライ工事

引用元:https://www.miraikoji.com/
特徴
「ミライ工事」は、様々な企業に導入されている工事写真台帳作成アプリです。

スマホで写真を撮影し、そのままスマホで工事写真台帳を作成できます。データはクラウドに保存されるので、異なるスマホ、タブレット、PCでも編集できます。同時に複数人で編集することで、速やかに工事写真台帳を完成させられるでしょう。

電子小黒板機能が搭載されているので、写真撮影時に実際の小黒板を持ってくる必要がありません。

無料でも利用できるので、気軽に使い勝手を確認できます。

工事写真台帳7

引用元:https://www.de-net.com/products/koji_photo7/
特徴
「工事写真台帳7」はWindows PC用の工事写真台帳作成ソフトです。

撮影した写真を貼り付けて簡単に工事写真台帳を作成できます。写真への電子黒板追加機能、関連写真を挿入できる豆図機能などの、Excelでは難しい作業も可能です。

また、Excelよりもきれいに印刷できるので、提出先に好感を抱いてもらえるでしょう。

ただし、Macでは工事写真台帳7を利用できないので注意が必要です。

現場クラウドConne

引用元:https://conne.genbasupport.com/
特徴
「現場クラウドConne(コンネ)」は、建設業向けのコミュニケーションツールです。Webブラウザとスマホアプリで利用できます。

大容量クラウドに撮影した写真を保存できるので、関係者と簡単に共有できます。クラウドを活用することで、担当者がリアルタイムで工事写真台帳を更新できるでしょう。

また、社内稟議機能があるので、作成した台帳をアプリで速やかに上司に回覧できます。その都度PCを使う手間が省けるので、現場の作業に集中できるでしょう。

建設業の人手不足解消ならツクノビBPOがおすすめ

建設業の人手不足を解消するためには、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。

従業員のリソースがひっ迫している場合や、業務に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務を実行できます。BPOサービスでは、専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、さまざまな業務をスムーズに進められます。

弊社では、建設業の業務に対応している建設業特化のBPOサービス「ツクノビBPO」を提供しています。書類作成や図面の作成、積算業務など、幅広い業務を代行できます。ツクノビBPOでは、倍率200倍の選りすぐりの専任スタッフが対応いたします。

リソース不足を解消したい方は、ぜひこちらからお問い合わせください。

\ 30秒で資料請求完了 / まずは資料を見てみる

【まとめ】工事写真台帳について理解を深めて不備なく作成しよう

工事写真台帳の作成方法、写真を撮影する際のポイント、役立つアプリ・ソフトなどを解説しました。

工事を適切に進めたことを証明するために工事写真台帳は重要です。施工の状況や安全対応の様子などがわかるように、鮮明な写真を残すことが大切です。

また、工事写真台帳の作成に役立つアプリ・ソフトが多く市販されています。手間や労力を減らしたい人は専用アプリ・ソフトを活用しましょう。

ぜひ本記事を参考に、工事写真台帳を不備なく作成しましょう。

工事写真台帳のまとめ方工事写真台帳の並べ方についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

工事写真台帳のまとめ方とは?作成手順や並べる順番などを解説 工事写真台帳を作成する手順や並べ方などをわかりやすく解説!