建設業で赤字受注する理由とは?限界利益と営業利益の違いについて解説!

会社の経営は利益を出すことがなによりも大切です。利益を確保できなければ、残念ながら倒産ということになってしまいます。しかし、明らかに利益があるのに「儲からない」と嘆く経営者も少なくありません。そこでポイントとなるのが「限界利益」を把握することです。
今回は、「限界利益」とは何か、「営業利益」との違いについても解説していきます。建設業でよくある赤字受注する理由もご説明します。

赤字受注でも利益がでる?

赤字受注でも利益がでるのはなぜでしょうか。売値が変動費より高い場合は利益があります。赤字受注というのは、営業利益がマイナスの受注のことを言います。しかし、限界利益が黒字ならば利益を出せます。ここからは「限界利益」と「営業利益」について解説します。

限界利益と営業利益の違い

ここからは営業利益と限界利益の違いについて考えてみましょう。単純に説明すると売上から固定費を引くか、変動費を引くかの違いです。まずは「営業利益」「単純利益」の内容を解説しますので、参考にしてください。

限界利益とは

限界利益とは、「1つの商品を販売すると得られる利益」です。つまり販売価格から仕入れ値を引いた金額が「限界利益」となります。限界利益に販売した数を掛ければ総額が分かります。限界利益は「売上高-変動費=限界利益」で計算し算出されます。この変動費がわからないと限界利益を理解することができません。限界利益は単純な計算式でしたが、変動費を知ることで限界利益が分かるようになります。

営業利益とは

営業利益とは、「会社が本業で売り上げた利益」です。計算としては「売上高-(売上原価+販売費・一般管理費)=営業利益」となります。売上原価は商品を仕入れたときや製造するときにかかった費用です。販売費・一般管理費にあげられるのは、営業活動に必要な経費です。人件費、通信費、水道光熱費、交通費、消耗品費などがあります。また、「売上高-(固定費+変動費)=営業利益」でも計算が可能です。但し、固定費、変動費を理解しないと営業利益を計算するのは難しくなります。

変動費とは

会社を経営していると、売上をあげるための費用がかかることは理解できるでしょう。
変動費とは、会社を運営するうえでかかる費用の中で、売上・生産量に比例して増減する費用のことを指します。仕入原価、外注費、支払運賃、販売手数料、契約・派遣社員の給料などが当てはまります。なぜ売り上げによって変わってしまうのか、ご説明します。

売上によって変わる費用

変動費は、売上によって増減する費用です。売上が上がれば変動費も増え、売上が下がれば変動費は減ってきます。建設業の例として、繁忙期に契約社員や派遣社員を増やす場合があるでしょう。そうなると給与の支払いが増加します。これが「売上の増加によって増えた費用」で変動費となります。

変動比率とは

変動費と併せて知っておきたいのが変動費率です。変動費を売上高で割った値を変動費率と言います。変動費率が変わるだけで、利益も大きく変化します。例としてあげると、売上が5,000,000円として変動費が400,000円の場合、変動費率は、400,000÷5,000,000=0.08(8パーセント)です。売上高に対して変動費が高いと変動率は上がります。当然のことながら、変動費は低い方が会社にとって望ましいでしょう。

固定費とは

固定費とは売上が無くても発生する費用です。具体的には、お店を開いていても1か月間、商品がひとつも売れなかったとします。しかし、お店を開いている以上はテナント代もしくは賃貸料、光熱費、人件費、設備費などが発生します。売上のある・なしに関わらず毎月定額で支払わなければならない費用が固定費と呼ばれるものです。売上がなくても支払うことで赤字になります。変動費、固定費を合せたものが会社の費用となります。固定費は「組織費」「能力費」「政策費」の3つに分かれますので解説していきます。

組織費

簡単にいうと人件費が組織費とよばれるものです。従業員の給与が当てはまります。具体的には、給与、各種手当、賞与、社会保険料や労働保険料、会社の負担分の法定福利費、福利厚生費などがあります。会社を経営しようと計画をした場合、かならずかかる費用として発生額がわかる固定費です。

能力費

能力費とは、会社がサービスや商品を提供する事業活動のために必要な物的といえる消費費用です。例えば、事務所を構えるならば、物的設備などが必要になりますがあらかじめ固定費として金額がわかります。その他にも能力費として計上されるのが、減価償却費、賃貸料、固定資産税、損害保険料などです。

政策費

政策費とは、会社の状況によって経営を一定の水準に維持するために消費される費用です。広告を大々的に打ち出したいとすれば広告宣伝費を増やします。会社のために政策的に調整する固定費が政策費です。広告宣伝費のほかにも、研究開発費、会議費、通信費、旅費交通費なども政策費となります。

仕事を受注する際は「限界利益」から判断する

仕事を受注する場合、営業利益がマイナスだと赤字受注となるため、マイナスになる受注はしないほうが良いのでは?と考える方も多いのではないでしょうか。しかし、限界利益がマイナスになっていない場合、つまり黒字であれば赤字受注をしても大丈夫です。営業利益は前述したように、売上高から固定費と変動費を引いた金額です。固定費は受注の有り無しに関係なく発生します。受注によって増えるのは変動費のみとなります。受注すると増える利益は限界利益です。例え赤字受注であっても限界利益が黒字であれば、受注を増やすことでその分商品が売れれば最終的には営業利益も黒字になります。しかし、限界利益が赤字の場合は、赤字受注をしても当然ながら会社の利益は増えません。受注の判断は「限界利益」から判断するのが重要です。

建設業で赤字工事を受注する理由とは

建設業の入札において、明らかに赤字とわかるような受注をする会社が稀に見受けられます。下請け業者の中でも受注金額が低く、赤字とわかっていても受注する場合も少なくありません。赤字なのにどうして工事を受注するのでしょうか?その理由を解説いたします。

受注することで実績になるため

どの企業でも赤字受注はしたくないと思うのが本音です。しかし積極的に受注する会社もあります。その理由は、工事自体が注目されている、水準の高い技術が求められることなどにあります。工事に価値があるものだと会社としての価値が高まり、技術がないとできない工事でも依頼できるという宣伝効果が期待できます。こうした実績を作ると公共工事の入札でも有利になる可能性があるでしょう。赤字でも先を見据えて行動することで、将来的に大きな利益となって会社にかえってくるというのが赤字受注を積極的にする理由です。現在は赤字受注でも赤字を回収できると考えられます。

元請けからの仕事に頼っているため

建設業の下請け業者などは、しかたなく赤字受注をしている会社も少なくありません。難しい問題ですが、赤字でも引き受けないと仕事を依頼されなくなってしまうという焦りや不安などから引き受けてしまうようです。特に1つの元請けからの仕事に頼り切っている場合は我慢して赤字受注をしてしまう苦しい現状があります。しかし、赤字受注を続けるといつかは倒産する可能性があります。1つの元請けに頼るのではなく何社か営業して元請けを拡大しましょう。

下請けから脱する方法

下請けから脱し、元請けとなることで自社の利益率をあげることができます。元請けになるには、自社の実績や強みを理解し、それをアピールして営業を行うことが大切です。また人材の確保や育成など、組織作りを見直すことも求められるでしょう。
建設業で元請けになる方法や元請け・下請けの違いについては以下の記事で詳しく紹介しているので是非参考にしてみてください。
建設業で元請けになるには?元請け・下請けの違いについても解説

単に原価管理ができていないから

赤字工事を受注する原因の一つとして「原価管理ができていない」ことがあります。建設業の原価管理とは工事の計画から施工完了までの各工程にかかる材料費、人件費、諸経費など
を把握して予算内におさめ、工事を進めていくための管理です。また、見積りが甘いと赤字受注につながる恐れもあります。この原価管理が適切に行われていないと計画より利益がでなかったり、予算不足になって赤字になったりする可能性もあるでしょう。建設業の工事では仕入れ値の変動や追加発注なども多く、その分も予測しながら原価管理をしなくてはならないため難しいのが特徴です。建設業において赤字受注をしないためにも原価管理は非常に重要となります。

建設業における原価管理とは?

工事原価管理とは、工事の計画段階から施工完了までの各工程における材料や人件費、諸経費などの費用を把握し、予算内で進行するための管理のことです。
原価管理の重要性やおすすめの原価管理システムについては以下の記事で紹介しているのでぜひ参考にしてみてください。
建設業における工事原価管理とは?原価管理のメリットや難しい理由も解説!

【まとめ】建設業では赤字受注することもある!限界利益から受注の判断をしよう!

建設業で赤字受注をする理由を解説してきました。会社を経営していくためには限界利益を理解する必要があります。変動費、固定費といった費用を考えながら、利益を確保しなければなりません。限界利益が赤字になると倒産につながる恐れがあるため注意してください。また、赤字受注をしないような経営をすることも重要なポイントです。ぜひこの記事を参考にしてください。

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