工事履行報告書とは?作成目的や書き方・提出するタイミングを解説

工事は小規模なもの1つでも、膨大な書類を作成・提出しなくてはなりません。そんな書類の1つが、「工事履行報告書」です。

工事履行報告書は、発注者が施工の進捗や状況を把握するために必要な書類で、書き方や提出タイミングが定められています。修正などの手間を最小限にし、スムーズに手続きを終えるには、書類の目的や書き方などをおさえなくてはなりません。

本記事は、工事履行報告書の作成と提出において必要な知識をまとめました。スムーズな書類作成・提出を目指す方、工事関連事務に役立つ知識が欲しい方は、ぜひご覧ください。

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工事履行報告書とは

まず、工事履行報告書とはどのような書類なのか、書類の概要をはじめとした基本的な内容を解説します。

工事履行報告書の概要

工事履行報告書は工事関係書類の1つです。発注者は常に依頼した施工を見守れるわけではありません。この書類は、効率的に作業進捗や契約が正しく履行されているかを確認するために用いられます。

そのため、書類には以下の内容が記載されています。

  • 工事履行状況
  • 施工方法
  • 工程管理状況

受注者は発注者がこれらの情報を把握し、必要に応じて指示を出せるように書類を作成・提出しなくてはなりません。書類作成だけでなく、提出に関する知識も身につけておきましょう。

工事履行報告書の作成目的

工事履行報告書の役割は、契約内容の把握だけではありません。中間前金払の資料としても活用します。

受注者は請負金額の2割までを、工事半ばで前払金の追加として受け取れます。これが、中間前金払制度です。この制度では認定条件がいくつかあり、その条件を達成する必要があります。

  • 対象工事の工期が2分の1以上経過している
  • 上記条件を満たしつつ工程表の2分の1に相当する工事が完了している

など

この時の確認資料としても、工事履行報告書を用います。請求書を作成する際は、根拠となる街灯資料の作成や条件を満たしているかの確認も必ず行いましょう。

土木施工で工程を管理するための3つの書類

土木工事における工事関連書類は、1枚で済ませられるものではありません。施工計画や管理・確認や検査・評価など、その種類は様々です。書類作成業務をスムーズに済ませるには、作成する必要のある書類の種類や様式などを把握・整理する必要があります。

土木施工で工程管理する際、必要となる3枚の書類について解説します。それぞれの内容をおさえておきましょう。

施工計画書

受注者が設計図書に基づいて工事着手前に施工手順や工法などの詳細を記載する書類で発注者へ提出します。作成の際は、契約書および設計図書に指定されたとおりに記載しなくてはならないため、注意しましょう。

なお、この書類に重大な変更が生じる際は、「変更施工計画書」を着手前に提出してから変更・追加・削除などの修正をします。

実施工程表

実施工程表は、文字通り実施工程を記入して施工が順調に進められているかを確認するための表です。受注者が円滑に工事を実施・統制することを目的として作成されます。

工程に赤書きで実施工程を記入することで使用されます。主に記入されるのは、以下3つの工程です。

  • 工程計画
  • 日程計画
  • 使用計画

これらに加えて変更指示や技術検査などの特記事項があれば、適宜記入します。

なお、実施工程表はあくまでも受注者が管理するためのもので、発注者への提出は必要ありません。工事履行報告書への添付も不要です。

工事履行報告書

最初に解説した通り、発注者が工事の進捗状況の確認や、前払金の追加支払いに対応する際、その条件に該当しているかをチェックするために使われる書類です。書類には、以下の項目を記入します。

  • 工事名:担当した工事の名称を記入する
  • 工期:毎月所定日を記入する
  • 日付(月分):書類を作成した年月日と工事の該当月を記入する
  • 月別:施工した月を記入する
  • 予定工程(%):初回報告時に完成までの予定出来高累計をパーセンテージで記入する。予定工程に変更があった場合は当初出来高率の横にかっこで変更後工程出来高を記入する
  • 実施工程(%):実際に達成した出来高をパーセンテージで記入する
  • 備考:必要に応じて変更理由などを記入する
  • 記載欄:当該月の実施内容を記載する

添付資料は必要ありませんが、発注者から工事履行報告書の内容確認を求められた場合は、実施工程表や出来高内訳などを提示しなくてはなりません。

万が一の事態に備えて、これらの書類はいつでも確認できるようにしておきましょう。

工事履行報告の書き方とポイント

工事履行報告書は定められた様式に基づいて作成・提出しなくてはなりません。次は、書類の書き方とポイントをおさえましょう。

初期計画と最新の計画を比較できるようにする

施工計画に変更が生じた場合は、計画工程と変更計画を比較できるようにしておきましょう。作成の際は左から以下の順序で記入すると、比較しやすくなります。

  1. 当初計画工程
  2. 第1回目の変更計画
  3. 第2回目の変更計画

なお、最初の方でも触れましたが、変更が生じた場合は事前に発注者に承諾を得る必要があります。計画を変更しなくてはならない可能性が出たら、すぐに発注者に確認しておきましょう。

工程に変更が生じた場合は理由を記載する

工事に変更箇所があれば、当然工程も変更しなくてはなりません。工程を見直した際もまた、その旨と理由を書類に記載しましょう。

記入方法は該当月の備考欄に、見直した日にちとその理由を記載するだけです。見直しが発生した際はその日のうちに書き込んでしまいましょう。

常に見直し更新する

工事の見直しが発生する原因の中には、不可抗力による損害の発生もあります。工事履行報告書は、損害発生時の判断材料としても活用される書類です。常に見直し、必要に応じて交信することも忘れないようにしましょう。

特に見直しにおける詳細な部分は、後日記載しようとしても記載内容を間違える可能性があります。なるべく記憶が新鮮なうちに見直し・更新しておきましょう。

工事履行報告書を提出するタイミング

工事履行報告書は、受注者が発注者に提出する書類ですが、そのタイミングは複数あります。必要な時にすぐ提出できるよう、提出タイミングもおさえておきましょう。

工事を始める前

工事履行報告書は、発注者が施工の進捗状況を確認するための書類です。そのため、事前に予定工程などを発注者が把握しておかなくてはなりません。

工事着手前が、最初の提出タイミングです。提出を求められる前の段階で、以下の内容は埋めておきましょう。

  • 工事名
  • 工期
  • 日付
  • 予定工程

なお、提出の際は間違いがないか内容を確認してから渡すようにしてください。

毎月5日

工事履行報告書は月別の実施工程を毎月確認する必要があります。毎月5日までに前月分の工事履行報告書を提出しましょう。

提出先や部数はあらかじめ決められています。指定された内容を守って提出しましょう。

中間前払金の請求書の提出時

中間前払金を請求する際にも活用します。なお、これは条件を満たしていなければ書類を提出しても認めてもらえません。提出前に進捗の条件を満たしているかを必ず確認しましょう。

認定請求書を作成・提出する際は、工事履行報告書も欠かさず提出してください。

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【まとめ】工事履行報告書は土木工事の重要書類!書き方をよく把握して正確に作成しよう

工事履行報告書は度工事の進捗や状況を把握するための重要な書類です。ただ作成すればいいものではなく、変更などが起きた時はその際の手続きに沿ってしかるべき内容を記入しなくてはなりません。

作成の際は漏れや間違いを作らないよう、ポイントを意識しながら取り組みましょう。また、決められた提出タイミングに従って処理できるようにしておくことも大切です。書類作成と提出に関わる内容は、発注者に必ず確認しておきましょう。