電気工事の見積書の作成方法や記載する項目・書き方などを解説!

工事内容や現場状況などによって、電気工事にかかる費用は異なります。費用の変動を念頭に置いて電気工事の見積書を作成しなければなりません。正確な見積書を作成しないと、想定どおりの利益が得られない可能性があります。

歩掛や積算の方法を知らないと、適切な見積書を作成することは難しいでしょう。本記事では、電気工事の見積書の作成方法、記載する項目とその書き方、作成時の注意点などを解説します。電気工事の見積書の作成に困っている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。

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電気工事で見積書を作成する理由

電気工事に詳しくない顧客の場合、かかる費用を明確にするために見積を求められることがあります。費用が詳細に記載された見積書を提出することで、安心して発注してもらえるでしょう。

費用相場だけでなく工事の内容にも詳しくない顧客の場合、見積書に工事内容の詳細も記載されていれば、十分に納得して発注してもらえるでしょう。また、工事内容を明確に記載した見積書を発行してから施工を始めることで、無用なトラブルを回避できます。

電気工事の見積書の作成方法

以下の流れで電気工事の見積書を作成しましょう。

  • 過去データの類似案件を参照する
  • 図面などで工事の概要を把握する
  • 材料費を算出する
  • 施工費を算出する
  • 経費を算出する

それぞれの項目を解説します。

過去データの類似案件を参照する

見積書を作成する際、過去データに類似案件があれば参照しましょう。類似案件があれば、一から見積書を検討する手間を省けます。項目の記入漏れも防げるでしょう。過去データの中から探す際は、建築物の規模や用途などを基にして探しましょう。

人件費や材料費などの変動を考慮しながら新しい見積書に落とし込むことが大切です。類似案件が見つからなかったときは、国土交通省が発表している「公共建築工事標準単価積算基準」や、市販されている積算マニュアルなどを参照してください。

図面などで工事の概要を把握する

見積書を作成する前に、図面や仕様書などを見て工事の概要を十分に把握しましょう。必要な材料、物品、それらの納期だけでなく、実施しなければならない法対応や届出なども確認してください。最新の法律や条例を参照するように注意しましょう。

十分に把握できていないと、施工が始まってから不足している物品や法対応に気付き、想定通りの利益が得られなかったり納期を守れなかったりするかもしれません。見積の段階で十分に工事内容を精査しておくことが大切です。

材料費を算出する

材料費を算出するために、材料の種類、規格、数量などを漏れのないように計測しましょう。設計図や施工図などを参照して材料を拾い出します。材料の拾い出しにミスがあると、赤字が発生するかもしれません。

大規模な工事ほど手間がかかりますが、丁寧に拾い出し作業を進めましょう。必要な材料の計測が完了したら、材料ごとに単価を掛け合わせて見積書に記載します。見積書には、材料のロスも考慮して数量や単価を記入しましょう。

施工費を算出する

施工費は、材料費を含まない、工事にかかる費用を指します。現場作業員の労務費、機械や設備などの損料といった費用が施工費に該当します。現場作業員の労務費は以下の計算式で算出しましょう。

「所要人数(所定の作業量×該当作業の歩掛)」×「労務単価(基本日額+割増賃金)」

工法や現場状況によって難易度や手間が異なるため、作業量に歩掛をかけて所要人数を算出します。歩掛の値は、国土交通省が調査し発表している「公共工事設計労務単価」を参考にしてください。

経費を算出する

経費を算出して見積書に記載します。経費には以下が含まれます。

  • 共通仮設費:仮設事務所・宿舎、足場・安全柵、仮囲いといった仮設物の設置・撤去費用
  • 現場管理費:工事保険や火災保険といった保険料、法定福利費、工事現場の食事費など、工事現場に必要な費用
  • 一般管理費:本社や営業所の賃料、光熱費、通信費、消耗品費など、工事現場に直接関連しないが必要な費用

経費の目安は、工事に直接関わる費用の5~10%だといわれています。

電気工事の見積書の構成

見積書は、表紙、見積内訳書、見積条件書の3点で構成されることが一般的です。見積条件書は、設計や仕様といった条件が記載された、見積依頼者が作成する書類です。見積を依頼された業者は、見積条件書を基に見積内訳書を作成します。

管理を容易にするために、見積書のフォーマットを統一することが大切です。国土交通省が例示している「公共建築工事見積標準書式」には、様々な電気設備工事に対応したフォーマットがあります。見積書の構成に迷ったときに参照してください。

電気工事の見積書に記載する項目・書き方

電気工事の見積書に記載する項目は以下のとおりです。

  • 宛名・差出人の情報
  • 発行日・有効期限
  • 通し番号
  • 見積りの内訳
  • 見積りの合計金額
  • 法定福利費
  • 備考欄

それぞれの書き方を解説します。

宛名・差出人の情報

宛名に依頼企業の所在地、会社名を記載することが一般的です。企業の担当者名の記載を求められるケースもあります。差出人に自社の所在地、会社名、電話番号、メールアドレスを記載します。依頼企業の担当者名を記載した場合は、自社の担当者名も記載して、内容を揃えましょう。

また、必須ではありませんが、会社印を押印することで見積書の信頼度が高まります。会社印を押印する場合は、会社名の右横に押印しましょう。PDFで見積書を発行する場合は、電子印鑑を活用してください。

発行日・有効期限

見積書の発行日と有効期限も明記してください。発行日と有効期限のどちらも、年月日を記載することが一般的です。社会情勢の変動によって原価や納期が変わる恐れがあるため、適切に有効期限を設けることが重要です。

有効期限の記載には、依頼者に速やかな意思決定を促す効果もあります。また、発行日の記載を怠ると、有効期限をめぐってトラブルが起きるかもしれません。トラブルを避けるためにも、正確に日付を記入してください。

通し番号

記載を忘れがちな項目が、通し番号です。日頃から多くの見積書を発行している企業は、見積書の整理に苦労しがちです。作成した個人は覚えていても、担当者が変わった際にどの見積書が最新なのかがわからなくなるケースが多くあります。

誰もが整理しやすいように、重複がないよう適切に通し番号を振って管理することが大切です。通し番号のルールを作って周知してから、見積書に通し番号を記入しましょう。多くの見積書管理ソフトは、自動で通し番号を振ってくれます。

見積りの内訳

見積りの内訳には、各項目名、単価、個数、小計を正確に記載します。項目は、依頼者に伝わるような名称で記載しましょう。単価を記載できない物品やサービスは、単価を記載しなくても構いません。

細かく項目ごとに記載することが難しい物品やサービスは、「〇〇一式」と記載することが一般的です。小計は、項目ごとに単価×個数で算出した金額です。小計には消費税を含まないので注意しましょう。消費税が必要であれば、後述する合計金額欄に記載してください。

見積りの合計金額

小計を合計した金額を、合計金額として記載します。消費税の記載は義務ではありませんが、依頼者が混乱しないように記載したほうが好ましいケースもあります。消費税を記載する場合は、8%と10%の消費税率ごとに分けて消費税額を明記しましょう。

小計を合計した金額に、算出した消費税を足し合わせて、合計金額に記載ください。消費税を記載しない場合は、トラブルを避けるために税抜金額であることを明記しましょう。

法定福利費

法定福利費も見積書に記載しなければならない大切な項目です。法定福利費は、従業員を雇用している事業者が負担するよう義務付けられている福利厚生費を指します。

以下の6つが法定福利費に該当します。

  • 健康保険
  • 厚生年金保険
  • 介護保険
  • 雇用保険
  • 労災保険
  • 子ども・子育て拠出金

上記各種保険への未加入問題を解消するために、2013年より、下請業者が元請業者に提出する見積書には法定福利費を記載するよう義務付けられました。忘れずに法定福利費を見積書に記載しましょう。

備考欄

内容や条件に補足説明が必要な場合は、備考欄を設けて記入してください。振込手数料の負担先や納期を記載することが一般的です。

以下の例のように記載しましょう。

  • 「この商品の保証期間は購入日から1年間です。」
  • 「ご請求金額には定期点検サービスが含まれます。」
  • 「お振込手数料のご負担をお願い致します。」
  • 「お振り込みの際には依頼人名と請求書番号の記載をお願い致します。」
  • 「ご不明点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。」

電気工事の見積書を作成する際の注意点

電気工事の見積書を作成する際に以下の点に注意しましょう。

  • 歩掛や積算の重要性を理解する
  • 内訳は詳細に記載する
  • 価格設定は適切に行う

それぞれの内容を解説します。

歩掛や積算の重要性を理解する

適切に電気工事の見積書を作成するために、歩掛や積算の重要性を理解しましょう。歩掛や積算を適切に活用して見積もりを作成しないと、利益が少ない状態で受注されたり、高すぎて受注されなかったりするかもしれません。

また、歩掛や積算基準の根拠を正確に説明できれば、顧客からの信用を得られるでしょう。国土交通省が発表している「公共工事設計労務単価」や「公共工事設計労務単価」の最新版を常に確認して見積書を作成しましょう。

内訳は詳細に記載する

内訳は詳細に記載することが大切です。たとえば、顧客がカタログで調べられるように材料の名称、規格、品番などが記載されていることが理想です。内容が省略されて「〇〇一式」とばかり記載された見積書は怪しいと思われ、受注されないかもしれません。

各項目の内容を詳しく記載することで、顧客の信用を得られます。また、内訳が明確に記載されていれば、極端な値引き交渉をされても断れるでしょう。可能な限り詳細に記載するよう気を付けましょう。

価格設定は適切に行う

見積書を作成する際に、価格を適切に設定するよう注意しましょう。見積が高すぎる場合だけでなく安すぎる場合にも顧客に怪しまれるでしょう。適切な価格設定をすることで顧客の信用を獲得して受注できます。

各項目の費用の根拠を顧客に問われたときに、回答できるよう準備することが大切です。国土交通省が発表している「公共工事設計労務単価」や「公共工事設計労務単価」などを参考にして価格を設定し、根拠を説明できるようにしましょう。

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【まとめ】電気工事の見積書はわかりやすく適正な価格で作成しよう!

電気工事の見積書の作成方法、記載する項目とその書き方、作成時の注意点などを解説しました。電気工事の見積書を作成する際には、材料費、施工費、経費それぞれの算出方法を十分に把握することが大切です。

項目ごとの費用だけでなく、見積書の有効期限や法定福利費も忘れずに記載しましょう。内訳を詳細に記載し、適切に価格を設定することで、顧客の信頼を得られ、発注してもらえるでしょう。電気工事の見積書を作成する際は、ぜひ本記事を参考にしてください。