工務店を開業する方法とは?必要な許可や資金・集客方法などを解説

工務店 開業

大工の仕事を長年続けてきて、いよいよ独立して工務店を開業したいとお考えの方も多いのではないでしょうか。一方で、開業に必要な許可や資金、開業後の集客方法など、わからないことも多いかもしれません。この記事では、工務店の開業方法や必要な許可・資格、開業資金の目安、集客方法などについて詳しく解説します。

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工務店を開業する方法

工務店の開業方法には、個人事業主として独立する方法、フランチャイズで開業する方法、法人を設立して開業する方法の3つがあります。それぞれのメリットとデメリットを理解し、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

個人事業主として独立する

個人事業主として工務店を開業する方法は、比較的簡単に始められるのがメリットです。税務署への開業届の提出など、必要な手続きを行うだけで開業できます。ただし、個人事業主の場合、経営者の個人資産と事業資産が分離されていないため、事業に失敗した場合のリスクが高くなります。

フランチャイズで開業する

大手ハウスメーカーなどが展開するフランチャイズに加盟し、本部のブランド力や営業ノウハウ、商品ラインナップなどを活用しながら工務店を経営する方法です。

営業力に不安がある場合でも、フランチャイズ本部のサポートを受けられるため、集客や経営のリスクを抑えられます。一方で、ロイヤリティの支払いが必要となる上、契約解除や事業終了の際の条件などにも留意しなければいけません。

法人を設立して開業する

法人を設立して工務店を開業する方法には、株式会社と合同会社の2つがあります。法人化することで個人事業主に比べて信用度が高まり、大手企業との取引もしやすくなります。また、節税効果も期待できます。

株式会社

株式会社とは、株式を発行して資金を調達し、株主から経営を任された取締役が会社を運営する形態です。信用度が高く、金融機関からの融資も受けやすいのがメリットです。一方で、設立や運営にかかる費用が高く、手続きも煩雑になります。

合同会社

合同会社とは、株式会社に比べて設立や運営にかかる費用が安く、手続きも簡単であるのがメリットです。一方で、信用度は株式会社に比べて低くなります。また、出資者全員が経営に携わるため、意思決定の迅速さには優れていますが、出資者間の意見対立などのリスクもあります。

工務店の開業に必要な建設業許可

工務店を開業するには、建設業許可を取得する必要があります。建設業許可には、一般建設業許可と特定建設業許可の2種類があり、請け負う工事の金額や内容によって必要な許可が異なります。

開業するときは一般建設業許可を取得しておく

工務店を開業する際は、まずは一般建設業許可を取得しておくことをおすすめします。一般建設業許可があれば、500万円未満の工事を元請けとして請け負えます。ただし、許可を取得するには、いくつかの要件を満たさなければいけません。

経営業務管理責任者

経営業務管理責任者とは、建設業の経営に関する業務を総合的に管理する責任者です。一般建設業許可を取得するには、経営業務管理責任者を置く必要があります。

また、経営業務管理責任者になるには、建設業の経営業務の管理責任者としての経験が5年以上必要です。

専任技術者

専任技術者とは、建設工事の施工計画の作成や工事の技術上の管理などを行う技術者です。一般建設業許可を取得するには、専任技術者を置く必要があります。専任技術者になるには、一定の学歴や実務経験、資格が必要です。

500万円以上の自己資本金

一般建設業許可を取得するには、500万円以上の自己資本金が必要です。自己資本金とは、会社の純資産のことで、資本金や利益剰余金などが含まれます。500万円以上の自己資本金があることの証明が求められます。

欠格要件の非該当

一般建設業許可を取得するには、欠格要件に該当していないことが必要です。欠格要件には、暴力団関係者であることや建設業法違反により許可を取り消された者であることなどが含まれます。

社会保険への加入

一般建設業許可を取得するには、社会保険に加入していることが必要です。具体的には、雇用保険、健康保険、厚生年金保険、労災保険への加入が義務付けられています。

特定建設業許可は規模を広げるときに取得する

特定建設業許可は、下請代金の合計額が4,000万円以上(建築一式工事の場合は6,000万円以上)の工事を発注者から直接請け負う場合に必要となる許可です。工務店の規模を拡大し、大型工事を請け負うようになった段階で、特定建設業許可の取得を検討するとよいでしょう。

建設業許可の申請は行政書士に依頼するケースが多い

建設業許可の申請は、自分で行うこともできますが、書類作成など手続きが複雑なため、行政書士に依頼するケースが多いです。行政書士に依頼する場合の費用は、10万円程度が相場です。

工務店を開業するときに役立つ資格

工務店を開業する際には、建設業許可以外にも様々な資格を取得しておくと役立ちます。

建築士は、建築物の設計や工事監理を行う専門家です。1級建築士、2級建築士、木造建築士の3種類があり、それぞれ扱える建築物の規模が異なります。建築士の資格を取得しておくと、自社で設計から施工までを一貫して請け負うことができます。

施工管理技士は、建設工事の施工計画や工程管理、品質管理などを行う専門家です。1級施工管理技士と2級施工管理技士の2種類があり、資格を取得しておくと、公共工事の入札参加資格審査で加点されるなどのメリットがあります。

このほか、建設業経理士や建設業経営管理士など、経営に関する資格を取得しておくことも有効です。

工務店を開業するときに必要な機材

工務店を開業するには、様々な機材が必要です。

事務所や倉庫は、仕事を進めるうえで欠かせません。事務所は打ち合わせや書類作成などに使用し、倉庫は工具や資材の保管に使用します。工事現場では、測量機器やコンクリート強度測定器など、各種の測定機器が必要です。また、工事の種類に応じて、専用の工具や機械も必要になります。

建築士など、専門的な資格を取得している場合は、設計や積算に必要なソフトウェアを揃えることも重要です。さらに、工事現場への移動手段として、トラックを購入またはリースで確保し、工具や資材を運搬できるようにしておきましょう。

工務店を開業するときに必要な資金

工務店を開業するには、多額の資金が必要になります。必要な資金の目安と、資金調達の方法について解説します。

開業するときに必要な資金の目安

一般建設業許可を取得して工務店を開業する場合、1,000万円以上の資金が必要だと言われています。その内訳は、下表のとおりです。

事務所や倉庫の敷金・礼金100万円程度
事務所の改装費用200万円程度
車両の購入費200万円程度
機材の購入費50万円程度
建設業許可申請の費用20万円程度
運転資金500万円程度

ただし、この金額はあくまでも目安となります。この他に、人件費や光熱費、通信費といった開業後の運転資金も必要です。余裕を持って資金を用意しましょう。

開業するときの融資

工務店を開業する際、自己資金だけでは足りない場合は、金融機関からの融資を検討することになります。日本政策金融公庫の新創業融資制度では、最大3,000万円まで借り入れ可能です。審査では事業計画の実現可能性などが重視されます。

開業するときに使える補助金

工務店の開業資金として活用できる補助金としては、小規模事業者持続化補助金があります。この補助金では、販路開拓に取り組む小規模事業者に対し、50万円〜150万円の補助金が支給されます。この他にも自治体によっては、創業支援の補助金を設けているところもありますので、確認してみましょう。

工務店を開業した後の集客方法

工務店を開業したら、いかに顧客を獲得するかが重要になります。集客方法には、Web施策、紙媒体での広告、設計段階からの関与など、様々なアプローチがあります。それぞれの特徴を理解し、自社に合った方法を選択することが重要です。効果的な集客を行うことで、安定した経営を目指しましょう。

口コミや紹介の拡散

工務店での集客は口コミや知人からの紹介も非常に大きな効果があります。なぜなら、人生で最も大きな買い物である住宅購入において、顧客は慎重にならざるを得ず、ネット上の情報だけでなく、よりリアルで質の高い情報の影響力が大きいからです。そこでおすすめなのが、知人から積極的に口コミや紹介を拡散してもらうシステムづくりです。

例えばアンバサダークラウドを導入すると、オーナー様との接点づくりが自動化でき、さらにSNSを使った紹介キャンペーンなども自動的に実施できるようになります。過去にはこのツールの導入で、紹介来場者数が前年比の3倍になったという実績もあります。

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WebやSNSを活用する

インターネットが普及した現在、WebやSNSを活用した集客は欠かせません。自社のWebサイトを開設し、施工事例や会社情報を掲載することで、信頼性を高めることにつながります。

SNSを活用してフォロワーを増やし、日々の活動内容を発信していくことも有効です。Webならではの広がりと双方向性を活かし、潜在顧客との接点を増やしていきましょう。

ホームページを作成する

自社のホームページを作成することは、Web集客の基本です。ホームページには、会社概要や施工事例、お客様の声などを掲載し、会社の強みをアピールします。

ホームページは、定期的に更新することが重要です。新しい情報を発信し続けることで、顧客に有益な情報を提供し、アクセス数の増加につなげましょう。

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SEO対策を行う

SEO対策とは、Googleなどの検索エンジンで上位表示されるように、ホームページを最適化することです。

社名や施工エリアなどのキーワードを意識して、コンテンツを充実させることが重要です。また、定期的にホームページを更新し、新鮮な情報を発信し続けることもSEO対策には欠かせません。

MEO対策を行う

MEO対策とは、Googleマイビジネスに登録し、Googleマップ上での表示順位を上げる施策です。

Googleマイビジネスに登録することで、住所や電話番号、営業時間などの情報を登録でき、集客につなげられます。口コミの獲得にも力を入れ、地域での存在感を高めていきましょう。

ポータルサイトを活用する

工務店に特化したポータルサイトに登録することで、見込み客を獲得することができます。代表的なポータルサイトとしては、「ホームプロ」や「チームネット」などがあります。ポータルサイトでは、自社の強みを明確にアピールし、問い合わせ数の増加を目指しましょう。

SNSを運用する

SNSを活用することで、見込み客とのコミュニケーションを図ることができます。施工事例や日々の現場の様子などを投稿し、フォロワーを増やしていきましょう。

代表的なSNSとしては、Instagram、Facebook、Twitterなどがあります。地域密着型のビジネスである工務店にとって、SNSは重要な集客ツールと言えるでしょう。

Web広告を活用する

Web広告を活用することで、見込み客にアプローチできます。代表的なWeb広告としては、Google広告やYahoo!広告などがあります。

広告の配信先や予算を調整することで、効果的な広告運用が可能です。自社のターゲット層に合わせた広告を配信し、問い合わせ数の増加を目指しましょう。

紙媒体で広告を打つ

インターネットが普及した現在でも、紙媒体の広告は根強い人気があります。チラシやポスティング、折り込み広告などを活用し、地域に根差した営業を展開することが重要です。地域密着型のビジネスである工務店にとって、紙媒体での広告は欠かせない集客方法と言えるでしょう。

工事を設計段階から請け負う

工務店の仕事を、施工だけでなく設計段階から請け負うことで、利益率を高められます。設計段階から関われば、顧客のニーズを的確に把握し、適切な提案を行うことも可能です。設計と施工を一貫して行うことで、コストダウンにもつながります。

地域に根ざした人脈を築く

地域の工務店や不動産業者、金融機関などとの人脈を築くことが重要です。地域のイベントに参加したり、ボランティア活動に取り組んだりすることで、地域とのつながりを深めましょう。また、地域の住民との信頼関係を築くことで、口コミによる集客も期待できます。

営業代行サービスを利用する

営業代行サービスは、建設業界のニーズや動向を把握しているプロが代わりに営業活動をするので、効果的に集客できます。営業担当者がいない、または少ない会社であれば特に、営業代行サービスを利用することで現場作業に集中できます。

営業代行の場合、営業人材を正社員として採用・雇用するよりもコストを抑えられるだけでなく、効率良く自社の希望にあった案件が受注できるため、費用対効果も高い方法となります。 営業代行サービスを利用するときは、自社が抱える課題や悩みを十分に伝えて、自社に適した営業方法を提案してもらいましょう。

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【まとめ】工務店は自分に合う方法で開業しよう!集客を意識することも大切

工務店の開業には、個人事業主、フランチャイズ、法人設立など、様々な方法があります。それぞれにメリットとデメリットがあるため、自分に合った方法を選ぶことが重要です。

開業には一般建設業許可の取得が必要である上、経営業務管理責任者や専任技術者の設置、500万円以上の自己資本金の確保などの要件を満たす必要があります。開業後は、いかに集客するかが鍵です。WebやSNSを活用したり、紙媒体で広告を打ったりするなど、複数の集客方法を組み合わせた施策を行いましょう。地域に根ざした人脈を築くことも大切です。

工務店の開業は、大変な努力が必要ですが、やりがいのある仕事です。自分に合った方法で開業し、お客様に喜ばれる仕事をしていきましょう。

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