業務改善助成金とは?対象要件や申請手順などをわかりやすく解説

業務改善 助成金

  • 業務改善助成金って聞いたことはあるけれど、実際どんなものなんだろう
  • 自社でも助成金を受給できるだろうか
  • 助成金の申請はどのような手順で行うのだろう

などと疑問に思ったことがある方もいるのではないでしょうか。そこで今回の記事では、業務改善助成金の概要や対象要件、申請手順などについてわかりやすく解説していきます。

業務改善助成金とは

業務改善助成金とは、中小企業や小規模事業者の生産性アップを支援し、従業員の給料を上げることを図った助成制度のことです。業務改善助成金では、生産性アップのために機械設備やコンサルティング導入などの設備投資を行い、事業場内の最低賃金を引き上げた中小企業や小規模事業者に対して、かかった費用の一部を助成します。

業務改善助成金の対象要件

ここでは、以下のような業務改善助成金の対象要件について解説していきます。

  • 対象者
  • 支給要件
  • 特例事業者の要件
  • 生産性要件とは

対象者

業務改善助成金の対象者となるのは、以下のような条件を満たす事業所です。

  • 中小企業、小規模事業者である
  • 「事業場内最低賃金」と「地域別最低賃金」の差額が50円以内である
  • 従業員に会社をやめさせたり、賃金を引き下げたりしたことがない

これらの要件を満たしていれば、過去に助成金を受給したことがある事業所も対象者となります。

支給要件

業務改善助成金の支給要件は、以下の通りです。

  • 賃金引上計画を策定して従業員の給料を一定額以上上げること
  • 賃金引き上げ後、きちんとその額を支払うこと
  • 生産性アップに繋がる機器や設備、コンサルティングなどの導入によって業務改善を行い、その分の費用を支払うこと
  • 従業員をクビにしたり、給料を引き下げたりしていないこと

特例事業者の要件

業務改善助成金には、特例事業者として認定される要件があります。特例事業者の対象となるのは、以下のような要件に当てはまる事業者です。

区分 要件
賃金要件 事業場内の最低賃金が950円未満である。
生産量要件 売上高や生産量などの直近3か月間の月平均値が、1〜3年前の同時期に比べて15%以上減っている。
物価高騰等要件 社会的、経済的環境の変化が原因で、申請前の3か月間のうち、任意の1か月間の利益率が前の年の同じ月よりも3%ポイント以上低くなっている。

生産性要件とは

生産性要件は、以下の通りです。

  • 助成金申請時に、一番近い会計年度における生産性が3年前よりも6%以上伸びている。または、その3年度前よりも1%以上6%未満伸びていること。
  • 「生産性要件」の対象になった期間内に、事業主の都合による従業員の解雇を行っていないこと。

「生産性」は以下の計算式によって算出します。

生産性=営業利益+人件費+減価償却費+動産・不動産賃借料+租税公課/雇用保険被保険者数

業務改善助成金の対象経費

業務改善助成金の対象となる経費は、生産性アップや仕事の効率を高めることに役立つ設備投資などです。例えば、「POSレジシステムを導入することによって在庫管理の短縮を行う」、「専門家に業務フローを見直してもらうことによって顧客回転率をアップさせる」、「リフト付き特殊車両を導入することによって送迎時間を短縮する」などのことが対象経費となります。

業務改善助成金の助成金額

助成金額の上限は、どれくらい最低賃金額を上げるのかと、どれくらい労働者の人数を増やすのかによって異なります。

コース区分 事業場内最低賃金の引き上げ額 引き上げる労働者数 助成上限額
事業場規模30人以上の事業者 事業場規模30人未満の事業者
30円コース 30円以上 1人 30万円 60万円
2~3人 50万円 90万円
4~6人 70万円 100万円
7人以上 100万円 120万円
10人以上 120万円 130万円
45円コース 45円以上 1人 45万円 80万円
2~3人 70万円 110万円
4~6人 100万円 140万円
7人以上 150万円 160万円
10人以上 180万円 180万円
60円コース 60円以上 1人 60万円 110万円
2~3人 90万円 160万円
4~6人 150万円 190万円
7人以上 230万円 230万円
10人以上 300万円 300万円
90円コース 90円以上 1人 90万円 170万円
2~3人 150万円 240万円
4~6人 270万円 290万円
7人以上 450万円 450万円
10人以上 600万円 600万円

出典:厚生労働省「業務改善助成金」

助成率

助成率は、申請する事業場の引き上げ前の事業場内最低賃金によって異なります。助成率は、以下の通りです。

900円未満 900円以上950円未満 950円以上
9/10 4/5(9/10) 3/4(4/5)

申請事業場の事業場内最低賃金額が900円未満または900円以上950円未満の場合は、助成率が3/4より高いです。また、先ほど解説した「生産性要件」に該当する場合は()書きの助成率になります。

業務改善助成金の拡充ポイント

令和5年8月31日に業務改善助成金が拡充され、業務改善助成金が以前よりも利用しやすくなりました。助成金の拡充ポイントは以下の3つです。

  1. 対象事業所が拡大された
    以前は事業場内最低賃金と地域別最低賃金の差が30円以内の事業所が業務改善助成金の対象でしたが、差額が50円以内の事業所も対象に含まれるようになりました。
  2. 賃金引き上げ後に申請できるようになった
    事業場規模が50人未満の事業者は賃金引き上げ後の申請が可能になりました。
  3. 助成率区分が見直された
    助成率区分が30円引き上げられました。

業務改善助成金のスケジュール

2023年の業務改善助成金の申請期限は2024年1月31日です。業務改善助成金の事業完了期限は交付決定の属する年度の2月28日なので、納品・支払完了・賃金引き上げの全てを2月28日までに行わなければなりません。例えば、令和5年度に交付決定があった際には、2024年(令和6年2月28日)が事業完了期限となります。

業務改善助成金の申請手順

業務改善助成金の申請は、以下の手順で進めていきます。

  1. 交付申請書を提出する
  2. 審査の結果により事業を実施する
  3. 事業の実績を報告する
  4. 助成金支援支給申請書を提出する
  5. 助成金を受け取る

1.交付申請書を提出する

最初に、交付申請書を作って労働局に提出します。交付申請書に記載するのは、「業務改善計画」と「賃金引上げ計画」です。交付申込みのときには、登記簿謄本、直近2年の消費税・地方消費税・法人税の証明書、直近2年の労働保険料申告書と納付書の写し、売上高や利益率が減ったことや過去一定期間に賃上げをしたことを証明する書類を添付する必要があります。

2.審査の結果により事業を実施する

交付申請書を提出した後、労働局の賃金課室によって審査が行われます。審査期間は1〜2か月ほどです。この審査によって申請内容が適正とされると、業務改善助成金の交付決定通知が届きます。交付決定通知が届いたら、事業実施計画通りに設備投資や事業場内最低賃金の引き上げを実施しましょう。事業計画の変更や中止、遅れる見込みが発生した場合には、別途書類の提出が必要になります。

3.事業の実績を報告する

事業を実施した後には、事業実績報告書と支給申請書を作成して労働局に提出します。事業実績報告書とは、業務改善計画の実施結果と賃金の引上げ状況を記載した報告書のことで、支給申請書とは、助成金の支払いのための申請書のことです。事業実績報告書と支給申請書の提出期限は、事業が完了した日から数えて、1か月が経つ日または翌年度4月10日の早い方です。

4.助成金支給申請書を提出する

事業実績報告書を提出して内容が適正とされると助成金額が決定し、事業主に通知されます。通知を受け取った後には、助成金支給申請書を提出しましょう。事業実績報告書の審査は労働局の賃金課室によって行われます。この審査にかかる期間は約1か月ほどです。また、助成金支給申請書の書式は通常・特例のどちらのコースも様式第13号を使います。

5.助成金を受け取る

助成金支給申請書の提出後、助成金支給請求書に基づいて助成金が振り込まれます。助成金を受け取ったら、翌年度の4月30日までに解雇された人はいないか、賃金は引き下げられていないかを賃金状況報告書に記載して提出する必要があります。報告をしなかった場合や、うその報告をした場合は、交付決定が取り消しになったり、支給された助成金を返さないといけなくなったりすることがあるので注意が必要です。

業務改善助成金の注意点

業務改善助成金の注意点は以下の3つです。

  • 申請期限より前に募集が終了する場合がある
  • 交付の決定前の設備投資は女性の対象外となる
  • 地域別最低賃金の発行日前日までに賃金引き上げを行う

申請期限より前に募集が終了する場合がある

業務改善助成金制度による助成は予算の範囲内で行われるので、申請期限を待たずに募集が終わってしまう場合があります。前述の通り、令和5年分の申請期限は令和6年1月31日、事業完了期限は令和6年2月28日です。なお、事業完了日は「導入機器等の納品日」「導入機器等の支払完了日」「賃金引上げ日」のうち最も遅い日です。

交付の決定前の設備投資は助成の対象外となる

交付決定前の設備投資は助成の対象外となります。助成を受けるためには、あらかじめ「事業実施計画」を提出して申請し、交付決定の通知を受け取る必要があります。設備投資の実施は、必ず交付決定の通知を受けた後に行うようにしましょう。手続きを進める前に、最新の制度内容や要件をしっかり確認しておくことも大切です。

地域別最低賃金の発行日前日までに賃金引き上げを行う

事業場内最低賃金の引き上げを地域別最低賃金の改定に合わせて行う場合は、地域別最低賃金の発効日前日までに実施しなければなりません。例えば、地域別最低賃金の発効日が10月1日の場合には、9月30日までに事業場内最低賃金の引き上げを行わなければならないことになります。事業場内最低賃金の引き上げを地域別最低賃金の発効日当日に実施した場合は助成の対象にならないので、注意が必要です。

手間をかけずに助成金申請するなら

「業務改善助成金」などの助成金の申請を行う場合は一度社労士に相談すると良いでしょう。社労士に相談するメリットは以下です。

  • 条件クリアするための助言がもらえる
  • 自社に適したそのほかの助成金を教えてもらえる
  • 書類作成から申請などの業務を丸ごと依頼できる

手間をかけずに助成金が利用できるようになります。社労士のなかでもおすすめなのは社会保険労務士法人TSCです。1年間無料で利用できるので、「お試しで社労士に依頼したい」という方にもおすすめです。

社会保険労務士法人TSCの詳細はこちらから↓↓↓

\ 今すぐ無料ダウンロード /
資料ダウンロード

【まとめ】業務改善助成金を活用し賃金引上げに取り組もう

この記事では、業務改善助成金の概要や対象要件、申請手順などについて解説してきました。業務改善助成金をうまく活用し、生産性をアップさせつつ、賃金の引き上げに取り組んでいきましょう。ただし、助成金の受給には先ほど解説してきたような対象要件や注意点などがあるので、事前にしっかりと確認しておくようにしましょう。

【2024年】建設業でおすすめの助成金・補助金一覧と申請時のポイントについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

建設業 補助金【2024年】建設業でおすすめの助成金・補助金一覧!申請時のポイントについても徹底解説!

※弊社の営業代行サービスであるツクノビセールスでは、
【効果が出なければ全額返金プラン】を新たにスタートさせました!

詳しくは👆👆👆のバナーをクリック!!