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マンションの大規模修繕工事には様々な発注方式があります。今までは設計監理方式が透明度の高さから一般的でしたが、近年注目を集めているのがプロポーザル方式です。今回はプロポーザル方式での工事の進め方や、採用するメリット・デメリットについて説明します。
大規模修繕工事のプロポーザル方式とは
大規模修繕工事のプロポーザル方式とは、別名「企画競争入札」とも言います。プロポーザル方式とは、複数の企業の中から「提案者」を選定する方法です。不特定多数の企業に提案内容以外の内容を含めた企画書や提案書(プロポーザル)などの提出を求め、マンション管理組合やオーナーの要望に最も適した提案をした企業と契約します。価格競争力だけでなく、企画力や提案力も評価すべきという風潮から、様々な業界で採用され始めている方式です。
プロポーザル方式と設計管理方式の違い
プロポーザル方式と設計管理方式は大きく異なります。プロポーザル方式が複数の業者から優れた提案を行う企業を1社選定するのに対し、設計管理方式は大規模修繕工事を施工業者とコンサルティング会社の2社に依頼するのが特徴です。2つの違いを以下の3つに分けて説明します。
- コスト面
- 請負契約の方法
- 管理方法
コスト面
設計監理方式は、コンサルティング会社と施工業者2社が関わるため透明性があると思われていますが、2社が談合し施工費を吊り上げるケースも稀に見受けられます。対してプロポーザル方式は、工事費用を含めた工事計画の提案書を見てから施工業者を選定するため、コンサルティング会社と施工会社の癒着を回避できます。
請負契約の方法
設計管理方式は、設計と施工業務のそれぞれを分けて別会社に委託契約する発注方法です。設計と施工を分離することで、必要な工事が把握できる、修繕の専門家の監視によって工事の質や費用が適切に保たれるという効果があります。対してプロポーザル方式は、施工会社を選定する契約と会社に指示・監理・検査を行う契約の2つを、コンサルティング会社と契約します。それぞれの契約を別のコンサルティング会社と契約することも可能です。
管理方法
設計管理方式では、コンサルティング会社が施工会社への指示~検査まで一貫して行います。対してプロポーザル方式では、施工会社を選定や基本計画書を作成する補助業務委託契約と、施工会社に対して指示・監理契約を行う工事監理契約を分けて行います。この場合管理組合は、2つの契約に積極的に関与しなければなりません。
プロポーザル方式の種類
プロポーザル方式は、以下の2つの種類に分けられます。
- 公募型
- 環境配慮型
公募型
公募型のプロポーザルは、広く事業者の参加を募集し、提案書を総合的に審査して業者を選定する方式です。公平性が高いことから、多くの地方自治体で公募型プロポーザル方式が採用されています。民間業者は、地方公共団体が作成した事業の目的や実施場所が掲載された仕様書に基づき応募を行います。
環境配慮型
環境配慮型のプロポーザルとは、温室効果ガス等の排出の削減に配慮した技術提案を求める方式です。民間業者ではほとんど見られず、国や独立行政法人が大規模な工事を発注する際に採用されます。2007年に「国等における温室効果ガス等の排出の削減に配慮した契約の推進に関する法律」が施行されたことから、この方式が生まれました。
大規模修繕工事をプロポーザル方式で進める手順
大規模修繕工事をプロポーザル方式で進める際には、一般的に以下の手順に沿って行います。
- 居住者へのアンケート
- 建物診断
- 施工会社の選考
- 要項書の作成
- プレゼンテーション
- 施工会社内定
- 総会の準備
以下で詳しく説明しましょう。
1.居住者へのアンケート
マンションの居住者に、修繕工事に関するアンケートを行います。
「修繕したい箇所はないか」
「共用スペースで気になる部分はないか」
などを住民に聞くことで、工事への希望をくみ上げていきます。
2.建物診断
建物や設備を点検し、劣化状態や不具合を把握します。診断する項目は図面や修繕履歴、目視検査、物理的な調査など多岐にわたります。この診断をもとに、修繕の計画や資金構想が練られていくのです。建物診断は専任のCM(コンストラクション・マネージャー)が行い、診断結果を組合関係者に説明します。
3.施工会社の選考
建物の状態を把握し、応募条件を定めたら施工会社の公募記事をマンション管理業界の専門誌で行います。
応募条件はこの段階で細かく設定しないのが重要です。条件を緩くすると、様々な規模の施工会社からの応募が期待できます。しかし、区分所有者やマンション管理組合の理事と親しい業者は避けた方が良いでしょう。
書類選考で5社前後に絞った後、提案書提出の過程で3社ほどに絞るというペースが理想です。
4.要項書の作成
要項書とは、設計図書に記載されていない工期や工事範囲、入札方法や支給材料などをまとめた書類です。この要項書をアンケートから得た住民の要望を参考にしながら、修繕委員会、理事会等がまとめていきます。この段階で提案を依頼した会社を実際に現地に呼び、説明や質疑応答も行います。作成する際に、プロポーザル方式の今後の流れについて理解を深めておくとよいでしょう。
5.プレゼンテーション
まず、書類選考で選ばれた会社から提出された提案書一式を、コンストラクション・マネージャーが確認し、比較・精査したうえで修繕委員会や理事会に提出します。それから各社のプレゼンテーションがはじまります。このプレゼンテーションは公開されており、工事担当業者の代理人やマンションの住民も同席できます。
6.施工会社内定
プレゼンテーションの結果や入札金額、業者の施工実績などを総合的に判断したうえで、施工会社を内定します。審査の結果は基本的に書類で企業に送付します。
7.総会の準備
プロポーザル方式は「内定して終わり」ではありません。その後、施工会社はコンストラクション・マネージャーが精査した提案書をもとに現地を調査し、最終提案書を作成・提出します。その最終提案書を承認したら、議案書を準備し総会を開催します。総会で決議されて初めて、請負契約が締結できるのです。
大規模修繕工事でプロポーザル方式を選ぶメリット
大規模修繕工事でプロポーザル方式を選ぶことで、以下のメリットが得られます。
- 納得のいく施工会社選びができる
施工会社の選定は管理組合が主導するため、納得のいく企業に任せられます。 - 設計管理方式より工事価格が安価になる
適正価格で受注できるため、浮いた積み立て修繕金を他の修理に充てられます。 - 工事金額以外にも判断材料がある
価格競争力はないが技術のある中小企業からも様々な提案が受けられるため、選択肢が広がります。 - 不正を防げる
手動は管理組合になるため、管理会社やコンサルティング会社の不正を防げます。
大規模修繕工事でプロポーザル方式を選ぶデメリット
大規模修繕工事でプロポーザル方式を選ぶうえで、以下のデメリットも考慮しなければなりません。
- 判断材料が多いため、企業の選定に時間がかかる
金額だけでなく様々な提案内容をもとに選定するため、修繕委員会や理事会の負担が大きくなります。 - 公平性が保ちづらい
判断するのは建築に関する専門的な知識のない修繕委員会や理事会であるため、正しい技術に対する判断基準を持っていません。そのため、公平に選定できない可能性もあります。
【まとめ】大規模修繕工事のプロポーザル方式は管理組合が主導で施工会社を選べる!
大規模修繕工事のプロポーザル方式は、金額に限らない様々な条件を記載した提案書をもとに管理組合が主導で施工会社を選定する方法です。自分たちが選んだ業者で修理できるため工事への満足感も上がり、住民でマンション修繕に関する知識を共有できる優れた方法です。しかし、管理組合の負担が増えるという一面もあります。メリット・デメリットを考慮したうえで、住民の納得いく発注方式を選びましょう。
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