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修繕積立金とは、修繕工事や建物の診断を行う際に使用される費用のことを言います。今回は、修繕積立金について・修繕積立金の使い道・相場・リスクなどについて解説していきます。
修繕積立金についていまいち理解していない方は、ぜひこの記事を読むことで修繕積立金についての理解が深まるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
修繕積立金とは
修繕積立金とは、マンションなどを購入した際、修繕に備えて毎月積み立てるお金のことです。マンションは、外壁やエレベーター・屋根などの整備を定期的に行う必要があります。マンションを長期的に住むためにも、工事やメンテナンスを行い維持していく必要があるのです。修繕積立金はマンションを維持するためにも、必要不可欠なお金と言えるでしょう。
管理費との違い
上記でも紹介しましたが、修繕積立金はマンションなどを維持していくために必要なお金です。管理費はマンションの共用部分である設備などの維持管理にあてるお金のことを言います。
マンションに住む人たちが、心地よく住めるように共用部分に必要なお金を、マンション購入者が出し合う費用のことです。管理費は修繕積立金と混合しがちですが、主に下記のように覚えておくといいでしょう。
- 修繕積立金・・・計画的な修繕に必要なお金
- 管理費・・・日常的な管理に必要なお金
修繕積立金の使い道
修繕積立金の使い道としては、主に下記のようなものが挙げられます。
- 大規模修繕工事
- 事故や災害時など突発的な修繕工事
- マンションの共用施設の改善や改修工事
下記で詳しく解説していきます。
大規模修繕工事
修繕積立金の使い道の1つ目は、大規模な修繕工事です。マンションでは12年〜15年を1区切りとして、大規模な修繕工事が行われます。細かな工事は日常的に行われる場合が多いですが、年数が経過していくと、建物の至るところに傷が付いたりします。大規模なメンテナンスを行うことによって、快適な生活を維持してくれるのです。
事故や災害時など突発的な修繕工事
修繕積立金の使い道の2つ目は、事故や災害時など突発的な修繕工事が必要な場合です。例えば、台風や地震・津波など自然災害によってマンションに被害が生じる場合もあるでしょう。こういった突発的な修繕工事についても、修繕積立金から工事費用を負担できるのです。
マンションの共用施設の改善や改修工事
修繕積立金の使い道3つ目は、マンションの共用施設の改善や改修工事です。具体的には、駐輪場や駐車場の増設・集合ポストの入れ替えなどが挙げられます
入居者が快適に生活するために工事が必要だと認められた場合は、そういった敷地や共用部分の変更などの工事が可能です。ほかにも、管理組合の運営費なども修繕積立金となります。
修繕積立金の相場
修繕積立金の相場として、国土交通省の「修繕積立金に関するガイドライン」に記載されている内容は、下記の通りです。
階数/建築延床面積 | 平均値 | 事例の3分の2が 包含される幅 | |
15階以上 | 5,000㎡未満 | 218円/㎡・月 | 165円~250円/㎡・月 |
5,000~10,000㎡ | 202円/㎡・月 | 140円〜265円/㎡・月 | |
10,000㎡以上 | 178円/㎡・月 | 135円〜220円/㎡・月 | |
20階以上 | 206円/㎡・月 | 170円〜245円/㎡・月 |
参考:国土交通省
築年数から見た修繕積立金の相場
築年数から見た際の修繕積立金の相場は、下記の通りです。
完成年次 | 築年数換算 | 平均修繕積立金(月額) |
〜平成元年 | 24年以上 | 12,226円 |
〜平成6年 | 19〜23年 | 11,618円 |
〜平成11年 | 14〜18年 | 12,402円 |
〜平成16年 | 9〜13年 | 10,359円 |
参考:国土交通省
上記の表を見て見ると、新しいマンションであれば修繕積立金が安く済むというわけではないのが分かります。
例えば、不動産会社が築浅物件を安く売出す目的として、管理費や修繕積立金を初めは安く設定し、数年後に値段を上げるといった方法をとっている場合もあります。
戸数から見た修繕積立金の相場
マンションの修繕積立金の相場は、さまざまな要素によって異なります。その中の一つに、マンションの戸数があります。戸数が多い場合と少ない場合では、修繕積立金の相場も変わってきます。
戸数から考える修繕積立金の相場として、団地タイプの100戸以上ある物件の場合は、割安になることが多いです。一方、建物の形状が細長いペンシル型の小規模マンションのような、50戸以下の高層マンションの場合は、割高になる傾向があるでしょう。
修繕積立金は新築の方が安い場合もある
新築マンションを購入する際に、注目すべきポイントは修繕積立金の安さです。新築の場合、建物の劣化や痛みが少ないため、修繕工事が発生する頻度や費用が低い傾向にあります。新しい建物は耐久性が高く設備が新しいため、定期的なメンテナンスの必要性が少ないのです。
また、新築マンションは入居者募集が始まった段階から販売されていることが一般的です。つまり、購入者が住む前に積立金が必要となるため、入居者が積立金を全額出すことはまれでしょう。このため、開発業者は新築時の修繕積立金の設定額を低く抑えることがあります。
修繕積立金は毎年同じ金額ではない
マンションの修繕積立金は毎年同じ金額ではありません。その金額は「長期修繕計画」と呼ばれる計画に基づいて決められます。長期修繕計画は通常、数十年ごとに実施される大規模修繕工事を見越して、その費用を適切に積み立てていくために作成されます。
大規模修繕工事の計画が見直されたり、工事の実施が予定よりも早まったりする場合、修繕積立金の金額も変動することがあるでしょう。
また、マンションの管理組合が修繕積立金の不足が判明した場合には、追加での積み立てや一時金の請求が行われることもあります。これは、積立金が不足すると将来の大規模修繕工事に備えることができず、住民の負担が増えてしまうからです。
修繕積立金の金額が変動する理由は様々ですが、長期修繕計画を適切に見直し、必要な処置を行うことで、マンションの共用部分を適切に維持管理することができます。
修繕積立金の値上がり理由
「修繕積立金の値上がりって具体的にどういった理由があるの?」このような疑問を持っている方も多いでしょう。具体的な理由は、下記の通りです。
- 最初の設定金額が低め
- 段階増額積立方式
- 修繕費自体の相場上昇
- 計画外の修繕工事の追加
1つずつ下記で解説します。
最初の設定金額が低め
修繕積立金が値上がりする理由の1つ目として、最初の設定金額が低めである場合だからというケースがあります。最初に安く設定されていると、毎月の支払いの負担が減ると考える場合も多いでしょう。
しかし修繕積立金が少なく、将来工事の金額が足りないと予測すると、値上がりする可能性もあります。毎月の修繕積立金の支払いが少ない物件は注意して確かめるようにしましょう。
段階増額積立方式
修繕積立金が値上がりする理由の2つ目として、段階増額積立方式といったことが考えられます。段階増額積立方式とは、積立金が徐々に値上がりすることです。最近では、多くのマンションでこの方式が採用されています。
物件を購入する際は、支払い説明を受ける場合がほとんどですので、どのような方式がとられているのか、しっかりと確認するようにしましょう。
修繕費自体の相場上昇
修繕積立金が値上がりする理由の3つ目として、修繕費自体の相場が上昇するケースが考えられます。社会情勢や円安の影響などによって、建設コストは変わってくるでしょう。近年では、建設コストは上昇している傾向にあります。
建設コストが上がると、海外などからの物流コストも上がります。また建築現場で働く人が少ないと人件費も高くなるでしょう。そういった人件費や社会情勢などによって、修繕積立金の値上がりが考えられます。
計画外の修繕工事の追加
修繕積立金が値上がりする理由の4つ目として、計画外の修繕工事の追加が考えられます。多くのマンション物件では、30年単位で長期修繕計画が行われています。例えば20年維持できるはずの外壁が、台風の影響などで工事の時期が早くなる場合も考えられるでしょう。
計画していたはずの期間が早まっているため、修繕積立金が値上がりする場合もあります。
修繕積立金を滞納するリスク
「修繕積立金を滞納したらどうなるの?」このような疑問を持っている方も多いでしょう。具体的なリスクは、下記の2つが考えられます。
- 管理組合による催促・訴訟へ発展する場合がある
- マンションが売れにくくなる
下記で1つずつ解説します。
管理組合による督促・訴訟へ発展する場合がある
修繕積立金を滞納するリスクの1つ目として、管理組合による催促や訴訟へ発展する場合があります。管理費や修繕積立金の支払いが滞納されていると、まず初めに管理会社によって管理組合による催促が行われるでしょう。
また、滞納歴が浅い場合でも管理組合は簡易裁判で少額訴訟ができるので、気をつけるようにしてください。
マンションが売れにくくなる
修繕積立金を滞納するリスクの2つ目として、マンションが売れにくくなる場合が考えられます。マンションの売却を将来考えているなら、修繕積立金の滞納が不利になるケースも見られるでしょう。
また、不動産仲介業者は修繕積立金の滞納について買主に説明する必要があるため、売買取り引きが成立しづらくなります。ですので物件を購入した際は、修繕積立金の支払いを滞納しないようにしましょう。
修繕積立金の会計処理
購入したマンションを賃貸に出している場合や事務所としている場合、会計処理に悩むこともあるでしょう。
ここからは、修繕積立金の会計処理について解説します。具体的には、下記の通りです。
- 修繕積立金を経費計上できる場合
- 修繕積立金の勘定科目
- 修繕積立金の消費税
1つずつ解説していきます。
修繕積立金を経費計上できる場合
修繕積立金を経費として計上するためには、以下の条件を満たす必要があります。
- マンションの所有者は、管理組合に対して修繕積立金の支払義務を負っていること。
- 管理組合は、支払を受けた修繕積立金について所有者への返還義務を有していないこと。
- 修繕積立金は将来の修繕等のためにのみ使用され、他へ流用されないこと。
- 修繕積立金の額は、所有者の共有持分に応じて算出されていること。
これらの条件を満たす場合、マンションの修繕積立金は経費として計上することができます。
修繕積立金の勘定科目
マンションを仕事場の事務所として使用する場合の修繕積立金の勘定科目は、「修繕費」になります。修繕積立金は用途を選べない・返還されない・積み立てが強制されていないなどの特徴があります。
またマンションなど物件の修繕に使うお金といったことが分かっているため、修繕費として扱われる場合が多いので、分類する際は気をつけるようにしましょう。
修繕積立金の消費税
マンションを賃貸として貸し出したり、事業用として使用する場合、マンション管理組合の払う修繕積立金は、不課税です。事業用や賃貸用の場合、修繕積立金を使用することは建物の維持管理にかかる費用となります。
このため、修繕積立金を使って行われる修繕費用には消費税がかかることがありますが、修繕積立金自体には消費税が課税されません。
修繕積立金はほぼ返金されない
マンションを売却する際には、修繕積立金の扱いに注意が必要です。修繕積立金は、マンションの大規模な修繕工事や設備の故障に備えるために徴収される資金です。修繕積立金は、月ごとに管理費と一緒に支払われるもので、マンションの維持管理に必要な費用として使われます。賃貸物件でも支払う場合がありますが、マンション売却時には返金されることはありません。
またマンション売却時、現在の所有者が保有している修繕積立金は、引き継がれます。修繕積立金は管理組合の財産となり、売主が引き継いだまま次の所有者に移ります。
ただし、管理組合が解散する場合には、各区分所有者に応じて修繕積立金が清算されることがあります。この場合、売主は自身の区分所有分の修繕積立金を受け取ることができる可能性があります。
【まとめ】修繕積立金は快適な状態でマンションを維持するため必要な費用
いかがでしたか?マンションに長期的に住むためにも、工事やメンテナンスを行い維持していく必要があるため、修繕積立金は必要なお金と言えます。
またマンションを購入した際、毎月必要なのは住宅ローンだけでなく、修繕積立金や管理費も必要となってきます。不動産を購入する際は、修繕積立金も含めて具体的にどれぐらいお金が必要なのかしっかりと調べておきましょう。
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