労災防止対策9選や発生する3つの原因などをわかりやすく解説!

労災防止 対策

会社は万が一のときに備え、必ず労災保険に加入しています。また、労災防止のための対策も必要不可欠です。しかし、会社経営を始めたばかりでは、どのように対策をすればよいかわからない人もいます。そこで労災防止の対策として有効な方法、法律で定められているので、必ず行わなければいけない事柄などを詳しく紹介していきます。

労災とは

労働災害とは、仕事中や通勤をしている際に発生した事故によって、負傷したり病気にかかったりする災害のことです。大きく分けると2種類存在しており、業務災害と通勤災害に分類されています。名前の通り、業務災害は仕事中の事故で負傷、病気を発症することです。通勤災害は会社に行く、出張先や現場などに行く途中に発生した事故で負傷、病気を発症することです。

労災が発生する3つの原因

労働災害の発生を少なくするには、原因を特定しなければいけません。主な原因として挙げられる次の3つについて、詳しく紹介します。

  • 不安全行動
  • 不安全状態
  • メンタルヘルスの不調

不安全行動

労働災害が発生する原因の1つに、不安全行動があります。不安全行動とは、危険だとわかっていながら故意に危険な行動をすることです。例えば、工事現場の作業中に、ヘルメットを着用せずに高所や狭い場所で作業を行った場合、高所では落下の危険性があり、狭い場所では頭をぶつける恐れがあるため、ヘルメットの着用は必要不可欠です。それをわかっていながら着用しないなどの危険な行動が不安全行動と言います。

不安全状態

自分自身では安全面に注意をしていても、使用する工具や機械などに不備があると危険です。このように安全性が確保できない工具や機械などを使用することを不安全状態と言います。例えば、高所での作業で使用される安全ベルトに切れ目が入っていた場合、落下したときに切れてしまうことが考えられます。
このように危険が伴う不良品の備品を使うことを不安全状態と言います。

メンタルヘルスの不調

民間の仕事はきつい場合が多く、特に建設業界は3Kという不名誉なイメージまでつきまとっています。そのため、メンタル面の不調を訴える人もいるでしょうが、心身ともに疲れている状態をメンタルヘルスの不調と言います。メンタルヘルスの不調も、労働災害が発生する原因です。メンタルヘルスの不調による労働災害の請求も、年々増加傾向にあります。

労災防止の4原則

労働災害を未然に防止するための4原則が存在しています。大きく分けると「4S」と「4M」と呼ばれるものがあります。
それぞれどのような意味があるのかを解説します。

4S

労働災害を防止するための4Sとは、次のようなことを指します。

  • 整理
  • 整頓
  • 掃除
  • 清潔

すべて「S」から始まる言葉であるため、4Sと呼ばれています。整理や整頓は屋内でも屋外の現場でも基本的なことであり、オフィスや工事現場などが整理整頓されていなければ、つまずいて転ぶなどの事故にも繋がります。そのため、こまめに掃除をして清潔な状態を保たなければいけません。

4M

労働災害を防止する4Mは、次の4つを指します。

  • 機械
  • 材料
  • 方法

この4つを英語にしたときの頭文字「M」を取って4Mとされており、作業員の健康チェックや研修をしっかりと行い、労働災害を防止するという意味です。機械のメンテナンスも定期的に行い、安全に使用できる状態を保持しなければなりません。
材料はよい物を使用し、正しい手順や安全な格好で作業をすることが、労働災害を防止するために必要不可欠です。

労災防止対策9選

労災は事前に防止することも重要です。そこで労災防止対策にはどのような方法があるのか見ていきましょう。効果が期待できる方法は9つあります。

職長教育を実施する

工事現場には作業員たちをまとめる職長が必ずいます。まずは職長の能力アップを図るため、職長教育の実施が大切です。作業計画や自身の技術力、知識のアップはもちろんですが、コミュニケーション能力の向上や安全管理、指導力などの教育も施さなければいけません。教育がきちんと行われていることで、労災が発生するリスクを下げられるでしょう。

安全衛生教育を実施する

小規模な建設会社の場合、あまり教育に力を入れていないこともありますが、最低でも安全衛生教育はきちんと行うべきです。その理由は、教育を行うことで労災防止にも繋がることはもちろん、何より危険性の高い作業を行う場合、必ず安全衛生教育を行うように法律で定められているためです。安全衛生教育を行わなかった場合、処罰の対象となるので注意しましょう。

リスクアセスメントを実施する

リスクアセスメントも、労災防止対策には欠かせません。リスクアセスメントとは、どのような事故が発生する可能性があるのかを想定し、事前に対策を練ることです。分析を行えば、労災防止にも繋がるでしょう。化学物質関連の企業は、必ずリスクアセスメントの実施をするように法律で決められているので、しっかり実施しなければいけません。

現場の潜在的なリスクを洗い出す

リスクアセスメントで重要なのは、まず工事現場ではどのような災害が発生する可能性があるのかを洗い出すことです。工事現場では高所での作業も行います。そのため、落下事故が発生する危険性があります。他にも粉じんを吸い込んで、のどの調子がおかしくなる恐れもありますが、リスクを事前に洗い流すことで、対策が行いやすくなります。

リスクの重大性・発生頻度を分析する

一通り発生する可能性がある災害の内容を洗い出したら、今度は重大性の高い災害を特定しましょう。重大性の高い災害とは、最悪死亡事故や再起不能になる恐れがある災害です。労災防止の対策は、同時に行うことはできません。1つずつ順番に行う必要があり、より重大性が高く、発生頻度が上がりやすい災害から対策を練ります。

リスクの対応優先度を決める

重大性が高い災害や発生頻度の高い災害の洗い出し、分析が終わったら、次は対策を練る優先順位を決めます。すべて優先順位が高いのは言うまでもありませんが、よりリスクの高い災害から優先的に行うことが大切です。優先度をあらかじめ決めておくことで、効果的に対策を練ることができます。優先度を決めるときには、よく話し合いをして慎重に決定しましょう。

優先度が高いリスクから対策する

優先度が高い災害の洗い出しができたら、最後に優先度が高い災害から順番に対策を講じていきます。まずは事故が発生する原因を洗い出し、対策を練ることがおすすめです。中には防ぐことが難しい災害もあります。しかし、対策を練らなければ、労災防止には繋がりません。完全に防ぐのが難しいのであれば、できる限り災害を軽減する対策を練りましょう。

KY活動を実施する

KY活動を実施することも、労災防止対策として効果的です。KY活動とは、作業に入る前にどのような危険が発生する可能性があるのかを予見することです。具体的な方法は、

  • リスクを整理する
  • 目標を設定する
  • 対策を提案する
  • 現状を把握する

この4つで、4ラウンド法と言われています。会社全体で危険を予測するリスクアセスメントを行った上で、さらに作業前にKY活動を実施することで、より高い効果が期待できます。

特別教育を実施する

特別教育の実施も労災防止対策としては欠かせない方法ですが、労働安全衛生規則第36条で実施するように定められています。そのため、法律で特別教育が必要な業務と決められている項目に当てはまる場合には、実施しないと処罰の対象となります。特別教育は社内で行うこともできますが、都道府県に登録された教育機関での受講も可能です。

5Sを実施する

上記で紹介している労災防止の4原則に含まれる4Sに、さらにしつけを加えたものを「5S」と言います。労災を防ぐためには、規律やルールをきちんと守ることが重要です。決められた服装や装備で作業を行う、機械の点検や整理整頓を徹底するなど、全員が決められていることを守るだけでも、災害を防げる可能性が大幅に高くなります。

フェイルセーフ・フールプルーフ機能を導入する

機械が万が一故障したときでも、システムが正常に作動する仕組みをフェイルセーフと言います。自動車のブレーキなどにも導入されており、より安全性を高めるためのものです。人間が機械の操作をミスしないようにする仕組みをフールブルーフと言いますが、この2つを合わせて導入することでも、労災防止対策として効果的です。

メンタルヘルス対策を導入する

労災防止を行うには、安全対策も重要です。しかし、安全対策にプラスして、メンタルヘルス対策も導入しないといけません。近年はパワハラなど、人間関係に悩みながら仕事をしている人もいます。考え事や悩み事をしながら仕事に取り組むことで、事故に繋がる場合もあります。そこで厚生労働省が発表しているケア方法を確認してみましょう。

セルフケア

自分自身で対策をする方法がセルフケアですが、まずは自分でどのようにすればストレスを軽減できるのか勉強してみましょう。人によってセルフケアの方法は異なります。例えば、親しい同僚や上司に相談をする、両親や兄弟、友人に相談する方法もあります。趣味に没頭することや、しばらく休養するなど、自分に合う方法を探してみましょう。

管理者によるケア

メンタルケアは自分だけではどうにもならない場合があります。そのため、会社では管理者が従業員のケアを行うことも重要です。最近様子がおかしい社員がいたら、何かあったのか自分から話しかけることで、話すのが苦手な人でも相談しやすくなるでしょう。場合によっては休職をすすめる、休職から復帰するための支援を行う必要もあります。

産業保健スタッフなどによるケア

自分自身や管理者でも、十分ケアを行うのが難しい場合もあるでしょう。そのようなときにはプロである産業医の力を借りることも1つの方法です。産業医とは、労働者の健康管理を行っている医師のことです。医師とは言っても、その場で治療や診断を行うのではなく、予防法などのアドバイスを行っています。メンタルケアも行っているので、気軽に相談してみましょう。

従業員の働き方を見直す

いくらメンタルケアを行っても、労働環境を変えなければ効果は期待できません。今までとは異なる働き方を実施してこそ効果が得られます。特に従業員の過重労働は、災害発生のリスクを高めます。そのため、現在では時間外労働時間が80時間を超えた場合、医師の面接指導が義務付けられています。できるだけ従業員で作業の分散を行い、労働時間の管理を徹底する必要があります。

事後などが発生した場合は労災保険を申請させる

万が一、勤務中に労働災害が発生した場合、必ず労災保険の申請を行いましょう。労災保険の申請は、労働安全衛生規則第97条で義務付けられています。
労災が発生したことを隠ぺいする、従業員に申請しないように強要するなどの行為は法律違反です。また、会社は必ず労災保険へ加入することも義務化されているので、加入していないと反論しても通りません。

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【まとめ】労災防止対策を実施し従業員が安全に作業できる環境を整えよう!

今回は労災防止の対策について、色々と紹介してきました。労働災害には、大きく分けると通勤災害と業務災害が存在します。災害を防止するためには、従業員の指導や労働環境の見直しなど、やらなければいけないことがたくさんあります。また、万が一労働災害が発生したら、必ず申請しないと処罰の対象になるので注意しましょう。

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