施工管理がブラックといわれる理由や働きやすい企業に転職する方法を解説

「施工管理って、なんだかブラックなイメージがある」「毎日残業で、プライベートの時間が全然取れないんじゃ」「そもそも、休みはあるの？」

このように施工管理の仕事に対してネガティブなイメージを持っている方は少なくありません。

確かに、施工管理の仕事は多忙で、残業時間も長いというデータはありますが、実際には勤務先によって大きな違いがあります。

今回の記事では、施工管理がブラックと言われる理由と、ホワイトな環境で働くためのポイントについて解説していきます。労働環境に悩んでいる方、転職を検討している方は、ぜひ最後までご覧ください。

施工管理がブラックといわれる理由

施工管理の仕事が「ブラック」といわれる理由は、大きく分けて以下5つです。

• 労働時間が長い
• プライベートと両立しにくい
• 仕事量が多い
• 人間関係が難しい
• 現場の変更に翻弄される

1つずつ、解説していきます。

労働時間が長い

施工管理の仕事は、労働時間が長い傾向にあります。国土交通省のデータによると、令和4年度の建設業の平均実労働時間は約2,020時間。全産業の平均である約1,950時間よりも70時間長くなっています。
また、建設業界へのアンケートにて、「月45時間以上の残業：70%以上」「月80時間以上の残業：20％以上」という結果も出ています。
さらに、長時間のサービス残業を報告する事例もあり、施工管理の仕事がブラックなのではないかと言われています。

プライベートと両立しにくい

建設業界は年間出勤日数が平均より約14日多く、休日が少ない傾向にあります。
あるアンケートでは、施工管理の半数以上が「週休2日制の実現は2030年以降」または「実現しない」と回答しています。現役の施工管理技士の多くが、休日の少なさを実感しているのが現状です。
また、建設業界の仕事は時間や場所に拘束されやすいため、友人関係の維持、恋愛や結婚のチャンスが少ないと感じる方もいます。

仕事量が多い

施工管理の業務は多岐にわたります。原価管理・工程管理・品質管理・安全管理・現場監督・資材の発注・クライアント、業者との打ち合わせ・書類作成などなど、幅広い業務を一手に引き受けています。
これに加え、労働基準監督署への申請などの行政手続きもあり、仕事量が膨大になっています。労働時間の長さと併せて、ブラックと言われる主な理由だと考えられます。

人間関係が難しい

施工管理は、多くの人と関わる仕事です。現場の職人や技術者、クライアントなど、立場も年齢も違う人と、深いコミュニケーションを取らなければなりません。
その点、建設業界は、昔ながらの職人気質が強い人も多く、現場によっては厳しい口調の指示が飛び交うこともあります。

また、女性の施工管理技士は、会話に入りづらかったり、セクハラの危険を感じたりと、会社側の体質がブラックである場合があります。

現場の変更に翻弄される

施工管理の仕事は、現場が変わるたびに勤務地も変わります。
遠方の現場を担当すると、通勤時間が長くなり、生活リズムの変化によるストレスも増えます。また、新築と改修工事では労働形態が異なり、勤務時間が不規則になりがちです。

社員の事情に寄り添ってくれない「突然の現場異動」もあるため、ブラックと感じる方もいるようです。

施工管理の1日のスケジュール

施工管理の1日の流れは、現場や企業によって異なりますが、一例を紹介します。
5:45 起床
7:00 始業・メール確認
8:00 朝礼・現場巡回
10:00 業者・施主との打ち合わせ
13:00 昼礼・現場巡回
16:30 現場巡回
18:00〜22:30 書類処理・予算計画
23:00〜2:00 施工図修正
2:00 就寝
繁忙期には、深夜まで仕事が続くこともあります。このスケジュールを見ると、施工管理が厳しい仕事だということが伝わってきますね。

施工管理が働きやすい企業を見極める方法

施工管理の仕事はやりがいがある一方で、労働環境が厳しい企業も少なくありません。ブラックな職場を避け、働きやすい企業を見極めるための5つのポイントを解説します。

募集内容をしっかり確認する

ホワイトな企業かどうかを判断するには、求人情報の詳細を確認することが大切です。特に「給与」「休日」「資格手当」に注目しましょう。
まず、自分の理想の給与額を明確にし、求人票の金額が条件を満たしているかチェックしましょう。ただし、高給与に見えても残業代込みだったり、実働時間が長かったりする場合があるので注意が必要です。
そして、「完全週休2日制」と「週休2日制」は異なるためこちらも注意が必要です。
完全週休2日制：毎週2日休み
週休2日制：月に1回以上、週2回の休みがある
建設業界では「4週8休」が週休2日制とみなされることが多いので、希望の休日条件を満たしているか確認しましょう。
また、施工管理技士などの資格を持っている場合、資格手当の有無も重要です。資格手当は収入アップに直結するため、支給があるかどうかを確認しましょう。また、資格取得支援制度がある企業を選ぶのもおすすめです。

働き方改革を実行しているか確認する

建設業界は長時間労働が課題とされています。そのため、企業が働き方改革に積極的に取り組んでいるかどうかは重要なチェックポイントです。
国土交通省の「建設業働き方改革加速化プログラム」では、以下の取り組みが推進されています。

• 長時間労働の是正：週休2日制の導入、適正な工期設定
• 給与・社会保険の充実：経験や技能に応じた適正な給与の支給、社会保険加入の義務化
• 生産性向上：仕事の効率化、資機材の効率的活用

求人票に「働き方改革」への言及がある企業は、比較的ホワイトな労働環境である可能性が高いです。

従業員の評判・口コミを確認する

求人票だけでは分からない企業の実態を知るには、現場の声を参考にしましょう。
すでにその企業で働いている人や取引経験のある知人がいれば、実際の労働環境について詳しく聞いてみるのがベストです。
また、ネット上の口コミも有益な情報源です。ただし、すべての口コミが事実とは限らないため、複数の意見を比較しながら判断しましょう。

企業の大きさを確認する

企業の規模によって、働きやすさに違いが出ることがあります。
中小企業の施工管理の特徴は、以下の通りです。

• 少人数で業務を回すことが多いため、施工管理の負担が大きくなりがち
• アットホームな雰囲気の職場が多い

大手企業の施工管理の特徴は、以下の通りです。

• 業務が分業化されており、施工管理の負担が軽減されやすい
• 労働基準法の遵守や福利厚生が手厚い

働きやすさを重視するなら、大手企業の方が安定した環境を提供している傾向があります。

工事現場の大きさを確認する

会社の規模だけでなく、実際に配属される工事現場の規模も重要です。
大きな現場の特徴は、以下の通りです。

• 関係者や関係企業が多く、管理が複雑
• 給与は比較的高め

小規模な現場の特徴は、以下の通りです。

• 施工管理の負担が軽く、管理しやすい
• 給与は大規模現場よりやや低め

一般的に、大手企業ほど給与や待遇は良いものの、管理が難しい大規模現場を担当することが多いです。

一方、中小企業では管理しやすい小規模現場が多くなる傾向があります。自分が希望するキャリアを明確にして、その企業や現場や募集要項との相性を見極めるのがおすすめです。

施工管理が働きやすい企業に転職する方法

長時間労働や休日の少なさで「ブラック」と言われる施工管理ですが、企業選びを工夫することで、ワークライフバランスの取れた働き方が可能になります。以下、働きやすい企業に転職するための方法を3つ解説します。

発注する立場の企業に転職する

発注する立場の企業に転職することで、労働時間の削減や休日の確保がしやすくなります。発注者側は工事の上流工程を担当するため、施工管理職に比べて残業が少なく、休みが取りやすい傾向があります。
具体的には、デベロッパー（不動産開発会社）、ビルマネジメント会社、CM（コンストラクション・マネジメント）・PM（プロジェクト・マネジメント）会社などが挙げられます。
また、発注者側はデスクワーク中心の業務が多いため、現場作業の負担を軽減できるのもメリットです。

転職サイト・転職エージェントを活用する

管理技士が転職を成功させるには、転職サイトや転職エージェントを上手に活用することが重要です。主に、以下のようなメリットがあります。

• 施工管理職向けの特化型サイトでは、条件の良い非公開求人が掲載されている
• 複数のサイトに登録することで選択肢が広がり希望企業を見つけやすい
• 書類選考や面接対策を無料サポートしてくれる
• 企業との交渉を代行してくれるため、給与や待遇面の条件交渉がしやすい
• 業界の内部情報を提供してくれるため、ブラック企業を避けやすい

慣れない転職活動をスムーズに進めるためにも、転職サイトとエージェントを併用するのがおすすめです。

派遣社員として働く

施工管理の仕事は、派遣社員として働くという選択肢もあります。派遣社員であれば、残業時間や休日を調整しやすいため、ワークライフバランスを重視できます。また、様々な現場で経験を積めるため、スキルアップしながら自分に合った働き方を模索することも可能です。
ただし、派遣社員は契約期間が限られているため、雇用の安定性には注意が必要です。長期的に安定した働き方を望む場合は、正社員への登用制度がある派遣会社を選ぶと良いでしょう。

施工管理に求められるスキル

施工管理の仕事は、知識や経験だけでなく、さまざまなスキルが求められます。
以下、特に重要な3つのスキルを紹介します。

コミュニケーション力

施工管理は、職人や技術者、クライアント、協力会社など、多くの人と関わる仕事です。相手の立場を理解しながら、的確に指示を出す能力が求められますし、トラブル発生時には、関係者と円滑に調整するスキルも不可欠です。施工管理として信頼を得るためには、コミュニケ―ション力が欠かせません。

マネジメント力

施工管理は幅広い業務を担当します。スケジュール管理をしながら、コスト管理を行い、無駄な出費を抑えながらも品質を確保し、現場全体の安全にも心を配らなければなりません。
常に現場全体を把握しながら、計画的に業務を進めるマネジメント力が重要です。

強い精神力

建設現場では、予期せぬトラブルがつきものです。困難な状況でも冷静に対処するためには、強い精神力が必要です。スケジュール変更や突発的な問題にも動じず、柔軟かつ冷静に判断できるメンタルの強さも、必要なスキルの一つと言えるでしょう。

上記のようなスキルを身につけることで、施工管理としてより良いキャリアを築くことができるでしょう。

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【まとめ】施工管理はブラックだけではない！働きやすい企業を見つけよう

施工管理は長時間労働や休日が少ないことからブラックと言われることがありますが、企業や現場によってはホワイトな働き方を提案している職場もあります。ホワイトな働き方で高年収の施工管理技士もいます。
今回紹介した働きやすい企業に転職する方法を参考に、あなたのキャリアを充実させるためにも自分に合った労働環境を見つけましょう。

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