認定電気工事従事者とは?メリットや申請方法も解説!

認定電気工事従事者とは?メリットや申請方法も解説!

「認定証電気工事従事者」の資格は、できる電気工事の範囲が広がるため、就職や転職、キャリアアップに有利になる資格です。しかし、資格取得には「実務経験や難しい試験等が必要なのでは?」と不安に思っている方も多いのではないでしょうか。

認定電気工事従事者の資格は、一定の要件を満たせば申請のみで取得できる資格です。また、実務経験がない人でも、認定講習の受講等によって取得できる場合もあります。

本記事では、認定電気工事従事者の資格取得のメリットや、講習の概要、申請方法について詳しく解説しています。また、関東で申請する方法や、資格を利用する際の注意点等についても紹介しているので、関東で資格取得を検討している方は参考にしてみてください。

「認定電気工事従事者」とは?

認定電気工事従事者とは、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物等の簡易電気工事が行える資格です。この資格によって、第二種電気工事士の資格では行えない電気工事が行えるようになります。

ビル・建物等の電気設備の工事段階では、感電・火災等の事故のリスクがあります。経済産業省は、自家用電気工作物の中でも簡易的な電気工事に従事できる資格を定め、それらの災害を防止に努めています。

まずは、認定電気工事従事者の資格の概要、あるとできること、試験等について詳しくみていきましょう。

認定電気工事従事者の資格を保有しているとできること

認定電気工事従事者の資格を保有していると、電気工事の対応範囲が広がるのが特徴です。本来第二種電気工事士の資格だけでは、一般用電気工作物のみの工事しか対応できません。しかし、認定電気工事従事者の資格があれば、電圧600V以下で使用する自家用電気工作物等(電線路に係る工事は除く)の電気工事に対応可能です。

また、これらの電気工事は、第一種電気工事士の資格があれば対応できます。しかし、第一種電気工事士の試験を受けるには、原則5年以上の実務経験が必要です。そのため、認定電気工事従事者の資格は、第一種電気工事士の免状交付までの工事の範囲をカバーしてくれる役割もあります。

試験は不要

認定電気工事従事者は、難しい試験等が一切ないのがメリットです。申請要件に満たしていれば、資格免状の交付が受けられます。第一種電気工事士や実務経験が3年以上ある電気主任技術者・第二種電気工事士の方は、申請だけで免状が取得できるのでぜひ申請しておきましょう。

また、電気主任技術者・第二種電気工事士の実務経験3年以上ない方でも、電気工事技術講習センターが行う講習に参加すれば、交付申請が可能になります。ただし、講習日程や講習地域が限定されています。電気工事技術講習センターの講習の案内をチェックしておきましょう。

電気工事士との違い

資格一般用電気工作物の電気工事自家用電気工作物の電気工事
600v以下で使用する設備(電線路を除く設備)最大500kw未満の需要設備
第一種電気工事士
第二種電気工事士××
認定電気工事従事者××

認定電気工事従事者と電気工事士との違いは、対応できる工事の範囲です。上記の通り、第二種電気工事士の資格は、一般用電気工作物の電気工事のみができます。認定電気工事従事者の資格があれば、自家用電気工作物(600v以下で使用する設備)が可能になります。

そのため、第二種電気工事士が対応工事の範囲を広げる目的で、認定電気工事従事者の資格を取得している場合が多いです。
また、第一種電気工事士の試験合格者が、免状交付までの間に対応できる工事範囲を広げる目的で、認定電気工事従事者の資格を取得する方法もあります。第一種電気工事士は5年間の実務経験がなければ免状が交付されないため、工事範囲が限られてしまうためです。

そのため、第一種電気工事士の免状が手元にある方は、認定電気工事従事者の資格はいらないでしょう。認定電気工事従事者の対応できる電気工事は、第一種電気工事士の免状があればすべて対応可能です。自分の条件をチェックして、必要かどうか判断しましょう。

認定電気工事従事者のメリット

認定電気工事従事者の資格を持っていると、昇給等のキャリアアップに繋がったり、履歴書に保有資格としてできるため就職に有利になったりします。他にも認定電気工事従事者の資格を取得すると、以下のようなメリットがあります。

  • 申請と講習のみで取得できる
  • 工事できる範囲が広くなる
  • 基本的に更新が必要ない

上記のようにたくさんのメリットがあり、他の資格と比べても資格取得のハードルが低いのが魅力です。申請要件を満たしている方は、ぜひ申請をして資格取得をしておきましょう。

メリット1:申請と講習のみで取得できる

認定電気工事従事者の資格は、申請と講習のみで取得できるのが最大のメリットといえるでしょう。難しい試験がないため、試験勉強等の必要がなく、資格取得のハードルが低いのが魅力です。

第一種電気工事士試験合格者、第二種電気工事士または電気主任技術者(実務経験が3年以上)は、申請のみで免状が取得できます。
上記より実務経験が少ない方は、認定講習を受けることで申請ができるようになるのがポイントです。対応できる電気工事の幅が広がるため、ぜひ講習を受けて申請するようにしましょう。

メリット2:工事できる範囲が広くなる

2つ目のメリットは、対応できる電気工事の範囲が広くなることです。

一般電気工作物自家用電気工作物

(最大500kw未満の需要設備等)

自家用電気工作物

(600v以下で使用する電線路を除く設備)

第一種電気工事士可能可能可能
第二種電気工事士可能不可不可
認定電気工事従事者不可不可可能

上記のように、第二種電気工事士ができない一部の電気工事に対応できるようになるのが特徴です。幅広い電気工事に対応できる第一種電気工事士の免状交付には、実務経験5年以上が必要です。そのため、認定電気工事士従事者の資格取得によって、電気工事の範囲をカバーする方が多くいます。

メリット3:基本的に更新が必要ない

3つ目のメリットは、基本的に更新が必要ないことです。資格の期限がないため、資格を取得すれば一生使える資格です。免許といえば更新時の講習受講や免状の情報更新等が行われる場合が多いですが、電気工事従事者の資格は面倒な更新手続きがありません。

ただし、結婚等で名前が変わった場合は書き換え申請、汚損・破損等の場合は再交付が必要です。申請方法や必要な書類等については、後の見出しで詳しく解説しているのでチェックしてみてください。

認定電気工事従事者の講習

認定講習を受講するには、受験資格を満たしている必要があります。ここからは、以下の講習について詳しく紹介するので、受講予定の方は確認しておきましょう。

  • 受験資格
  • 講習の概要

認定電気工事従事者の取得で自分の仕事の幅が広がり、就職やキャリアアップに有利になる可能性が高いです。認定電気工事従事者と電気工事士の資格は、どのように違うのか、工事の範囲についても表にまとめているので、取得前に理解を深めておきましょう。

受験資格

認定電気工事従事者の認定講習を受ける必要がある人は、以下の通りです。

資格実務経験
第二種電気工事士3年未満
電気主任技術者3年未満

上記の方は、講習修了後にもらえる講習修了証等を添付することで、管轄区域に電気工事従事者の申請ができるようになります。認定電気工事従事者の資格の有無で、できる仕事の幅も変わるのでぜひ受講しておきましょう。

また、上記の資格保持者で実務経験が3年以上、第一種電気工事士の試験合格者は、講習を受ける必要がありません。これらの方は、初めから申請資格の要件に当てはまっているため、書類等を作成するだけで申請が可能です。煩わしい作業がほとんどないため、ぜひ資格取得をするのがおすすめです。

講習の概要

認定電気工事従事者の講習は、1年に2回上期と下期に分けて実施されていて、2023年の下期の講習は11月10日をもって終了しています。次回は7月に上期追加講習を実施予定です。申し込み時期については、電気工事技術認定講習センターのホームページをこまめにチェックしましょう。

ここからは、認定電気工事従事者の認定講習の申請方法・受講料等について紹介するので、受講予定の方は要チェックです。

講習の申請方法インターネットによるWeb申請のみ対応
講習の受講料12,500円(税込)

※納付された受講料は原則返金されません。

講習時間AM10:00~PM17:00(講習会場による)
持ち物
  • 受講票
  • 写真付きの身分証明書(運転免許証・マイナンバーカード等)
  • 筆記用具
  • 昼食
講習科目
  • 配線器具並びに電気工事用の材料及び工具について(1時間半)
  • 電気工事の施工方法について(1時間半)
  • 自家用電気工作物の検査方法について(2時間)
  • 自家用電気工作物の保安に関する法令について(1時間)

認定証の申請方法

次に、認定電気工事従事者の申請方法について、以下のポイントで紹介します。

  • 実務経験
  • 申請から交付までの流れ
  • 申請に必要な書類
  • 認定電気工事従事者の申請を関東で行う場合

申請に必要な認定基準や書類、申請や交付までの流れを把握しておくとスムーズに申請ができます。また、本記事では関東で申請する方向けに、提出先や提出書類等の情報を紹介しています。認定証の提出先は、管轄する地域が分かれているため、住んでいる地域の管轄区域の確認をしましょう。

実務経験

認定電気工事従事者認定証の申請には、実務経験が必要な場合と不要の場合があります。

第一種電気工事士の試験に合格している人、第二種電気工事士または電気主任技術の人は3年以上の実務経験がある人は、申請書等を提出すれば資格取得が可能です。

また、前述でも説明しましたが、実務経験が足りない人でも、認定講習を受けることで申請資格を獲得できる場合もあります。実務経験が一定以上ない場合は、認定講習での取得を検討してみてください。

申請から交付までの流れ

認定証の申請から交付までの流れは、申請→審査→交付の順番です。

1申請郵送(簡易書留等)申請
2審査認定基準を満たしているか審査される
3交付認定証が郵送で自宅に交付される。地域差によって早ければ数日、遅ければ1ヶ月以上かかる

申請書の郵送先は、各地域に設置されている産業保安監督部です。現在全国に10箇所設置されていて、関東で申請をする場合は「関東東北産業保安監督部電力安全課」になります。それぞれの地域によって提出する場所が異なるため、どこに提出するのか確認が必要です。

申請に必要な書類

申請に必要な書類は、条件によって用意する書類が異なります。関東東北産業保安監督部電力安全課の資料を基に、要件別に必要な書類を以下にまとめました。

資格要件第一種電気工事士試験合格者第二種電気工事士の免状取得後、実務経験が3年以上ある人電気主任技術者の免状取得後、実務経験が3年以上ある人(第二種電気工事士または電気主任技術者の免状保持者で講習を受けた人
認定申請書

(様式1の5)

認定証交付申請書
(様式5の2)
認定基準の証明書類第一種電気工事士試験合格証書の写し第二種電気工事士の免状の証書の写し電気主任技術者の免状の証書の写し第二種電気工事士または電気主任技術者の免状の証書の写し
実務経験証明書××
認定講習修了証等×××
収入印紙
(4,700円)
住民票
(発行6ヶ月以内で住民票コードと個人番号の記載がないもの)
写真

(縦4cm×横3cm)

返信用封筒

(長3推奨)

認定申請書や認定証交付申請書の指定用紙は、管轄地域のWebサイト等でダウンロードできます。不備がないように、前もって準備しておきましょう。

認定電気工事従事者の申請を関東で行う場合

関東で認定電気工事従事者の申請を行う場合は、「関東東北産業保安監督部電力安全課技術係」に申請書類を提出します。関東の提出先や管轄区域については以下の通りです。

【提出先】
関東東北産業保安監督部電力安全課技術係
〒330-9715 埼玉県さいたま市中央区新都心1番地1
さいたま新都心合同庁舎1号館11階

管轄区域栃木県・群馬県・茨城県・埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県・山梨県・静岡県のうち熱海市・沼津市・三島市・富士宮市・伊東市・富士市・御殿場市・下田市・出石・伊豆の国市・田方郡・賀茂郡・駿東郡

(参考:関東東北産業保安監督部電力安全課「認定電気工事従事者認定証の交付申請に必要な書類の作り方」)

それ以外の地域の提出先の設置場所や名称については、以下の通りです。自分が住んでいる地域の管轄の産業保安監督部に申請書を提出しましょう。

設置場所名称
北海道札幌市北海道産業保安監督部電力安全課
宮城県仙台市関東東北産業保安監督部東北支部電力安全課
愛知県名古屋市中部近畿産業保安監督部電力安全課
富山県富山市中部近畿産業保安監督部北陸産業保安監督署
大阪府大阪市中部近畿産業保安監督部近畿支部電力安全課
広島県広島市中国四国産業保安監督部電力安全課
香川県高松市中国四国産業保安監督部四国支部電力安全課
福岡県福岡市九州産業保安監督部電力安全課
沖縄県那覇市那覇産業保安監督事務所保安監督課

認定電気工事従事者の資格を利用する際の注意点

ここからは、認定電気工事従事者の資格を利用する際の注意点を紹介します。認定電気工事従事者の資格を履歴書に書く場合は、持っている資格の条件によって書き方が違うため、注意が必要です。

以下で、具体的に第二種電気工事士の免状がある場合や第一種電気工事の資格に合格している場合等、履歴書にどのように記入するのかについて解説します。転職や就活の際に認定電気工事従事者の資格は有利に働くため、ぜひ記入しておきましょう。

第二種電気工事士の免状がある場合

第二種電気工事士と認定電気工事従事者認定証の2つの免状がある人は、両方の資格を履歴書の資格欄に記入しておきましょう。両方の資格の記載があれば、第二種電気工事士の資格ではできない電気工事ができることをアピールできます。

具体的には、履歴書の資格欄に「第二種電気工事取得」「認定電気工事従事者認定証取得」と記載します。ただし、どちらも免状や認定証の交付が行われないと、資格欄には記載できないため注意が必要です。

第一種電気工事士の試験に合格している場合

第一種電気工事士の試験合格者でも、免状交付がまだの人は「第一種電気工事士取得」とは記載できません。とはいっても第一種電気工事士の免状交付には、5年以上の実務経験が必要なため、免状の交付を受けていない人も多いでしょう。

そのような場合には、「認定電気工事従事者認定証取得(第一種電気工事士試験合格)」と記載しましょう。第一種電気工事士資格は、広範囲の電気工事が行えるため、就職や転職で有利になります。資格合格時点で資格欄に記載しておけば、実務経験を積むことで幅広い仕事ができることをアピールできます。

認定電気工事従事者の更新

認定電気工事従事者の認定証は、原則更新不要です。しかし、結婚や離婚等で名前が変わった場合や紛失・破損等の際は、再交付の手続きが必要です。また、どちらも認定証の再交付ですが、理由によって申請書が違うので注意しましょう。

書き替え更新結婚・離婚等で名前が変更になった場合の再交付
再交付申請紛失・汚損・破損等

そこで、関東東北産業保安監督部東北支部の資料を基に、「書換え申請」と「再交付申請」の手続きについて紹介します。それぞれ申請書の種類や、収入印紙の金額が違うので不備なないようにしましょう。

書き換え更新

認定電気工事従事者の資格は、名前が変わったら書き換え更新が必要です。「認定証書換え申請書」と必要な書類等を提出すると、新しい名前の認定証の再交付を受けられます。名前が変わった際の必要な書類と郵送先は、以下の通りです。

提出書類
  • 認定証書換え申請書
  • 収入印紙1,650円(申請書貼り付け)
  • 名前が変わったことを証明する書類(戸籍標本等)
  • 元の名前の認定証
  • 写真(縦4cm×横3cm※6ヶ月以内のもの)
  • 認定証送付用封筒(長3推奨)
郵送先地域の管轄の産業保安監督部

再交付申請

認定電気工事従事者の認定証を汚損・破損・紛失した場合は、再交付申請が必要です。「再交付申請書」と必要な書類等を提出すると、認定証の再交付が受けられます。再交付申請の際に必要な書類と郵送先は、以下の通りです。

提出書類
  • 再交付申請書
  • 収入印紙2,400円(申請書貼り付け)
  • 元の名前の認定証(紛失の場合以外)
  • 写真(縦4cm×横3cm※6ヶ月以内のもの)
  • 認定証送付用封筒(長3推奨)
郵送先地域の管轄の産業保安監督部

以前は紙の免状が発行されていましたが、現在はプラスチックカードにより再交付されます。以前の免状よりも汚損や破損等のトラブルが起きにくくなりました。汚損・破損・紛失等した場合は早めに申請しましょう。

【まとめ】認定電気工事従事者は試験を受けなくても申請するだけで取得可能!できる工事についても要チェック

認定電気工事従事者は、一定の資格や実務経験があれば、試験を受けなくても申請するだけで取得可能です。また、規定以上の実務経験がない場合でも、講習を受ければ取得できるため、資格取得のハードルが低いことが魅力です。

認定電気工事従事者の認定証があれば、できる電気工事の範囲が広がるため、就職・転職・キャリアアップにも有利になります。基本的に資格更新の必要もないので、一生使える資格です。できる電気工事の範囲や自分の条件について確認し、要件を満たしている方はぜひ資格取得を検討してみてください。