空調設備施工管理士の仕事内容や魅力・役立つ資格などを解説!

オフィスビルなどで使用される空調設備は、専門家である「空調設備施工管理士」の仕事によって設置や改修工事が行われています。空調設備施工管理士ができる業務はたくさんあり、建設・工事関係の仕事において需要の高い職業だと言えるでしょう。

そんな空調設備施工管理士になるには、基本的な仕事内容や資格、設備の種類などを知ることが重要です。今回は空調設備施工管理士の基本情報をまとめて、その魅力や就職に役立つ資格などについて解説します。空調設備施工管理士などの施工管理業務に興味があるのなら、ぜひ参考にしてください。

ツクノビワークは、建設業特化のフリーランス・副業案件マッチングサービスです。現場/CAD/BIM/積算/建設事務など、幅広い領域で希望に沿った案件をご紹介します。現場案件からリモート案件までさまざまな案件をご紹介可能です。案件を探している方はぜひお気軽にご登録ください。
\5項目だけで無料登録/ まずは登録してみる

空調設備施工管理士に必要な基礎知識

空調設備施工管理士になるには、仕事に関する様々な知識を身につけておく必要があります。基礎知識を学ぶことが、空調設備施工管理士になるための最初のステップになるでしょう。以下では、空調設備施工管理士になるための基礎知識である空調設備工事の種類や、空調設備の種類について解説します。

空調設備工事の種類

空調設備施工管理士が担当する空調設備工事には、大きく4つの種類が存在します。具体的には「新設工事」「配管工事」「ダクト工事」「メンテナンス」の4種類が、主な仕事となります。

それぞれの設備工事における特徴やポイントを把握し、どのような作業が必要になるのか確認しておくのが、空調設備施工管理士になるためのポイントです。

空調機器を新しく設置する工事

空調機器を新しく設置する「新設工事」は、空調設備施工管理士が対応する仕事の1つです。オフィスや工場といったビジネスシーンのほか、一般住宅に空調設備を新調する仕事も担当します。工事する場所や環境を考慮して空調方式を提案し、最適な機種を選ぶのが空調設備施工管理士の役割となるでしょう。

機種だけでなく、空調設備の設計や施工なども仕事の範囲に含まれる可能性があります。工場など特殊な機器を使用している場所の場合、熱源を考えた設定を行うなど、専門的な知識が求められるでしょう。

配管を設置する工事

冷暖房設備・ガス配管設備・浄化槽設備などにつなげる配管に関する工事も、担当領域に含まれます。空調設備施工管理士の場合、空調機器のほか、熱源機器である室外機やクーリングタワーの配管工事も担当します。

具体的には冷媒配管工事・冷却水配管工事・冷温水配管工事などに加えて、ガス配管工事も仕事に含まれます。配管工事では工事全体の計画を立てたり、安全管理に関わる提案など幅広い業務を担います。

ダクトを設置する工事

建物の空調設備に必要となるダクトの設置も、空調設備施工管理士が対応する業務です。ダクトとは空調・換気・排煙などの機能を持つ設備のことで、室内の空気を外に排出する役割があります。空調設備の設置時にも、温風や冷風を流すためにダクトをつなげる業務が必要です。

具体的には、強度の高い丸いダクトを使用するスパイラルダクト工事や、塩化ビニール(PVC)で製造された耐久性・難燃性を特徴とした塩ビダクト工事などを担当します。

ダクトの設置時には管を通して終わりではなく、省エネ性能を高めたり空調機器の使用に支障が出ないように、断熱工事を行います。万が一火災が発生しても、ダクトそのものに断熱処理が施されていれば、被害を最小限に抑えられるでしょう。ダクトの断熱処理は、基本的に断熱材を巻きつけるようにして設置します。

保守・点検

空調設備施工管理士は、空調設備の設置後も保守・点検などのメンテナンス業務を行います。設置した空調設備に問題がないか、想定通りの機能を発揮できているかといった点を確認します。例えば温度測定やガス漏れ・水漏れの有無、配管の温度チェックなどを行い、問題がないことをその目で確認します。

万が一、設置後にトラブルが発生していた場合、原因を究明して必要な対処をしなければなりません。トラブルを放置したり、問題に気づかなかったりすると、会社の信用問題に関わるため、空調設備施工管理士は細かな点まで隅々と確認し、メンテナンスに力を入れる必要もあります。

そのほか、エアコンの汚れを洗浄したり、フィルタを交換したり、空調ガスを補充したりといった業務もメンテナンスの一環です。

空調設備の種類

一般的なエアコンなども空調設備に含まれますが、空調設備施工管理士が担当する種類はほかにも多数あります。主に「熱源設備」「熱搬送設備」「空気調和設備」の設置や各種対応が、必要な業務になるでしょう。

これらの設備が正常に稼働していないと、温度・湿度調節や気流調節のほか、空気清浄の機能に支障が出る可能性があります。部屋のなかの空気をめぐらせて適温を維持するためにも、これらの設備をしっかりと工事しなければなりません。

以下では、空調設備施工管理士の仕事内容に含まれる空調設備の種類と、それぞれの特徴を解説します。

熱源設備

熱源設備とは、熱を発生させるための装置を指します。熱を持った空気・冷やした空気を製造するほか、外部に排出する機能も備わっています。ボイラーを使って空気を熱し、冷凍機で空気を冷やします。

一般家庭や中小規模の施設の場合には、主に「蒸気圧縮冷凍機」「ヒートポンプ」が使用されています。大型の空調設備を設置する必要があるビルなどには、「吸収式冷凍機」を使うケースが多いです。

熱搬送設備

熱搬送設備とは、空調設備によって作られた熱を移動させる機能を持つ装置です。例えばダクトやポンプ、送風機や配管などが熱搬送設備にあたります。

ダクトや配管には空気を送風する機能がなく、あくまで通路であるため、空調設備施工管理士が適切なサイズに調整して速度を変更します。送風機やポンプは圧力・風量を調節する機能があるため、あらかじめ使用する空調設備の機能や大きさを調整する必要があります。

空気調和設備

空気調和設備とは、空気をコントロールして室内を快適な環境に整えるための設備です。具体的には空気の加熱・冷却や、湿度を操作して人が過ごしやすい空間を作りあげるものが該当します。

また、空気の清浄を行う効果もあり、安全性を高めるためにも利用されています。

空気設備に備わっている冷却コイル・加熱コイルなどのほか、一般的なエアコンにも備わっている加湿器や除湿機、エアフィルターなども空気調和設備に分類されます。

冷暖房設備との違い

冷暖房設備と空調設備は、似ているようでそれぞれ異なる特徴を持つ設備です。冷暖房設備と空調設備はどちらも「エアコン」と呼ばれることが多く、同じものと考えている人も珍しくありません。しかし、空調設備施工管理士としてこれらの設備に対応する場合、2つの違いを明確にしておく必要があるでしょう。

冷暖房設備とは、冷房と暖房を使いわけることで、室内の環境を快適な状態に保つための設備です。一方、空調設備も温度調整をする設備ですが、それだけでなく湿度・気流を調節する機能も備わっています。先の解説通り、空気調和設備とも呼ばれます。

空調設備施工管理士の仕事内容

空調設備施工管理士は、主に次の5つの仕事を担当します。

  • 工程管理
  • 品質管理
  • 安全管理
  • お金の管理
  • 雑務・事務処理

1つ目は「工程管理」で、空調設備の工事にかかるスケジュールの構築や工事内容をつめたり、実際に仕事が始まってからスムーズに作業が進むようにサポートしたりするのが仕事です。従業員の配備や日時の設定なども行います。大規模施設の大掛かりな工事の場合には、ゼネコンと話し合って工程表に合わせた対応が必要です。

2つ目は空調設備の完成度を確認し、問題ないことを把握するための「品質管理」です。設備があらかじめ決めた機能を備えているか、安全かつ適切に利用できるかなど、クオリティ全般を確認します。万が一品質に問題がある場合には、是正の指示を出して改善を進めなければなりません。

3つ目の仕事は、工事中の「安全管理」です。工事中に従業員が怪我をしないように、安全な環境を構築することが求められます。空調設備の工事では、ダクトや設備の接続部が見えない場所に格納されてしまうため、工事が完了する前に安全面を確認し、ガス漏れ・水漏れなどの異常がないことをチェックしなければなりません。また、安全に工事をしたことを証明できるように、工事写真を撮影しておく必要もあります。

4つ目は下請け業者など工事に関わった人たちに支払う賃金など、「お金の管理」にまつわる仕事です。事前に行った見積もりを参考に、工事中に変更があった箇所を確認し、追加費用の支払いなどの話をまとめます。クライアントと契約金額の交渉をする可能性もありますが、会社によってはその点は営業担当者が担うケースもあります。

5つ目は、上記にあてはまらない雑務や事務処理の仕事です。例えば、工事をするために必要な書類の作成・管理や、届出なども空調設備施工管理士の役割になります。届出が遅れると工事が始められず、スケジュール全体を見直さなければならないリスクがあるため、事務作業とはいえ油断せずに対処するようにしましょう。

空調設備施工管理士の魅力

空調設備施工管理士の仕事には、ほかにはない多くの魅力があります。空調設備は人々が快適な生活を過ごすために、なくてはならない設備です。そんな設備を構築し、管理・運用していくことができる空調設備施工管理士の仕事をしているという事実は、自分に自信をつけるきっかけになるでしょう。

大規模な工事を成功させたときには達成感も得られるため、次の仕事にかけるモチベーションを高め続けられるのも魅力です。

空調設備施工管理士は建物の全体像を把握しつつ、そのなかで適切な空調設備の設置計画を考える必要があります。ある種のパズルゲームのような感覚があるため、ものづくりの根本的な楽しみを実感できるのも魅力になるでしょう。

また、空調設備施工管理士は高収入を得られる可能性がある点も魅力です。スキルアップと実績を重ねていけば、将来的に高い年収を実現できます。収入面を重視して仕事を選びたい人にとっても、空調設備施工管理士は魅力的な職業となるでしょう。

空調設備施工管理士に役立つ資格

空調設備施工管理士として働く際には、資格を取得して実務に備えるのも重要です。特に「管工事施工管理」と「電気工事士」の資格は、空調設備施工管理士の仕事をするうえで非常に重要なものとなります。

以下では、空調設備施工管理士の仕事を始める際に役立つ資格について解説します。

管工事施工管理技士

空調設備施工管理士を目指すのなら、「管工事施工管理」の資格取得がおすすめです。管工事施工管理は、空調設備を設置するための工事に必要となる、施工管理の技術を保有していることを示せる資格です。

取得するメリット

管工事施工管理の資格を取得することで、就職・転職のときに確かなスキルを持っていることを証明できます。管工事施工管理の資格には、1級と2級があります。大規模な工事を担当したいのなら1級を、中小規模の工事を中心に仕事をしたい場合は2級から取得を目指すと良いでしょう。

試験内容・難易度

管工事施工管理の資格試験を受けるには、一定の実務経験を得ている必要があります。例えば、大学を指定学科で卒業している場合には、1級で3年以上、2級で1年以上の実務経験が必要です。

試験はマークシート方式で行われ、学科試験と実地試験(記述式)の両方に合格しなければなりません。試験の合格率は1級の学科が40%前後、実地試験が60%前後です。2級の場合には学科が約60%、実地が約40%となっています。施工管理関係の資格のなかでは、比較的難易度の低い試験になるでしょう。

電気工事士

電気工事士とは、電気設備の工事をする際に必須となる資格です。空調設備の工事でも、配線やコンセントの設置を行う際には、電気工事士の資格が求められます。

電気工事士の資格には第1種と第2種があり、第1種は工場やビルなどの、最大電力500kw以内の電気工事および、第2種が担当できる領域での仕事が可能となります。第2種電気工事士は、一般住宅や小規模店舗の600ボルト以内の受電設備を工事することが可能になる資格です。

取得するメリット

電気工事士の資格を取得することで、空調設備にまつわるすべての工程を、空調設備施工管理士が担当できるようになります。工事がスムーズに進められるため、企業からの評価が高まり、昇進や昇格につながる可能性があるでしょう。

資格試験・難易度

電気工事士の試験は、特別な受験資格がありません。そのため事前に勉強して備えをしておけば、誰でも電気工事士の資格取得を目指せます。第2級の資格は合格後すぐに申請して取得できますが、第1級は3年以上の実務経験がその後必要になる点に注意が必要です。

電気工事士の試験内容は、筆記試験と技能試験で構成されています。技能試験では配線図を参考にして、ケーブルやボックスの接続や組み立て作業を行うのが特徴です。問題の候補は事前に公表されるため、内容を確認してすべてに対処できるようにしておきましょう。

試験の合格率は、第1級の筆記試験が約50%、技能試験が約60%前後です。第2級は筆記が約60%、技能試験が約70%です。いずれも高めの合格率になっており、難易度は低めと言えるでしょう。

認定電気工事従事者

空調設備施工管理士になるのなら、「認定電気工事従事者」の資格取得もおすすめです。認定電気工事従事者は講習を受けるだけで取得でき、第2種電気工事士の資格と合わせることで600ボルト以下の自家用電気工作物の設備工事が可能となります。

冷凍機械責任者

「冷凍機械責任者」とは、高圧ガス製造保安責任者と呼ばれる資格の1つです。資格を保有していると空調設備の保守点検ができるようになるほか、無資格者が作業をする際の監督者として対応可能となります。関連資格には複数の種類がありますが、空調設備の仕事で必要になる資格は冷凍機械分野です。

空調設備施工管理士の将来性

空調設備施工管理士は、将来性のある職業だと言えるでしょう。実は建設業界全体から見ると、エアコンなどの空調設備が設置されるようになってから、まだ40年程度しか経過していません。そのため、他分野よりもスペシャリストと言える人材の数が十分ではなく、今後も多くの求人が公開されると予想されるでしょう。

また、空調設備は部品の劣化などが発生するため、常にメンテナンスや更新が必要になる設備です。設備更新や不具合の修理の際には空調設備施工管理士が必要になるため、今後も需要の高い職業になると考えられるでしょう。

施工管理で年収を上げるならツクノビワークがおすすめ

ツクノビワーク

施工管理で年収を上げたい方には、建設業特化のフリーランス・副業案件マッチングサービス「ツクノビワーク」の活用がおすすめです。

様々な条件の案件を取り揃えているため、希望に合った案件を紹介可能です。週1~5日の施工管理案件の中から希望の案件をマッチングいたします。大手企業の案件から、即ご活躍いただける中小の企業まで、幅広い案件をご用意しています。

スキマ時間で稼ぎたい方や年収を上げたい方はぜひこちらから詳細をご確認ください。

\5項目だけで無料登録/ まずは確認してみる

【まとめ】空調設備施工管理士は様々な知識が必要だが将来性は高く魅力も豊富!

空調設備施工管理士になるには、関連する多くの知識を保有し、高い技術力を身につける必要があります。しかし、そこには努力して勉強するだけの、将来性と価値があります。今後も需要が高まることが予想される空調設備施工管理士に必要なスキルや仕事内容をチェックし、就職・転職に向けて準備をしてみてはいかがでしょうか。

施工管理からの転職におすすめ異業種10選解体工事の施工管理についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

施工管理からの転職におすすめ異業種10選!役立つスキルも解説 解体工事の施工管理とは?仕事内容や必要な資格・試験概要を解説