現場事務とは?仕事内容やメリット・向いている人などを解説

現場 事務

現場事務とはどんな仕事なのでしょうか?建設業界へ就職希望で事務職を目指している方の中には、業務内容などに不安を抱えている人も多いでしょう。

今回は現場事務にスポットを当てました。詳しい作業内容や現場事務のメリット、デメリットなどについて解説します。他にも、現場事務の処遇や業務に向いているスキルなども解説するので参考にしてください。

現場事務とは

現場事務とは建築現場において、工事全般に関わる様々な事務作業を行う業務です。取引先との契約書や請求書、その他の書類作成や管理などプロジェクトを進めるうえで欠かせません。

他にも、事務所内での電話対応や来客の応対など業務内容は多岐にわたります。近隣住民へ工事期間や内容を説明するのも重要な仕事です。現場事務は建築施工を下支えする事務作業全般を行う重要な業務といえます。

現場事務の仕事について

この項目では、現場事務の仕事について勤務場所や服装、給料などの処遇について具体的に解説します。

実際に現場事務の仕事を始める人にとって重要な内容なので十分チェックしましょう。

勤務する場所

現場事務の勤務場所は、ほとんどが建設現場に設置されたプレハブです。プレハブときくと汚れた室内や空調のない空間をイメージしがちですが心配いりません。

プレハブ内はエアコンが完備され快適な環境で業務を行えます。清掃については現場事務員が行うこともありますが、専用の清掃員を配置している現場も多いようです。トイレや更衣室は1つしかないところが多く、その場合は男女兼用になります。

勤務するときの服装

勤務するときの服装は基本的に自由で、カジュアルな装いで出勤し作業することが可能です。建築現場に設置されたプレハブなので作業員も出入りします。多少の汚れは覚悟しましょう。

制服が決められている場合は貸与された作業服を着用します。出勤はシャツやジャケットなどカジュアルな服装で、従事するときは汚れを気にしない動きやすい服装を心がけましょう。靴もスニーカーやパンプスが適しています。

給料

現場事務の給料は地域によって異なります。週40時間で勤務した場合の年収相場を地域別にまとめたのが下表です。参考に一般事務収入との違いも記載しました。

地域現場事務年収一般事務年収現場事務年収差
東京468万円457万円+11万円
大阪342万円387万円-45万円
愛知395万円377万円+18万円
福島330万円313万円+17万円
北海道345万円337万円+8万円

代表的な地域を抜粋して記載しましたが、全国的に見ても半数以上の地域で現場事務年収が一般事務年収を上回っています。

東京、愛知など一部の都市圏では高年収となっている地域もありますが、おおむね300万円から350万円が相場です。事務職で仕事を探すなら現場事務も一考の価値があるといえます。

現場事務の仕事内容

ここからは、現場事務の仕事内容について具体的に解説します。代表的な業務内容として次の4点を取り上げました。

  • 書類の準備・提出
  • 事務所の整備
  • 工事費用の確認
  • 式典の開催・地域対応

これらは現場事務の主要業務です。以下、詳細に説明しますので参考にしてください。

書類の準備・提出

  • 現場事務で準備・提出する書類を分類すると以下の3種類になります。
    工事施工に関係する書類・・・工事請負契約書、下請契約書、注文書・請求書。他にも建設業許可申請書など官庁への提出書類もあります。
  • 安全に関する書類(グリーンファイル)・・・建設作業員の安全確保や責任の所在を明確にした書類。安全衛生計画書や作業員名簿、火気使用届など20種類h酢類以上
    の書類があります。
  • 社会保険申請書類・・・建設業許可を申請するためにも必要な書類です。厚生年金や健康保険加入確認書、雇用保険や労災保険などへの加入確認書類があります。

他に、地域の方々への挨拶状や工事の説明書など幅広い範囲で書類を準備する必要があります。

事務所の整備

現場事務所の整備も現場事務の大切な仕事です。現場事務所とは通常の会社でいうオフィスのことで、現場作業員のデスクワークやミーティングなどが行われます。

作業員数や構成に応じた事務所のレイアウト作成、電話回線やパソコンを設置するのも現場事務の仕事です。ペンや名刺などの事務用品の補充や、作業着やヘルメットなどの安全に関する備品の整備も行います。

工事費用の確認

現場事務の仕事のひとつとして、欠かせないのが建設工事にかかる費用の見積もりと経理処理です。事務所の維持に必要な光熱費や水道代、必要備品について予算と実費用を確認して支出します。

作業員の給料や交通費などの経費も予算に対する実費のチェックが必要です。毎月の工事費用も協力会社から届く多くの請求書をチェックして適正な経理処理をします。

式典の開催や近隣対応

建設工事では、着工から竣工までの局面で複数の式典が執り行われます。工事開始前の「地鎮祭」や「起工式」、施工中の「上棟式」、完成時の「竣工式」などです。

工事の安全祈願やお祝いを意味する重要な行事で、現場事務はそれらの準備や運営を担います。工事のスムーズな進行のために官公庁へ相談したり、工事の状況を地域の方々に説明するのも現場事務の重要な業務です。

現場事務のメリット

ここからは、現場事務で働く上でのメリットについて解説します。主なメリットは次の5点です。

  • 給料水準が高い
  • 良好な人間関係を築きやすい
  • 達成感を得やすい
  • コミュニケーションスキルを身につけやすい
  • CADオペレータへのスキルアップが目指せる

以下に詳しく説明します。

給料水準が高め

建設業における現場事務の年収相場は、前述したように他の業界と比べると高い水準にあります。建築会社事務職の初任給に着目すると、平均235,200円と高水準で全業種の事務職の中で第3位です。上記金額は平均相場として記載しました。

年齢や男女間、企業の規模によっても金額が上下します。個別に詳細を確認したい方は企業の求人サイトを参照してください。

良好な人間関係を築きやすい

建築業界は男性中心の社会と思われがちです。女性の視点から見ると人間関係に不安を感じる方がおられるかもしれません。しかし、実際に働いている人の声を聞くと「居心地の良い職場」と答える方が大半です。

同性間の嫌がらせやハラスメントが比較的少ないと感じている方も多く、男女関係なく良好な人間関係を築ける職種と考えてもよいでしょう。

達成感を得やすい

現場事務は建設現場を側面から下支えする業務です。プロジェクトの大小にかかわらず、目の前で建築物ができあがっていく様を見られます。

現場と一体になってプロジェクトの完成に立ち会えるのも現場事務の醍醐味です。1つのプロジェクトが完成したら、また新たな気持ちで新しいプロジェクトの完成を目指していきます。常に新鮮な気持ちで取り組めるのも仕事の「やりがい」の1つです。

コミュニケーションスキルを身につけやすい

現場事務の業務のメリットとしてコミュニケーションスキルを身につけやすい点があります。前述したように現場事務は多岐に渡る業務です。官公庁や協力会社とやりとりすることもあり、電話応対や顧客対応などが増えます。

新しいプロジェクトが開始されると新たな作業員や顧客との接点も増えるでしょう。多くのセクションと繋がりがあるので、会話やプレゼンテーションをする機会が増え、自然とコミュニケーションスキルが身につきます。

CADオペレーターへのスキルアップを目指せる

現場事務のメリットとしてCADオペレータへのスキルアップも目指せる点があります。CADは建築設計のツールですが、CAD設計士として求職する際には実務経験を問われることが多いようです。

現場事務は建築土木現場に密接している作業環境なので、建築の知識が身につきます。CADオペレーター技術を習得していれば、建築設計に対する理解が深まるので実務経験を積むチャンスです。

現場事務のデメリット

前項で現場事務のメリットをご紹介しましたが、デメリットもあります。事前に頭に入れておけば実際の現場で役立つこともあるでしょう。ここで考えられるデメリットは以下の3点です。

  • 女性への配慮が足りない場合が多い
  • 悩みを相談しにくい
  • 仕事量に波がある

以下、順に詳しく説明します。

女性への配慮が足りない場合が多い

主に女性の視点から見たデメリットですが、現場事務の職場では女性への配慮が足りない場合があります。お茶出しなど接客に関する雑用を「女性の仕事」と判断されたり、女性特有の体調の変化を理解してもらえないこともあるようです。

最近では、職場内で女性の声を受け入れる風潮も浸透してきました。「これは違う」と思ったらはっきり声に出して伝えましょう。ネガティブにならずに自分の意見を主張することでメンタルのコントロールにもつながります。

悩みを相談しにくい

悩みが相談しにくいと感じる人が多いのもデメリットの1つです。現場事務で働く若い年齢層の社員や女性社員に多く見受けられます。

建設業は比較的高齢の男性社員が多いので、若年層や女性社員は世代や性別の違いから悩みを相談しにくいと感じてしまうのです。実際は、現場社員のほとんどが年齢や性別が違っても同じ職場で働く仲間です。

オープンに接する気持ちをもって悩みを打ち明ければ優しくアドバイスしてもらえるでしょう。

仕事量に波がある

仕事量に波があるのも現場事務のデメリットです。現場事務の仕事はルーチン作業だけでなく、プロジェクトの進行状況によって仕事量が変わってきます。工期末や式典などのイベント、書類提出期限が近い時期は繁忙ですが、他はそこまで忙しくありません。

現場の作業員は毎日のように忙しく動き回っているので、仕事が暇な時間に引け目を感じることもあります。現場事務の仕事量には波があるので、普段から時間を有効に使う心がけが大切です。

現場事務が向いている人

この項目では、現場事務に向いている人について解説します。主な項目として以下の3点を取り上げました。自分の性格や行動が現場事務に適しているか参考にしてください。

  • マルチタスクをこなせる人
  • 明るくポジティブな人
  • 気配りができる人

以下、詳細に説明します。

マルチタスクができる人

現場事務の仕事は複数の業務を同時進行でこなす能力が問われる業務です。書類を作成しながら協力会社の問い合わせに応え、社員の勤務状況を確認するなどマルチタスクを効率的に進める必要があります。

集中して1つの仕事をこなすのが得意な「職人かたぎ」の人には向いていません。複数の業務を自分なりに工夫して組み立てる能力がある人は現場事務の仕事に向いています。

明るくポジティブな人

現場事務は、現場で働く人たちとプロジェクトを推進するチームの1人です。チームワークを大切にしてポジティブに明るい姿勢で業務をこなす必要があります。依頼された仕事が雑用であってもチームとして進めるプロジェクトの一部と捉えましょう。

どんな仕事でも嫌な顔をしないで積極的に動いていると周囲からも認められます。明るくポジティブな姿勢は現場事務で働く人に必要な要素です。

気配りができる人

気配りができることも現場事務の仕事をするうえで重要な条件です。建築現場では現場作業員や職員など大勢の人たちが仕事をしています。現場全体の雰囲気や状況を見ながら、今何をするべきか機転を利かせて動くことが大切です。

仕事を円滑に進める潤滑油のような存在になれば周囲の人たちにも重宝されるでしょう。一人の世界に没入することなく常に他人に対して気配りができる人は現場事務に向いています。

現場事務で活かせるスキル

現場事務は様々なエッセンスが詰まった業務です。自分の経験やスキルを活かせば即戦力として活躍できます。経験やスキルが具体的にどんな業務に役立つか表にまとめました。

活かせるスキルや経験現場事務の実業務
経理請求書処理、小口現金の取り扱い
パソコンスキル・経理書類作成、案内、掲示物作成
秘書来客対応、所長サポート
接客、受付、案内式典の準備や対応
テレマーケティング、接客電話問い合わせ対応
総務、庶務備品管理、会議準備
OA事務請求書処理、小口現金の取り扱い

現場事務に役立つ資格

現場事務業務に役立つ資格について解説します。ここでは6つの資格を取り上げました。

  • 建築業経理士
  • 日商簿記
  • 宅地建物取引士
  • CADオペレータ
  • 秘書検定
  • MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)

以下、各資格について詳しく説明します。

建設業経理士

建設業経理士とは、建設業に関する財務や経理に関する専門知識を身につけていることを証明する資格です。1級から4級までレベルに合わせた試験を受けて資格を取得します。

3級と4級は初歩的な知識を問われますが、2級以上になると専門的な建設業簿記や財務諸表などの知識が必要です。資格を得ることで、適切な経理・財務処理に必要な知識が身につきます。

日商簿記

日商簿記は日本商工会議所が主催する簿記の検定試験です。最も知名度や社会的な信頼度が高い簿記検定で、年間60万人もの人が受験しています。

簿記とは企業の経営活動を記録・計算・整理して経営成績や財政状態を明らかにできる技能です。受験することで現場事務に必要な会計知識が身につき財務諸表の分析力がつきます。資格を取得すれば現場事務の即戦力として活躍できるでしょう。

宅地建物取引士

宅地建物取引士とは不動産取引に関する専門的な知識を持つことを証明する国家資格です。

この資格を取得していれば、不動産取引の契約などの場面で登記などの重要事項が説明できます。自社建築物の売買契約ではこの資格が必須なので有資格者として重宝されるでしょう。現場事務の業務だけでなく、将来転職などでステップアップを考えるときにも有利です。

CADオペレーター

CADオペレータ―はCADというツールを駆使して建築・土木や機械などを設計する人のことです。CADに関する資格としては、CAD利用技術者や建築CAD検定などがあります。

現場事務として必須資格ではありませんが、資格を持っていると転職などの採用時に有利です。資格がなくても操作方法を体得していれば現場で簡単な設計修正を頼まれるかもしれません。

秘書検定

秘書検定は、秘書業務に関する専門知識だけでなく社会人として持つべき一般常識やマナーなどを問う検定試験です。

文部科学省が後援しているので社会的認知度が高く幅広い層の人が受験しています。受験すると接客対応で好印象を与えるための所作や効率の良い仕事の進め方など体得できるでしょう。現場事務として接客対応や所長のサポートなどで力を発揮する資格です。

MOS

MOS(マイクロソフトオフィススペシャリスト)は、マイクロソフト社が主催する資格試験です。マイクロソフト社製のエクセルやワードなどのビジネスソフトの知識やオペレーティングスキルを証明します。

現場事務業務の多くの場面でパソコンの果たす役割は重要です。資格を持っていると書類作成や給料計算、工事費用の確認や請求書の整理などが効率よく行えるので重宝されます。

【まとめ】現場事務の仕事は幅広い!チームの一員になって働く楽しさを感じよう

現場事務の仕事は、書類作成や請求書などの帳票管理から、電話対応や近隣対応に至るまで多岐にわたっています。効率よく業務をこなすには様々なスキルを身につけることが必要です。

現場と一体となってプロジェクトの完成を目指す達成感や給料などの処遇面でもメリットの多い魅力的な職種といえるでしょう。現場作業員を含めたチームの一員として働けることは大きな喜びです。
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