一人親方の制度は廃止される?今後はどうなるのかやインボイス制度なども解説!

皆様は、一人親方が存続の危機にさらされていることをご存じでしょうか。
高齢化やインボイス制度の適用によって、一人親方が仕事を続けられなくなる恐れがあります。新たな職人がなかなか増えない現状で一人親方が激減してしまうことは、建設業界にとって大きなダメージでしょう。
この記事では、一人親方が業務を続けられなくなるかもしれない理由や問題点、今後も一人親方を続けていくために必要なことを解説します。
一人親方の仕事を続けていくために、ぜひこの記事で紹介する方法を試してみてください。

そもそも一人親方とは?

一人親方とは、従業員を雇わずに建設業を営む自営業者のことです。家族が業務に携わっている場合も一人親方と呼びます。会社を設立し、自身が役員であっても、従業員がいなければ一人親方として働くことになるでしょう。
一人親方には、仕事を受けるか否か自身で判断できる、契約金額がすべて自身の収入になる、仕事の進め方を自身で決められるといった特徴があります。
近年は、なかなか雇用されないという理由で、やむを得ず一人親方になる方が多いようです。

一人親方制度が廃止になる理由

インボイス制度の導入と、一人親方の高齢化という2つの理由によって、一人親方が仕事を続けられなくなる恐れがあります。
それぞれの理由について詳しく解説します。

インボイス制度の導入

インボイス(適格請求書)とは、正確な消費税額・消費税率を記載した請求書のことです。
インボイスがあれば、請負元は今後、仕入や経費にかかった消費税を控除して、消費税を重複して納めることを回避できます。
これまで年収1,000万円以下の個人事業者は、消費税を納めることを免除されていました。しかし今後は、元請がインボイスを求める場合、一人親方は課税事業者かつ適格請求書発行事業者になって、インボイスを提出しなければならないでしょう。課税事業者になった場合、免除されていた消費税を納付しなければなりません。年収の10%の額を消費税として納めることは、一人親方にとって生活に関わる大打撃だといえるでしょう。

インボイス制度の一人親方への影響についてはこちらの記事で解説しています。

一人親方や大工へのインボイス制度の影響とは?対策や人工代の消費税についても解説

一人親方の高齢化

少子高齢化問題は、建設業界で特に深刻です。重いものを運んだり高い所に上ったりする現場仕事は、高齢になると続けるのはどうしても難しくなるでしょう。無理をすると現場での労働災害につながる恐れもあります。技術と経験を持つ一人親方が引退して減っていくのは、建設業界にとって大きな問題です。
新築物件の需要も減少していますが、それよりも職人が減るのが早いといわれています。
技術を継承する新人の育成が急務ですが、現状ではなかなか進んでいません。

そもそも一人親方の問題点

インボイス制度や高齢化以外にも、建設業界で以前からあった問題がいくつかあります。
それぞれ詳しく解説します。

不適切な請負契約

元請と一人親方との不適切な請負契約として、「偽装一人親方」が挙げられ、長年問題視されています。偽装一人親方とは、時間単価で報酬が支払われる通常の従業員の雇用関係と変わらないにもかかわらず、請負として契約することです。この偽装一人親方契約をすると、請負元は社会保険料を支払う必要がなくなります。請負先の一人親方は社会保障を受けられず、自費で対応しなければなりません。
偽装請負は法律で禁止されていますが、いまだに存在しています。

労災保険や社会保険に未加入

労災保険や社会保険に未加入の一人親方が多くいることも問題です。現場仕事には常に多くの危険があり、他業種よりも怪我のリスクが高いといえます。保険に入っていないと、万が一労働災害があった際に、十分な補償を受けられません。満足な治療を受けられず、仕事を続けられなくなる恐れがあります。また、労災保険に加入していないと入れない現場も増えています。
個人事業者はほとんどの社会保険に加入できませんが、一人親方のように労働災害の危険性が高い現場で働く方は、団体を通じて労災保険に加入できます。

労働法令が適用されない

労働法令の適用を免れるために、元請が一人親方を偽装請負として雇うことも、問題点として挙げられます。偽装請負では、時間単価で報酬が発生するような通常の雇用関係と変わらない労働条件でも、元請が労働基準法を遵守する必要がなくなります。
一人親方は十分な社会保険を受けられず、残業代や休日出勤手当、有給休暇を得られません。
また、通常の請負契約では、仕様書通りに施工をすれば業務が完了します。
しかし偽装請負では、上司の指示で雑務を含めて業務を何でもしなければならないでしょう。

一人親方が今後生き残っていくためには?

一人親方の仕事を続けるために大切なことがいくつかあります。
それぞれ詳しく解説します。

建設許可を得る

建設業の許可がないと、500万円未満の案件しか受注できません。この500万円の中には材料費も含まれています。木材や塗料だけでなくエアコンや太陽光パネルも材料に含まれるため、案件によっては材料費だけで500万円を超えてしまうでしょう。
建設業の許可を取得すれば500万円以上の案件を受注できますが、許可を取得するためには社会保険に加入しなければなりません。建設業許可は社会保険に加入していることの証明にもなるため、許可を得られれば元請が安心して仕事を発注できます。インボイス制度によって消費税を納めなければならない分、大きな案件を受注して収入を増やせるといいでしょう。

労災保険に加入する

現場仕事は、他業種よりも危険が多く、労働災害が発生するリスクがあります。特に高齢の職人は、労働災害に見舞われる可能性が高いといわれています。ご自身の身を守り、長く仕事を続けるためにも、労災保険に加入しましょう。一人親方でも、「一人親方労災保険組合」や「労災センター共済会」といった団体を通じて労災保険に加入できます。月々の掛金が約500円の少額の団体や、即日加入できる団体も多いので、ぜひ加入を検討してください。

おすすめの労災保険は「一人親方労災保険組合」

一人親方向け労災保険で一番おすすめなのは、業界No.1の加入者で実績豊富な一人親方労災保険組合の労災保険です。主な特徴は、以下の通りです。

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適切な請負契約をする

成果報酬の請負契約でなく、時間単価報酬の雇用と変わらない内容の偽装請負契約をすることは法律で禁止されています。労働者派遣法、職業安定法、労働基準法に違反していると判断されれば、請負元に罰金刑が科せられます。
ご自身の身を守るためにも、業務内容を明確にして、公正で適切な請負契約をしましょう。請負元からの指示を拒否する権利があるか、勤務時間によって拘束されないか、時間単価報酬ではなく成果報酬であるかなどの確認が大切です。

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【まとめ】一人親方は適切な契約を結び社会保険にもしっかり入ろう

一人親方が業務を続けられなくなるかもしれない理由や問題点、今後も一人親方を続けていくために必要なことを解説しました。
インボイス制度や高齢化によって、一人親方が急激に減っていくかもしれません。
偽装請負がはびこっていることや、一人親方が社会保険に未加入であることも問題です。
今後は特に、建設業許可の取得、労災保険への加入、適切な請負契約が大切です。
一人親方として仕事を続けていくために、ぜひこの記事を参考にしてください。

今後建設業の一人親方はどうなる?方向性やインボイス制度についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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