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工程表を作成しても、複雑または長期にわたる施工の場合は、稀に作業の漏れや抜けが発生することがあります。また、作業ごとにかかる時間をきちんと管理できていなければ、全体の工期を伸ばして対応しなければならない事態が発生します。
このようなトラブルを避けるために役立つのが、マイルストーンです。マイルストーンを工程表に設定することで、様々なメリットを得られます。本記事では、工程表にマイルストーンを設定することで得られる効果と、効率的に設定する方法について解説します。
工程表におけるマイルストーンとは
マイルストーンとは中間地点を意味する言葉です。元は出発地点から1マイルごとに置かれる標石を指す言葉でしたが、ビジネスにおいては作業の中間地点や節目を指す言葉として活用されています。
建設業でいえば、依頼を受けた際の計画や契約・施工や竣工後の引き渡しなど、工事の節目が該当します。
スケジュールとの違い
マイルストーンはスケジュール内における工程ごとの区切りです。工事は複数の作業を同時または施工の順序に沿って行います。このとき、予定していた施工完了日に間に合わせるためには、作業ごとに取りかかる期間や完了日を決定しなくてはなりません。この完了日管理に用いられるのが、マイルストーンです。
このことからマイルストーンは、スケジュールを予定通りに進めるために欠かせないものであるといえます。
ロードマップとの違い
マイルストーンと同じように取られがちな言葉に、ロードマップがあります。混同しがちですが、どちらも違う意味を持つ用語です。内容を簡単にまとめると、以下のようになります。
- マイルストーン:工事などの節目
- ロードマップ:工事やそれを含んだプロジェクト全体の企画書
マイルストーンは施工やビジネスにおける節目を指す一方、ロードマップはプロジェクト全体の計画であり、その道筋を時系列純にまとめたものです。どちらもビジネスにおける道筋を指すものですが、使い方などが異なる点に注意しましょう。
工程表にマイルストーンを設定するメリット
工程表にマイルストーンを設定すると、様々なメリットがあります。マイルストーンを効果的に活用するためにも、メリットをおさえておきましょう。
進捗状況を見える化できる
マイルストーンを導入すると、工事の進捗や自分が行っている作業の終了予定日などが一目で分かるようになります。作業員全員で見える化された進捗状況を共有できれば、納期の遅れを防ぐのに役立つでしょう。万が一作業の遅れが発生しても、現状がすぐ理解できるため、対応しやすくなります。
タスクの抜け漏れを防止できる
工事の際行われる作業はたくさんあります。同時進行で進めていくタスクも少なくありません。タスクの多いまたは複雑な工事では、まれに作業の抜けや漏れが発生します。
マイルストーンを導入すれば、これらの内容と進捗を一目で確認できます。タスクの漏れや抜けがあっても、迅速に対応できるでしょう。
計画変更に対応しやすい
長期的な工事では、きちんと工数を確認し、計画を練っても遅れが生じることがあります。工程ごとにきちんと作業を終え、終了予定日に間に合わせるには、定期的に進捗状況を確認しなくてはなりません。
マイルストーンがあれば、工程などの節目ごとに進捗状況や当初の計画との差異などをチェックできます。遅延が発生している場合でも発生個所が一目で分かるため、スムーズに対応できます。計画を変更する必要性があっても、その影響を最小限に抑えられます。これもマイルストーンのメリットといえるでしょう。
工程表にマイルストーンを設定するデメリット
便利なマイルストーンですが、メリットばかりではありません。マイルストーンを効果的に活用するには、デメリットを知っておくことも大切です。工程表にマイルストーンを導入する際のデメリットを解説します。
情報の記入に誤りがあると悪い方向へ進む
マイルストーンに誤った情報を記載してしまうと、それをもとに作業が進んでしまいます。
マイルストーンは現場にいる作業員全員に工程を分かりやすく伝えるものです。便利ですが、間違っている内容を施工に関わる人員すべてに伝えてしまう恐れもあります。
マイルストーンに記入する際は、誤った情報を記載していないかを定期的に確認しなくてはなりません。また、間違いに気がついたら迅速に対応し、全作業員にその旨を周知することも欠かさないようにしましょう。
作成に時間を要する
当然ですが、マイルストーン作成には時間と手間がかかります。施工計画を立てたあと、どのように設定したらよいかを検討する必要があるためです。マイルストーン作成に必要以上に注力すると、ほかのタスクがおろそかになる恐れがあります。
マイルストーン作成の際は、ほかに処理すべきタスクがないかを確認するのはもちろん、効率的に作成するためのノウハウをおさえておくことも大切です。
工程表にマイルストーンを設定する手順
工程表にマイルストーンを設定する際は、基本の手順があります。手順に従って作成すれば、効率的にマイルストーンを導入できるでしょう。設定の手順について解説します。
1.工期を設定する
まずは工程ごとの工期を設定しましょう。このとき、工期を最短期間で設定してしまうと、以下の事態が発生したときに全体を大幅に見直す状態になりかねません。
- 台風や大雨などの天候不良
- タスク担当者の欠勤
- 材料や工具などの遅延によるタスク消化不良
建設現場は様々な事故やアクシデントが起こる環境です。思わぬトラブルによる影響を最小限にするためにも、全体の工期を設定する際はある程度余裕をもって設定しましょう。
2.タスクを洗い出す
全体の工期を決めたら各タスクを洗い出します。タスクを見える化して、漏れや抜けのないようチェックしながら行いましょう。この工程では、以下の資料を用いながら行います。
- 施工検討会資料
- 設計図
- 全体工程表
このほかにもタスクに関する情報を掲載している資料があれば、作成に活用します。タスクの洗い出しが終わったら、検査やイベントなどを工程表に落とし込みましょう。すべてのタスクを落とし込んだら、再度漏れや抜けがないか確認してください。
3.ステークホルダーを洗い出す
施工において他部署や起業とやり取りが必要な場合、トラブル発生時にはそれらの担当者とやり取りしなくてはならない事態が想定できます。ステークホルダー、つまり利害関係者も洗い出しておきましょう。洗い出しの際は、以下の情報も把握しておくのがポイントです。
- ステークホルダーごとの所属や影響
- 自社・自部署が担当すべき範囲やその責任
- 強力が必要な場合に必要な対応
これらの情報を洗い出しておくことで、万が一の事態が発生してもスムーズな対応ができるようになります。
4.担当者を設定する
ステークホルダーの洗い出しまで終わったら、担当者を設定しましょう。担当者を明確にすることで、責任の所在を明確にし、作業員に当事者意識を持たせる効果が期待できます。
なお、1人の作業員に作業や責任が偏るとその作業員の状態に進捗が左右される事態になりかねません。タスクごとの担当者は、作業に取り掛かる作業員全体にまんべんなく配置しましょう。
5.ガントチャート工程表を作成する
次にタスクを表形式に管理するガントチャートを設定します。これにより、工程や進捗を管理しやすい状態に整えられます。工程表に、これまで設定した内容を一目で分かるように記入しましょう。だれが見てもすぐに内容を確認できるように作成するのがポイントです。
6.マイルストーンを設定する
ガントチャートが完成したら、マイルストーンを設定します。工程の節目に目立つ記号でマイルストーンを記入しましょう。設定に迷う場合は、各作業の完了予定日に設定します。予定日を意識しながら作業できる環境を構築できるよう意識しましょう。
WBSを活用する
なお、WBSの活用もおすすめです。WBSは「Work Breakdown Structure」の略称で、作業を階層として表現する手法を指します。タスクを階層化し、それに沿ってマイルストーンを設定するのが主なやり方です。
WBSはタスクの漏れ抜けを防ぎたい場合や、効率的に管理したい場合に便利な手法です。マイルストーン設定に悩んだときは、WBSの活用も検討しましょう。
工程表にマイルストーンを設定するときの注意点
マイルストーンを工程表に設定する際、注意すべき点があります。以下の注意点を守らずマイルストーンを設定してしまうと、デメリットや不測の事態による影響を受けかねません。作業中は以下の内容にも注意しながら取りかかりましょう。
タスクに漏れがないか確認する
マイルストーンが正常に働くには、タスクの漏れ抜けがないことが前提です。設定の際は、漏れや抜けがないか必ず確認しましょう。タスクの漏れ抜けは以下のタイミングで行うと、ミスがあっても修正しやすくなります。
- 工程表の完成後
- ガントチャートの作成時
確認の際は作成を担当した人だけでなく、各担当者にも問題がないか確認してもらいましょう。
現実的なスケジュールか確認する
タスクのボリュームやスピードを一番理解しているのは、担当者です。また、作業内容によっては前段階のスケジュールが完了していないと進められないものもあります。実際に作成したマイルストーンの内容によっては、担当者からすると現実的ではない状態になることも珍しくはありません。
タスク漏れの確認を担当者に依頼する際は、スケジュールが現実的に構築されチエルかもチェックしてもらいましょう。タスクを完了していくうえで、矛盾や達成不可能なタスクが設定されていないかを確認してください。
土日や祝日が考慮されているか確認する
マイルストーンを設定する際、土日や祝日などの存在を作業日として計測してしまうことがあります。会社の休暇日を含めるなどによって発生するズレも同様です。マイルストーンを設定する際は、土日や祝日・休日などをきちんと考慮して設定しましょう。
特に、自社・自部署以外と連携を取る際は、他社・他部署の休暇日や担当者の休日も考慮しなくてはなりません。工程表の作成や確認時には、きちんとコミュニケーションを取りましょう。
タスクの振り分けに偏りがないか確認する
先ほども少し触れましたが、タスクの振り分けに偏りがあると、担当者がいないときにトラブルや遅延が発生しがちになります。これではせっかくマイルストーンを設定しても、意味がありません。
タスクの振り分けは偏りに注意しながら行いましょう。1人の作業員に作業や責任が集中していないか必ず確認してください。
定期的に工程表を見直す
工事現場では様々なアクシデントが発生します。ときには余裕をもってスケジューリングしても、遅延やトラブルを避けられないケースも珍しくはありません。作成した工程表の内容を絶対的に見ていると、別のトラブルを招く恐れがあります。
工程表やマイルストーンは、定期的に見直しましょう。タスクを予定どおり消化できているかだけでなく、修正する必要もあるかをよく考えたうえでチェックすることで、マイルストーンが持つメリットをより効果的に活かせるようになります。
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【まとめ】工程表にマイルストーンを設置しタスクの抜け漏れを防止しよう!
マイルストーンを工程表に導入することで、従来よりも効率的に作業を進められるようになります。また、タスクも漏れ抜けや責任・人員の偏りを防ぐことで、思わぬアクシデントを避ける効果も期待できるでしょう。
施工の漏れ抜けやトラブル対策を検討しているなら、マイルストーンの導入をおすすめします。
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