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建設業を営む上で必須の建設業許可申請は、営業所や事業所の所在地によって申請先が各都道府県知事になるときと、国土交通大臣の場合があります。これから建設業許可を取得される方は注意が必要です。建設許可の申請先の違いによって申請要綱がどう変わってくるのか悩まれることもあるでしょう。今回は、建設業の許可申請の中でも国土交通大臣許可を取り上げてみました。大臣許可取得が必要な場合についての説明や、大臣許可を取得するための要件。大臣許可のメリットやデメリットについても解説します。
建設業の大臣許可が必要な場合とは
建設業許可は、「各都道府県知事許可(以下知事許可)」と「国土交通大臣許可(以下大臣許可)」に区分されています。大臣許可が必要になるのは、複数の営業所が異なる都道府県に所在している場合です。たとえば全国的な規模で工事を受注したいからといって大臣許可を申請する必要はありません。知事許可を取得していれば、全国どこの都道府県でも工事を施行することができます。受注金額の規模などにも関係ありません。
営業所の定義
ここで建設業における営業所の定義を明確にしておきましょう。営業所とは建設業に関わる営業を常に行っている本店、支店、事務所のことをいいます。ここでいう営業とは、請け負った建設工事の見積もりや入札、契約の締結や工事代金の受け取りなど金銭の授受などの業務です。実際にこれらの業務を行っていなくても、他の営業事務所などに指導したり監督したりして関与していれば営業所とみなされます。資材置き場になっている建屋や工事事務所、事務連絡所など、登記されているだけで、前述した建設業の営業を常に行っていなければ営業所とは認められません。
建設業の知事許可と大臣許可の違い
建設業許可は、各都道府県知事に申請して許可を受ける「知事許可」と、国土交通大臣に申請して許可を受ける「大臣許可」に分かれます。その違いは、建設営業所の所在地によるものです。建設事業者が運営する営業所が複数ある場合、その営業所が1つの都道府県に所在するときは「知事許可」を申請します。2つ以上の都道府県に複数の営業所が所在するときは「大臣許可」の取得が必要です。この場合、同じ都道府県内であれば、営業所の数に限らず知事許可となります。
建設業で大臣許可を取る4つのメリット
この項目では建設業で「大臣許可」を取得することのメリットについて解説します。大臣許可は、申請先が国土交通省になり国から建設許可を取得することになりますので、建設事業のステータスも高くなり数々のメリットがあります。詳細は以下に記載しますが、ここでは社会的な立場や信頼、建設事業の業務拡大など4つのメリットについて説明しましょう。それぞれの各項目は、逆説的に捉えると知事許可の場合のデメリットともいえます。
社会的信頼がアップする
大臣許可のメリットの1番目は社会的信頼度の向上です。本来なら「大臣許可」でも「知事許可」でも、その価値や重みに違いはありません。ただし、国土交通省に申請し国から許可を得ていることになると周囲の目は変わるでしょう。許可通知書に「国土交通大臣許可」書かれることで、取引先からの信頼も得られ業績向上にも繋がります。業績以外でも、経営面や技術レベルにおいても信用度が向上するので、金融機関との取引などの財政面でも有利です。
事業規模の拡大につながる
前述したように、建設業許可を取得すれば、知事許可、大臣許可に関わらず、全国のどの都道府県でも工事を施工することは可能です。ただ、工事現場と営業所が位置的に離れてしまうとスムーズなコミュニケーションが取れなくなる可能性があります。その結果建設工事を受注する確率が低くなるかもしれません。たとえば、名古屋にある営業所で、東北や北海道の工事を受注した場合、労働力の確保や資材の運搬などで細かい指示系統があやふやになりスムーズな施行に支障をきたす可能性があります。結果的に工事受注を敬遠することになりかねません。大臣許可を取得していれば、工事現場に近い営業所で工事を受注しやすくなり連絡もスムーズになります。営業所を各地に設置することができれば、その地域で工事受注の幅が広がり、結果的に事業規模の拡大も可能です。
入札が有利になる
3つ目のメリットとして、公共工事の入札で大臣許可を取得していれば有利になる可能性があります。各都道府県の入札事情によっても異なりますが、その地域に営業所が所在していれば、工事の契約がスムーズに締結されるなどの便宜性から入札に有利にはたらくのです。また、その地域に営業のある会社が、当該地域の住民を積極的に雇用するなど、地域産業に貢献していると判断される可能性もあります。大臣許可を取得して、複数の都道府県に営業所を設置することが結果的に事業の拡大につながるかもしれません。
コンプライアンス遵守につながる
最後はコンプライアンスの問題です。大臣許可を取得するためには、資料の準備や要件の確認と整備などで知事許可の場合に比べて手間がかかります。人件費なども含めるとかかる費用も嵩むでしょう。また、許可取得するまでに要する時間も軽視できません。それらの理由で、本来なら大臣許可を取得しなければならないのに、知事許可のままで営業をしている会社も存在します。昨今の建設業界ではコンプライアンスが注目されているので、いずれ会社の実態が判明し大きなリスクを背負うことになるでしょう。そういう視点では建設業法を守って大臣許可を取得することがコンプライアンスの遵守にも繋がります。
建設業で大臣許可を取る4つのデメリット
建設業で大臣許可を取得するデメリットは、知事許可の場合のメリットと考えてもよいでしょう。内容としては前述したメリットの「事業拡大」に関係するものが多く、まさに背中合わせです。また、建設業許可の場合、それが「知事許可」でも「大臣許可」でも申請書類や申請方法に違いはほぼありません。しかし、審査期間や費用などには違いが出てきます。以下に大臣許可を申請することのデメリットを4つ解説するので、申請時には留意して下さい。
取得に時間がかかる
最初は審査期間の問題です。建設業の許可申請にかかる期間は、知事許可で30日から45日ですが、大臣許可の場合は90日から120日程度かかるといわれています。新規に建設業許可を申請する事業者にとって、3カ月間業務ができないのは大きなロスです。その間売り上げも上がらず、人件費や経費も嵩みます。この審査期間は新規で申請する場合でも許可更新の申請手続きでも同じなので、大臣許可の申請は早めに準備するように心がけましょう。
コストがかかる
次に、大臣許可申請にかかる費用について説明します。建設業の大臣許可を取得申請する場合、今までまったく許可を持っていない場合は新規申請が、知事許可を取得していて他県に営業所を増設するなどの場合は「許可換え」の申請が必要です。どちらも同じ申請費用が必要で、知事許可であれば9万円、大臣許可になると15万円と費用増になります。また、行政書士に申請を依頼する場合には別に10万円以上の費用がかかることを心得ておきましょう。
営業所を廃止した場合はリスクがある
大臣許可を取得し維持するには、2つ以上の都道府県に、要件を満たした営業所を配置しなければなりません。詳しい要件については後述しますが、たとえば専任技術者が異動になったり離職した場合には再度知事許可に変更申請する必要があります。他県の営業所そのものが廃止となり大臣許可の条件から外れる場合でも同様です。その場合の許可換え新規申請でも、9万円の申請費用と行政書士に支払う10万円以上の費用が必要になります。大臣許可の場合は、このような営業所廃止に伴うリスクがあることを知っておきましょう。
新たに人材確保が必要になる
大臣許可を取得する条件として、他の都道府県に営業所を設置する必要があります。当然営業所の開設費用が必要です。また、設置した営業所にも、要件を満たし令3条に準ずる使用人と専任技術者を確保し常勤させなければなりません。実際、この人材確保に悩む事業者の方が多いようです。社内に適切な人材がいれば、まだリスクは少なくてすみますが、新規に雇用しなければならないときは、他県での雇用でさらに条件を満たす人材となるとかなり困難です。新たな人材を確保するリスクも大臣許可のデメリットだと認識しておきましょう。
建設業で大臣許可を取得するための要件
ここからは大臣許可を取得するための要件の解説です。建設許可申請には専任技術者や使用人の設置、財産要件などがあります。これらの重要な要件は大臣許可でも知事許可においても変わりはありません。大臣許可と知事許可の大きな違いは、前述したとおり2つ以上の都道府県に営業所が所在している点です。大臣許可の場合には、それぞれの営業所が要件を満たしている必要があります。この項目では以下の3つの要件について説明します。
複数の都道府県に営業所を設置
複数の都道府県に営業所を設置するのは、大臣許可を取得する場合の大前提です。営業所の定義は、建設工事の見積もりや契約の締結、金銭の授受などの業務を常時行っている本店や支店、事務所のことと前述しました。営業所として認定されるにはその他に次の要件を満たす必要があります。
- 電話や事務机、各種事務台帳などが揃っていて、住居部分と明確に区割りされた事務室が設置されていること。
- 見積もり・入札・契約締結の権限を持つ者、または付与された者が常時勤務していること。
- 建設業法に記載された要件を満たす専任技術者が常時勤務していること。
電話や事務机、居住部分との区分については内観の写真などで証明できます。また、営業所の所有を証明する登記簿謄本(賃貸の場合は賃貸契約書)の提示が求められる場合もあるので準備しておきましょう。
営業所ごとに専任技術者を設置
大臣許可でも知事許可でも営業所に専任技術者が常勤していることが重要な要件です。専任技術者になるには、国家資格や建設業に関わった実績などが必要で、営む事業が一般建設業か特定建設業かでも変わってきます。詳しい内容は、建設業法第7条ならびに第15条をご確認ください。また、配置される専任技術者の国家資格や実務実績によって営む業種が制限される場合があります。たとえば営業所に配置される専任技術者が、とび・土木の実務経験で専任されている場合、その営業所ではとび・土木業種しかできません。できるだけ業種の制限を受けないように、適切に専任技術者を配置する必要があります。
営業所に常勤の使用人を設置
建設業許可を取得するためには、営業所に「令3条の使用人」を設置する必要があります。令3条の使用人とは「建設業法施行令3条の使用人」の略称で具体的には営業所の代表者で営業所長や支店長のことです。令3条の使用人になるためには次の要件を満たさなければなりません。
- 建設工事の見積もりや契約締結などの権限が与えられている(決裁者)であること。会社の代表者からの委任状が必要になる場合もあります。
- 当該営業所に常に勤務していること。常勤の証明は現住所がわかる住民票で証明します。
- 欠格要件にあたらないこと。成年被後見人や破産者の他、過去に不正による許可を取得したり、法律違反を犯した者などは令3条の使用人になれません。
その他の案件については基本的に知事許可の要件と同じですが、地域によって違いがある場合もあるので、各自治体に確認されることをおすすめします。
建設業で大臣許可を申請する際の4つの注意点
ここからは、建設業で大臣許可を申請するときの注意点について解説しましょう。建設業大臣許可の取得申請時には申請書と添付資料を準備します。申請書については基本的に知事許可の場合と同じです。注意すべきは、申請先や作成部数、費用など、知事許可と異なる項目です。ここでは、建設業大臣許可の申請書類の書き方や申請先と作成部数について触れ、詳細な費用や申請から許可までの流れなどを説明します。なお、各地域整備局で異なる場合もありますので事前に確認しておきましょう。
作成部数に注意する
大臣許可申請書(添付必要資料含む)の記載要領は知事許可の場合と変わりありません。ただし、作成部数については注意が必要です。知事許可の場合は、各地域によって異なる場合があるので担当窓口に確認する必要がありますが、大臣許可の申請書は国土交通省へ送付する正本が1部と申請者控えとしての副本が1部の合計2部です。なお、営業所ごとに申請書や添付書類が必要になる場合がありますので、事前に各地域整備局へ確認しておきましょう。
登録税の金額を確認する
建設許可の申請時には手数料が必要になります。手数料の金額は新規申請(許可換え新規含む)の場合15万円です。知事許可は9万円なので大臣許可の方が割高になります。また、許可を受ける業種を追加する場合と、更新手続きの場合は知事許可と同額の5万円です。なお、大臣申請の新規申請手数料は、地域整備局の窓口ではなく税務署に支払います。これは、大臣許可の手数料が「登録税」という税金扱いになるためです。税務署で登録料を支払い、その領収書を各地域整備局の窓口に提出する流れになります。
都道府県ごとの要件も確認する
前述した要件以外は大臣許可の場合でも知事許可と基本的には同じです。ただ、各地方整備局によって許可要件が多少変わっていることがあるので注意してください。たとえば、関東地域整備局で申請する場合の財産要件では、財産基礎の証明方法が知事許可と大臣許可では異なります。知事許可では、潤沢な財産基礎の証明として500万円以上の自己資本金が要件です。しかし、大臣許可の財産基礎の証明では、自己資本金500万円以上を満たした上で、損失額があまりにも巨額にならないことの文言が追加されています。大臣許可の申請時は、事前に地域の整備局で要件確認をしておきましょう。
国土交通省の各地方整備局へ申請する
建設業許可「大臣許可申請」は、国土交通省の各地域整備局へ直接申し込みます。申請者は、申請書と添付書類を所管の地域整備局へ直接郵送か持参します。その後、地域整備局で審査され許可が決定すると「建設業許可通知書」が国土交通大臣名で発行され手元に届きます。許可申請から許可通知までは3か月以上かかるといわれています。書類の不備や修正などが入るとさらに期間が伸びることになるので気をつけましょう。費用はかかりますが、スムーズな手続きを行うために行政書士に申請を依頼するのも一つの方法です。
【まとめ】建設業の大臣許可の要件は厳しい!時間に余裕をもって申請しよう
今回は、建設業許可における「大臣許可」について、知事許可との違いや申請するメリット、デメリットを中心に解説してきました。メリットは事業拡大の可能性が広がる点でしょう。営業所が複数所在していれば建設工事受注の幅も広がり業績向上に繋がります。社会的な信頼やコンプライアンス遵守という二次的なメリットもあります。デメリットは、審査期間が長い点です。審査期間をあらかじめ認識し早いタイミングで準備を始めましょう。要件については知事許可とほとんど変わりませんが、地域整備局ごとに厳しい要件が追加されている場合もありますので事前の確認が必要です。
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