監理技術者と主任技術者との違いは?必要な資格や工事範囲などを徹底解説!

工事を適切に進めるための役職である監理技術者と主任技術者は、業務内容はほとんど変わりません。そのため、違いが分からず混同している方も多いのではないでしょうか。実は、監理技術者と主任技術者は、細かい違いがたくさんあります。今回は、監理技術者と主任技術者の違いについて解説します。

監理技術者と主任技術者の役割

そもそも、監理技術者と主任技術者はどのような役割を行う役職なのでしょうか。違いを理解するためにも、大元の役割を覚えておきましょう。監理技術者と主任技術者の役割について解説します。

現場や工事全体の管理

監理技術者と主任技術者の主な仕事は、工事全体の管理です。以下4つの業務に従事することで、工事全体を適切に進めるために管理していきます。

  • 施工計画の策定・実行
  • 工事の工程管理
  • 工事の品質管理
  • 工事の安全管理

工事が設計図通りかつ予算内で安全に行われるためには、最初に計画を立てなくてはなりません。計画を立て、実行するのも監理技術者と主任技術者の仕事です。具体的には、以下の検討を行います。

  • 工事の目的・内容・契約条件等の把握
  • 現場の条件
  • 基本高低
  • 施工方法
  • 仮設備の洗濯や配置

これらの計画を策定しつつ、計画通りに進んでいるかを定期的にチェックすることで、工事の工程や品質・安全確保を行います。

下請負人の指導

監理技術者の場合は、上記の業務に加えて下請負人を適切に指導し、管理する総合的な役割をこなす必要があります。下請負人に対する責任も負わなくてはなりません。業務内容における、監理技術者と主任技術者の違いといえます。

監理技術者と主任技術者の工事範囲

監理技術者と主任技術者の違いは、業務内容だけではありません。大きな違いとして、担当する工事範囲があげられます。次は監理技術者と主任技術者の工事範囲について解説します。

4,500万円以上の下請け工事は監理技術者が必須

下請金額が4,500万円以上の下請け工事(建築一式工事の場合は7,000万円以上)の現場は、監理技術者を配置しなくてはなりません。また、監理技術者のいる現場は、主任技術者の配置は不要となります。
監理技術者の配置条件に該当する工事の多くが、国や地方自治体の公共工事や大型商業施設の建設工事など、大規模工事がほとんどです。大規模工事に配置されることが多くなる監理技術者は、その分高度な経験や資格が求められます。これも主任技術者との違いといえるでしょう。

4,500万円未満の下請け工事は主任技術者も可能

主任技術者は、すべての工事現場に配置する義務があり、工事の請負状態や金額は関係ありません。ただ、令和2年度10月1日からこの条件は一部緩和されており、鉄筋・型枠工事かつ下請金額が4,000万円未満の工事には、必ずしも配置しなくてもよいという形になりました。監理技術者の配置条件に該当するような大規模工事には、主任技術者は必ずしも必要ではないため、必然的に主任技術者の担当する現場は、小規模工事現場が多くなります。

監理技術者・主任技術者になるための要件

監理技術者と主任技術者は、業務内容や担当する現場に大きな違いがあります。そのため、監理技術者と主任技術者には、それぞれなるための要件が決められているのです。ここも役職ごとの違いといえるでしょう。次は役職を得るための要件における違いについて解説します。

監理技術者

監理技術者になるための要件は、指定建設業か指定建設業以外により異なるため、注意が必要です。同じ役職で必要な資格が異なるためややこしいですが、混同しないようにしましょう。また、指定建設業以外では、実務経験を満たせば要件を満たせます。

指定建設業の場合

指定建設業に該当するのは、以下の業種です。

土木工事業、建築工事業、電気工事業、管工事業、鋼構造物工事業、塗装工事業、造園工事業

これらの工事を申請する場合は、施工管理技士などの一級国家資格または技能士認定・工区度交通大臣認定が必要です。

指定建設業以外の場合

指定建設業以外の工事は、以下22業種が該当します。

大工、左官、とび、土木、石、屋根、タイル・れんが・ブロック、鉄筋、しゅんせつ、板金、ガラス、塗装、防水、内装仕上、機械器具設置、熱絶縁、電気通信、さく井、建具、水道施設、消防施設、清掃施設、解体

こちらの該当する資格を取得するか、以下の条件を満たしたうえで監理技術者講習を受講すれば、業務に従事できるようになります。

学歴または資格必要な実務経験年数
高等学校の指定学科卒業後5年以上
専門学校の指定学科卒業後5年以上
高等専門学校の指定学科卒業後3年以上
専門学校(専門士又は高度専門士)の指定学科卒業後3年以上
短期大学の指定学科卒業後3年以上
大学の指定学科卒業後3年以上
1~6以外の学歴の場合10年以上

主任技術者

次に、主任技術者の要件について解説します。主任技術者の場合、学歴に基づく条件を満たすか、指定された資格の取得としての実務経験年数を重ねることが条件です。それぞれの条件を確認していきましょう。

資格

資格を取得する方法においては、業種によりそれぞれ条件が異なります。とはいえ、技能検定や民間資格から主任技術者になる場合、合格後3年以上の実務経験が必要です。すぐに配置する場合は、国家資格の取得を目指した方が現実的といえます。業種と該当資格は、このようになります。

 

 

業種必要資格
土木一式工事2級建設機械施工技士(第1種~第6種)
2級土木施工管理技士(土木)
建築一式工事2級建築施工管理技士(建築)
2級建築士
大工工事業2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)
2級建築士2級木造設備士
左官工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
とび・土木工事業2級建設機械施工技士(第1種~第6種)
2級土木施工管理技士(土木・薬液注入)
2級建築施工管理技士(躯体)
石工事業2級建築施工管理技士(土木)
2級建築施工管理技士(仕上げ)
屋根工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
2級建築士
電気工事業2級電気工事施工管理技士
第1級電気工事士
第2級電気工事士(免状交付後の実務経験:3年)
電気主任技術者(1種・2種・3種)(免状交付後の実務経験:5年)
管工事業2級管工事施工管理技士給水設置工事主任技術者(免状交付後の実務経験:1年)
タイル・れんが・ブロック工事業2級建築施工管理技士(躯体・仕上げ)
2級建築士
鋼構造物工事業2級土木施工管理技士(土木)
2級建築施工管理技士(躯体)
鉄筋工事業2級建築施工管理技士(躯体)
塗装工事業2級建設機械施工技士(第1種~第6種)
2級土木施工管理技士(土木)
しゅんせつ工事業2級土木施工管理技士(土木)
板金工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
ガラス工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
塗装工事業2級土木施工管理技士(鋼構造物塗装)
2級建築施工管理技士(仕上げ)
防水工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
内装仕上工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)2級建築士
機械器具設置工事業技術士試験
熱絶縁工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
電気通信工事業2級電気通信工事施工管理技士電気通信主任技術者
(免状交付後の実務経験:5年)
造園工事業2級造園工事施工管理技士
さく井工事業技術士試験
建具工事業2級建築施工管理技士(仕上げ)
水道設備工事業2級土木施工管理技士(土木)
消防設備工事業甲種:消防設備士乙種:消防設備士
清掃設備工事業技術士試験

 

学歴や経験

学歴や経験の場合は、業種がそれぞれ指定する教育機関を卒業後、学歴ごとに設定された要件を満たさなくてはなりません。

学歴必要実務経験
高等学校の指定学科卒業卒業後5年以上
高等専門学校の指定学科卒業後3年以上
大学の指定学科卒業後3年以上
上記以外の学歴10年以上

学歴はそれぞれ異なるため、業種ごとに確認しておきましょう。

監理技術者資格者証の有効期限

これらの条件に加えて、管理技士資格者証には、有効期限があります。期限は資格者証が交付された日から5年間です。有効期限が近付いてきたら、該当期間中に更新申請を行わなくてはなりません。資格者証がないと、監理技術者として現場に配置できません。更新期間をあらかじめ確認しておき、期間が近付いてきたら手続きの準備を進めておきましょう。

監理技術者の配置要件や資格

監理技術者の専任期間や専任が緩和される条件、監理技術者制度運用マニュアルなど監理技術者に関する詳細はこちらの記事でも詳しく解説しているのでぜひ参考にしてみてください。
監理技術者とは?配置要件や資格について解説

【まとめ】監理技術者と主任技術者は建設業にとって重要な人材!違いもしっかり理解しておこう

監理技術者と主任技術者は、基本の業務内容は同じです。しかし、業務の範囲や担当する現場の規模が大きく違います。混同しないよう注意しましょう。また、資格要件もそれぞれ違ううえに、監理技術者は資格者証に有効期限がある点にも気を付けなくてはなりません。混同しないよう、それぞれの違いをしっかり押さえておきましょう。

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