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昨今、建設業の経営環境への風当たりは強まるばかりとなっています。特に、建設業の見える化が経営効率をあげると考えられていますが、製造業のDX対策と違い、どのようにすればよいのかと悩むことも多いのではないでしょうか。
今回は、このように関心の高い建設業の見える化について、その内容から実際の事例まで詳細に紹介します。
建設業の見える化とは
建設業の見える化とは、言葉通りのように、目には見えない情報を見えるようにすることです。
例えば、工事の進捗具合をリアルタイムで把握したり、危険な場所を把握しやすくするといった施策のことをいいます。
工事の進み具合をリアルタイムで把握できる
建設業の見える化を進めると、工事の進み具合をリアルタイムで把握できるようになります。
工事の見える化ができないと、その工事が予定通り進んでいるか判断がつきません。そのため適切な指示ができなくなる恐れがあります。さらには、その工事の遅れや他の工事との関係上、トラブルが発生しやすくなります。
建設工事では、たいていの場合、複数の工事が同時並行で実施されていることもあり、ひとつの工事の遅れは、他の工事の進捗にも影響します。最悪の場合、土木基礎工事などが不十分なまま建設工事に入ってしまうという施工ミスを引き起こす場合があります。
最近でも、不動産会社が建設した新築マンションが施工ミスにより、建て替えとなってしまった例があります。
危険な場所を把握しやすくなる
見える化により、危険な場所を把握しやすくなる効果も見込めます。特に建設業では、安全性の観点から現場工事の把握が大切です。例えば、ビル建設の場合によく発生する高所作業では、あらかじめ危険な場所を把握しておく必要があります。現場工事の把握をしっかりするためにも、見える化が大切です。
例えば、危険な場所には警告表示を行ったり、安全通路や段差を色分けしたりすることなどがあります。製造業でもこのような警告表示はつねに実施されており、より危険性の高い建設業では、必須の対策ともいえます。
工事進捗の過程はなかなか目には見えませんが、工事進行に関する進捗率の数値やそのグラフにより、工事現場での危険性の度合いについても、容易に把握できるようになります。
建設業の見える化が重視されている理由
次に、建設業の見える化が重視されている理由についても、業務効率やリスク防止、さらにはノウハウの蓄積などの観点から解説します。
業務効率
建設業の業務を見える化すると、まず業務効率のアップが見込めます。どこの工程に多くの時間がかかっているかがわかり、その改善でき、結果的に業務の効率化につながります。
また、リアルタイムで把握できることで建設現場で多用される重機の管理も容易になるでしょう。例えば土木用などの特殊な重機は、その現場だけではなく、同じ会社の中の他の現場でも利用されています。建設業務の見える化が実行されると、このような特殊重機の管理が容易になり、時間的なロスが少なくなるという効果があります。
リスク防止
次に建設業を見える化すると、現場の安全管理にもつながり、結果的にも工事現場でのリスク防止になります。見える化により、現場で作業している全員にも危険な箇所がわかるようになり、安全管理の面でも大きく貢献できます。
例えば現在、土木基礎工事中などが明示されていれば、不必要な作業者、特に建設工事関連の作業員が入場することは避けられます。
建設業では、チーム全体としてのチームプレーが求められます。見える化により、チーム全体としてのリスク防止に大きく関与します。
ノウハウの蓄積
建設業を見える化すると、さらにノウハウの蓄積にもなります。見える化することにより、現場でのノウハウが全員にも共有され、スムーズに工事を進めることもできます。
見える化が実施されていない場合、現場作業を行うたびに担当者に質問が来るようなことが起こるでしょう。また、重機の取り扱いや機械操作についてのマニュアルやノウハウが全員に共有されていないことで大きな事故につながることも考えられます。
人への被害、近隣建物の損傷などにつながるため、ノウハウの共有は早急の課題となっています。
建設業の見える化による安全対策の事例
建設業の見える化による安全対策の効果についても、実際の事例をもとに紹介します。
安全衛生管理体制の見える化
安全衛生管理体制の見える化について、大阪労働局管内では、安全見える化運動を実施しています。特に、管内にある茨木労働基準監督署では「大規模建設工事安全衛生連絡協議会」を設置して、安全衛生管理体制の見える化に積極的に取り組んでいます。
作業中にも互いの安全意識を高める活動をしており、現場の職長を「声かけマスター」として任命すると共に、ヘルメットにも明示して徹底しています。見える化というと、なぜかパソコン上のシステムばかりが注目されますが、建設業では、このようなリアルな状態での明示が非常に重要です。その場で明示することにより、安全意識が高まり、合わせて危険防止にもつながります。
危険を防止するための見える化
危険を防止するための見える化の例として、重機にセーフティオペレーションカードという取扱い方法を詳しく解説したカードをそれぞれの機械に貼っています。
各機械の注意事項や管理方法が記載されているため危険防止につながります。建設業では、特にショベルカーやクレーンなどの重機が使われますが、茨木労働基準監督署管内では、ショベルカーの後部に「回転灯点灯後に合図」というような標語を掲載しており、はじめてその建設現場に来たような作業未熟者でも、危険防止が容易にできるようになっています。
リスクアセスメント等の見える化
さらに、リスクアセスメント等の見える化として特に安全衛生活動に力を入れています。例えば、近年では66歳以上の作業者には、ヘルメットの名前の色を「赤色」にしてもらい、周りの作業者がすぐにわかるように注意を促しています。
さらに18歳未満は「緑色」のヘルメットと腕章をつけてもらい、注意を払うことや、高齢者や若年者ともに作業未熟者では、「黄色」の腕章をしてもらうなどの工夫を取り入れることで、現場作業においてリスクの徹底を図っています。
建設業の見える化を実現する方法
建設業の見える化を実現するためには、進捗状況を把握できるシステムの導入や、見積書や資料のデジタル化、さらには現場の状況を確認できるカメラの導入などの方法があります。
進捗状況を把握できるシステムの導入
建設業の見える化には、進捗状況を把握できるシステムが必要です。工程表や施工写真などをクラウド上で一元的に管理し、現場の全員がいつでもアクセスできるようにすれば、進捗の状況がリアルタイムで把握できます。
進捗状況を常に把握できるようになることで、全体の状況も見える化できるため、問題点を発見してその対応が可能です。
見積書や資料のデジタル化
建設業の見える化には、見積書や資料のデジタル化も大切です。見積書や資料をデジタル化し、現場の全員でデータを共有すれば、印刷した資料の配布やさらにはその保管などといった業務は不要となります。
これにより必要なときに必要な資料へすぐにたどりつけるため、業務の効率も向上します。
チャットツールの導入
建設業の見える化に、チャットツールの導入も大切となります。進捗状況の把握には、現場の全員の間での迅速な情報伝達が重要です。チャットツールでコミュニケーションを取るようにすれば、電話をかけたり、メールで必要となるメモなどを省けます。
迅速な情報伝達が可能となり、情報共有がスムーズになります。一方で、情報漏えいの観点や保管が難しい情報に関しては、別途、データや紙などの別の手段を利用する必要があります。
現場の状況を確認できるカメラの導入
建設業の見える化に、現場の状況を確認できるカメラの導入も有効です。カメラを工事現場に設置することで、進捗状況の確認や危険防止の観点からも対処することができます。
もしも災害や大きな問題が発生した場合も、現場に出向くことなくすぐに状況を把握できます。このため、現状認識にもとづく迅速な判断と対応が可能です。
建設業の見える化の注意点
建設業の見える化の注意点についても、従業員への説明を怠らないこと、さらには費用対効果を確認することや、ツール選びをしっかり行うことに関しても解説します。
従業員への説明を怠らない
建設業の見える化は、システムの導入やその他の制度を実行しても、それだけでは終わりません。むしろ見える化の導入後の取組みの方が重要です。特にシステムは導入しただけで見える化できるわけではなく、常に全員が理解し、使いこなせるようになることが大切です。
また、全員がいつも正しく使用できるように、データの共有方法を工夫したり、リスク点検では、定期的な訓練を実施することも有効です。
費用対効果を確認する
建設業の見える化では、費用対効果を確認することも大切です。システムやそれに伴うツールなどの全体のコストがどの程度であるか、常に把握しておくようにしましょう。
ツール選びをしっかり行う
ツールやシステムは、せっかく導入しても、馴染みがない、使いづらいなどの理由から定着しないケースもあります。
建設業の見える化を行うためにツール導入を検討する際は、従業員全員が操作しやすいものを選ぶことも大切です。また、自社の業務や見える化の課題解決に必要な機能を洗い出し、それらが備わっているツールを選びましょう。
最低限の機能で低コストのツールを導入する場合も、将来的な拡張が可能か、複数のプランがあるかなども確認しておくと安心です。
建設業の業務効率化ならアウトソーシングサービスがおすすめ

建設業で業務効率化を進めるには、アウトソーシングサービスの利用もおすすめです。従業員のリソースがひっ迫している場合や、業務に対応できる人材が不足している場合などは、アウトソーシングサービスを活用すると、少ない工数で業務を実行できます。
BPOサービスでは、専門的な知識を持っているスタッフが対応するため、さまざまな業務をスムーズに進められます。
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【まとめ】建設業の見える化を実施し業務効率化や安全性の向上を目指そう!
建設業の見える化とは、目には見えない情報を見えるようにすることであり、工事の進捗具合をリアルタイムで検討したり、危険な場所を把握しやすくなったりします。経営効率をあげると考えられていますが、業務の効率化のみならずリスク防止やさらにはノウハウの共有など、多くの効果があります。
本記事を参考にして、関心の高い建設業の見える化について、自社でも適切に利用するようにしましょう。
施工管理の業務効率化が求められる3つの理由や建設業の業務効率化が必要な理由についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

