労働災害防止対策8選や発生する原因なども分かりやすく解説!

労働災害防止対策

労働災害は事業者にとって頭の痛い問題です。複数の要因で発生する労災を防ぐには、1つの対策では間に合いません。そこで、労働災害防止策として多くの事業者が実施しているものや、発生要因についてまとめました。労災対策にお役立てください。

労働災害とは

そもそも、労働災害とはどのようなことを指すのでしょうか。労働災害とは、業務または通勤が要因となって従業員に発生したケガや病気を指します。通称「労災」とも呼ばれており、働いたことがある人は誰もが一度は耳にしたことがあるでしょう。

労災は、業務や通勤中に発生・遭遇した事故によるケガや、業務などが原因でり患した病気が認定されます。そのため、出張や業務上・会社の都合上発生した外出中に遭遇した場合も、労働災害の対象です。

一方、ケガや事故と業務または通勤との因果関係が認められないと、労働災害とは認められません。また、休憩中や就業前後の従業員による私的な行動が原因の場合も、業務に従事した結果事故に遭ったとは認められないため、除外されます。
労働災害は企業のイメージダウンにつながるほか、内容により業務上過失傷害罪などに問われる恐れがあります。事故を未然に防ぐためにも、普段から労働災害に対する意識を従業員と共有し、対策しておきましょう。

労働災害の3つの原因

労働災害は大きく分けると3つの原因により引き起こされます。労災の発生を防ぐには、それぞれの原因をよく理解し、適切な対策を取らなくてはなりません。労災発生の原因をおさえましょう。

不安全行動

「不安全行動」とは、労働者本人または関係者の安全を害する危険性があると知りながら故意に行う行為のことです。労働災害の発生原因の大部分を占めるものでもあります。

業務に対する理解がほかの従業員より少ない勤続年数の少ない従業員や、業務に慣れてきたベテラン従業員が取りがちな行動でもあります。とはいえ、不安全行動は必ずしも従業員本人だけの問題とは限りません。
安全な作業手順が定まっていない場合や、設備自体に不備がある場合、従業員がどんなに気をつけても不安全行動につながってしまいます。

不安全行動に対する意識や対策は、従業員一人ひとりが気をつけることはもちろん、企業側も十分注意しなくてはなりません。

不安全状態

「不安全状態」とは、業務中に使用する設備・器具・作業環境などの安全性が確保されていない状態です。不安全状態が長く続くと、従業員はその環境に対応しながら作業しようとするため、不安全行動につながります。
例えば、作業のための足場の広さが十分に確保されていない場合、従業員はお互いにスペースを譲り合いながら移動や作業を行います。このような状態では、転倒や落下による事故が起きかねません。

このような事態を避けるためにも、現場をはじめとした作業を行う場所では、不安全状態が発生しないような対策が必要です。

メンタルヘルスの不調

メンタルヘルスの不調は、近年労働災害の原因のひとつとして注目されています。過重労働やパワーハラスメントなどの劣悪な職場環境は、従業員のストレスを増加させ、心身にダメージを与えかねない要因です。

これは建設現場も例外ではありません。長時間労働や無茶な施工計画・作業中に使う機械の騒音など、ストレスを増加させる原因はたくさんあります。
従業員がメンタルヘルスの問題を抱えると、効率的な作業が難しくなるだけでなく、休職や退職・それによるほかの従業員への負担などの問題も発生します。この負担がほかの従業員のメンタルに不調をきたす原因となり、負のスパイラルを作ってしまうケースもよくある問題です。

このような事態を防ぐためには、身体的な安全性だけでなく、メンタル面の安全性も確保しなくてはなりません。

労働災害防止対策8選

では、労働災害を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。次は労働災害を防ぐ対策の中でも、代表的なものを解説します。

安全衛生教育を実施する

危険行為を回避し、安全行動を順守させるには、企業だけではなく従業員一人ひとりが安全に対する意識を持たなくてはなりません。そのためには、安全や衛生に対する意識を高める活動や教育が重要です。

具体的には、以下のような制度や研修などを通して安全に対する意識をもちます。

対策 内容 目的
ヒヤリハット活動 作業中にヒヤリまたはハッとしたが、幸い労災にはならなかった事例を報告・提案・共有する活動 事故につながりかねなかった事例を共有することで、災害発生前に対策や危機回避意識などを促す
危険予知活動

(KY活動)

作業前に現場や作業に潜む危険要因とそれにより発生する災害について話し合う。 従業員同士で話し合いを持つことで、作業中に発生する危険に対する意識を高めて労災を防止する
安全当番制度 安全提案制度やこの後解説する4S活動・職場安全ミーティングなどを行う 現場や作業中で発生する危機を未然に取り除き、危機回避に必要な知識や意識を身につけることで労災を予防する

安全衛生教育は、一度実施すればいいものではありません。定期的に実施し、現場での習慣として従業員に身につけさせる必要があります。

リスクアセスメントを実施する

リスクアセスメントとは、作業に伴う危険性または有害性を見つけ出し、除去・提言するための方法です。負傷や疾病の元となるものや、その可能性が高いものを分析・対策することで、労災の発生を未然に防ぎます。
手順は以下のとおりに進めていきます。

1.労働災害に繋がるリスクを洗い出す

現場にある様々な労災リスクを洗い出します。洗い出しの際は、施工内容やそれに使う工具・建材・機械などから予想されるものだけでなく、従業員から意見を聞くことも大切です。

特に、様々なリスクに遭遇してきたベテラン従業員の意見を取り入れることで、より正確にリスクを洗い出せます。

2.リスクの重大性・発生頻度を分析する

リスクを洗い出すと、それぞれ危険性や有害性が異なっている事に気がつくでしょう。そのなかでも、特に重大または頻繁に発生するものを特定します。これにより、優先して対策すべきリスクがどれか、判断できるようになります。

3.リスクの対応優先度を決める

優先度が判明したら、対策優先度の高いリスクを決定しましょう。併せて、効果的なリスク対策の計画を立案していきます。

4.優先度が高いリスクから対策を行う

計画を立てたらその通りにリスク対策を行います。リスクによっては、完全に除去が難しいものもあるでしょう。完全に排除できないリスクは、発生時の影響を低減させるための対策を行います。

5Sを実施する

労働災害を防ぐには、普段からリスクの元となるものを除去し、万が一の事態が発生しても影響を最低限に抑えるための習慣を身につける必要があります。この習慣づけに有効なのが、5Sの実施です。5Sとは、以下5つのSがつく行動を指しています。

  • 整理
  • 整頓
  • 清掃
  • 清潔

建設現場におけるそれぞれの意味を確認していきましょう。

整理

5Sにおける整理とは、現場などにあるものを要・不要で分別し、不要不急なものを取り除くことを意味します。建設現場であれば、今使用する工具と使い終わった工具を分け、不要なものをしまうまたは捨てるイメージです。
なお、整理は工具などの現場で使うものだけでなく、自社で取り扱うデータなどの情報も含まれます。

整頓

スムーズかつ安全に作業するには、必要なものにすぐ手が届く状態にしておかなくてはなりません。作業に必要なものをあらかじめ決められた場所に置き、いつでもすぐに使える状態にする整頓も、現場の安全確保に必要な要素です。
工具や建材などの使用状況や量が常に把握できる状態を維持できる状態は、工具や建材のロスを防ぐ効果も期待できます。整頓は、整理同様定期的に行っておきたい習慣であるといえます。

清掃

現場が汚れていると、思わぬ事故を引き起こす原因になりかねません。定期的に掃除して、常に細部まできれいな状態を保てるよう点検・清掃することも大切です。

清潔

清潔とはこれまでの行動が継続的に行われた状態を維持することです。清潔な状態を維持すると、作業中の事故を防ぐだけでなく、従業員の健康や施工の品質を保つ効果も期待できます。

清潔はただ行動すれば維持できるものではありません。整理・整頓・清掃を従業員がそれぞれ能動的に行動して初めて得られるものです。普段から上記の習慣を身につけておきましょう。

躾とはこれまでの行動をルールとして実行できるよう習慣づけることです。躾の実施は、従業員だけでなく企業全体で取り組む必要があります。現場だけでなく、普段の業務でも整理整頓・清掃を心がけ、清潔な状態を維持しましょう。

特別教育を実施する

特別教育は、特定の危険有害業務に就業する前に必要な知識を身につけるための教育です。労働安全衛生法にて該当する業務を行う従業員は、特別教育を受ける必要があると定められています。

法律で決められていることですが、どれも従業員の命にかかわる事故を未然に防ぐために必要な内容です。該当する作業を業務で行う場合は、特別教育を欠かさず実施しましょう。

KY活動を実施する

KY活動とは、危険予知活動を略したものです。作業前に現場や業務を行う際に発生する危険につながる要因と発生する可能性が考えられる災害について話し合います。これにより、作業に従事する従業員の、災害に対する意識を高める効果が期待できます。

KY活動では、作業状況などを描いたイラストや、写真を用いて行うのが一般的です。こちらもほかの対策同様、欠かさず行っておきましょう。

メンタルヘルス対策を行う

労働によるメンタルヘルスの不調を防ぐための対策には、専用の対策が有効です。メンタルヘルス対策の方法としては、以下のものがあります。

セルフケア

ストレスの度合いやダメージは、人それぞれ異なります。メンタルを健康な状態に保つには、セルフケアが重要です。企業側の対策方法としては、以下の方法があります。

  • 定期的なストレスチェックの実施
  • ストレスをセルフケアする方法の教育
  • 従業員がメンタルヘルスについて相談しやすい環境作り

メンタルヘルスの維持は、ただ教育するだけでは不十分です。従業員が気になったことを相談しやすい環境を整える必要があります。

管理監督者によるケア

メンタルヘルスは自分で気をつけていても、思わぬ影響を受けていることもあります。従業員自身で気がつかない影響も含めてケアするには、監督者による従業員の管理も重要です。

普段から従業員の様子に注意し、様子のおかしいものがいた場合は、産業医に見てもらうよう指示するなど、メンタルヘルスの不調が発生したときの対応方法をまとめておきましょう。また、休職から復帰しやすい支援なども有効です。

産業医などによるケア

セルフケアや管理監督者からのケアがスムーズにできるよう、産業医と連携を取っておくことも大切です。また、メンタルケアの検収などを通して、従業員に産業医の存在を周知しておきましょう。

医療機関や支援プログラムなどによるケア

メンタルヘルスのケアは、専門的な知識が必要です。これらの本格的なケアを行うために、医療機関や専門の支援プログラムなどを活用するのもいいでしょう。

本格的なケアは、不調を訴えているときだけでなく休職からの復職の際にも必要です。また、せっかくのケアを無駄にしないためにも、該当する従業員の対応方法を専門スタッフから学んでおきましょう。

フェイルセーフ・フールプルーフの仕組みを導入する

安全対策として有効なものとして、フェイルセーフとフールプルーフがあります。様々な業種や機械で活用されている技術であり、建設現場も例外ではありません。安全対策の一環として、フェイルセーフとフールプルーフについても知っておきましょう。

フェイルセーフ

フェイルセーフとは、システムを実行中に故障や事故が発生した場合でも正常に機能するまたは安全に停止できるような設計を指します。
例えば、自動車のブレーキシステムは主要部分が故障してもブレーキを掛けられるよう、独立した機能が搭載されています。これもフェイルセーフです。

フェイルセーフは、万が一の事態が発生しても影響を最小限に抑えられる、重要な機能です。建設現場のように人命が関わる可能性のある場所で活用される機械にも、多く採用されています。現場で活用する機器にフェイルセーフ機能が搭載されている場合は、必ず確認しておきましょう。

フールプルーフ

フールプルーフは、人が誤操作しても事故につながらないまたは誤操作自体を発生させないようにする設計です。誤操作やその影響を徹底的に排除することで、安全を守る効果があります。フェイルセーフと似ていますが、フールプルーフは機械やシステムの使用者によるミスが原因である一方、フェイルセーフは故障や異常状態に対応するための対策です。
それぞれ意味が異なりますが、どちらも安全に作業する為には覚えておきたい機能であるといえます。

従業員の過重労働を防ぐ

時間外や休日労働の時間が長時間あれば、当然従業員は疲弊します。疲労は仕事のパフォーマンス低下を招くだけでなく、不安全行動やメンタルヘルスの不調を招く要因です。労働災害を避けるには、従業員の過重労働への対策も行わなくてはなりません。

なお、労働安全衛生法では、1か月の時間外・休日労働時間が80時間を超えた従業員には、医師による面接指導が義務づけられています。労働時間が適切な時間を超過している・しそうな従業員がいる場合は、労働時間の削減や年次有給休暇の取得を促しましょう。また、業務負担の偏りを防ぐ対策も重要です。

労働災害が発生した場合は労災保険の申請をさせる

どんなに注意していても、思わぬ事態は発生するものです。労働災害が発生した場合は、労災保険の申請をしましょう。労災によるマイナスイメージの発生を恐れるあまり、いわゆる労災隠しを行う事業者もいますが、これは違法です。

正規・非正規を問わず、労働災害が発生した際には労災保険を使い、適切な報告を行いましょう。

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【まとめ】労働災害防止対策に取り組み発生を適切に防ごう!

労働災害を防ぐには、様々な対策が必要です。1つの要因にだけ注目せず、バランスよく行いましょう。また、労災を防ぐための習慣を、従業員一人ひとりが身につけられるような環境や教育を行うことも、忘れないでください。

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