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マンションの大規模修繕工事は、資産価値を維持し快適な居住空間を確保するために、長期的な計画に従って行われます。工事には高額な資金が必要です。マンション管理組合としては、いつまでにどれだけの資金を積み立てるか悩ましい問題です。
この記事では、大規模修繕工事の時期や修繕資金について、国土交通省が公表したガイドラインを参照しながらまとめました。最新の改訂内容も解説しています。
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大規模修繕工事の国土交通省ガイドラインとは
国土交通省が公表したガイドラインとは、修繕工事が適切なタイミングで円滑に実施されることを目的に、修繕のための計画期間や工事時期の目安などを公表したものです。
建築物の経年劣化などのデータや、法律なども視野に入れ多角的な視点で設定されています。管理組合が長期的な修繕工事計画を立てる際にとても有用です。ガイドラインには、修繕のための工事計画書の様式や、修繕工事計画期間の目安、工事に必要な資金調達などについて詳細に記載されています。
国土交通省ガイドラインの対象
国土交通省が公表したガイドラインの対象は、住居用の単棟型マンションです。
しかし、単棟型マンションでも、建築仕様や立地条件などの違いで建物の劣化状況が異なる場合もあります。それぞれのマンションの仕様を十分確認して実態に合わせた計画立案が必要です。対象は単棟型マンションですが、項目を追加すれば団地型マンションにも流用できます。
大規模修繕工事の定義
国土交通省のガイドラインによる大規模修繕工事の定義とは、建築物の改修や修繕工事のうち、大規模の工事や、高額な工事、また、長期間に及ぶ工事のことを指します。
マンションは、築年数が経過すると外壁などが経年劣化するので、劣化状況に見合った修繕工事が必要です。大規模修繕工事をタイミングよく円滑に実施するために、国土交通省のガイドラインを目安に、工事資金積立なども含めた長期的な修繕計画を立てましょう。
大規模修繕工事の周期が12年とされてきた理由
大規模修繕工事の周期を12年としているのは、国土交通省ガイドラインに沿って長期計画を立てているためです。ガイドラインでは、マンションの修繕計画期間を25年(新築の場合は30年)とし、大規模修繕工事は25年間に2回(およそ12年周期)行うとされています
。これは、外壁材や屋上防水素材が劣化する時期や、特定建築物の定期的調査を勘案した設定です。なお、ガイドラインは令和3年に改訂されています。詳しくは後述します。
国土交通省ガイドラインの課題
国土交通省ガイドラインに沿って大規模修繕計画を立てる場合の課題は、マンションの高経年化といえるでしょう。ガイドラインでは、計画の見直しを5年周期で行うこととしていますが、経年に応じて劣化は激しくなり費用も増大します。場合によっては建て替えの判断も必要です。この項目では、マンションの高経年化問題について掘り下げてみました。
築30年越えのマンションの問題点
高経年マンションの劣化修繕費用は多額になります。特に、築30年は経年劣化だけでなく、昇降機の入れ替えや建て替えの検討も必要です。
国土交通省の調査でも、築30年以上の管理組合の半数近くが、設備の劣化や災害への対処に不安を訴えていました。かさむ修繕費用については、専門家も交えて綿密な計画を立てて事前に準備をしておきましょう。管理会社としても高経年化は避けて通れない課題です。
計画修繕・改良・改修の重要性
高経年化マンションの大規模修繕工事は、劣化箇所の修繕回復だけではありません。省エネや耐震構造など、新築時にはなかった社会的要請にも応える必要が出てきます。高経年化マンションの劣化対応ポイントは次の3点です。
- 計画修繕
劣化した設備などを修理・交換して、実使用に問題が無いレベルまで回復させる。 - 改良
構成部材や設備を取り替える際に、新しい性能・機能を加えグレードアップする。 - 改修
マンションの建築物としての性能(耐震・断熱など)を向上させる。
住みやすさの向上も含め、以前にも増して改良や改修が重要なポイントです。
長期修繕計画に関するガイドラインの改訂内容
国土交通省の長期修繕計画ガイドラインは、マンション管理の適正化法改正を受けて令和3年に改訂されました。主な改訂内容は次の3点です。
- 長期修繕計画の計画期間
- 大規模修繕工事の周期
- 社会的要請を踏まえた修繕工事の有効性
以下に詳しく説明します。
長期修繕計画の計画期間
従来の長期修繕計画期間は、中古マンションで25年、新築マンションで30年でした。令和3年の改訂では、中古マンションも新築と同様に30年に統一されています。
主な理由は、マンション管理適正化法の法制化により新たな管理推進の動きが出てきたことです。また、設備や建築工法の技術が進歩して、経年劣化の進捗が鈍化したことなども反映されました。
大規模修繕工事の周期
従来のガイドラインでは、マンションの長期修繕計画期間に合わせて大規模修繕工事はおよそ12年に一度でした。改訂後は、長期修繕計画期間の統一化や外壁工事などの工事事例を反映して、幅を持たせた周期の目安に変更されています。代表的な工事周期は以下のとおりです。
- 外壁塗装の塗り替え・・・12〜15年
- 空調・換気設備の取り換え・・・13〜17年
- 屋上防水・バルコニー床防水工事・・・12〜15年
- 給排水管再生工事・・・19〜23年
大規模修繕工事は、計画から工事完了まで2~3年を要する大きなプロジェクトです。ガイドラインの目安を参考に劣化状況を調査して、計画的に進める必要があります。
社会的要請を踏まえた修繕工事の有効性
改訂されたガイドラインでは、社会的要請を踏まえたマンション改修工事の有効性が記載されています。
築30年を超えるような築古のマンションでは、屋上や壁の断熱性の水準が低いのが実情です。建設物省エネ法が制定され、建築物のエネルギー消費性能向上が注目されています。マンションの断熱水準を上げる改修施工は、社会的にも有効性が高い工事です。
修繕積立金に関するガイドラインの改訂内容
令和3年のガイドライン改訂では修繕積立金についても変更されました。ポイントは次の2点です。
- 修繕積立金の目安(ガイドライン改訂による見直し)
- 修繕積立金の計算方式(ガイドライン改訂による見直し)
以下具体的に説明します。
修繕積立金の目安
ガイドラインの修繕積立金の目安は、占有床面積㎥(立法メートル)あたりの単価設定になっています。積立金額は単価に各部屋の専有面積を乗じた金額です。令和3年の改訂では、次のように単価が更新されました。
- 地上階20階以上の月平均値・・・338円/㎥
- 地上解20階未満の月平均値・・・252円から335円/㎥(専有面積の広さで異なる)
今回の改訂で単価が更新されたのは、資材単価や人件費が高騰したことで工事費が増額するためです。
修繕積立金の目安に係る計算式
ガイドラインの改訂で、修繕積立金の目安にかかる計算式についても見直されています。従来の計算式は、新築マンションのデータをもとに計算されました。改訂後は、既存のマンションで、既に積み立てられた修繕積立金残高も用いた計算式に変更されています。従来と改定後の計算式の違いは次のとおりです。
- 従来
修繕積立金の目安=修繕積立金の目安/専有面積×専有床面積 - 改訂
計画期間中の積立金平均
=計画当初の積立金残高+計画期間の積立金総額/総床面積×修繕期間
【まとめ】大規模修繕工事は改訂後の国土交通省ガイドラインを参考に行おう
大規模修繕工事ガイドラインは、長期修繕計画期間25年(新築の場合は30年)の設定、その間の修繕工事の頻度や修繕費用の積立目安などを示したものです。大規模修繕工事を計画するときは、ガイドラインを有効活用して、適切な修繕計画を立案しましょう。なお、令和3年にガイドラインが改訂され、修繕積立金の目安も見直されています。
大規模修繕とは何か、工事の内容や注意点についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。
大規模修繕とは?建築基準法の定義や工事の内容・注意点などを解説
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