アパートの大規模修繕工事を行うメリットや費用・注意点を解説!

大規模修繕 アパート

アパートの老朽化が気になり、修繕工事をしたいと考えている人はいらっしゃいますか。適切な時期に大規模修繕工事を実施しないと、事故が発生したり、アパートの価値が大きく下がったりする恐れがあります。

本記事では、アパートの修繕工事の種類、大規模修繕のメリット、修繕をしないことのリスク、修繕工事資金の準備方法などを解説します。

アパートの修繕工事の種類

アパートの修繕工事の種類は主に以下の3つです。

  • 大規模修繕
  • 小規模修繕
  • 原状回復

それぞれの内容を解説します。

大規模修繕

アパートの修繕工事の1つに、大規模修繕が挙げられます。初回は築10年前後、2回目以降は10~15年程度の周期で実施されることが一般的です。雨風にさらされるベランダや階段の塗装、給排水管の取り換え、エアコンやトイレといった室内設備の修理などが実施されます。劣化状況によりますが、多くの場合、高額な費用と長い施工期間がかかります。

小規模修繕

小規模修繕は、予防修繕や補修などとも呼ばれる修繕です。主に設備にトラブルが起きたときに実施されます。アパートの共用部分の電球交換、水漏れの補修、エレベーターの不具合修理、シロアリ対策などが小規模修繕に挙げられます。Wi-Fi設備の設置のような住民の要望に新たに応える工事も小規模修繕の一種です。大規模修繕より安価に済みますが、頻度が高めです。

原状回復

住民退去後の原状回復もアパートの修繕工事の一種です。壁紙の張り替え、畳やフローリングの張り替え、ハウスクリーニングなどが原状回復に挙げられます。通常したにもかかわらず破損した箇所や経年劣化した箇所の修繕は、原状回復には含まれません。原状回復は必須ではありませんが、実施しないと新たに入居する人が不満を抱く可能性があります。

アパートに大規模修繕工事を行う5つのメリット

アパートに大規模修繕工事をするメリットが5つあります。

  • 外観や設備改善により空室対策できる
  • 安全性が向上し事故防止につながる
  • アパートの資産価値を維持できる
  • 入居者の快適性や満足度が向上する
  • 稼働年数を伸ばせる

それぞれの内容を解説します。

外観や設備改善により空室対策できる

入居者が増えず空室が多い場合は、大規模修繕によって空室が埋まるかもしれません。アパートの老朽化が進むと、内見者に古くて汚いという印象を持たれ、入居を見送られる可能性があります。大規模修繕によって見た目を改善すれば、悪印象を持たれずに済むでしょう。外壁のひび割れや剥がれの補修、鉄製の手すりや階段の錆止め、古い設備の更新などが有効です。

安全性が向上し事故防止につながる

大規模修繕工事は、安全性が向上し事故防止につながります。アパートが経年劣化すると、外観が損なわれるだけでなく、事故のリスクが高まります。
鉄製の手すりや階段が錆び付いていたり、木材がシロアリの食害に遭っていたりすると、何かのはずみで破損して人が怪我をするかもしれません。場合によっては、オーナーが多額の賠償金を払わなくてはいけなくなります。事故が発生する前に修繕を実施することが大切です。

アパートの資産価値を維持できる

大規模修繕工事をすることで、アパートの資産価値を維持できます。老朽化が進むと、資産価値が下がり将来のアパートの売却額が想定より低くなるかもしれません。手放さなくても、賃料を下げないと入居者が集まらない可能性があります。アパート自体は古くても、市場のニーズに合わせて設備を導入することで、価値を付加して人気を高められます。

入居者の快適性や満足度が向上する

入居者の快適性や満足度が向上することも大規模修繕工事のメリットです。
例えば、オートロックやモニター付きのインターフォンといったセキュリティ設備を導入すれば、入居者の安心感が高まるでしょう。隣人の声が聞こえる部屋や、夏は暑く冬は寒い部屋は、修繕によって快適性を高められます。入居者に長く住んでもらえれば、安定した収益を得られます。

稼働年数を伸ばせる

大規模修繕工事により、稼働年数を伸ばせます。アパートの老朽化が進み、維持できなくなると、十分な収益を得られないままアパートを取り壊さざるを得なくなるかもしれません。適切な修繕をすれば、アパートの耐久性を維持して長く稼働できます。大規模修繕には高額な費用がかかるかもしれませんが、建て替えるよりは費用を抑えられるでしょう。

アパートの大規模修繕工事を適切な時期に行わない4つのリスク

アパートの大規模修繕工事を適切な時期にしないと、以下のリスクがあります。

  • 外観の老朽化や満足度の低下により入居者が減少する
  • 事故のリスクが高くなる
  • アパートの資産価値が下がる
  • 耐久性の低下などで費用が増大する

それぞれの内容を解説します。

外観の老朽化や満足度の低下により入居者が減少する

アパートの大規模修繕工事を適切に実施しないと、外観の老朽化や満足度の低下により入居者が減少する恐れがあります。新築時は外観がきれいでも、10年以上経過するとどうしても見た目が古びてみすぼらしくなります。新築当時の最新設備も時代遅れだとみなされるかもしれません。満足度を維持・向上するために、大規模修繕工事が必要です。

事故のリスクが高くなる

大規模修繕工事せずに放置すると、事故のリスクが高まります。鉄製の手すりや階段が劣化して破損すると、入居者が怪我をするかもしれません。劣化した外壁が崩れると、入居者だけでなく周囲の通行人や車にも損傷を与える恐れがあります。アパートの所有者が責任を問われ、多額の賠償金を請求されるケースもあります。事故が発生する前に適切な修繕工事を実施することが重要です。

アパートの資産価値が下がる

アパートの資産価値が下がることも、アパートの大規模修繕工事を適切な時期に実施しないリスクの1つです。
老朽化を放置すると、数十年後の資産価値が下がり、手放す際にほとんど買値が付かない恐れがあります。老朽化が原因で収益も低かった場合、建て替えの費用を捻出することも難しいでしょう。大規模修繕には高額な費用がかかりますが、放置するよりも価値を残せます。

耐久性の低下などで費用が増大する

アパートの大規模修繕工事を適切な時期に実施しないと、耐久性の低下や設備の老朽化などを対策するために、かえって費用が増大するかもしれません。
こまめなメンテナンスは重要ですが、問題が起こるたびに対処していては、メンテナンス費用がかさみます。大きな事故が発生する前に、大規模修繕工事で問題の原因を取り除くことをおすすめします。

アパートの大規模修繕工事を行う周期の目安

アパートの大規模修繕工事を実施する周期は、5年ごと、10年ごとが一般的です。
雨風にさらされる鉄製のベランダ、階段、廊下の塗装、設備の修理、給排水管の高圧洗浄などは5年周期で実施することをおすすめします。屋根や外壁の塗装は10年が目安です。
新築から20年以上経過すると、給排水管や貯水槽の交換が必要になるかもしれません。劣化や損傷が著しい場合は、周期にかかわらず速やかに修繕しましょう。

アパートの大規模修繕工事にかかる費用

国土交通省が発行した「民間賃貸住宅の計画修繕ガイドブック」で大規模修繕工事にかかる費用が試算されています。
ガイドブックによると、1棟10戸(1LDK~2DK)の木造アパートの大規模修繕工事にかかる費用は、築5〜10年で約90万円、築11〜15年で約640万円、築16〜20年で約230万円です。
建て方や建材などによって費用は異なります。劣化や破損具合によってはさらに費用がかかるでしょう。

アパートの大規模修繕工事を行う資金を準備する方法

アパートの大規模修繕工事の資金を準備する2つの方法を以下で解説します。

  • 修繕積立金
  • リフォームローン

修繕積立金

修繕積立金は、修繕工事の費用に充てるために毎月積み立てる資金を指します。適切に積み上げておけば、費用の捻出に困らずに済むでしょう。自力で用意する場合は、銀行の定期預金や普通預金を利用します。生命保険や損害保険で積み立てることも可能です。自分で管理することに不安を感じる人は、アパート管理会社に依頼して家賃の一部を積み立ててもらいましょう。

リフォームローン

リフォームローンも、アパートの大規模修繕工事の資金を準備する方法の1つです。
金融機関や住宅金融支援機構などから資金を借り入れて修繕に充てます。ただし、建築時のローンが残っている場合、負担が増大します。マイカーやマイホームのローン返済状況によっては審査に通らないかもしれません。金融機関と十分に相談して利用しましょう。

アパートの大規模修繕工事の費用を抑える方法

アパートの大規模修繕工事の費用を抑える方法がいくつかあります。

  • 入居者チェックをしっかり行う
  • 定期的な修繕を行う
  • 工事はまとめて行う
  • 建物診断を行う
  • 管理会社に任せきりにしない
  • 相見積もりをとる

それぞれの内容を解説します。

入居者チェックをしっかり行う

大規模修繕工事の費用を抑えるために、入居者チェックを十分に実施しましょう。
アパートの劣化具合は、入居者の暮らし方で大きく変わります。設備を雑に使う人がいると、劣化が早く進み、修繕費用が大きくかさむかもしれません。入居者チェック項目を管理会社と相談して決め、丁寧に使ってくれそうな人に入居してもらいましょう。

定期的な修繕を行う

定期的な修繕を実施することで大規模修繕工事の費用を抑えられます。
小さな不具合でも、放置すると大きくなり、修繕に高額な費用がかかるかもしれません。事故が発生すると、管理者責任に問われる恐れもあります。国土交通省が「長期修繕計画ガイドライン」で点検すべき項目を紹介しています。ガイドラインを参考にして、計画を立てて定期的に点検・修繕をしましょう。

工事はまとめて行う

大規模修繕工事の費用を抑えるために、工事は可能な限りまとめて実施することをおすすめします。
足場が必要な外壁修繕工事と屋根修繕工事を同時に実施すれば、足場組立費用は1回分で済みます。ただし、速やかな修繕が必要な場合は、無理にまとめずに工事をしましょう。滞りなく複数の工事をまとめて実施するためには、あらかじめ修繕工事の計画を立てることが大切です。

建物診断を行う

建物診断を実施することも大規模修繕工事の費用を抑えるために重要です。検査会社による建物診断によって、事故が発生する前に不具合を発見できます。経年劣化の進行具合だけでなく、耐震性や収益性も調べられます。本格的な建物診断には20万円以上の費用がかかりますが、症状がわかれば余計な修繕工事をせずに済むため、最終的な出費を抑えられるかもしれません。

管理会社に任せきりにしない

大規模修繕工事の費用を抑えるために、修繕工事の時期や施工業者を管理会社に任せきりにしないようにしましょう。管理会社に一任することで手間を減らせますが、余計な費用が発生しても気付けないかもしれません。
修繕工事の内容や時期の決定、施工業者の選定を自分で実施すれば、費用を抑えられるでしょう。専門的な知識や経験を有する管理会社と十分に話し合うことが大切です。

相見積もりをとる

複数の施工業者で相見積もりをとって、大規模修繕工事の費用を抑えましょう。同じ工事依頼でも、業者ごとに内容や必要な人員が異なるため、費用に差が生まれます。大規模な工事の場合は、業者によって数十~数百万円の差が発生するかもしれません。見積に不自然な点があれば、「マンション管理センター」や「住宅リフォーム・紛争処理支援センター」といった専門家に相談しましょう。

アパートの大規模修繕工事を行うときの注意点

アパートの大規模修繕工事をする際には以下の3点に注意しましょう。

  • 事前に告知を行う
  • 入居者に配慮しながら工事を進める
  • 一時的に家賃を減額する

それぞれの内容を解説します。

事前に告知を行う

大規模修繕工事を実施する際には、事前に周囲に告知しましょう。大規模修繕工事をすると、振動や騒音によって周囲に迷惑がかかります。告知せずに工事を始めると、住民以外にも近隣住民とのトラブルが発生するかもしれません。円滑に修繕工事を進めるために、訪問でのあいさつやポスティングなどで十分に事前告知しましょう。

入居者に配慮しながら工事を進める

事前告知をすることだけでなく、入居者に配慮しながら工事を進めることも大規模修繕工事を実施する際に大切です。大規模な工事は住民や近隣住民にとって大きな負担です。告知をしていても、眠れない、洗濯物を干せないといった苦情を言われるケースもあります。工事の詳しい内容や日程を掲示したり、苦情に誠実に対応したりすることが重要です。

一時的に家賃を減額する

大規模修繕工事中は、一時的に家賃を減額することも検討しましょう。修繕工事があまりにも長期間にわたる場合、不満を感じた入居者が退去したいと思うかもしれません。工事に伴って退去を選ぶ人が多くいたら、管理会社と相談して家賃の減額を検討してください。
収益に大きくかかわるので、金額や時期は慎重に決めましょう。

【まとめ】アパートの大規模修繕工事は適切な時期に行おう

アパートの修繕工事の種類、大規模修繕のメリット、修繕をしないことのリスク、修繕工事資金の準備方法などを解説しました。修繕せずに放置すると、事故が発生したりアパートの価値が大きく下がったりするかもしれません。あらかじめ修繕計画を立てることが大切です。ぜひ本記事を参考に、大規模修繕工事の実施を検討してみましょう。

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