建築におけるボリュームチェックのやり方とは?期間や相場も解説

建築計画を立てる際、「この土地にどんな建物が建てられるのか?」を把握するうえで重要なのが、ボリュームチェックです。

しかし、どのようにボリュームチェックすればいいかわからない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、ボリュームチェックのやり方や期間、費用の目安を専門的に解説します。あわせて、ボリュームチェックの依頼先の選び方なども解説します。ボリュームチェックに関する幅広い知識が身につくため、ぜひ最後までご覧ください。

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建築におけるボリュームチェックとは

ボリュームチェックとは、敷地条件と法規制に基づいて建築可能な建物の規模を試算する作業です。

都市計画法や建築基準法の制限を確認し、建物の高さ・階数・延床面積などの上限を把握するために重要なポイントです。この工程により、「建築できる建物の規模」が可視化され、設計の方向性が明確になります。

ここでは、ボリュームチェックの役割と重要性を解説します。ボリュームチェックの基本的な知識を身につけて、これから解説する内容を理解の助けとしてください。

ボリュームチェックの役割

建築におけるボリュームチェックの主な役割は、建築計画の実現可能性を事前に把握することです。土地の形状や道路との関係、法的制限を考慮し、設計可能な建物の範囲を明確化します。例えば以下のような要素を検討します。

  • 建ぺい率・容積率の上限
  • 用途地域・防火地域の制限
  • 道路斜線・北側斜線などの高さ制限
  • 建築後の採光・日影への影響

ボリュームチェックによりこれらを整理することで、設計の無駄を防ぎ、コストや期間を最適化できます。

ボリュームチェックの重要性

ボリュームチェックは、建築計画の初期段階でリスクを最小化する鍵です。事前に法規制を確認せずに設計を進めると、「容積率超過」「斜線制限違反」などで設計変更や再申請が発生することがあります。

また、不動産開発では、ボリュームチェック結果は収益シミュレーションの基礎です。建築できる延床面積を正確に把握すれば、賃貸収益や販売単価の明確な想定も可能です。つまり、ボリュームチェックは「設計」「法規」「事業性」をつなぐ中核的なプロセスといえます。

建築におけるボリュームチェックのやり方

ボリュームチェックの手順は、以下のステップで行われます。

  1. 法規・敷地条件の確認
  2. 敷地形状の実測・図面化
  3. 建築ボリュームの試算
  4. プラン案・レポート作成

法規・敷地条件の確認では、用途地域や建ぺい率などを自治体の都市計画図や所管の建築指導課等の担当部署で確認します。

次に、現地を測量し、その結果をもとに敷地図をCAD上で作成します。実際の寸法・高低差を反映し、建築可能な範囲を正確に図示することが重要です。そして、敷地図をもとに、建ぺい率・容積率を適用して延床面積や階数を仮定します。

最後に、ボリュームチェックの結果をもとに簡易プランやレポートを作成します。

建築におけるボリュームチェックの重要なポイント

ボリュームチェックでは、容積率・建ぺい率・各種法規制の確認が最も重要です。特に都市部の建築計画では、法令制限が複雑に絡み合うため、計算や確認を誤ると設計変更やコスト超過につながります。

容積率や斜線制限、日影規制などを正確に把握することで、現実的かつ効率的な建築計画を立てられます。

ここでは、以下の建築におけるボリュームチェックのポイントを詳しく解説します。

  • 容積率を確認・計算する
  • 各種制限を確認する

容積率を確認・計算する

建築におけるボリュームチェックの基礎となるのが、容積率の確認と計算です。容積率とは、敷地面積に対する建物の延床面積の割合を示す数値で、建築可能な総床面積の上限を決める重要な指標となります。

用途地域や前面道路の幅員によって制限が変わるため、法的上限値と実際の計画値を正確に比較することが欠かせません。この工程を怠ると、容積率オーバーによる再設計のリスクが生じるため、正確に計算することが重要です。

容積率の確認方法

容積率の確認は、まず都市計画図や自治体の所管の建築指導課等の担当部署での調査から始めます。容積率を確認する際、チェックすべきポイントは次の通りです。

  • 敷地の用途地域(住宅・商業・工業など)
  • 指定容積率(都市計画で定められた上限)
  • 前面道路の幅員(12m未満の場合、制限値が変動)

また、防火地域や準防火地域などの指定も影響する場合があります。確認結果はボリュームチェックシートに反映し、設計前に行政条件を明確化することが重要です。

容積率の計算式

容積率の確認方法を把握したら、実際に容積率を計算します。容積率は次の式で求めます。

容積率(%)=(延床面積 ÷ 敷地面積)× 100

例えば、敷地面積200㎡で延床面積300㎡の建物なら、容積率は150%です。
ただし、前面道路の幅員が12m未満の場合は、以下の式で上限が変わります。

指定容積率 × (前面道路幅員 ÷ 12)

つまり、道路幅6mで指定容積率200%なら、実際の上限は100%となります。
この調整を誤ると法規違反になるため、道路条件を踏まえた正確な計算が必要です。

各種制限を確認する

ボリュームチェックでは、容積率に加えて高さや形状に関わる制限も必ず確認しなければいけません。建築物の高さや形状は、建築基準法や自治体条例で定められており、建物の配置・高さ・屋根形状に大きく影響します。

特に、確認すべきなのが道路の斜線制限と高度地区の高さ制限、日影規制の3つです。これらの条件を事前に把握しておくことで、無理のないボリューム設計が可能です。自治体ごとに定められた制限を把握して、ルールに違反しない計画を立案しましょう。

道路斜線制限が設けられている

道路斜線制限とは、道路に接する建物の高さを制限する制度です。道路の幅員に応じて建物の上部を斜めにカットするような制限がかかり、通風や採光の確保を目的としています。

道路斜線制限は、以下のように計算します。

  • 道路中心線から一定距離(通常は1.25倍の勾配)以内に建物が収まるように設定
  • 道路幅員や用途地域によって勾配が異なる

この制限を無視すると建築確認が下りないため、設計初期段階でのシミュレーションが欠かせません。

高度地区等による絶対高さの制限がある

高度地区とは、都市計画で定められた地域ごとに建物の高さを制限する制度です。

「第一種高度地区」「第二種高度地区」などの指定があり、それぞれ上限(例:10m・12mなど)が異なります。

また、風致地区や景観地区では、周辺環境との調和を目的にさらに厳しい高さ制限が設けられていることも珍しくありません。これらの条件は自治体の都市計画課で確認できます。

ボリュームチェック時には、用途地域と合わせて高度地区の指定有無を必ず確認しましょう。

日影規制がある

日影規制とは、建物が隣地や道路に過度な日影を落とさないための制限です。主に中高層住宅や商業施設などに適用され、敷地の用途地域ごとに時間帯や影の長さ、影の面積が定められています。

例えば、住宅地では冬至日の午前8時〜午後4時のうち連続3~5時間以内など、日影時間の上限が設けられます。この規制を考慮せずに設計すると、建築確認での指摘や設計変更が必要です。

ボリュームチェックでは、3Dモデル上で影のシミュレーションを行い、法規制内に収まる形状を検証します。

建築におけるボリュームチェックの依頼先と選び方

ボリュームチェックは専門的な知識が求められるため、信頼できる専門機関への依頼が欠かせません。依頼先によって費用・対応範囲・提案内容が異なるため、目的に合わせて選ぶことが重要です。

ここでは、主な依頼先として「設計事務所」「不動産会社」「ハウスメーカー・工務店」の特徴を解説します。併せて、最後に失敗しない依頼先選びのポイントを紹介します。依頼先ごとの違いを把握して、最適な業者に依頼するための知識を身につけましょう。

主な依頼先

ボリュームチェックは、建築や土地活用の初期段階で行うため、設計事務所・不動産会社・ハウスメーカー・工務店のいずれかに依頼するのが一般的です。

それぞれの機関には、以下のような得意分野があります。

  • 設計の精度を重視する場合は「設計事務所」
  • 土地活用や収益性を重視する場合は「不動産会社」
  • 実際の建築を見据える場合は「ハウスメーカー・工務店」

このような選び方が有効です。以下でそれぞれの特徴を詳しく解説します。

設計事務所

設計事務所に依頼する最大のメリットは、法規制を踏まえた高精度なボリュームチェックができる点です。

設計事務所の建築士は、豊富な知識と経験を蓄えています。建築士が直接、敷地条件・斜線制限・容積率などを総合的に検討し、将来的な設計プランを見据えた提案を行います。

特に、敷地形状が複雑な場合や法規制が多い都市部では、設計事務所の分析力が強みです。経験豊富な建築士に依頼できるため、土地に合わせた最適なプラン立案ができます。

不動産会社

ボリュームチェックを不動産会社に依頼するケースも珍しくありません。不動産会社では、土地売買や活用提案の一環としてボリュームチェックを実施しています。設計事務所ほどの詳細な図面は出ないものの、建築可能面積や収益性の概算を早期に把握できる点が特徴です。

賃貸マンションや商業施設の企画では、収益シミュレーション付きのボリュームチェックを提供するケースもあります。「土地を活かしてどの程度の建物が建つか」を知りたい段階での依頼に適しています。

ハウスメーカー・工務店

ハウスメーカーや工務店は、実際の建築を見据えた実践的なボリュームチェックを行います。設計だけでなく、建築コスト・工期・設備仕様まで含めて提案してくれるのが特徴です。そのため、実際にどういった建物が建てたいかのイメージがある人におすすめです。

特に、住宅建築やリノベーションでは、多くの場合プラン作成と同時に行われます。そのため、「この敷地でどんな家が建てられるか」を具体的にイメージできます。メーカーによっては自社工法に合わせた提案になるため、複数社の比較検討が重要です。

依頼先の選び方

ボリュームチェックの依頼先を選ぶ際は、目的と計画段階に合わせて判断することが大切です。

  • 設計段階の精度を重視するなら 設計事務所
  • 土地活用・収益性を重視するなら不動産会社
  • 実際の建築を見据えるならハウスメーカー・工務店

また、依頼前に以下の点も確認しましょう。

  • 図面やレポートの内容(法規確認・3Dモデルの有無)
  • 費用と納期の明確化
  • 担当者の建築士資格や実績の有無

複数の提案を比較し、自分の目的に最も合うパートナーを選ぶことが成功の鍵です。

建築におけるボリュームチェックにかかる期間や相場

ボリュームチェックの期間は、敷地条件や建物規模によって異なりますが、一般的に1〜2週間程度が目安です。内容がシンプルな戸建てなら3〜5日程度で完了することもありますが、複雑な土地形状や高層建築では3週間前後かかることもあります。

費用の相場は、戸建住宅で10〜15万円前後、集合住宅や商業施設で20〜40万円前後が一般的です。

複数案の比較や詳細な3Dシミュレーションを行う場合は、追加費用が発生するケースもあります。建築物の提案などが伴う場合、費用はさらに高くなります。

建築におけるボリュームチェックに活用できる資格

ボリュームチェックは、建築基準法や都市計画法に精通した専門家が行う必要があります。
主に活用される資格は以下の通りです。

  • 一級建築士・二級建築士
  • 建築施工管理技士
  • 宅地建物取引士

一級や二級の建築士は、法規・設計の専門知識を持ち、敷地条件を正確に判断できます。建築施工管理技士は、構造・施工面から建築可能性を検証できる点が特徴です。宅地建物取引士は、土地活用・売買の観点からボリューム提案が可能です。

これらの資格を持つ専門家に依頼することで、法規適合性と設計精度の高いボリュームチェックを実現できます。

建築におけるボリュームチェックの注意点

ボリュームチェックを行う際は、特に容積率に注意が必要です。容積率はその土地に建てられる建築物の上限であり、満たした建築物を建てる必要はありません。容積率をフルに活用するのではなく、用途に適したプランを立案することが重要です。

また、行政確認の抜け漏れや法規の誤解釈に注意が必要です。用途地域や高度地区、日影規制は最新の情報を確認することが重要です。

建築確認申請時に不適合が発覚するケースもあるため、必ず建築士による最終確認と行政協議を行いましょう。

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【まとめ】建築におけるボリュームチェックのやり方をよく理解しよう!

この記事では、建築計画におけるボリュームチェックのやり方や重要なポイントを解説しました。

ボリュームチェックは、建築計画の精度と事業の成否を左右する重要な工程です。容積率や各種制限を正確に把握することで、設計段階の無駄を防ぎ、効率的な建築が実現します。

依頼先を選ぶ際は、建築士や専門資格者が在籍する事務所を選ぶと安心です。初期段階での的確なボリュームチェックが、トラブルのない理想的な建築計画への第一歩となります。

今後の設計や土地活用をスムーズに進めるためにも、正しい知識を持ってボリュームチェックに臨んでみてください。