解体工事でアスベスト調査・報告が義務化!罰則や手順なども解説

解体工事 アスベスト調査 義務

法改正により、解体工事の際はアスベストの調査が義務化されました。しかし、これまでアスベストに注意してこなかったため、知識がなく急な対応が難しい方も多いのではないでしょうか。
今回は、解体工事で義務化されたアスベスト調査について解説します。必要な資格や罰則、手順など細かい部分まで解説しますので、解体工事の予定がある方は、ぜひ最後まで読んでください。

アスベストとは

まず、アスベストとは何か、どういった問題があるのかを見ていきましょう。ここでは、次の3つのポイントから、アスベストについて解説します。アスベストに関する知識に不安がある方は、ここでしっかり身につけましょう。

  • アスベストの特徴や用途
  • アスベストが原因の健康被害
  • アスベスト問題

アスベストの特徴や用途

アスベストとは、「石綿」とも呼ばれる、直径0.02から0.06μmの繊維状鉱物の総称です。非常に軽量で熱や化学薬品にも強い耐性を持つことから、電気製品や工業製品、建材など幅広く使われていました。安く加工もしやすいことから、「夢の繊維」としてさまざまな産業で重宝された素材です。建材としては、主に断熱材や吸音材、耐火被覆材として使われてきました。

アスベストが原因の健康被害

非常に軽いアスベストは、呼吸を通して人体に入り込むことがあります。人体に入り込んだアスベストは長い時間をかけてゆっくり肺に蓄積し、悪性中皮種や肺がんなどの病気を引き起こします。こうしたアスベストの有害性は1960年代から認識されていましたが、その有用性から使用禁止になることなく、そのまま多くの建設現場で使用されました。

アスベスト問題

人体に悪影響を及ぼすアスベストは、有害性が認知されてからもしばらく使い続けられました。しかし、2006年には労働安全衛生法施行令により全面的に使用が禁止されました。そのため、現在では新たにアスベストを建材として使用することはありません。しかし、アスベストを使用した建物は、今も日本中に残されています。そのため、今後行われる解体工事などでは、アスベストの飛散量が増えると予測されています。

解体工事のアスベスト調査・報告は義務化されている

現在では解体工事の際にアスベストの調査と報告が義務化されています。ここでは、義務化の対象となる工事や不要な工事、怠った際の罰則について解説します。それぞれの内容を把握し、解体工事の際に適切にアスベストの調査を行えるように知識を身につけましょう。

アスベスト調査・報告が義務化されている解体工事

まず、どういった解体工事がアスベストの調査・報告義務の対象となるかを見ていきましょう。次の工事を請け負った際は、アスベストを調査し、報告しなければいけません。

  • 解体箇所の床面積が80平方メートル以上の工事
  • 請負代金が100万円以上(税込)の工作物の改造・補修工事
  • 請負代金が100万円以上(税込)の建築物の改造・補修工事

請け負った工事が上記のいずれかに当てはまる際は、アスベストの調査を行いましょう。

アスベストの報告が不要な解体工事

続いては、アスベストの調査・報告が不要な解体工事を見ていきましょう。次のような工事では、アスベストの調査は必要ですが報告は必要ありません。

  • 解体箇所の床面積が80平方メートル未満の工事
  • 請負代金が100万円未満(税込)の工作物の改造・補修工事
  • 請負代金が100万円未満(税込)の建築物の改造・補修工事

また、次のような工事では、調査も不要です。

  • アスベスト除去を行う材料が金属・石・ガラス・木材等のみで構成されている
  • 電球・畳等アスベストが含まれていないことが明らか
  • 取り外しが容易
  • 周囲の材料を損傷させない作業
  • アスベストが飛散する可能性が極めて低い作業

調査・報告義務があるか不安な場合は、各地方自治体の労働基準監督署に相談しましょう。

解体工事でアスベスト調査・報告を怠った場合の罰則

ここまで解説したとおり、一定の条件に当てはまる工事ではアスベストの調査・報告が必要です。本来義務とされる調査と報告を怠ると、大気汚染防止法により罰金が科せられます。罰金の金額は30万円です。また、アスベストの除去などの必要な措置を怠った場合も30万円の罰金もしくは3カ月以下の懲役が科されます。調査・報告が必要な際は、怠ることなく実施しましょう。

解体工事のアスベスト調査に必要な資格

解体工事に伴うアスベストの調査・報告を行うのは、有資格者でなければいけません。アスベストの調査・報告が出来るのは以下のような資格を持った方のみです。

  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 特定建築物石綿含有建材調査者

上で挙げた資格は、定められた年数の実務経験があれば資格試験を受験できます。そこで合格すれば、有資格者として調査・報告が行えます。

解体工事でアスベスト調査・報告するときの手順

続いては、解体工事におけるアスベストの調査・報告を行う際の手順を見ていきましょう。解体工事の際のアスベストの調査・報告は所定の手順に則って行わなければいけません。その際の手順は、基本的には以下のとおりです。

  1. 書面調査
  2. 現地調査
  3. 分析
  4. 報告書作成

それぞれの手順についてこれから解説しますので、手順をしっかり把握してください。

1.書面調査

最初に行うのは書面調査です。建設時の施工に携わった業者と連絡をとり、建設当時の設計図書や施工図面を確認します。関係書類にアスベストを使用した形跡がなくても、建築年次とアスベストが規制された年代を照合することで、使用されたかどうかを推測できます。建設当時の書類から、使用されていないことが断定できない限りは、次の現地調査が必要です。

2.現地調査

書面調査の結果、アスベストを使用した痕跡が見られるか疑わしい場合は、現地調査を行います。現地調査では、対象となる建物の天井や壁、床に柱、配管まであらゆる部分をチェックします。ただし、建物を隅から隅まで全て確認することは非常に困難なため、作業時の危険性が高いものからチェックしていきましょう。目視による調査だけでは断定が難しい場合は、分析をしなければいけないため、試料を採取する必要があります。

3.分析

現地調査でアスベストの使用を断定できない場合は、分析をしなければいけません。分析も調査義務に含まれるため、実施する必要があります。分析は専門機関へ依頼することが一般的です。分析には「定量分析」と「定性分析」があり、通常の工事であれば定性分析を行います。現地調査からアスベストの使用が明確に判別できる場合は、分析は不要です。

4.報告書作成

書面の調査から分析まで行ったら、最後は報告書を作成しましょう。報告書を作成したら、各自治体の労働基準監督署へ工事を開始する2週間前までに提出しなければいけません。提出には専用サイトがあるため、どこかを訪れて手続きをすることはありません。仮にアスベストが使用されていなくても、調査を行った場合は必ず報告しなければならない点に注意しましょう。

解体工事でアスベストを除去するときの手順

最後に、解体工事でアスベストを除去する際の手順を解説します。アスベストを除去する際は、以下の手順で作業を進めましょう。

  1. 必要な届出を提出する
  2. 近隣への挨拶
  3. 解体工事およびアスベストの除去を実施する

それぞれの手順の具体的な内容を解説しますので、アスベストの取り扱い経験が少ない場合は参考にしてください。

1.必要な届出を提出する

アスベストを除去する際は、工事を始める前に次の3つの書類を提出しなければいけません。

  • 工事計画届
  • 建築物解体等作業届
  • 特定粉じん排出等作業実施届

工事計画届は、文字通り、どういった工事を行うか計画を記した書類です。工事内容や使用機材を明記し、必要に応じて図面や工程表を合わせて提出します。

建築物解体等作業届は、アスベストなどを含む建物を解体する際に提出する書類です。特定粉じん排出等作業実施届は、アスベストなど有害な粉じんが発生する工事を行う際に提出する書類です。

2.近隣への挨拶

必要な届出を行った後は、現場の近隣への挨拶を行いましょう。アスベストという健康を害する危険性のある物質を扱うため、近隣の理解は重要です。また、挨拶もなく急に解体工事を始めると、近隣からクレームが入ったりトラブルが発生したりする恐れがあります。工事の開始後にトラブルにならないために、近隣にはしっかり挨拶を行いましょう。

3.解体工事およびアスベストの除去を実施する

近隣への挨拶も完了したら、いよいよ解体工事とアスベストの除去開始です。再三解説しているように、アスベストは人体に有害な物質です。そのため通常の工事より、安全対策の実施を徹底しましょう。工事内容などを記載した掲示板を設置し、関係者以外が立ち入りできないような措置をとる必要があります。アスベストの飛散にも注意し、入念な養生も欠かせません。

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【まとめ】解体工事で義務化されているアスベスト調査・報告は必ず行おう!

建物の解体工事では、アスベストの調査と報告が義務化されました。工事を行う建設業者から見れば、面倒な手順が増えたことになりますが、近隣住民や工事関係者の健康を守るためには欠かせません。アスベストの除去に関する経験が少ない方は、今回解説した内容を参考に、調査と報告についての知識を身に着けてください。

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