エアコン工事で必要な保険とは?工事で発生するリスクについても解説!

エアコン工事はさまざまなトラブルが発生しやすいというリスクがあります。そのため、万が一トラブルが発生してしまったときにすぐ対応できるよう、保険に加入するのがおすすめです。しかし、保険の種類が多く、どれに入ったら良いのか分からない方もいます。
そこで今回の記事ではエアコン工事の発生しやすいリスクとともに、保険の内容についてご紹介します。ぜひ参考にしてください。

エアコン工事で発生するリスク

エアコンは自分で工事するのが難しく、工事には専門的な知識が必要です。一般の方はエアコンの工事をすることが難しいでしょう。またエアコンはどの家庭にも最低1台はあるので、工事の需要が多く、空調工事業では安定した経営を行うことが可能です。しかし、エアコン工事はトラブルや事故が発生しやすく気を遣う工事の1つといわれています。さまざまなリスクや事故に対応できるように、普段の業務をしっかりと見直しましょう。下記では、エアコン工事で発生するリスクを10個まとめました。リスクに応じて対応する保険も変わってきますので確認しておきましょう。

ものを壊す

エアコン工事は設置する家やオフィスの中に入って作業をします。そのため、エアコンの取り付け作業中に脚立が倒れて家の一部やオフィスの床などを破損させてしまう可能性もあります。また、エアコン工事の作業中に器具を落としてしまい、家の車を破損させたり、ガラスにヒビがついてしまった事例もあります。エアコン工事中にものを壊してしまったときは「請負業者賠償保険」で補いましょう。ただし、ガラスの飛び散り事故などは、保険が効かない場合もあるので気を付けましょう。

人を怪我させる

エアコン工事中はほかの人にケガさせてしまう可能性があります。オフィスなどの高層ビルで、使用していた工具が落下し、通行人に作業道具が直撃してしまった事例がありました。また、工事をする際に資材が倒れてしまい、近くで遊んでいた子供にケガを負わせてしまった事例もあります。エアコン工事中にケガを負わせてしまった場合も「請負業者賠償保険」で補うことが可能です。ただし、騒音被害などは保険対象外になっているので、しっかり確認しましょう。

施工ミスによる事故

エアコン工事にはリスクがつきまといます。エアコンを工事する際に施工ミスで、水分の多い地盤の強度に使われる施工「ドレーン」の水が建物の中に漏れた事例があります。その後オフィスや家全体がカビて大惨事になってしまいました。また工事配線のミスで電気が漏れてしまい、建物全焼、さらに被害者の隣の家まで燃えてしまった事例もあります。この場合は「生産物賠償補償」で補うことが可能です。生産物賠償補償だけ加入することもできますが、さまざまなリスクに対処するためにも、総合補償ができるコースがおすすめです。

従業員の死亡・怪我

エアコン工事は高い場所や危険な位置での設置が多く、死亡、ケガを負うリスクが高いです。工事中に電気が流れている状態の配線に触れてしまい、死亡したケースもあります。また、資材を切断して加工している最中に木の欠片が飛び散り、作業員が失明した事例もありました。屋根に上って作業している際に、従業員が足を滑らせて落ちてしまい、死亡した事故もあります。一般的に作業をする下請けや従業員が死亡、ケガを負ったときは、「業務災害総合保険」「任意労災保険」「労災総合保険」などを使って補います。

営業妨害により休業損害を請求される

エアコン工事はさまざまな場所から作業をする場合があります。エアコン工事をする際に使ったクレーン車が倒れてしまい、工事をしている近隣店舗の営業を妨げ、賠償請求された事例があります。また、工事の騒音や振動がうるさすぎて営業妨害だと近隣店舗から賠償請求されたケースもありました。エアコン工事中に休業や営業妨害になってしまった場合は、「財物損壊を伴わない使用不能損害事故補償」で補いましょう。しかし、全部の休業や損害賠償リスクが補填されるわけではないので、しっかり確認しましょう。

過重労働と過労死

エアコン工事はオフィスや一般家庭での需要が多く、時間外労働が多い職種です。自分の限界を超えた時間外労働を従業員が行っていて、心臓疾患で死亡したケースがありました。従業員が月140時間の時間外労働を行っており、仕事に追い詰められて社宅で自殺した事例もあります。過労死などで従業員の遺族から訴えられたときは「使用者賠償責任」で補うことができます。

リース機械を破損させる

エアコン工事は機械や設備を使って作業をすることがあります。その際に、機械や設備を提供している会社から長期間機械を借りる「リース契約」を結ぶことがあります。貸し出し期間が過ぎたら借りた会社に返しますが、エアコン工事をしているときに何かしらの理由があり機械を壊してしまう可能性もあります。リースの機械を壊してしまったときは、「リース機械補償」や「受託物賠償」で補うことが可能です。

資材や機械を盗難される

エアコンの工事をするときは、さまざまな資材や材料を現場に置いて作業をします。しかし工事現場の資材置き場に保管していた材料が、盗まれたケースもありました。また、設置している最中で設備を落としてしまい、壊れた事例もあります。資材や機械を運んでいたときに交通事故に遭遇し、材料が破損したなどもありました。工事現場の機械や資材などの盗難、破損は「組立工事保険」や「建築工事保険」「土木工事保険」で補うことが可能です。

工事が遅延する

エアコン工事を行うときは、何かしらのトラブルが発生し業務が遅延する可能性があります。工事を行うときに通行人にケガをさせてしまい、対応していたら遅れて依頼者に遅延金を支払ったケースもありました。また、工事中に窓ガラスや壁などを壊して、工事期間が大幅に遅れて損害賠償請求された事例もあります。工事音がうるさく、近隣のクレーム対応に追われて工事が遅延した事件もありました。こうした想定外のことで工事が遅延したときは「工事遅延損害補償」などで補いましょう。通常の総合保険のオプションとして加入することもできるのでおすすめです。

支給材料を破損させる

エアコン工事をするときに材料や資材を元請けから支給されます。蓄電池の設置依頼を受けて工事をしているときに配線の接続を間違えて壊してしまった事例もあります。元請けから支給されていた材料を落として壊してしまった事件もありました。支給された材料を破損させてしまったときは、「工事損害保険」などで補いましょう。上記のリスク同様、総合保険の追加オプションとして加入することもできます。

エアコン工事における保険の種類

工事保険はエアコン工事をはじめ、さまざまな工事の業種によって補償内容が変わります。エアコン工事で発生しやすいトラブルや破損などに対応できるよう、工事保険についてしっかり理解しておきましょう。

モノの損害に備える保険

ものに対して損害が発生した場合は、「建物工事保険」「組立保険」「土木工事保険」などがあります。建物工事保険は、住宅の壁、床、窓ガラスなどの建物が対象です。エアコン工事をするときに壁にぶつけてしまった、床に工具を落としてしまった、窓ガラスを割ってしまったなどの際は「建物工事保険」になります。「組立保険」は、電気設備の設置やエアコンなどの空調設備工事の取り付け時に使われる保険です。電気配線や設備の組み立て時のトラブルが発生したときは組立保険が適用されます。「土木工事保険」はトンネル工事や水道工事などを対象とした保険です。どの保険も工事の種類が違うため気をつけましょう。

人の損害に備える保険

人に対して何かしらのイレギュラーが発生したときは、「使用者賠償責任保険(EL保険)」「法定外補償保険」などがあります。作業員や従業員がケガ、死亡した場合に使える保険です。そのほかにも国から労災が認められると、政府から給付金がもらえる政府労災保険もあります。
「使用者賠償責任保険(EL保険)」は、会社側に責任があり遺族やほかの従業員から、損害賠償を求められた場合に補償できる保険です。弁護士費用や賠償金などにかかった費用に支払われます。「法定外補償保険」は工事中に事故などがあったときに政府労災保険に上乗せして補償できる保険です。後遺障害保険金、入院給付金、通院給付金が支払われます。保険会社によって、保険の名前が違う可能性があるので、しっかり確認しましょう。

第三者のものや人の損害に備える保険

通行人や隣人など第三者のものや人に損害を与えてしまったときは、「請負業者賠償責任保険」「生産物賠償責任保険(PL保険)」などで補償しましょう。エアコン工事中に関係者ではない人にケガやものを壊してしまう可能性があるので、こちらの保険もおすすめです。

保険の補償範囲

エアコン工事の際に加入する保険には補償対象外の損害内容もあります。わざと起こした重大過失や法令違反、雪、テロ行為、官公庁による差し押さえ、没収、破壊、地震、噴火などは対象外となり、損害が発生しても保険金の支払い対象にはなりません。現場敷地内に起こった事故のみが対象となるので気をつけましょう。

【まとめ】エアコン工事にはリスクがたくさん!適切な保険に加入してリスクを軽減しましょう

エアコン工事はトラブルが発生しやすいという特徴があります。また、何かしらのトラブルが起きてしまった時にはその損害額も大きくなる傾向があります。工事の内容や備えたいトラブルによって保険の種類も変わってくるため、エアコン工事に当てはまる保険に入りましょう。どのような補償が必要か確認し、万が一発生したときにすぐに対応できるようにしておきましょう。