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建設会社を設立したくても、方法がよくわからず困っている人はいらっしゃいますか。方法や流れを知っていれば誰でも株式会社を設立できます。ただし、建設業許可を取得する場合は、さらに準備や手続きが必要で、会社設立時に注意しなければならないポイントがいくつかあります。
本記事では、建設会社設立の方法や費用、建設業許可を申請するときの注意点を解説します。建設会社の設立を目指している人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
会社の形態の種類とは
現在、新たに設立できる会社の形態は「株式会社」、「合同会社」、「合資会社」、「合名会社」の4種類です。株式会社は、設立費用が高いことや遵守すべき法令が多いことが欠点です。ただし、比較的社会的信用度が高く、資金調達手段も豊富にあります。一方で合同会社は、設立費用と会社運営費が安いことや決算公告の手間が省けることが利点です。しかし、株式会社のように上場して資金を集めたり知名度を上げたりすることはできません。本記事では、4種類の会社形態のうち、株式会社の設立方法を解説します。
建設会社設立の流れ
建設会社設立の流れは以下のとおりです。
- 基本事項の決定
- 会社の実印作成
- 定款の作成
- 定款認証を受ける
- 資本金の支払い
- 登記申請書・必要書類の作成
- 登記申請
それぞれの内容を解説します。
基本事項の決定
会社を設立するために、以下の基本事項を考えて明確に定めましょう。
- 事業目的
- 商号(社名)
- 役員
- 所在地
- 発起人
- 設立時の出資額・資本金額
- 設立時の発行株式数・発行可能株式総数
- 決算日・会計年度
定めた基本事項をもとに、定款の作成や登記の申請などをします。以下に、それぞれの基本事項の詳細を解説します。
事業目的
事業目的は、会社定款に記載する必要があります。追加や変更の手間を省くために、現在の事業だけでなく今後始めたい事業も記載することをおすすめします。ただし、あまりにも業種が多いと顧客に不信感を与える恐れがあるので、必要な業種に絞ってください。建設業許可を取得する予定がなくても、建設業法で定められた29種類の業種区分を参考にすることをおすすめします。たとえば、屋根ふき工事の事業をする場合は「屋根工事業」、電気設備の設置工事の事業をする場合は「電気工事業」と記載します。
商号(社名)
会社名を「商号」と呼びます。商号には「株式会社」を含めなければなりません。「○○株式会社」(後株)か「株式会社××」(前株)のどちらかを選びましょう。商号には、ひらがな、カタカナ、漢字、アラビア数字(0、1、2など)を利用できます。ただし、知名度の高い商号や、近隣地域にすでに存在する商号は使えません。建設会社の商号は「代表者の苗字+建設」になりがちです。商号が重複することを避けるために、商号を決める前に国税庁の「法人番号公表サイト」で調べることをおすすめします。
役員
役員は、会社の業務の執行、監督を実施する役割を持つ職員を指します。具体的には、取締役、会計参与、監査役などの役職が該当します。株式会社を設立するためには、取締役が1名以上いなければなりません。取締役会を設置する場合は、3名以上の取締役が必要です。原則として役員の任期は、取締役の場合は2年、監査役の場合は4年と定められています。後述するように、建設業許可を取得するためには、常勤役員のうち少なくとも1名が建設業の経営や経営補佐の経験を有している必要があります。
所在地
会社を設立する際には、所在地を決める必要があります。所在地を定款に記載する場合は町名や番地は不要ですが、登記する際には町名や番地までの記載が必要です。会社の所在地は、自宅やバーチャルオフィスの住所でも構いません。ただし、建設業許可を取得する場合は、契約締結業務ができる場所でなければなりません。建設業許可を取得したくても事務所を構えられない場合は、自宅に居住スペースと明確に区切られた業務スペースを設ける必要があります。
発起人
会社を設立する際に出資する人が「発起人」です。1名以上の発起人がいないと会社の設立はできません。発起人になる条件はなく、人数の上限もないので、誰でも発起人になれます。発起人は出資だけでなく、定款の作成、役員の選任、開業準備なども実施する必要があります。発起人は少なくとも1株以上を保有しなければなりません。会社設立後、発起人は株主の立場になります。中小企業では「役員=発起人」であるケースが多くあります。
設立時の出資額・資本金額
会社設立のためには、資本金が必要です。資本金は1円でも構いません。ただし、資本金が著しく少ない会社は顧客や金融機関からの信用を得にくいでしょう。事業の内容や規模に応じて適切な額の資本金を用意してください。融資で得た資金は、資本金ではなく負債とみなされるので注意しましょう。不動産、有価証券、設備などの物品を資本金に充てることも可能です。また、資本金を含む「純資産の部」の額が500万円以上あれば、建設業許可の取得要件を満たせます。
設立時の発行株式数・発行可能株式総数
会社設立時の株式を発行する数と将来的に発行できる株式数の上限を決める必要があります。公開会社(定款に株式の譲渡制限がない会社)は、発行可能株式の総数を設立時の発行株式数の4倍以上にすることはできません。以下の式をもとに考えると、資本金100万円で1株あたり10,000円であれば、設立時の発行株式数は100株です。発行可能株式総数は4倍の400株です。
- 「設立時の発行株式数=資本金 ÷ 1株あたりの価格」
- 「発行可能株式総数=設立時の発行株式数 × 4」(公開会社の場合)
決算日・会計年度
決算日・会計年度も決めましょう。会社設立後、決算日における経営状態や財務状況を報告する決算手続きが必要です。決算日は、設立から1年以内であればいつでも構いません。決算日は3月に設定するのが一般的です。ただし、3月は公認会計士や税理士の繁忙期なので、こだわりがなければ他の月にすることをおすすめします。会計年度は決算日から次の決算日までの期間を指します。初年度のみ、会計年度は設立日から決算日までです。中間決算や四半期決算をするかは任意ですが、取引先や融資元から報告を求められることがあります。
会社の実印作成
基本事項を定めたら、会社の実印を作成します。会社の実印は代表者印とも呼ばれます。登記申請する際に会社の実印を押すことが必要です。会社の実印の印鑑証明書を取得するには、本店の所在地を管轄する法務局に申請する必要があります。また、定款作成時に発起人の、登記申請時に取締役の個人の実印が必要です。実印を持っていない人は作成しましょう。個人の印鑑証明書は法務局ではなく市区町村の役所で申請します。実印とともに銀行印と角印も同時に作成することをおすすめします。
定款の作成
会社の目的、組織、活動、構成員などに関する基本規約・規則を記載した「定款」を作成する必要があります。定款は必ず発起人が作成しなければなりません。記載事項は主に以下の3種類です。
<絶対的記載事項>
「絶対的記載事項」は記載が必須の項目です。記載漏れや違法な内容があった場合、定款が無効になります。絶対的記載事項は以下のとおりです。
- 商号
- 目的
- 本店の所在地
- 設立に際して出資される財産の価額またはその最低額
- 発起人の氏名又は名称及び住所
- 発行可能株式総数
※5.発起人が個人であれば氏名、法人であれば会社名を記載します
※6.発行可能株式総数は、絶対的記載事項には含まれませんが、別途手続きをする手間を省くために併せて記載することが一般的です
<相対的記載事項>
「相対的記載事項」は、定款に記載しないと効力を持たない事項を指します。定款に記載しなくても問題ありませんが、後々トラブルが発生する恐れがあります。記載する場合は内容をよく検討しましょう。相対的記載事項の例は以下のとおりです。
- 現物出資
- 株式の譲渡制限に関する規定
- 株主総会の招集に関する規定
- 役員任期の伸長
<任意的記載事項>
「任意的記載事項」には法律や公序良俗に反しなければ自由に定められます。ただし、任意的記載事項であっても変更する際は株主総会の決議が必要です。任意的記載事項の例は以下です。
- 事業年度
- 定時株主総会を招集する時期
- 株主総会の議長
- 取締役、監査役の人数・権限
- 役員報酬の決定方法
- 取締役会の招集者
定款認証を受ける
定款を作成したら、認証が必要です。作成した定款を公証人が確認・証明することを認証と呼びます。認証が完了すると定款は法的な効力を持ちます。定款認証を受ける流れは以下のとおりです。
- 日本公証人連合会のWebサイトで管轄の公証役場を探す
- 見つけた公証役場で定款認証の予約をする
- 予約日時に発起人全員が公証役場に赴いて認証を受ける
定款認証当日にミスが発覚すると認証を受けられません。書類の事前確認を公証役場に依頼することをおすすめします。
※電子定款の場合費用を抑えられる
紙ではなくPDF化した電子定款で認証手続きをすると、費用を抑えられます。紙の定款での認証の場合、4万円分の収入印紙が必要です。ただし、電子定款を作成するソフトを自前で揃える場合は4万円以上かかります。定款の作成を行政書士や司法書士に依頼する場合は、こだわりがなければ電子定款にして費用を削減しましょう。また、電子定款による手続きでも、Web上で完結する訳ではありません。申請後に公証役場に赴いて定款を受け取る必要があることを覚えておきましょう。
資本金の支払い
定款認証後、資本金を払い込みます。定款認証の時点では会社はまだ設立されていないので、発起人の口座に資本金を払い込む必要があります。発起人が1名であれば「預入」で問題ありませんが、2名以上であれば「振込」で入金しなければなりません。払い込み完了後、払込証明書を作成し、通帳のコピーとともに綴じてください。インターネットバンキングを利用しており通帳を持っていない場合、口座情報と取引内容がわかる箇所をプリントアウトします。
登記申請書・必要書類の作成
資本金の払い込み完了後、登記申請書とその他に必要な書類を作成もしくは準備します。以下の書類を作成・準備してください。
- 設立登記申請書
- 登録免許税納付用台紙
- 定款(謄本)
- 発起人の同意書(発起人決定書、発起人会議事録)
- 代表取締役の就任承諾書
- 取締役の就任承諾書
- 監査役の就任承諾書
- 取締役の印鑑証明書
- 資本金の払込証明書
- 印鑑届書
- 登記すべき事項を記録した別紙、または記録媒体
記載漏れや誤りなどのミスがないよう注意しましょう。
登記申請
書類の準備が完了したら、登記申請をします。法務局の窓口、郵送、オンラインの3つの方法で申請可能です。窓口での申請であれば、その場で提出書類に不足がないか確認してもらえます。時間がない人や法務局が遠方にある人は、法務局へ書類を郵送しましょう。オンラインで申請する場合、法務局の登記・供託オンライン申請システム「登記ねっと供託ねっと」サイトにアクセスしてください。申請日が受理された日が会社設立日となります。登記が完了しても連絡はありません。不備の連絡があった場合は、速やかに対処しましょう。
建設会社設立に必要な費用
建設の株式会社設立に必要な費用はおよそ20~30万円です。内訳は以下のとおりです。
- 定款の認証手数料:5万円
- 定款の収入印紙代:4万円(電子定款の場合は不要)
- 登録免許税:資本金の額 × 0.7%(株式会社の場合は最低15万円)
- 会社印の作成費用:銀行印や角印などとセットで約5,000円〜20万円(素材により異なる)
会社の登記の際に、登録免許税がかかります。会社の登記以外に不動産登記や船舶・航空機登録などにも登録免許税がかかります。
建設業許可を申請するときの注意点
建設業許可を申請するときには、以下の点に注意してください。
- 取得予定の工事業種を目的の中に記載する
- 営業所に関する要件を満たす
- 資本金が500万円以上あるか確認する
- 経営業務管理責任者と専任技術者を確保する
それぞれの内容を解説します。
取得予定の工事業種を目的の中に記載する
設立した会社で建設業許可を取得する場合は、定款の事業目的に取得予定の工事業種を記載しましょう。建設業法で定められた29種類の業種区分の中から選んでください。業種の記載がないと、建設業許可を取得できません。前述したように、定款の変更には手間がかかるため、現在の事業だけでなく今後始めたい事業も記載しましょう。追加で記載した事業を実施しなくても構いません。また、大阪府では、「建設業・土木建築工事」と記載すれば全29業種を包括しているとみなされます。事業目的の記載方法に迷ったときは管轄の自治体に問い合わせることをおすすめします。
営業所に関する要件を満たす
建設業許可を取得するためには、営業所に関わる要件を満たす必要があります。前述したように、営業所で契約締結業務ができることが要件です。外部の来客を迎え入れられる、営業所の看板や表札があるといった条件も満たさなければなりません。事務所を構えない場合は、自宅に居住スペースと業務スペースを明確に区切る必要があります。バーチャルオフィスや生活するだけの自宅でも会社の設立は可能ですが、建設業許可は取得できません。
資本金が500万円以上あるか確認する
建設業許可取得要件のひとつに、「財産的基礎」があります。以下の①~③のいずれかを満たさなければなりません。
①自己資本が500万円以上ある
②500万円以上の資金を調達する能力がある
③直前5年間に建設業許可を受けて継続して営業した実績がある
初めて建設業許可を取得する場合は、③を満たしません。①の自己資本には、資本金も含まれます。資本金が500万円以上あれば①をクリアしています。②を満たすためには、融資元の金融機関が発行する500万円以上の預金残高証明書が必要です。
経営業務管理責任者と専任技術者を確保する
経営業務管理責任者と専任技術者がそれぞれ少なくとも1名は常勤していることが建設業許可取得に必要です。経営業務管理責任者と専任技術者は同一の営業所であれば兼任できます。経営業務管理責任者と専任技術者は誰でもなれるわけではなく、一定の条件を満たさなければなりません。
<経営業務管理責任者>
以下のいずれかを満たす必要があります。
- 建設業に関し、経営業務の管理責任者としての経験を5年以上有している
- 建設業に関し、経営業務の管理責任者と同等の地位(経営業務を執行する権限の委任を受けた者)としての経験を5年以上有している
- 建設業に関し、経営業務の管理責任者と同等の地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を6年以上有している
<専任技術者>
以下のいずれかを満たす必要があります。
- 指定学科を修了し、高校卒業後5年以上もしくは大学卒業後3年以上の実務の経験を有している
- 学歴や資格を問わず、建設工事に関して実務の経験を10年以上有している
- 定められた資格を有している
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【まとめ】建設会社の設立は流れを把握していれば失敗しない!事前準備もしっかり行おう!
建設会社設立の方法や費用、建設業許可を申請するときの注意点を解説しました。方法や流れを把握していれば、会社の設立は難しくありません。建設業許可も併せて取得する場合は、建設業法で定められた29種類の業種区分に則って、定款に事業目的を記載してください。自宅やバーチャルオフィスでも会社設立は可能ですが、建設業許可を取得する場合は明確な業務スペースが必要です。ぜひ本記事を参考に、会社の設立を検討してみてください。
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