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建設業を営まれている方の中には事業拡大のために
- 空調設備の工事を請け負いたい
- 冷凍冷蔵設備工事の受注を考えている
という方もいらっしゃるのではないでしょうか?これらの工事は「管工事」に分類され、工事を請け負うためには管工事業の建設業許可取得が必須です。そこで今回は、管工事で建設業許可を取得するための要件や資格に関して詳しくご紹介していきたいと思います。
管工事とは?
管工事とは
- 冷暖房設備設置工事
- 空調設備設置工事
- ダクト工事
- 給排水設備工事
- ガス管工事
等の金属製の管を使用してガス、水、空気を通す設備を設置する工事です。またこれらのうち幾つかの工事は他業種と工事内容が重複するものも存在します。以下がその一例です。
・上下水道の整備に関する工事では、「管工事」「土木一式工事」「水道施設工事」とでそれぞれ請け負う役割が異なります。管工事は個人宅や家屋内の配管工事を担当します。土木一式工事は下水処理場並びに公共の下水道整備を請け負います。上水道等の取水や浄水施設工事が水道施設工事の担当区分です。
・管工事の中には機器や設置工事も含まれますが、空調設備など専門性の高い設備の設置は原則として管工事に分類され、それ以外の複合的設備の設置は機械器具設置工事に該当します。
・し尿処理に関する施設の建設工事における「管工事」の担当区分は、浄化槽を用いたし尿処理施設に関する工事です。
管工事の建設業許可取得の要件
続いて管工事業で建設業許可を取得するための要件についてご紹介していきます。管工事業での建設業許可取得に必要な要件は以下の6つです。
- 経営業務の管理責任者の常勤
- 専任技術者の配置
- 欠格要件に該当しないこと
- 一定以上の財産的基礎
- 誠実性
- 社会保険への加入
続いてこの6つの要件に関して一つずつご紹介していきます。
1.経営業務の管理責任者
管工事業で建設業許可を取得するための一つ目の要件は、経営業務の管理責任者の常勤です。続いて詳細な条件を確認していきましょう。要件を満たすためには以下の二つのいずれかの条件を満たしている必要があります。
1.過去に個人事業主や役員として5年以上建設業に従事した役員の常勤
2.過去に建設業の役員等を2年以上務めた役員とその補佐者の常勤
また国土交通省の定める①の常勤役員の定義は以下の通りです。
1.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること
2.建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として経営業務を管理した経験を有する者であること
3.建設業に関し6年以上経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者であること。
引用: 国土交通省
2.専任技術者
専任技術者の配置もまた必要な要件です。申請区分が一般建設業許可か特定建設業許可かに応じて専任技術者の条件が異なります。
一般建設業の場合
一般建設業許可での専任技術者の要件は以下の3点です。この三つの要件のいずれかに該当する技術者が営業所ごとに配置されていることが必要です。
管工事業で実務経験が10年以上あること | 同一の事業者の元でなくとも、厚生年金被保険者記録照会回答表を用いて10年以上の実務経験を証明できれば要件を満たしていることとなります。 |
指定学科を卒業し、かつ管工事の実務経験を有すること | 中等教育・高等学校卒業の場合は実務経験5年以上、高等専門学校並びに大学卒業の場合は3年以上の実務経験が必要です。 |
国家資格を有すること | 国家資格とは以下の資格のことです。
・一級管工事施工管理技士 ・二級管工事施工管理技士 ・上下水道・総合技術監理等の技術士法 ・建築設備士・一級計装士・給水装置工事主任技術者資格と一年以上の実務経験 ・空気調和設備配管・冷凍空気調和機器施工・給排水衛生設備配管・配管・配管工・建築板金のいずれかの職業能力開発促進法 |
特定建設業の場合
特定建設業許可を申請する場合は、以下の要件のどちらかを満たす技術者が常勤していることが条件です。以前は特別認定講習及び考査合格者も国土交通大臣が上記の国家資格取得者と同等の能力を持つに値すると認められていましたが、現在ではこの要件は廃止されています。
国家資格取得者 | ・一級管工事施工管理技士
・下記の技術士法のいずれか ・上下水道・総合技術監理(水道) ・上下水道「上水道及び工業用水道」総合技術監理 ・機械「流体工学」または「熱工学」・総合技術監理 ・衛生工学・総合技術監理(衛生工学) ・衛生工学「水質管理」・総合技術監理(衛生工学「水質管理」) ・衛生工学「廃棄物管理」・総合技術監理(衛生工学「廃棄物管理」) |
3.誠実性
建設業許可を取得するためには「誠実性」もまた必要な要件として定められています。この誠実性とは、請負契約によって長期の工事を行うこととなる建設業事業者にとって必須のものです。契約を途中で破棄することなく遂行する誠実性が必要です。
4.財産的基礎
建設業許可を取得するためには一定以上の財産的基礎が必要です。この財産的基礎は申請する区分が一般建設業許可か特定建設業許可かによって基準が異なります。続いて管工事業に必要な財産的基礎を一般建設業許可、特定建設業許可の場合に分けてご紹介していきます。
一般建設業の場合
管工事を一般建設業許可で申請する際に必要な財産的基礎は以下の通りです。次のいずれかを満たしている場合に財産的基礎有りとみなされます。
- 自己資本を500万円以上有していること
- 500万円以上の資本調達能力があると認められること
ここでの自己資本とは、貸借対照表を参照して純資産合計額を確認するとわかります。また資金調達能力とは、金融機関で500万円以上の残高証明を発行できれば証明可能です。許可申請時から一か月以内の証明書のみ有効ですので注意しましょう。
特定建設業の場合
管工事業を特定建設業許可で申請する場合、必要となる財産的基礎は以下の通りです。一般建設業許可で申請する際よりも条件が多く複雑となっています。
- 欠損額が資本金の20%を超えないこと
- 流動比率が75%以上であること
- 資本金の額が2000万円以上あること
- 自己資本の額が4000万円以上あること
5.欠格要件
建設業許可取得に必要な5つ目の要件は申請者並びに経営に関わる人材が欠格要件に該当していないことです。欠格要件は全14の要件からなり、主に書類上の不備、記載漏れ、虚偽の記載に関するもの、人的欠格要件に関するものから成ります。ここでの人的欠格要件の一例は以下の通りです。
・暴力団員等がその事業活動を支配する者
・禁錮以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、又はその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
また書類上の不備に関する欠格要件は意図的な虚偽でない場合であっても欠格要件とみなされるため注意しましょう。
引用: 国土交通省
6.社会保険への加入
建設業許可の取得要件には適切な社会保険への加入も必要です。健康保険・雇用保険・厚生年金保険の三つに加入していなければ建設業許可を受けることができません。
管工事の建設業許可を取得するための資格がない場合
管工事業の建設業許可を取得したいけれど「専任技術者」の項目でご紹介した資格を持っていないという方もいらっしゃるでしょう。このようなケースでは10年間の常勤、実務経験が証明できる書類を提出することで代替することができます。
10年間の常勤が確認できる資料
10年間の常勤を証明する際には、単に管工事の実務経験を提示するだけでは不十分です。個人事業主や事業者の役員などの立場で常勤していたことを証明する必要があるのです。常勤性の証明には以下のような書類の提出が必要です。
- 厚生年金被保険者記録照会回答票
- 確定申告書
10年間の実務経験が確認できる資料
10年間の常勤性の証明と同時に、10年間の管工事業の実務経験を証明できる資料の提出も求められています。実務経験の証明には
- 工事の契約書
- 請求書
- 注文書
といった資料の提出が必要です。
実務経験を証明するときの注意点
管工事業の実務経験を証明する際には、保守点検・メンテナンスは実務経験としてはカウントされない点に留意が必要です。管工事業では機器の設置・設営と保守点検・メンテナンスは区別されており、このうちの保守点検・メンテナンスは実務経験としては数えられないケースがあるのです。実務経験の証明には機器設置工事に関する書類を提出するようにしましょう。
【まとめ】管工事の建設業許可取得の際には6つの要件を満たすことが必須!
今回は管工事業で建設業許可を取得する際に必要な要件をご紹介してきました。管工事業での建設業許可の取得するためにはご紹介してきたように6つの要件を満たす必要があります。今回の記事を是非参考にして許可の申請に備えてみてください。
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