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みなさまは令3条使用人について詳しくご存じでしょうか。正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」といい、具体的には支店長や営業所長などが該当します。令3条使用人は、請負契約の見積や入札、契約の締結などの権限を持ちます。建設業許可を取得するのであれば、支店や支社に令3条使用人を配置しなければなりません。ただし、令3条使用人になるには、いくつかの要件があります。本記事では、令3条使用人の概要や要件、管理責任者・専任技術者との関係性を解説します。
令3条使用人とは?
令3条使用人は、正式には「建設業法施行令第3条に規定する使用人」といいます。支店や支社などの従たる営業所の代表者として、その営業所で締結される請負契約を総合的に管理するのが、令3条使用人です。具体的には支店長や営業所長などが該当します。令3条使用人には、請負契約の見積や入札、契約の締結などを実施する権限が与えられます。支店長や営業所長でなくとも、届出がされていれば令3条使用人です。一方で、建設業許可を取得していない建設業者の支店長、営業所長は、令3条使用人に該当しません。
従たる営業所の令3条使用人の配置義務とは
主たる営業所(本社、本店)以外に、従たる営業所(支店、支社)を設ける場合、従たる営業所に令3条使用人を配置しなければなりません。支店や支社を設けるほど規模が大きい会社は、代表者ひとりがすべての請負契約を確認・承認することは困難です。令3条使用人を配置することで、請負契約を迅速かつ適切に管理できます。建設業許可を取得しているにもかかわらず、従たる営業所に令3条使用人を配置しなかった場合、無許可営業として3年以下の懲役または300万円以下の罰金を科されるでしょう。
営業所の定義に当てはまらない場合
従たる営業所の定義に当てはまらない場合、令3条使用人を配置しなくても構いません。主たる営業所以外の営業所が、従たる営業所に該当します。本店や本社などの主たる営業所には、経営業務の管理責任者が常勤していなければなりませんが、令3条使用人の配置は不要です。現場事務所、資材置き場、作業所などの、請負契約業務をしない場所にも、令3条使用人は不要です。また、本店や本社で経理や総務の業務しかしないのであれば、請負契約業務はできませんが、経営業務の管理責任者が常勤する必要はありません。
令3条使用人の要件とは
令3条使用人の要件は、以下の3つです。
- 1つの営業所に常勤していること
- 欠格要件に該当しないこと
- 代表者から権限をもらっている
それぞれの内容を解説します。
1つの営業所に常勤していること
令3条使用人の要件のひとつが、1つの営業所に常勤していることです。令3条使用人は、休日以外は、担当している営業所に出社して勤務する必要があります。営業所で最も責任が大きい役職なので、勤務時間中は常に連絡可能な状態でなければならないためです。複数の営業所を兼務することはできません。職場から自宅までの距離が遠すぎて通勤が困難な人や、専任を求められる建築士や宅地建物取引士の業務をしている人などは、常勤性が認められず、令3条使用人にはなれません。
欠格要件に該当しないこと
欠格要件に該当しないことも、令3条使用人の要件のひとつです。欠格要件は、建設業法第8条で定められています。欠格要件に、禁錮以上の刑に処せられ刑の執行が終わった日、または刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過していないこと、心身の故障により建設業を適正に営めないことなどが挙げられます。許可申請書や添付書類に、重要事項の虚偽の記載がある、もしくは重要な事実の記載が欠けているときにも、令3条使用人の許可が受けられません。記載ミスや記載忘れが欠格要件に該当する恐れもあるので、届出の際は注意しましょう。
代表者から権限をもらっている
代表者から権限をもらっていることも令3条使用人の要件です。令3条使用人になるには、見積、入札参加、請負契約の締結や履行などの権限を、代表者からもらう必要があります。権限をもらっていることを証明するために、権限の委任状が必要です。委任状の書き方に決まりはありませんが、権限を行使できる範囲を明記しないと、後々トラブルにつながるかもしれません。行使できる権限の範囲に十分注意して委任状を作成する必要があります。
令3条使用人と管理責任者・専任技術者との関係性
令3条使用人と管理責任者・専任技術者との関係性のうち、以下の2点を押さえておきましょう。
- 経理業務の管理責任者になれる
- 専任技術者との兼任ができる
それぞれの内容を解説します。
経理業務の管理責任者になれる
令3条使用人は、経営業務の管理責任者になれます。経営業務の管理責任者とは、「営業取引上、対外的に責任を有する地位にあり、建設業の経営業務を総合的に管理し、執行した経験を有する者」を指します。建設業許可を取得するためには、経営業務の管理責任者の設置が必要です。経営業務の管理責任者になるためには、取締役や個人事業主としての経験が5年以上なくてはなりません。令3条使用人として5年以上働けば、取締役や個人事業主の経験がなくとも、経営業務の管理責任者になる資格を得られます。
専任技術者との兼任ができる
令3条使用人は、専任技術者との兼任もできます。専任技術者とは、請負契約の締結や履行といった経営業務を技術面で管理する人を指します。営業所ごとに専任技術者が常駐しなければなりません。建設業の知識や技術・技能、実務の経験を一定の水準以上有していると認められれば、令3条使用人は専任技術者を兼任できます。ただし、兼任する場合は、「令3条使用人として常勤する営業所」と「専任技術者として常勤する営業所」が同じであることが必要です。
【まとめ】令3条使用人は会社の代表権者から一定の権限を得ている重要な役割
令3条使用人の概要や要件、管理責任者・専任技術者との関係性を解説しました。令3条使用人は、支店長や営業所長などが該当し、請負契約の見積や入札、契約の締結などの権限を持ちます。建設業許可を取得し、従たる営業所を設ける場合は、令3条使用人を配置しなければなりません。令3条使用人になるには、1つの営業所に常勤していること、欠格要件に該当しないことなどが必要です。支店や支社を設けようと考えている人は、ぜひ本記事を参考にしてください。
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