建設業界におけるMRとは?活用事例や導入する際の注意点などを解説

建設業界では、現在VRをベースとしたMR(Mixed Reality)が注目されています。MRは複合現実と訳され、実際には現実に存在しないものを、あたかもそこにあるかのように3Dモデルで投影します。そこで今回は建設業界でMRが注目されている理由や、実際の活用事例や導入する際の注意点などを詳しく解説します。

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建設業界におけるMRとは

まずはMRの概要から解説します。MRと似た用語にAR、VRがありますが、その違いを下記で確認してみましょう。

MRとは

MRは、Mixed Realityの略語で、複合現実を意味します。MR技術は、下記で解説するARとVRをかけ合わせたもので、現実空間に仮想的な物体を3Dモデルで投影します。また、MR、AR、VRの3つをかけ合わせた技術はExtended Reality(エクステンデッド リアリティ)と呼ばれます。

MR技術は、AR、VRよりもインタラクティブな技術で、現実空間にセンサーやカメラを通して精密に映像を重ねることができます。MR空間の情報は複数人で共有できるほか、仮想空間のオブジェクトを操作することも可能です。

実寸大の建造物を仮想空間に投影することで、クライアントとの打ち合わせから現場での施工確認まで様々なシチュエーションで活躍するテクノロジーです。

ARとの違い

ARはAugmented Realityの略語で、拡張現実を意味します。AR技術を利用したモバイルアプリなどによって、名前を聞いたことがある方も多いのではないでしょうか?AR技術は仮想現実ではなく、現実を拡張したものです。現実の映像や位置情報に、現実には存在しないデジタル情報を投影するのがARの特徴です。

AR技術は、現実空間にデジタル情報を投影できますが、MR技術のように仮想空間と現実空間のものをどうしを連携させてインタラクトすることはできません。

VRとの違い

VRはVirtual Reality の略語で、日本語では仮想現実を意味します。VR技術はCG技術を使い、現実には存在しない仮想空間を体験できる点が特徴です。VRゴーグルなどで使われている技術がこれに該当します。

MRとの最大の違いは、映し出される映像のベースが現実にあるか、仮想空間にあるかという点です。VRの映像は現実とは切り離されたものですが、MRは現実空間をベースとしています。

建設業界でのMRの活用方法

近年、建設業界でも注目が集まるMRですが、実際にどのように活用されているのでしょうか?下記で建設業界でのMRの活用方法を詳しく解説します。

生産性の向上

人手不足が深刻な建設業界では、従業員一人あたりの生産性の向上が急務です。建設現場でMR技術を活用することで、現場の生産性の向上が見込めます。例えばMRを使って施工前にシミュレーションを行うことで、施工の過程で注意すべきポイントを実際の建設現場と照らし合わせながら確認できます。

また、施工段階で細かな修正が必要になったケースでも、3Dモデルを用いて完成のイメージを現場全体で共有することが可能です。

スキルの継承

建設現場におけるMR技術活用のメリットの1つは、スキルの継承ができる点です。建設業界が抱える重大な問題の1つが、熟練労働者の技能継承です。建設現場におけるスキルは属人的な要素が多く、若手労働者の不足も相まって、スキルの継承が課題です。

このスキルの継承に関して、MR技術の活用が注目されています。MR技術は建設現場の様々な場面をシミュレーションできるため、施工の細かな工程や安全講習など様々な場面でスキル継承に役立ちます。

正確なイメージ共有

建築の過程でしばしばトラブルのもととなるのが、クライアントの完成イメージとの乖離です。万が一にも、成果物がクライアントがイメージしたものと異なっていた場合は、作業のロールバックなどが発生します。クライアントとのトラブルを未然に防ぐためにMRの活用が期待されています。

施工前や施工の途中で適宜MRを用いて、クライアントと現状や完成イメージを共有することで、クライアントは実寸大の情報で完成図をイメージできるため、建設業者とクライアント間のイメージのギャップを埋められます。

建設業界でのMRの活用事例

続いて建設業界でのMRの具体的な活用事例を紹介します。下記の3つの事例をチェックしてみましょう。

大林組

参考サイト: 大林組
大林組は建設現場における作業効率の向上と安全の確保を目的として、MRを積極的に活用しています。大林組はデジタルプラットフォームを構築するTIS社およびDataMesh社と協業して、建設現場での作業手順をMR上で再現できるDataMesh Directorを用いることで、2つの鉄道現場の工事にMRを活用しました。

横須賀線武蔵小杉駅の工事では、鉄骨の組み立てに関する複雑な施工過程にMR投影を活用しました。作業の規模や旅客の影響を可視化することで、より安全な施工の実施が実現できました。

また、大林組は実際に営業中の線路全線を閉鎖し、100分という時間内での高速道路の桁の送り出し作業にMR技術を活用しました。事前に危険個所をMR上で共有することでスムーズかつ安全な作業を実施しました。

小柳建設

参考サイト: 小柳建設
Holostruction(ホロストラクション)は小柳建設とマイクロソフトが共同で開発するMRツールです。建物の3Dモデルや日常の様々なデジタルデータを現実の空間に投影することで、実物とCGの両方を複数人で共有しながらコミュニケーションを取れます。

Holostructionは作成された3DCADデータをHolostructionのクラウドサーバー上にアップロードすることで、複数人で実物大のシミュレーションデータを共有できます。実寸大のデータで現場の確認ができるため、工事現場における施工確認や潜在的なリスク確認を容易に行えます。

またHolostructionはタイムスライダー機能を備えています。3Dデータに加えて時間情報を加えることで、施工の段階を4次元的に把握できます。測量から設計、施工、検査、維持管理・更新までのデータを3Dデータで可視化することで、地域住民から従業員まで誰が見てもわかりやすい現場イメージを共有できます。

鴻池組

参考サイト:鴻池組
鴻池組は、MR技術を活用したトンネル維持管理システム(トンネルMR)を開発、利用しています。

トンネル維持管理システムは、トンネルの維持管理にウェアラブル端末を用いて、各種データを実際の構造に投影するテクノロジーです。MR技術を活用することで、覆工コンクリートの不具合が生じた際に、その原因を簡単に割り出し、維持管理のためのデータ更新が可能です。

トンネル維持管理システムはひび割れ朱書き機能、計測機能、コメント貼付け機能を備えており、とりわけひび割れなどの不具合に対して効率的な対処が可能です。

建設業界にMRを導入する際つの注意点

続いて建設業界にMRを導入する際の注意点を解説します。下記のポイントを確認してみましょう。

導入する目的を定める

MRの使用用途は様々です。クライアントとのイメージ共有や建設現場での施工工程の確認など、具体的な目標を設定しましょう。

MRの導入はただではありません。コストのかかる技術投資です。導入したことにより得られる恩恵が何であるか、何を目的としてMRを使うのかをはっきりとさせないまま導入すると、投資が無駄になりかねません。

目的に合わせたMRを導入する

MRを導入する目的を決定したのちに、目的に合った適切なMRツールを導入しましょう。目的に合わせたMRを導入しなければ、かえって業務効率が落ちる可能性もあります。

導入するMRツールごとに、得意な工事の種類やシチュエーションが異なるため、適切なツールを選ぶことが何よりも重要です。

効果的に活用できるよう環境を整備する

建設業界にMRを導入するためには、技術を効果的に活用できる環境を整備しましょう。

せっかくMRを導入しても、活用できなくては意味がありません。現場で使用する技術者や従業員がスムーズに技術を使用できるように、事前に講習会や研修を実施しましょう。

また、メーカーのサポートと連携して、現場で不具合が起きた際にしっかりとしたサポートを受けられる体制を構築することも重要です。

リスク管理を行う

MRを使用する際にはリスク管理を徹底することが重要です。MR技術は施工の図面などを含めて、多くのデータを用います。

MRを活用する際には、データの流出に注意しましょう。重要なデータの流出はクライアントとのトラブルに発展するほか、企業の信頼を損ないかねません。重要なデータが漏洩することのないように、データへのアクセス権限を確認する、セキュリティソフトを導入するなど、入念な管理をしましょう。

継続的にシステムを改善する

MRを初めて導入する際には、継続的に利用環境やシステムを改善していくことも重要です。

どのようなテクノロジーも利用者に合わせて最適化されなければ、最大のパフォーマンスを発揮することはできません。技術者や利用したクライアントからフィードバックをもらい、継続的にシステムを改善できる環境を整えましょう。

建設業界での今後のMR

近年、急速に導入が進められているMR技術ですが、建設業界では今後どのような形で使用されるでしょうか?続いて建設業界での今後のMRの展望について詳しく解説します。

仮想建設現場の実現

MRやVR、ARを含めたXR技術が発展することによって、将来的には完全な仮想建設現場の実現が構想されています。

仮想建設現場とは、仮想空間上に現場の建築状況と完全に同期したモデルを構築できるものを指します。仮想建設現場が実現できたならば、設計者は現場に同行することなく、自宅やオフィスで建設現場の施工状況をリアルタイムで把握できます。

必ず現場にいなければ作業が進まないという建設現場の常識を覆すため、生産効率の向上、コスト削減が望めます。

また、仮想建設現場の実現は従業員の講習にも活用できます。建設現場には様々な安全上のリスクがあり、それは現場ごとに異なります。仮想建設現場を活用することで、施工責任者は事前に現場における危険個所を従業員とスムースに共有できます。

AIとの統合による作業の自動化

建設業ではMR技術とAIを統合することで、より生産効率の高い作業の実現が期待されています。

AIに建設現場のデータを提供し現場分析をしてもらうことで、より効率のよい、安全な建設現場を作れるでしょう。施工前は現場の潜在的な安全リスクを可視化し、MR上で労働者に共有できます。

また、施工の過程においても現場分析データから得られた情報をMR上に提示することで、より効果的な工事が可能となるでしょう。

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【まとめ】建設業界にMRを上手に取り入れ業務効率化を目指そう!

今回は建設業界におけるMRに関して、MRが注目されている理由や、実際の活用事例や導入する際の注意点などを詳しく解説しました。建設業界におけるMRはいまだ導入がはじまったばかりです。

一方で、生産性の向上が急務である建設業にとっては画期的なソリューションになるでしょう。MR技術は上手く活用することで、建設現場の業務を効率化できるため、導入を検討してみてはいかがでしょうか?

実際のMR活用事例も紹介しているためぜひ参考にしてみてください。

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