工事写真台帳の作り方や並べる順番などをわかりやすく解説!

工事写真台帳は、主に建設現場などで作業の進捗や品質管理の報告に使用します。作業現場の状況は文章のみだと伝わりにくいため、写真を添付した工事写真台帳が必要なのです。

しかし、ただ写真を添付するだけではわかりやすい工事写真台帳を作成できません。そこで今回は、工事写真台帳の作り方や、写真を並べる順番などをわかりやすく解説します。

工事写真台帳とは

まずは工事写真台帳の概要からご紹介します。先程もご紹介したように、工事写真台帳は作業現場の作業進捗や品質管理の報告に使用します。続いて工事写真台帳の主な役割を解説します。

工事写真台帳の役割

工事写真台帳の具体的な役割は主に以下の4点です。

  • 使用した材料の確認
  • 目視できない場所の確認
  • トラブル防止
  • 品質や出来高の検査・確認

下記で詳しく解説します。

使用した材料の確認

工事では予め立てた計画通りに材料や資材を用いなくてはいけません。工事箇所の写真を工事写真台帳へと添付することで、資材や材料が予定通り使われていることの証明ができます。

施工図の通りに完成していることの証明に使われるため、施主による確認に使われるだけではなく、完成後のトラブル防止にも役立ちます。

目視できない場所の確認

工事が進行するにつれて、別の資材で覆われてしまう箇所や目視では視認できない箇所ができます。このような箇所も正確に施工されていることを証明するために、施工段階の写真を添付して発注者が確認できるようにします。

後に目視できなくなる箇所の撮影は、施工図や工程表を確認して事前に把握することが重要です。撮り漏らしのないように事前に撮影箇所の確認を怠らないようにしましょう。

トラブル防止

工事では完成の状態などを巡ってトラブルになることもしばしばあります。予め立てた施工計画通りに工事をした証拠を写真として残せるため、クレーム等のトラブル防止に役立ちます。工事写真台帳は発注者が工事状況を確認できるだけではなく、受注者をトラブルから守るために作成するのです。

品質や出来高の検査・確認

工事写真台帳の使用方法は様々ですが、完成した建物の品質検査にも用いられます。工事写真台帳の5番目には品質管理に関する写真を貼ることが定められているため、施工に用いた材料名などを隙間や余白に記載するようにしましょう。

また、工期が長期に渡るケースでは、出来形に応じて報酬を支払う出来高払いが採用されることがあります。出来高払いでは、工事の進捗確認に工事写真を使用するため、施工の様子や進捗状況をしてしっかりと記録に残しましょう。

工事写真を撮影するポイント

続いて工事写真を撮影するポイントを解説します。工事台帳写真は以下の点に注意して撮影しましょう。工事写真台帳に貼り付ける写真の基準はデジタル写真管理基準として、国土交通省が公開しています。

原則として写真の編集は不可工事台帳に貼る写真は原則として編集が許可されていません。このことは国土交通省が規定するデジタル写真管理基準に定められています。
黒板がわかりやすくなるように撮る工事写真を撮影する際には、黒板の見やすさに気を配ることも重要です。黒板は工事状況を記録、保存するために重要です。光の反射やピンぼけなどで黒板の内容が見えなくなることのないように、しっかりと撮影しましょう。
施工段階に沿って撮影する工事写真台帳に貼る写真は完成状態だけを撮ればよいというわけではありません。工事写真は施工の段階に沿って撮影しなければなりません。施工段階で見えなくなる箇所も正確に施工されていることを証明するために、施工の各段階をしっかりと撮影しましょう。
同一アングルで撮影する工事の完成前後を比較する見開き写真は、同一のアングルで撮影しましょう。撮影のアングルが異なる場合、施工状況を同一の条件で比較ができないためです。
撮影の計画を入念に立てる工事台帳写真に必要な項目は予め決められています。しっかりとスケジューリングしなければ、場合によっては必要な写真を撮り逃してしまうことになりかねません。施工をする前に、前もって工事写真台帳に必要な写真を撮る予定を組むようにしましょう。
撮影する箇所のサイズがわかるように撮影する工事写真は実寸がわかるように工夫して撮影しましょう。施工図にサイズの記載がある場合は、施工図の通りに完成したことの証明のために測定器をあてがって実寸がわかるように撮影しましょう。
光量に注意して撮影する工事写真の撮影失敗例として挙げられるものが光量の不足です。工事は暗い場所で行われることも多く、照明機器なしでの撮影は内容が不鮮明な写真になることがあります。照明やストロボなどの機器を使用して鮮明な工事写真を撮影しましょう。
撮影写真に目印を付ける規模の大きな工事となると、撮影する工事写真の量も膨大です。この際に写真の管理が杜撰であると、写真と工事箇所の対応がわからなくなることがあります。撮影した写真には工種や撮影日時などを記録して、台帳作成時にわかりやすいように整理しましょう。

参考: デジタル写真管理基準

工事写真台帳の作り方

続いて工事写真台帳を作成する手順をご紹介します。作成手順は以下の通りです。
1.写真を準備する
2.表紙を作る
3.アルバム形式で編集する
4.写真を貼りつける
下記で詳しく解説します。

1.写真を準備する

まずは台帳に貼り付ける写真を準備しましょう。工事写真台帳に貼り付ける写真の項目は全8項目あります。不足写真がないかどうか事前にしっかりと確認しましょう。

施工途中の写真など完成後に撮り直しができない写真もあるため、事前に必要な写真をリスト化しましょう。また必要な8項目に関しては下記で解説します。

2.表紙を作る

続いて工事写真の表紙を作成しましょう。表紙は、その台帳がどの工事の写真台帳であるかを判別するために作成します。表紙には以下の項目を記載しましょう。

  • 工事名
  • 工事の箇所
  • 工期
  • 工事の責任者

3.アルバム形式で編集する

写真と表紙の準備が完了したら、台帳を作成しましょう。台帳に貼り付ける写真は発注者の基準に沿って編集しましょう。発注者が官公庁の公共工事の場合は、写真は国土交通省の定める基準に沿って編集しましょう。

また、台帳の形式は見開きのアルバム形式で作成して、発注者が見やすいように編集しましょう。

4.写真を貼りつける

台帳のアルバム形式で作成したら実際に写真を貼り付けていきましょう。写真を貼り付ける際は、以下の2点に気を付けましょう。

  • 工事の完成前と後の写真を見開き形式で編集する
  • 写真に補足情報を追加する

完成前後の写真は見開きにする

工事写真台帳の1枚目の写真は工事の完成前後の写真を貼り付けます。ここでは着工前と完成後の状態を一目でわかるように、それぞれを左右に並べて見開き形式で貼りましょう。

視覚的に見やすく写真を貼ることで、発注者が施工の状態を確認しやすくなります。

余白に補足情報を追記する

台帳の余白には写真の補足情報を記載するようにしましょう。施工から期間が空くと写真だけでは状況把握が困難になることもあるでしょう。台帳の隙間や空いているスペースに、施工の補足情報を記載しましょう。また主に記載すべき追加情報は以下の通りです。

  • 設計時の寸法
  • 実測の寸法
  • 工種

工事写真を並べる順番

続いて工事写真台帳の工事写真を並べる順番を解説します。工事写真は撮った順にただ並べればよいというわけではありません。工事写真は見やすさという観点だけではなく、建設業法によって保管が義務付けられている書類として並べる順番が決められています。

工事写真は下記の通りに並べましょう。

  1. 見開き
  2. 施工状況・手順写真
  3. 安全管理写真
  4. 使用材料写真
  5. 品質管理写真
  6. 出来形管理
  7. 災害写真
  8. 事故写真
  9. その他

1.見開き

はじめに見開き箇所に写真を添付します。見開きは左右にそれぞれ、完成前と完成後の写真を貼り付けます。着工前と工事完成後の写真を並べて貼ることで、工事前後を簡単に比較できます。

2.施工状況・手順写真

2番目に施工状況、手順写真を貼ります。この箇所には、具体的な施工状況を記録した写真を工事手順に沿って添付します。工事状況を確認するための重要な箇所であるため、施工写真を漏れなく貼りましょう。

3.安全管理写真

続く3番目の箇所には安全管理写真を貼り付けます。安全管理写真は工事現場の安全がしっかりと保全されていることを証明する写真のことです。具体的には、安全訓練の実施状況、安全標識の設置状況、交通整理の実施状況などを写真で証明します。

4.使用材料写真

4番目には使用した材料の写真を貼りましょう。工事に指定された資材や建材を使用したことの証明のために、材料を使用した施工箇所の写真をしっかりと残しておきましょう。また、写真のほかにも材料を使用したことの証明書類を添付します。鋼材の材質証明となるミルシートや材料計測の結果表などが該当します。

5.品質管理写真

続く5番目には品質管理写真を貼りましょう。品質管理写真は工事のなかで一定の品質管理が為されていることを証明するための写真です。

6.出来形管理

続く6番目には出来形管理写真を貼り付けます。出来形管理写真とは、施工の完成状態が当初の基準を満たしているかどうかを確認するための写真です。施工状態の写真だけではなく、実際に計測した数値の値を写真に収めて添付しましょう。

7.災害写真

工事はしばしば暴風や大雨などの天災によって被害を受けることがあります。このような災害の被害状況を写真に収めて添付しましょう。記録する災害は主に以下の通りです。

  • 台風
  • 豪雨

8.事故写真

8番目には事故写真を貼り付けます。建設現場では予期しない事故が生じることがあります。不意の事故の際には、記録のために写真を撮影して、事故現場の状況から復旧までの様子をわかりやすく並べて貼りましょう。

9.その他

最後に上記の8項目に該当しない写真があれば添付しましょう。主な項目は公害や補償の記録です。

工事写真台帳を作る5つのツール

続いて工事写真台帳を作る5つのツールをご紹介します。工事写真台帳は以下の5つの方法で作成できます。

  • 手作りする
  • エクセルで作る
  • テンプレートで作る
  • 有料ソフトで作る
  • アプリで作る

手作りする

最もシンプルな作り方ですが、工事写真台帳を紙で手作りする方法があります。前もって用紙サイズを決めておき、撮影した写真を貼ることで完成です。

写真枚数が少ない場合は、紙ベースの工事写真台帳も手間なく作成できますが、多くの写真を添付する場合は作成に時間がかかります。また、データとして保存ができないため、紛失のリスクがある点には注意が必要です。

エクセルで作る

工事写真台帳は表計算ソフトのエクセルで作成できます。作成方法はシンプルで、作成した表に写真を添付するだけです。

エクセルはメジャーなソフトであり、多くの事業者が導入しているため、扱える人が多い点がメリットです。一方で、写真添付をミスした際の修正作業の手間がかかる点がデメリットです。

テンプレートで作る

工事写真台帳はフリーで公開されているテンプレートを用いて作成できます。無料で公開されているテンプレートは、1ページごとの写真の枚数や添付位置が決められているため、エクセル等の表計算ソフトでテンプレートを自作できない方でも簡単に工事写真台帳を作れます。

一方で、無料テンプレートは写真の入出力機能など一部機能を制限されていることがあり、すべての機能を利用するためには有料版の購入が必要なケースがあります。

有料ソフトで作る

有料ソフトを購入することで、様々な機能を使用して見やすい工事写真台帳が作成できます。有料ソフトはフリーソフトと違いすべての機能が使えるほか、黒板機能の搭載など様々な機能を備えているものがあります。

有料にはなってしまいますが、一度購入してしまえば、テンプレートを保存して何度も使いまわせるためおすすめの作成方法の1つです。

アプリで作る

工事写真台帳は専用の管理アプリを用いて作成できます。作成ソフトと似ていますが、専用のアプリは持ち運びが便利なスマートデバイス上で、写真データを一元管理して工事写真台帳を作成できます。

持ち運びが便利である点、データをクラウド上で管理できる点がメリットですが、利用料が定額制のものがあるなど維持コストがかかる点がデメリットです。

写真台帳の共有・保存方法

続いて工事写真台帳のおすすめの共有、保存方法をご紹介します。工事写真台帳の保存は管理ツールを用いてクラウド上で共有、管理することがおすすめです。

工事写真台帳は建設業法で施工から5年間の保存が義務付けられています。また必要に応じて、以前の工事写真台帳を見返すこともあるでしょう。紙媒体での保管や、ローカルディスクでの保存はファイル数が膨大になると、読み込みが遅くなるほか目当てのファイルを探すのに手間がかかります。その点で、容量を圧迫しないクラウドでの管理は、必要な時にデータを呼びだせるため工事写真台帳の管理に向いています。

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【まとめ】工事写真台帳は作り方に様々な配慮や注意が必要!自社に合うツールで効率化も目指そう

今回は工事写真台帳について、作り方や、写真を並べる順番などを解説しました。工事台帳は、建設現場において作業の進捗を記録するためにかかせないツールです。工事台帳は作り方を様々に工夫することで、工事関係者全員が見やすい台帳にできます。今回の記事では作る際の注意点や作成ツールもご紹介しています。ぜひ記事を参考にして工事写真台帳を作成してみてください。

作業日報の書き方についてはこちらの記事でより詳しく解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

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