ものづくり補助金は建設業でも活用できる!申請ポイントなどを解説

ものづくり 補助金 建設業

中小企業が機械を購入する際に利用する「ものづくり補助金」は、建設業でも活用できることをご存じでしょうか。建設業がものづくり補助金の対象となる事業対象となる経費、さらに申請の流れや注意点について徹底的に解説します。

ものづくり補助金とは

ものづくり補助金の正式名称は「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金」です。中小企業や小規模事業者への、革新的なサービスや試作品の開発、生産プロセスを改善するための設備投資等などに向けた支援するための補助金です。中小企業庁、および独立行政法人中小企業基盤整備機構によって実施されています。
ものづくり補助金には、以下の3つの事業類型があります。

  • 一般型
  • グローバル展開型
  • ビジネスモデル構築型

ものづくり補助金の建設業で対象となる事業者

建設業の事業者であれば誰でも、ものづくり補助金の対象となるわけではありません。ものづくり補助金は中小事業者の支援を目的にした制度であるため、規模の大きい建設業者は対象外です。基本的には「資本金3億円以下または常時勤務する従業員が300人以下の事業者」の建設業が対象になっています。
ただし、資本金が10億円以下の特定事業者であれば、常時勤務する従業員が500人以下の場合は、ものづくり補助金を申請できるケースもあります。

ものづくり補助金で受け取れる金額

ものづくり補助金で受け取れる金額は、申請する枠の種類、従業員数によって異なるので一概には言えません。最も一般的な「通常枠」の場合は以下の通りです。

  • 5人以下:100万~750万円
  • 6~20人:100万~1,000万円
  • 21人以上:100万~1,250万円

補助率は、事業者の種類によって異なるので、確認しましょう。

ものづくり補助金で建設業が活用できる経費

ものづくり補助金で、建設業が活用できる経費は以下の5種類です。

  • 機械装置・システム構築費
  • 専門家経費
  • 外注費
  • 技術導入費
  • クラウドサービス利用費

機械装置・システム構築費

機械装置・システム構築費とは、機械設備の購入または製作に要する経費、システムの購入や構築にかかる経費のことを指し、必ず単価が50万円(税抜)以上の設備投資が必要です。大型機械のレンタル料や、リース料も対象となります。建設業においては、クレーンなどの大型機械、業務のIT化につながるシステム投資、建材加工や製造用の設備などが対象とされています。

専門家経費

専門家経費とは、特定の事業に専門家を招きコンサルティングを受けた際にかかった経費のことです。1日5万円が上限になっており、建築業における専門家は独自の技術開発の際に依頼する弁理士、新しく導入した機械の説明をする開発者などが該当します。上限金額は補助対象経費総額の2分の1です。

外注費

建設業における外注費とは、一人親方や事業者に自社の業務の一部を委託する際に発生する経費です。つまり「元請け・下請け」の関係になる際に下請けに支払う料金のことを指します。ものづくり補助金の対象となる外注費は「商品のデザインや設計にかかる外注費」と「製造した商品の検査にかかる外注費」のいずれかになっています。上限金額は補助対象になる経費総額の2分の1です。

技術導入費

技術導入費は、本事業遂行のために必要な知的財産権等の導入にかかる経費のことを指します。建設業においては、特別なシステムを導入する際の特許出願費用などが該当します。上限金額は補助対象になる経費総額の3分の1です。

クラウドサービス利用費

クラウドサービス利用費とは、文字通りクラウドサービスの運用に関する経費です。クラウドサービスの対象は広く、あらゆるプラットフォームやサーバーサービスが該当します。建設業においては、クラウド3DCADなどのサービスを導入する際にかかる費用、オンライン決済システムの導入にかかるシステム費などが例に挙げられます。ただし、補助対象期間はものづくり補助金の実施期間となる、採択から1年ほどに限定されるので注意しましょう。

ものづくり補助金が建設業で採択された事例

ものづくり補助金の採択は年に3~5回のペースで行われており、令和6年1月19日には5,608社が申請し、2,738社が採択されました。過去の16回の採択を遡ると、「総合工事業」での採択事例が多く見受けられます。採択の事例は、ものづくり補助金の総合サイトで確認できます。自社に似たケースで採用された事業者がないか、確認してみるのもよいでしょう。
参考:ものづくり補助金総合サイト「成果事例のご紹介」

ものづくり補助金を受け取るまでの流れ

ものづくり補助金を受け取るまでには、以下の4つの手順が必要です。

  1. 申請書類の準備をする
  2. 電子申請システムから申請する
  3. 補助事業に取り組む
  4. 実績報告を行う

1.申請書類の準備をする

まずは申請書類の準備を行いましょう。令和元年度よりJグランツという電子申請に統一化されたため、必要書類一式をすべてzipファイル形式で登録します。以下の書類の中で該当するものを用意しましょう。

  • 補助事業計画書
  • 見積書(相見積り含む)
  • 履歴事項全部証明書の写し(法人の場合)
  • 確定申告書(第1表)の写し(個人の場合)
  • 経営革新計画承認書
  • 経営革新計画申請書の受理印が押された資料
  • 事業継続力強化計画認定書
  • 事業継続力強化計画申請書の受理印が押された資料

2.電子申請システムから申請する

前述したように、ものづくり補助金の申請はjグランツという電子申請システムで行います。事業者や財務の情報など、必要な情報を登録した後必要書類を添付し申請します。記入漏れや添付漏れがあると採択されない可能性もあるので、プレビュー機能を利用して抜け漏れがないかしっかり確認してください。

3.補助事業に取り組む

ものづくり補助金の採択が決まったら、なるべく早く事業に取り組みましょう。なぜなら補助金を受給するためには、グローバル市場開拓枠の場合は採択から14か月以内、それ以外は12か月以内に事業を完了しなければならないからです。この「事業が完了」には計画で導入する機械の支払いも含まれるため、資金計画を事前に立てましょう。

4.実績報告を行う

補助事業が完了したら、実績報告を行いましょう。実績報告も申請と同様に、電子申請システムjグランツで行います。しかし、手続きを円満に行うために一度担当の地域事務局において実績報告資料の事前確認を実施します。そのため、実績報告書を作成後は、電子メールで担当の地域事務局あてに送信してください。地域事務局から確認の連絡がきたら、jグランツで全国事務局あてに再度提出する必要があります。報告期限は、補助事業の完了後30日を経過した日までになるので、こちらも早急に取り組む必要があります。
参考:ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金【実績報告資料等作成マニュアル】

ものづくり補助金を建設業が申請する上でのポイント

建設業がものづくり補助金を申請し採択されるために心がけてほしいポイントを、以下で4つにまとめました。

  • 革新性をアピールする
  • 数字や具体的な根拠を示す
  • 加点項目を満たす
  • 専門家へサポート依頼を行う

革新性をアピールする

ものづくり補助金は採択する際「革新性」を重視するので、新しい生産方式や商品であることをアピールしましょう。革新性というと身構えてしまうかもしれませんが、国で初めての技術である必要はありません。例えば「地域の競合他社との差別化」というレベルでも十分です。取り組む事業内容に悩んでいる方は、国土交通省が公開している「建設業の新分野展開ハンドブック」を参考にするとよいでしょう。
参考:建設業の新分野展開ハンドブック

数字や具体的な根拠を示す

ものづくり補助金の申請の際に提出する事業計画書では、具体的な数字やデータを用いて計画の妥当性をアピールしましょう。ものづくり補助金の採択を受けるためには、国が投資する価値のある計画であることを証明する必要があります。社内外のデータを収集・分析し、図やグラフを用いて分かりやすく載せるとより効果的です。

加点項目を満たす

加点項目とは申請に必須ではないものの、満たせば審査上の加点を受けられる要件です。ものづくり補助金の加点項目は以下の4つです。

  • 政策加点:創業後間もない、またはパートナーシップ構築宣言を行っている。
  • 成長性加点:「経営革新計画」の承認を取得している。
  • 賃上げ加点:給与支給総額と事業場内最低賃金を一定以上とする計画をし、承認を得ている。
  • 災害等加点:「事業継続力強化計画」の認定を取得している。

専門家へサポート依頼を行う

コンサルティング会社や士業などの専門家に、サポートを受けるのもよいでしょう。専門家は知識に基づいたノウハウを構築しているため、採択可能性の高い事業計画を提案してくれるからです。しかし、悪徳コンサルティング会社も存在するため、相談前に信頼できる相手か調査する必要があります。

ものづくり補助金を建設業で申請および活用するときの注意点

建設業がものづくり補助金を申請する際には、以下の4点に注意しましょう。

  • 申請はすべて電子で行う
  • 機械の台数増加や設備拡充には使えない
  • 補助事業の実施場所に注意する
  • 定期的に成果を示す必要がある

申請はすべて電子で行う

前述したように補助金の申請はjグランツという電子システムで行い、例外はありません。また、申請には「GビズID」が必要になるため、早めに取得しておきましょう。紙の添付書類をスキャンして電子化するなど、できる準備は事前に行っておくと申請がスムーズに進みます。

機械の台数増加や設備拡充には使えない

ものづくり補助金は、単純な設備補充や既存の機械の台数増加には認められません。なぜなら、革新的な製品・サービスの開発、生産プロセスの改善という補助金の目的に該当しないからです。補助金を受けるにはまず機械を購入し、導入後実際にどれだけの成果が出たかをまとめなければなりません。

補助事業の実施場所に注意する

ものづくり補助金を申請する際は、補助事業を行う場所で申請する必要があります。ものづくり補助金に一度申請した事業場所は、変更できない場合があるからです。もし申請した実施場所と実際の場所が異なる場合は、不採択となる可能性が高いです。建設業は事業場所が変わる、あるいは直前まで分からないケースも多いので、申請する際は注意しましょう。

定量的に成果を示す必要がある

ものづくり補助金の採択を受けるためには、事業の成果を定量的にアピールしなければなりません。目的や設備、受けられる効果については数字を用いてなるべく具体的に示しましょう。6W2Hの視点を持ち、専門用語を少なくし、誰が読んでも分かりやすい文章を心がけることも大切です。

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【まとめ】ものづくり補助金を建設業で活用し成果に繋げよう

ものづくり補助金は建設業でも申請できますが、採択される可能性は決して高くはありません。補助金を受けるためには、事業が革新的であることを、数値やデータを用いてアピールする必要があります。補助金を活用できれば、業務効率化が叶い生産性が飛躍的に向上します。申請手順やポイントを理解した上で、確実に申請しましょう。

建設機械の購入に使用できる補助金については、こちらの記事で解説しています。

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