主任技術者が現場にいないのはあり?常駐義務について解説します

  • 主任技術者は常に現場にいなければいけないのだろうか
  • 常駐しなくてもいいケースを知りたい

建設業を営む方のなかにはこのようなお悩みを抱えている方もいるでしょう。

主任技術者は工事現場にとって欠かせない存在です。しかし、要件次第では常駐しなくていいケースもあります。主任技術者の配置要件、配置が不要になる要件について解説するのでぜひ参考にしてください。

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主任技術者とは

主任技術者はすべての建設現場において専任で配置することが義務づけられています。建設業法第26条第1項より抜粋したものが下記です。

(主任技術者及び監理技術者の設置等)
第二十六条、建設業者は、その請け負った建設工事を施工するときは、当該建設工事に関し第七条第二号イ、ロ又はハに該当する者で当該建設工事現場における建設工事の施工の技術上の管理をつかさどるもの(以下「主任技術者」という。)を置かなければならない。

上記のとおり、主任技術者は建設業により配置が義務づけられている、建設工事現場を管理・監督をする人のことです。主任技術者になる方法は下記のとおりです。

  • 各建設業に応じた一級、二級国家資格者であること
  • 指定学科を修了し、一定の実務経験期間があること
  • 10年以上の実務経験期間があること

主任技術者の業務内容や特徴は下記で詳しく解説します。
参考元:建設業法令情報提供サイト

主任技術者の業務内容

主任技術者の主な業務内容は下記のとおりです。

  • 施工計画の作成
  • 品質管理
  • 安全管理
  • 工程管理
  • 技術上の管理
  • 工事現場の技術上の指導監督

主任技術者は簡単に言うと「現場監督」のような立場です。建設工事における施工の計画から管理、予算管理や書類作成など、業務内容は多岐にわたります。

工事現場の作業員はもちろんのこと、他の業者との打ち合わせや工事を遂行するため、高いコミュニケーション能力が求められる重要なポジションです。

主任技術者と監理技術者の違いについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

主任技術者と監理技術者の違いは?必要な資格や工事範囲などを徹底解説!

主任技術者の特徴

主任技術者は工事の規模、元請け、下請けに関わらず専任で配置されます。特徴は下記のとおりです。

  • 公共性があり多くの人が利用する施設や工作物に関する建設工事は専任で工事を受けもつ
  • 元請け工事1件あたり下請け業者への発注額が4,000万円未満(建築一式工事は6,000万円未満)の工事を受けもつ

主任技術者の常駐義務となる条件

主任技術者は現場に配置し、常駐しなければならないとされています。しかし、すべての工事現場に主任技術者の配置を義務づけるのは、人件費の観点からすると現実的ではありません。

そのため、1件あたりの工事の請負代金が3,500万円以上(建築一式工事は7,000万円以上)の工事現場に限り、主任技術者の配置、常駐を義務づけています。

主任技術者が不要になる7つの条件

2020年の10月に改正された建設業法にて、主任技術者の配置、常駐が不要になる要因が新たに決定されました。

  1. 特定専門工事である
  2. 発注者と元請のなかで書面により合意がとれた
  3. 元請けと上位下請のなかで書面による合意がとれた
  4. 元請または上位下請の主任技術者が、施工管理業務を担当する
  5. 4の主任技術者が、特定専門工事などの建設工事に1年以上指導監督的な実務経験があり、当該工事原画に専任で置かれる
  6. 主任技術者を配置しない業者が元請業者ではない
  7. 主任技術者を配置しない業者がさらなる下請契約を行わない

上記の7つの要件をすべて満たす場合は、主任技術者の配置は不要です。

特定専門工事とは

特定専門工事とは、型枠工事または鉄筋工事のことです。下請代金額の合計が3,500万円未満の工事に限ります。また、発注者から直接請け負う場合は、契約する請負代金の合計額が4,000万円未満の工事が特定専門に該当します。

不要になるのは下請業者のみ

主任技術者が不要になるのは下請業者のみで、元請は主任技術者の配置が必要です。元請や一次下請の主任技術者が、二次下請の施工管理業務を担当する場合に主任技術者が不要になるので間違えないように注意しましょう。

主任技術者が複数現場を兼任するための条件

主任技術者は1つの現場に常駐しなければならないと思っている方も多いでしょう。しかし建設業法施行令第27条の下記に当てはまる場合は複数の現場を兼任することが可能です。

  • イ:石油パイプライン事業法
  • ロ:電気通信事業法
  • ハ:放送令
  • 二:学校
  • ホ:図書館、美術館、博物館又は展示場
  • へ:社会福祉法
  • ト:病院又は診療所
  • チ:火葬場、と畜場又は廃棄物処理施設
  • リ:熱供給事業法
  • ヌ:集会場又は公会堂
  • ヲ:事務所
  • ワ:ホテル又は旅館
  • カ:共同住宅、寄宿舎又は下宿
  • ヨ:公衆浴場
  • タ:興行場又はダンスホール
  • レ:神社、寺院又は協会
  • ソ:工場、ドック又は倉庫
  • ツ:展望場

ただし上記であげた工事のなかでも

  • 一体性や連続性がある工事
  • 同じ場所で施工するもの
  • 近い場所で施工するもの

これらの条件に当てはまるものは同じ専任技術者で良いとされています。

上記の要件を満たせば複数の現場を主任技術者が兼任することが可能です。「密接な関係のある」「近接した場所」とは具体的にどのようなことなのでしょうか。
下記で詳しく解説します。

密接な関係のある建設工事とは

密接な関係のある建設工事とは、工事の対象になる工作物に一体性または連続性が認められる工事や、施行にあたり相互に調整する必要がある工事のことです。

同じ敷地内での工事や連続した道路、施設などの工事が該当します。例えば、防災公園とその脇の道路に対する整備工事、相互に工程調整や土壌分配計画の調整などを要する工事です。

近接した場所とは

近接した場所とは、相互の工事現場が約10kmまでの範囲の工事が該当します。密接な関係のある建設工事だとしても、10km以上の間隔がある場合は主任技術者の配置は認められませんので注意しましょう。

条件を満たしても主任技術者が兼任できないケース

上記の条件を満たしていても、発注者から許可がでなければ兼任できないケースも考えられます。

例えば他の企業や自治体から発注された工事と兼任しようとしていたり、施行実績や技術力などが基準を下回る場合などです。

また兼任する方がいいと判断した場合は、その発注者に申請を行い確認しましょう。

専任工事でも主任技術者が現場に常駐する必要はない

主任技術者は現場に常駐しなければならない、と思っている方も多いだろう。しかし、常に常駐する必要はありません。監理技術者制度運用マニュアルには下記のように記載されています。

専任とは、他の工事現場に係る職務を兼務せず、常時継続的に当該工事現場に係る職務にのみ従事していることを意味しており、必ずしも当該工事現場への常駐を必要とするものではない。

休日や出張などの場合は、主任技術者は常駐する必要がないので覚えておきましょう。
参考元:監理技術者制度運用マニュアル

【まとめ】主任技術者が現場にいないケースもある!条件を確認しよう!

主任技術者は基本的に現場に常駐することが決まりですが、現場にいないケースも複数あることがわかりました。主任技術者が不要となるのは下記のとおりです。

  1. 特定専門工事である
  2. 発注者と元請のなかで書面により合意がとれた
  3. 元請けと上位下請のなかで書面による合意がとれた
  4. 元請または上位下請の主任技術者が、施工管理業務を担当する
  5. 4の主任技術者が、特定専門工事などの建設工事に1年以上指導監督的な実務経験があり、当該工事原画に専任で置かれる
  6. 主任技術者を配置しない業者が元請業者ではない
  7. 主任技術者を配置しない業者がさらなる下請契約を行わない工事1件の請負代金が3,500万円未満(建築一式工事は7,000万円未満)の場合も、主任技術者の配置は不要です。

内容をよく確認し、主任技術者の配置の条件について理解を深めていきましょう。この記事がお役に立てたら幸いです。

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