大規模修繕工事を管理会社に依頼するメリット・デメリットを解説

マンションの大規模修繕工事を検討するとき、管理会社への依頼も選択肢の1つとなるでしょう。しかし、

  • 管理会社とのトラブルにならないだろうか
  • 管理会社から不適切な金額を請求されたりしないだろうか

などと不安に思うこともあるかもしれません。そこで今回の記事では、大規模修繕工事を管理会社に依頼するメリットやデメリットなどについて解説していきます。

大規模修繕工事とマンション管理会社の関係

マンション管理会社が担当する仕事は、大規模修繕工事以外の「マンションの管理業務」であることが多いです。そのため、大規模修繕工事は管理委託契約の範囲に入りません。施工部門がある管理会社に工事を提案されることはありますが、必ずしも管理会社に頼まなければならないというわけではありません。しかし、約28.3%が管理会社に大規模修繕工事を依頼しているというデータもあります。

マンション管理会社の主な仕事は4つの管理業務

前述の通り、マンションの管理会社の主な仕事はマンションの管理業務を行うことです。一般的に、管理会社に大規模修繕工事を行うという業務はないので、管理会社以外への大規模修繕工事の依頼もできます。管理会社の主な仕事は、「建物・設備管理業務」「事務管理業務」「管理員業務」「清掃業務」の4つです。

建物・設備管理業務

建物・設備管理業務では、建物の点検や簡単な補修を行うほか、屋内電灯電球交換なども行います。さらに、消防やエレベーターなどの定期検査の立ち会いも建物・設備管理業務の範囲に入ります。また、給水設備・消防設備・電気設備などの法定点検や保守点検も行います。建物・設備管理業務は、入居者の安心と安全のために大切な業務です。

事務管理業務

事務管理業務は、基幹事務と基幹事務以外に分けられます。基幹事務の業務は、収集予算・決算案の作成サポート、収支状況の報告、経費の支払い、管理費などの収納があります。基幹事務以外に分類される業務は、理事会や総会の開催、運営支援などです。理事会や総会の開催以外にも、マンション担当者による建物の見回り、組合名簿の作成・整理などもあります。

管理員業務

管理会社から委託された管理員がマンションに常駐し、受付業務を行ったり、点検の立ち会いをしたりします。例えば、引越しの立ち会いなどがこの業務に該当します。受付業務や点検の立ち会いの他にも、管理組合の調整役として参加することも、管理員業務の1つです。

清掃業務

清掃業務では、基本的にエントランスや階段、共用廊下やゴミ捨て場など、共用部分の清掃を行います。清掃業務は日常清掃と定期清掃に分けられ、エントランスや階段などの清掃は日常清掃に分類されます。定期清掃に分類される業務は、専門業者が専用の機械を使って、年に数回定期的に共用部の清掃を行うことです。

大規模修繕工事の管理会社主導方式とは

大規模修繕工事の管理会社主導方式とは、「診断」「設計」「工事」という3つの工程を全て管理会社に任せる方式のことを言います。管理会社主導方式は、大規模修繕工事で最も多く使用されている方式です。ほとんど全ての業務を管理会社が行うことになるので、マンション側はとても楽で、メリットの大きい方式だといえます。ただし、管理会社が仲の良い施工業者を選ぶ場合もあるので、費用は高くなる可能性があります。

大規模修繕工事の管理会社主導方式以外の方式

管理会社主導方式以外の方式には、設計監理方式と責任施工方式があります。設計監理方式とは、「診断」と「設計」を建築士事務所やコンサルタント会社など、外部の専門家に依頼することを言います。それに対して責任施工方式とは、管理会社ではなく施工業者に診断・設計・工事を任せることです。責任施工方式ではマンションの管理組合が自由に業者を選択できるので、業績や価格などをもとにして客観的に選べます。

大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼するメリット

大規模修繕工事で管理会社主導方式で依頼するメリットは、以下の3つです。

  • 信頼関係があるため安心感がある
  • 管理組合や理事官の負担が少ない
  • 工事後のトラブル対応もスムーズに進む

信頼関係があるため安心感がある

大規模修繕工事は多くの人が初めての経験となるため、信頼関係がある管理会社に依頼すると安心できるという人も多いでしょう。普段出入りしない工事業者が大規模修繕工事を行うとなると、抵抗があるという人もいるかもしれないので、日常の管理業務を担当している管理会社に大規模修繕工事を依頼すると安心感があるはずです。

管理組合や理事官の負担が少ない

大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼すると、管理組合や理事会の負担を減らせます。大規模修繕工事の準備には、1年ほどかかることも少なくありません。予算計画や修繕内容の検討など、管理組合がしなければならない業務がたくさんあるからです。また、大規模修繕工事を行うには専門的な知識も必要になるので、管理組合や理事会の負担も増えるでしょう。管理会社に大規模修繕工事を依頼すれば管理会社が手助けしてくれるため、管理会社や理事会の負担を減らせるのです。

工事後のトラブル対応もスムーズに進む

大規模修繕工事が終わったあと、工事に不具合が発生すると、トラブルになる可能性があります。工事に不具合が発生し、トラブルになってしまった場合、管理会社に大規模修繕工事を依頼していれば窓口がはっきりしているため、責任の所在が特定しやすくなります。そのため、工事後のトラブル対応もスムーズに進められるのです。

大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼するデメリット

大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼するデメリットは、以下の3つです。

工事費が不透明になりやすい

管理会社はマンションの管理業務を行っており、管理組合の財務状況を知っているので、工事費用を高めに設定する可能性もあります。しかし、大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼する場合、複数の施工会社に見積もりを出してもらう訳ではないので、管理会社が提示した金額が適切かどうか判断するのが難しくなります。そのため、管理会社が工事費用を高く設定していても気づかない可能性があるのです。

工事費が割高になる場合もある

普段から付き合いのある管理会社に大規模修繕工事を依頼する場合、管理会社からすると他社と金額を比べられる心配がないので、競争原理が働きません。そのため、工事費用が割高になってしまう可能性もあります。また、管理会社によっては大規模修繕工事を施工業者に依頼することもあります。管理会社が修繕工事を施工業者に依頼する場合、紹介料や手数料が発生するので工事費用が割高になるのです。

品質チェックが難しい

前述の通り、大規模修繕工事を管理会社主導方式で依頼したとしても、実際に工事を行うのは下請けの施工業者であることが多いです。管理会社は下請けの施工業者をクオリティの高さで選んでいるわけではなく、「お得意様だから」という理由で選んでいることも珍しくありません。このケースでは、いい加減な工事をされたとしても厳格な品質チェックを行うことが難しくなります。

大規模修繕工事を管理会社主導方式で行う手順

大規模修繕工事を管理会社方式で行う手順は以下の通りです。

  1. 住民アンケート・建物劣化診断を元に工事範囲を決定する
  2. 工事仕様書・明細書を作成する
  3. 相見積もりを取る
  4. 管理組合の総会を開く
  5. 工事会社の決定・契約
  6. 工事の実施・アフター点検

1.住民アンケート・建物劣化診断を元に工事範囲を決定する

大規模修繕工事を管理会社方式で行う場合、まずは住民アンケート・建物劣化診断を元に工事範囲を決定します。住民アンケート・建物劣化診断に費用が掛かるかどうかは管理会社によって違います。実際に大規模修繕工事を行う前々年度に、管理会社にヒアリングを行い、有償の場合は見積もりをしてもらって前々年度の総会で予算を確保します。住民アンケートについては、管理会社が無償で行ってくれるでしょう。建物劣化診断を行った結果、屋上防水の状態が悪くなければトップコートだけを行うなど、工事範囲が決定します。

2.工事仕様書・明細書を作成する

工事範囲が決定したら、管理会社に工事仕様書と明細書を作ってもらいます。工事仕様書は、施工に使う材料・工事方法・提出文書・項目別保証内容・保証期間などをまとめたもののことです。明細書には、内訳明細書と工事内訳明細書というものがあります。外部の設計コンサルタントに工事仕様書と明細書の作成を依頼するように勧められる場合もあるかもしれません。この場合は、紹介してもらった設計コンサルタント設計コンサルタントに依頼すると良いです。

3.相見積もりを取る

次に、大規模修繕工事会社に相見積もりを取ります。相見積もりを取るときには、管理会社経由と管理組合の両方から大規模修繕工事に相見積もりを取ることが必要です。見積もりの比較をしたり、最終選考で候補になっている工事会社にヒアリングを行ったりして1社に絞ります。

4.管理組合の総会を開く

相見積もりを取った後には、管理組合の総会を開きます。ただし、大規模修繕工事の発注額は金額が大きく、一戸当たり100万円前後になるので、総会で反対されてしまう可能性もあるでしょう。国交省の標準管理規約が土台となっている場合は、議決権行使書、委任状を含む総会出席者の組合員の過半数の議決で決議します。マンションによって違う場合もあるので、自身のマンション管理規約を確認しておくことがおすすめです。

5.工事会社の決定・契約

管理総会を開き、無事に総会の承認を獲得できたら工事会社を決定し、契約書を作成して工事会社と契約します。ただし、総会で思わぬ反対意見が出るなどして決議できなかったら大規模修繕工事の開始が遅れてしまいます。組合員に納得してもらうためには、アンケート結果の共有をするなどして、事前に説明してもらうことが効果的です。

6.工事の実施・アフター点検

工事会社が決定し、契約をしたら工事を実施します。工事開始後、数か月に及ぶ工事が終わり、検収したら無事に大規模修繕工事の終了です。大規模修繕工事が無事に終了したら、アフター点検を行っていきます。もし、保証期間内に何かしらのトラブルが起きれば、大規模修繕工事会社に修理してもらうことになるでしょう。アフター点検を行う頻度は、契約内容によって異なります。

大規模修繕工事を管理会社主導方式で行うときの注意点

前述の通り、大規模修繕工事を管理会社方式で行うことにはデメリットもありますが、十分に注意していれば損してしまうことはありません。具体的には、「複数の業者から見積もりを取っておく」「工事仕様書・設計明細契約を提供してもらう」などのことをすれば、管理会社の不正を防止できるでしょう。特に、工事仕様書などはお金を払ってでも手に入れることをおすすめします。工事内容が曖昧な資料を出してくる業者は悪質であるかもしれないので、別の管理会社を選ぶことを検討しましょう。

【まとめ】大規模修繕工事をマンション管理会社に依頼することは悪くない!注意点を踏まえ最適な方法を選ぼう

大規模修繕工事を管理会社に依頼するメリットやデメリットなどについて解説してきました。大規模修繕工事をマンション管理会社に依頼することは悪いことではありませんが、注意していないと悪質な業者に騙されてしまう可能性もあります。この記事でご紹介した注意点を参考にして、最適な方法を選ぶようにしましょう。また、普段から管理会社との信頼関係を築いておくことも効果的です。
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