解体工事前には電気の撤去手続きが必要!流れや注意点なども解説

解体工事 電気

建物などの解体工事の際、事前に手続きが必要な設備や配管、配線などがいくつもあります。それらは適切に手続きを行わなければ、作業中の事故につながる恐れもあり非常に危険です。今回は、解体工事の際に手続きが必要なことが多い、電気の撤去を中心に解説します。手順や注意点などを解説しますので、ぜひ最後まで読んでください。

解体工事前には電気の撤去手続きが必要

解体工事を行うにあたり、建物に付随する電気設備は撤去しなければいけません。なぜなら、電気設備を事前に取り外さなければ、感電や配線の巻き込みといった事故に繋がる恐れがあるからです。

電気の撤去は、依頼主から解体業者が委託されることもありますが、施主が行うことが一般的です。電気設備の取り外しは所定の手順に従って行う必要があるため、今回解説する流れを把握し、解体工事の前に完了させましょう。

解体工事前に電気を撤去する手順

ここでは、解体工事前に電気を撤去するための手順を解説します。電気を撤去する際は、基本的に次の3段階の手順で進めます。

  1. 電力会社へ電力の使用停止依頼
  2. 電気設備の撤去
  3. 電線の撤去

それぞれの手順を解説しますので、流れを理解し正しい方法で撤去を行いましょう。

1.電力会社へ電力の使用停止を依頼する

解体工事の前に、まずは電力会社へ電力の使用停止を依頼しなければいけません。電力を停止しなければ、撤去作業中に感電事故などを起こす可能性があります。
電力の停止を依頼する際は、必ず解体工事のために作業が必要ということを伝えましょう。電力を停止してほしいと伝えるだけでは、設備や配線の撤去がされない恐れがあるからです。電力の停止は、連絡してすぐには行えません。最低でも1週間前には依頼しましょう。

2.電気設備を撤去する

電力会社に依頼したら、電気設備の撤去が行われます。電気設備の取り外しは基本的に電力会社が行うため、解体業者などが作業をすることはありません。ただし、撤去する建物によっては、立会いが必要なことがあります。
電気設備の取り外しにおいて電力会社が担当するのは、電気メーターとアンペアブレーカーの取り外しまでです。建物内の配線などは含まれないため、注意しましょう。

3.電線を撤去する

電気設備の撤去とともに行われるのが、電線の取り外しです。解体工事の前には電柱などから建物内への引き込み線を取り外さなければいけません。引き込み線を撤去しなければ重機が建物に近づけないため、必ず全ての電線を取り外してもらいましょう。

電線の取り外しも電気設備同様に電力会社が行うため、解体業者が作業を行うことはありません。ただし、立会いを求められることはあるため、事前に作業日を確認し、日程の調整を行いましょう。

解体工事で電気を撤去するときの注意点

電気を撤去する手順を把握したところで、次は注意点を解説します。解体工事の前に電気を撤去する際は、次のポイントに注意しましょう。

  • 余裕を持ったスケジュールで手続きを行う
  • 電力会社へ伝える内容を用意しておく
  • 解体工事する旨を伝える

余裕を持ったスケジュールで手続きを行う

解体工事の前に電気を撤去する際は、スケジュールに余裕をもって手続きを行いましょう。電気の撤去を依頼しても、すぐに作業が行われるわけではありません。電力会社にもよりますが、最短でも依頼から、およそ1週間程度かかります。立会いが必要な場合もあるため、作業日程が確定した段階で速やかに依頼しましょう。早めに依頼することで、その後の解体工事の作業日程を決めやすくなります。

電力会社へ伝える内容を用意しておく

電力会社に電気の撤去を依頼する際は、必要な情報を伝えなければいけません。なぜなら、電力を停止し撤去する建物を確定するために必要だからです。電力の停止と撤去を依頼する際に、電力会社に伝えるべき内容は以下の通りです。

  • 電気契約者の氏名・住所
  • 連絡者の氏名・関係性
  • 連絡先
  • 電気メーター番号やお客様番号

電気メーターの番号やお客様番号は電気料金の請求書などに記載されているため、確認して依頼しましょう。

解体工事する旨を伝える

電気の使用停止を依頼する際は、解体工事を行う旨を伝えることを忘れてはいけません。なぜなら、電気を停止してほしいと伝えるだけだと、電気の供給を停止するだけで設備や配線の撤去が行われない可能性があるからです。電気設備や配線が撤去されなければ、重機などが敷地内で使えずスムーズに作業が行えません。そのため、電気の停止を依頼する際は、必ず解体工事を行うためという理由を説明しましょう。

解体工事中の電力を確保する方法

解体作業を開始する前に電気を停止したら、作業中の電力はどうするのか気になる人もいるのではないでしょうか。ここからは、解体工事中の電力を確保する方法を解説します。作業中の電力を確保する際は、以下の点に注意して作業準備をすすめましょう。

  • 仮設電気の設置は解体業者が行うことが一般的
  • 電気代の負担は施主
  • 電気代負担については事前に明記しておく

一般的に解体業者が仮設電気を設置する

解体工事の際に電力が必要な場合、解体業者が仮設の電気を用意することが一般的です。現場近くの電柱から電気を引き込むこともあれば、大型の発電機を用意して電力を確保することもあります。

発電機の場合、種類によって出力が異なるため、現場に適した機材を用意しましょう。また、電工ドラムなど細かい機材の準備も忘れずに行うことが、スムーズに解体工事を行う上で重要です。

電気代は施主が負担する

解体工事における仮設の電気設備は、解体業者が用意することが一般的です。しかし、仮設の電気設備も用意して使用するには費用がかかります。その際の費用は、施主が負担することが一般的です。
仮設の電気設備費用は、見積書では「仮設電気代」や「共通仮設費」などの項目で計上されることが一般的です。また、金額はおおよそで計算し、想定より多くかかる場合は費用負担の打ち合わせが必要です。

電気代負担について事前に明記しておく

解体工事における電気代の負担については、事前に見積書や契約書に明記しておきましょう。なぜなら、明確な基準や規則などがないため、工事後にトラブルになることがあるからです。そうしたトラブルを防ぐために、事前に取り決めを交わすことが重要です。
見積書を提示する際に、備考欄などに電気代についての条件を記載したり別紙で記載したり、明記する方法はさまざまです。明記とあわせて口頭で説明することで理解を得やすくなるため、丁寧に説明することを心がけましょう。

解体工事中の電気による事故

解体工事の際、事前に電気を撤去しなければ事故が起こる可能性があり非常に危険です。ここからは、解体工事で注意すべき電気による事故を解説します。事故の事例を防止法を具体的に紹介しますので、それぞれを把握して作業中の電気による事故の発生を予防しましょう。

事故の事例

解体工事中に電気による事故で起こりやすいのが、作業員の感電です。電力が停止していない状態で解体作業を進め、何らかの理由で配線などに触れることで作業員に電気が流れてしまいます。感電事故による死者も出ているため、危険性が窺えます。
また、撤去されなかった電線によって、無関係な建物を傷つけたり歩行者が負傷する事故もあります。こうした事故は、事前に必要な措置を取らなかったために起きることが多いため、電気の停止や撤去をしっかり施工計画に組み込んだ上で、施工することが重要です。

事故の防止法

解体工事中の電気による事故を防ぐためには、どうしたら良いのかと悩む人も多くいます。ここからは、そうした事故を防止する方法を解説します。事故の発生をできるだけ抑えるためには、安全衛生教育と危険予知ミーティングが重要です。それぞれの方法でどのように事故を防ぐかを解説するので、作業計画を立てる参考にしてください。

安全衛生教育

安全衛生教育は、建設業などで作業員を雇用した際に、事業者が行わなければいけない指導項目です。解体工事を含めた建設業で働くにあたり、どのような心構えや意識を持つべきかを教えることで、作業による事故や災害を防止します。解体工事では不注意や不手際から大怪我や死亡事故につながることもあるため、作業員を雇い入れた際はしっかりと安全衛生教育を行うことが重要です。

危険予知ミーティング

解体工事で電気による事故を起こさないためには、危険予知ミーティングも非常に重要です。KYミーティングとも呼ばれ、現場ごとに事故の原因を予測し対策を話し合って講じることで、トラブルの発生を防げます。解体工事は現場ごとに状況が異なるため、危険予知ミーティングで事故原因と対策を共有することは極めて重要です。そのため、作業を始める前には、必ず危険予知ミーティングを行い、危険な要因を現場全体で共有しましょう。

解体工事前に電気以外のライフラインを撤去する方法

最後に、電話線やガスなど電気以外のライフラインを、撤去する方法を解説します。以下のライフラインがある場合、順番や方法に注意しましょう。

  • 電話線
  • ガス
  • インターネット回線
  • ケーブルテレビ
  • 浄化槽
  • セキュリティーサービス
  • 水道

それでは、それぞれの方法や注意点を見ていきましょう。

電話線を撤去する

電話線は、解体作業を開始するまでに契約している通信会社に連絡し、回線の停止と引き込み線の撤去を依頼しましょう。電話は電気同様に引き込み線があるため、回線の停止を依頼する際は、解体工事を行うことを伝えましょう。そうすれば、通信会社が引き込み線の撤去を行います。作業開始に間に合わない場合は、通信会社から指示があるため、それに従って作業を進めましょう。

ガスを撤去する

ガスは、電気同様に解体工事前に停止と撤去が必要です。万が一停止と撤去が行われなければ、解体作業の途中で大事故につながる恐れがあるからです。ガスは種類によって対応が異なるため、次の3つのケースでそれぞれの対応を見ていきましょう。

  • 都市ガスの場合
  • プロパンガスの場合
  • 集中プロパンの場合

都市ガスの場合

都市ガスの場合、地域を管轄するガス会社か契約しているガス会社に連絡しましょう。都市ガスの場合、供給の停止と撤去を依頼すれば、数日で作業してくれる場合もあります。そのため、他のライフラインに比べて、スケジュール的には余裕があります。
都市ガスの場合、「地境撤去」を依頼すると、解体が行われることが伝わります。解体工事の日程などとあわせて連絡し、作業開始までに完了させましょう。

プロパンガスの場合

プロパンガスの場合、ガスボンベに記載してある会社に連絡すれば、対応してもらえます。作業日程はガス会社によって異なるため、依頼する段階で確認しましょう。もし、何らかの理由でガス会社が対応できない場合は、メーターに記載してあるガスの設置会社に連絡すれば撤去してもらえます。解体工事で邪魔にならないように、早めに撤去を依頼しましょう。

集中プロパンの場合

集合プロパンは、集合住宅や大規模な造成地に設けられたガスボンベ庫から、まとめてガスを供給する方式です。集中プロパンを供給している会社は、比較的小規模なことが多いため、撤去までに時間がかかることもあります。そのため、撤去を依頼する場合は、早めに連絡することが重要です。解体工事に支障をきたさないためにも、余裕をもって依頼しましょう。

インターネット回線を撤去する

インターネット回線は、近年は無線通信が主流になりました。しかし、建物の中までは電気や電話と同様に電柱から回線を引き込んでいることが多いため、撤去が必要です。電柱から回線が引き込まれたままだと、重機を使用する際に支障をきたすため、必ず撤去を依頼しましょう。建物への引き込みがない、完全に無線のタイプのインターネット回線の場合、必要ありません。

ケーブルテレビを撤去する

ケーブルテレビを契約している場合も、電気や電話、インターネット回線同様に撤去が必要です。撤去の際は契約している事業者に連絡し、解体工事の日程などを伝えて、期限までに取り外してもらえるよう依頼しましょう。アンテナを設置している場合は、その取り外しもあわせて依頼することを忘れないようにしてください。立会いが必要なことがあるため、日程には注意しましょう。

浄化槽を汲み取る

解体する建物に浄化槽がある場合は、解体工事前に汲み取りを依頼しなければいけません。浄化槽の汲み取りをしないまま解体作業を進めると、汚水が周囲に拡散し土壌汚染を引き起こす恐れがあります。そうならないためにも、解体工事の前に清掃業者に依頼し、汲み取りをしてもらいましょう。

浄化槽はライフラインとは異なるため、意識されないことも多い設備ですが、周辺環境の悪化を防ぐために忘れずに汲み取りを依頼してください。

セキュリティーサービスを解約する

建物のセキュリティーサービスを契約している場合、解約を忘れないようにしましょう。建物のセキュリティーサービスではセンサーや警報装置を設置している事もあります。そうした設備の撤去を忘れると、解体作業中に警報音が鳴り、不要なトラブルが発生する恐れがあります。そういった事態を防ぐためにも、セキュリティーサービスを契約している建物では、忘れずに解約と設備の撤去を依頼しましょう。

水道は解体工事後に停止する

ここまでは、解体工事の前までに撤去や停止という手順を解説してきましたが、水道だけは作業完了後に停止しましょう。なぜなら、作業のための散水や清掃のために、水を使用するからです。そのため、解体が完了し水道が不要になる日程を水道局に伝えて、停止を依頼しましょう。水道料金は、解体前に一度清算し、解体工事で使う分については負担分を協議しましょう。

【まとめ】解体工事前には電気やライフラインの撤去手続きを忘れず行おう!

1つの建物にはいくつものライフラインが配置されています。電気やガスなど扱い方によっては危険なものもあるため、基本的には解体工事の前に停止や撤去させることが重要です。その際、どのように停止や撤去をするかはライフラインによって異なります。
解体工事を行う際は、今回解説した内容を参考に、電気をはじめとしたライフラインを停止させて作業を行ってください。そして、安全に工事を完了させましょう。

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