ビケ足場とは?特徴やメリット・組み立て方などをわかりやすく解説

ビケ足場とは

建設現場の足場は、高所の作業や外壁の塗装に欠かせないもので、作業効率を上げるだけでなく作業員の安全を確保するという役割もあります。足場と言っても現場や作業環境に合わせて様々な種類がありますが、その中に「ビケ足場」と言われる種類があるのをご存じでしょうか?今回はビケ足場の特徴や利用するメリットやデメリット、組み立て方や規格の違いについて徹底的に解説します。

ビケ足場とは

「ビケ足場」はくさび緊結式足場と呼ばれる形状の足場です。1980年に株式会社ダイサンが開発したくさび緊結式足場の商品名が「ビケ足場」だったことから、この名称が定着しました。くさび緊結式足場とは、足場の緊結部分にくさびを用いて組み立てる足場のことです。一定の間隔に緊結部を備えている鋼管を支柱としており、主に一般住宅や中層建築のメンテナンスや外壁塗装に用いられています。

他の足場の種類

足場には、ビケ足場以外に以下の種類があります。それぞれの特徴やメリット、使用される現場の種類について説明しましょう。

  • 枠組足場
  • 単管足場
  • 移動式足場
  • 吊り足場

枠組足場

枠組足場とは、鋼管を溶接して建枠を作り、ジャッキや筋交いなどの部材を組み立てる仮設足場です。別名「ビティ足場」とも呼ばれています。組み立てや解体に時間がかからないのに関わらず高い安全性を保っていることから、最もよく利用されるタイプの足場です。高層建築の工事にも良く使用されています。組み立て時の騒音が少ないことも利用するメリットの1つと言えるでしょう。

単管足場

単管足場とは、鉄パイプのような単管とクランプという金具を組み合わせて作る足場です。最も古くから利用されてきた足場で、金属が流通する前には丸太とひもで作られていました。シンプルな形状でありながら、頑丈で、高い耐荷重能力があります。また、自由に形を変えられるのが特徴で、狭い場所や複雑な形状の建物の足場にも適しています。

移動式足場

移動式足場とは足場の下部に脚輪がついており、文字通り移動ができる車輪です。別名「ローリングタワー」とも言います。下部に車輪がついている以外の形状は枠組足場とほぼ同じですが、昇降のためのはしごや、手すりがついているのが特徴です。簡単に移動できるため、作業場所が複数箇所にある設備工事や少人数での作業に適しています。

吊り足場

吊り足場とは、施工対象の上部から吊り下げて設置するタイプの足場です。地上から足場を組むことが困難な橋の施工や高速道路のメンテナンスに良く用いられます。設置場所を取らないというメリットはありますが、落下すると大事故につながる可能性があります。そのため足場の設置は入念な下準備のもと、慎重に行う必要がある言えるでしょう。

ビケ足場のメリット

ビケ足場は5種類ある足場の中の1つです。ビケ足場には、どのようなメリットがあるのでしょうか。導入することで得られるメリットを、以下の3つに分けて説明します。

  • 組み立て・解体が簡単にできる
  • 工期を短縮できる
  • コストを削減できる

組み立て・解体が簡単にできる

ビケ足場は、ハンマー1つで組み立てできるというメリットがあります。緊結部がついている支柱にブラケットをハンマーで打ち込むという単純な工程で出来上がるため、組み立てや解体に時間や特別な技術、機会を必要としません。手すりや踏み板などの部材の組み立ても、場所を問わず簡単に行えるのはビケ足場の最大のメリットと言えるでしょう。

工期を短縮できる

ビケ足場は簡単に組み立て、解体ができるため他の足場と比較すると短期間で設営が終わります一般的な2階建ての住宅の場合であれば、足場の組み立ては約1日、解体はその半分の半日程度で終了するでしょう。解体した足場材は工事車両に積めばすぐ搬出できるので、すぐに工事前の状態に戻せる点も魅力です。足場の組み立てにかかる時間を短縮できるため、結果として工期が短くなるというメリットがあります。

コストを削減できる

ビケ足場はコストパフォーマンスに優れた足場の1つです。なぜなら簡単に短期間で組み立てられるだけでなく、重量が軽くコンパクトにまとまるため、運搬にも大型の重機を必要としないためレンタル費用などがかかりません。また、前述したように組み立てにはハンマー以外の機材は必要ないため、機材調達の費用がかかりません。足場の運搬や組み立てに必要な機材や人件費を抑えられるため、コスト削減になるというメリットもあるのです。

ビケ足場のデメリット

組み立てが簡単であるため、工期が短くコストパフォーマンスが良いビケ足場ですが、以下のデメリットがあることも考慮しなければなりません。現場に適した足場であるかを判断したうえで、導入するようにしましょう。

  • 高層建築の施工には適していない
  • 組み立て時の音が大きい

高層建築の施工には適していない

ビケ足場は高層建築には適していません。「くさび緊結式足場の組立て及び使用に関する技術基準 」では、ビル工事用では使用できる高さは高さ 45m以下、住宅工事用では高さ10m以下の2階建てまでと定められています。高層建築にはビケ足場ではなく、枠組足場や単管足場のような重量感とより安定性に優れた足場が適しています。

組み立て時の音が大きい

ビケ足場は、組み立てる際のハンマーの音が大きいというデメリットがあります。カーンカーンという金属を打ち付ける音は周囲に響くため、住宅街での作業の際はクレームが起こる可能性があります。また、運搬が手作業になるためどうしても作業員同士の声かけが発生しますが、これらをうるさいと感じる方もいるでしょう。組み立てや解体の際に発生する騒音に対して、配慮しなければなりません。

ビケ足場の組み立て方

ビケ足場の組み立て方はシンプルです。1層目を組み立てたら、2層目、3層目を上に組み上げる形で連結していきます。ビケ足場の組み立て方を、以下の2つに分けて紹介しましょう。

  • 1層目の組み立て方
  • 2層目・3層目の組み立て方

1層目の組み立て方

ビケ足場の1層目の組み立ては、3つのステップを繰り返すことで行われます。

  1. 図面を参考に軒長に応じて足場の部材を配置する。
  2. 脚部を固定する。ジャッキベースの下にアンダーベース(敷板)を釘で固定しジャッキハンドルの高さを調整する。
  3. ジャッキベースに支柱を差し込み、ハンマーで固定する。次の支柱をはめ込み、連結していく。

2層目・3層目の組み立て方

ビケ足場の2層目・3層目の組み立ては、以下の手順を繰り返すことで行われます

  1. 1層目と同じように手すりや支柱、ブラケットを配置していく。
  2. 支柱を建て込んでいく。ジョイント部分が同一層に集まらないように、千鳥状にしていく。
  3. 手すりや踏み板、ブラケットを配置する。上層部への受け渡しは手渡しになるので、安全に配慮し適切に行う。手すりは腰の高さに取り付け、ハンマーで打ち込んでいく。
  4. 2層目の作業を3層目でも繰り返す。

足場のサイズ

ビケ足場のサイズにはインチ規格とメーター規格の2種類があります。2つの規格の商品が流通することで、混乱した経験がある方も少なくはないでしょう。今ではインチ規格のものが主に利用されていますが、なぜ2つの規格の足場が流通するようになったのでしょうか。ビケ足場のサイズについて、以下の3つに分けて説明します。

  • インチ規格
  • メーター規格
  • 足場のサイズが違う理由と見分け方

インチ規格

インチ規格とは、アメリカの単位のインチで長さが表記された足場のことで、足場が欧州由来の記述であることから、この表記の商品が流通しています。1インチは2.54㎝です。インチ規格の鋼製足場の長さの基本は、短いものが610mm、長いものが1,829mm(6フィート)です。これらの長さを基本に、筋交いの長さも決めていきます。現在ではインチ規格の足場を利用する機会が多く見受けられます。

メーター規格

メーター規格とは、日本の「メートル」単位で表記されている足場のことです。先にインチ規格の製品が導入されましたが、インチ表記だと日本人にはなじみがなくピンとこない職人も多いため、このようなメーター規格の製品が販売されるようになりました。しかし、インチ規格の製品に寄せているため一番長い基本的なサイズは1,800mmです。これら以外にも300mm、600mm、900mm、1200mm、1500mmの製品があります。

足場のサイズが違う理由と見分け方

足場のサイズにはなぜ2つの規格があるのでしょうか。それは、アメリカから足場の工法が導入されたため、今でもアメリカの規格が主流になっているからです。メーター規格は後から導入されたため、現在2つの規格が流通する形になりました。メーター規格とインチ規格の足場の違いは、ぱっと見て判断することは難しいでしょう。面倒かもしれませんが現場でサイズを測る以外に方法はないと考えられています。

ビケ足場の費用相場

ビケ足場の費用相場は、業者や作業環境、現場の大きさによって変わりますが、平均すると1㎡あたり800円〜1,000円前後です。基本的にビケ足場の費用は、建物の外周から足場架面積を算出する方法で計算されます。もちろん、現場によって階段や手すりの設置やシートによる養生が必要になった場合は費用が変わってきますが、平均すると30坪〜35坪の住宅では18万円〜23万円が相場になるでしょう。施主に伝える際には、作業環境に応じて費用が増える可能性がある旨もしっかり伝えておきましょう。

足場を組み立てるときの注意点

足場を組み立てる際には、前述したように金属音や作業員同士の掛け声が発生します。住宅街で作業を行う際には時間帯に配慮する、事前に作業のお知らせをポスティングするなどしておくと良いでしょう。
また、既存の住宅へ足場を立てた工事をする場合は、洗濯物を外に干す、窓を開けるなどの日常生活に支障をきたす可能性や、組み立て時にほこりが舞うなどの可能性もあります。その旨も施主に事前に伝えることで、作業に対するクレームを回避できるでしょう。
さらに、足場を足掛かりに不審者が侵入するリスクがあります。施主には施錠をしっかりと行うなど、防犯には十分注意するように伝えておきましょう。

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【まとめ】ビケ足場とは組み立てや解体が簡単!低中層建築の施工など作業現場に合わせて採用しよう

ビケ足場は、主に低層住宅や中層建築に利用される足場で、ハンマー1つで組み立てられる便利さが魅力です。足場を自由に組み合わせられることから、様々な建物にも対応できます。またビケ足場は、コストパフォーマンスに優れており、組み立てに必要な期間が短いという一面もあります。組み立て方法やメリット・デメリットを理解して適した作業現場に取り入れ、コストカットや工期短縮を実現しましょう。

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