バッチャープラントとは?特徴やメリットなどをわかりやすく解説

バッチャープラント

大量のコンクリートを使用する現場では、コンクリートプラントが併設されています。バッチャープラントはバッチ式でコンクリートを製造するプラントです。今回は、バッチャープラントの特徴やメリットなどについて取り上げました。ダムやトンネル工事などの事例についても解説しています。

バッチャープラントとは

バッチャープラントとはコンクリートを製造する大型施設です。内部にはセメント・水・混和剤などのコンクリートを生成するレシピの供給装置が取り付けられています。供給装置によってレシピごとに正確に計量し、ミキサーに投入できるため、時間を使うことなく大量のコンクリート製造が可能です。コンクリート製造施設には、他にも連続式のコンクリートプラントもありますが、日本ではほとんど使われていません。

便利な機能を搭載しているバッチャープラント

昨今のバッチャープラントは、開発技術の進歩により利便性が向上してきました。コンクリートの配合も自動化され、従来のように職人技に頼る必要はありません。他にもさまざまな機能を搭載したものが登場しています。今回は、その中からセンサーを駆使した自動制御機能を持ったものと、どこでも利用可能な車載バッチャープラントを紹介しましょう。

自動制御バッチャープラント

従来のバッチャープラントでは、コンクリート配合を職人技に頼ってきました。職人が材料の配合比を試行錯誤して最適条件を見つけるやり方です。そのため、コンクリートを練る度に職人が微調整していました。最近のバッチャープラントはカメラやセンサーを使ってデータを収集し、配合のノウハウをAIが学習することで自動配合が可能になりました。材料の性質や配合時の練り混ぜの状態をセンサーで細かく検知して分析することで、最適配合比などがコンピュータで計算できます。自動制御できるので作業性や再現性は格段に向上しました。

移動式・車載可能なバッチャープラント

車両に積み込むことができる移動式のバッチャープラントもあります。事前に配合計算されて積み込まれた原材料を使い、ミキサーで必要な分だけコンクリートが製造できるので便利です。夜間や休日など、コンクリート工場が営業していない時間でも必要なだけコンクリートが製造できます。また、山間部や離島などの現場でも持ち運ぶことが可能です。

バッチャープラントのメリット3つ

この項目ではバッチャープラントのメリットとして次にあげる3点を紹介します。

  • 迅速で正確な計量
  • 大量製造が可能
  • コンクリートの輸送が不要

以下詳細に説明します。一度に大量で均一なコンクリートの製造が可能なバッチャープラントのメリットをよく理解しておきましょう。

素早く正確な計量

コンクリートの材料は、骨材(粗骨材、細骨材)、セメント、水、混和剤です。バッチャープラントでは、コンピュータ管理でこれらの配合が正確に素早くできます。環境の変化でコンクリートの性質が微妙に変化することもあり、迅速な作業が重要です。更にAIの学習機能やセンサーを搭載していれば、再現性も良く作業効率も向上します。

大量製造が可能

ダムなど大規模な打設工事では大量のコンクリートが必要です。性質も均一でなければ仕上がりの品質に影響します。バッチャープラントは一度に大量のコンクリート製造が可能です。さらに、センサーやコンピュータ制御の導入により、均質なコンクリートが製造できるようになりました。コンクリート配合の再現性が高いのもメリットの一つです。

コンクリートの輸送が不要

通常のコンクリート打設工事の場合、工場で製造したコンクリートを現場まで輸送する必要があります。通常の輸送車では一度ではそれほど大量に運べないため、何度も往復しなければなりません。輸送費や人件費なども考えると、最終的に費用が嵩みます。バッチャープラントは現場に設置してコンクリート製造を行うプラントなので輸送費用は必要ありません。

バッチャープラントが活躍する現場

バッチャープラントを実際に打設現場で使用した事例を2つ紹介します。事例1は「ダム工事」の案件、事例2は「トンネル工事」です。いずれも大規模な現場なので大量に製造できるバッチャープラントのメリットがいかされています。

ダム

コンクリートダムを建設するには大量のコンクリートが必要です。バッチャープラントを使えば数十㎥ともいわれる大量のコンクリートが製造できます。RCD工法ではバッチャープラントの設置位置は斜面中腹です。そこから打設位置までインクラインを敷いてバケット台車で運搬し打設します。ケーブルクレーンを使用するなど運搬の方法はさまざまです。

トンネル

トンネル工事では吹付けコンクリートを使用した打設が一般的です。吹付けコンクリートの施工では、吹付け後すぐに高い強度を保持することが要求されます。コンクリートの強度は温度に大きく左右されるので寒冷地でのトンネル施工は注意が必要です。バッチャープラントでは自動で温度が調節できるので、吹付けコンクリートの製造に効力を発揮します。

【まとめ】バッチャープラントの特徴やメリットをよく知って作業効率を向上させよう

バッチャープラントは大量のコンクリートの製造が可能で、各種材料の正確な計量ができるなどのメリットがあります。最近ではセンサーやカメラを駆使してデータを集め、コンピュータで分析することで、材料配合の微妙な調整までできるようになりました。バッチャープラントのメリットや特徴を十分理解することで、大規模な施工現場でも作業効率が大幅に改善するでしょう。

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