主任技術者は複数現場を担当できる?兼務可能な条件などを解説

工事現場の管理などを行う「主任技術者」は、建設業において欠かせない職種です。建設業法に基づいて、工事現場には工事内容に必要な資格・経験を持つ主任技術者を配置する義務があります。主任技術者を工事の数だけ確保できなかった場合、複数現場を担当させることも考えられるでしょう。

今回は主任技術者が複数現場を担当できるのか、現状の法律や条件などについて細かく解説します。主任技術者の人数が限られている場合には、複数現場の対応方法を確認するのがおすすめです。

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主任技術者が必要な建設工事とは

建設業法の第26条では、「請負金額4,500万円(建築一式工事は9,000万円以上)」の建設工事では、専任の監理・主任技術者が必要と定められています。⼯事の安全と適正な施⼯のために、工事を行う企業は主任技術者は⼯事現場ごとに専任で設置しなければなりません。

建設業法の対象となる工事現場は、個人住宅と長屋を除くほとんどの施設です。「国・地方公共団体が注文者である施設、または工作物に関する建設工事」が、対象になります。こちらの法律は元請・下請に関わらず、遵守する必要があります。

主任技術者は複数現場を担当できるか

上記の通り、主任技術者は各工事現場に必要な職種です。しかし、条件次第では1人で複数現場の兼務が可能な場合もあります。

以下では、主任技術者が複数現場を担当できるのか、兼務するための条件とは何か解説します。

主任技術者は基本的に複数現場を担当できない

原則として「請負金額4,500万円(建築一式工事は9,000万円以上)の工事では、1人の主任技術者で複数の現場を担当できません。仮に複数の現場に対応できる十分なリソースがあったとしても、法律によって管理できる現場は1つに限られています。

また、請負金額4,500万円(建築一式工事は9,000万円以上)が条件として設定されたのは、令和7年2月1日です。令和5年1月1日改定された「請負金額4,000万円(建築一式工事は8,000万円以上)」の内容と勘違いしないように、注意しましょう。

主任技術者が複数現場を担当できる条件

請負金額4,500万円未満(建築一式工事は9,000万円未満)の工事であれば、上記の法律に抵触しないため、主任技術者は複数現場の担当が可能となります。

ただし、兼務する際には「密接な関係のある建設工事」であり、「同一の場所もしくは近接した場所で施工する工事」であることが求められます。これらの条件を満たしていれば、複数現場を1人の主任技術者で兼務可能です。

密接な関係のある建設工事の定義

「密接な関係のある建設工事」とは、「工作物に一体性または連続性が認められる」「施工にあたり相互に調整を要する」工事だと国土交通省によって定義されています。

一体性または連続性とは、工事現場の位置関係に関係しており、例えば、連続する道路の工事、同一区画の整地内での工事などが当てはまります。その他、複数箇所で同時に行われる交通規制を伴う工事も含まれるのが特徴です。

近接した場所の定義

「近接した場所で施工する工事」の条件における「近接した場所」とは、兼務する工事現場同士の距離が10km程度である必要があると定義されています。

「密接な関係のある工事」という条件をクリアできても、各工事現場の距離が遠すぎる場合、1人の主任技術者で複数現場の兼務をすることは認められません。

工事の発注者によっては10kmよりも短い距離でないと兼務できない可能性があるため、事前に契約書を確認して対応を協議するのが重要です。

条件をクリアしていても複数現場を担当できない例外

上記の条件をクリアしても、工事の発注者が認めない場合、1人の主任技術者で複数現場の兼務ができなくなります。例えば「別企業の工事と兼務しようとしている」「実績や技術力が基準を下回っている」などの場合、複数現場の対応が否認される可能性があるでしょう。

最終的には発注者が判断する内容であることは、事前に把握しておく必要があります。また、兼務する際には受注の際に発注者に対して、正式に申請をしなければなりません。

監理技術者は複数現場を担当できるか

特定建設業許可が求められる工事の場合、主任技術者よりも高い技術を持つ「監理技術者」の設置が義務となります。監理技術者は主任技術者と違い、上記の条件に当てはまる場合でも、複数現場を兼務することはできません。

一方で、「監理技術者補佐」を工事現場ごとに専任で配置すると、監理技術者は「特例監理技術者」として働くことになるため、複数現場の兼務が可能となります。

監理技術者補佐となるには、「一級施工管理技士補」もしくは「一級施工管理技士」などの国家資格を持っていることが条件です。また、主任技術者の資格を持てる業種だけが、監理技術者補佐として認められます。

その他、複数現場の工事を1つにまとめることで、1人の監理技術者での管理が可能となります。具体的には「同一もしくは別々の発注者が、同一の建設業者と契約する」「契約工期の重複する複数の請負契約に係る工事である」「工事の対象となる工作物などに一体性が認められる」といった条件を満たさなければなりません。

主任技術者を支店の工事で設置できるか

支店の受注によって行われている工事にも、主任技術者の設置が可能です。主任技術者は自身が所属してない営業所の工事であっても、問題なくだけ参加できます。

具体的な条件としては、資格・実務経験があり、建設業者と直接的かつ恒常的な雇用関係があることが原則です。

この2つの条件を満たしていれば、支店の工事に本社の主任技術者を担当させられます。

主任技術者の複数現場について制度が再検討されている

主任技術者が複数現場を兼任する際には、さまざまな条件をクリアしなければなりません。しかし、主任技術者の人数が不足していることから、複数現場を対応できる要件の見直しが再検討されています。

見直しが行われることで条件が緩和されれば、より多くの主任技術者が複数現場を兼務できるようになる可能性があります。一方で、見直しによって条件が緩くなると、技術力不足の人材が参入したり、受注競争が激しくなったりといったデメリットが発生するケースも懸念されます。

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【まとめ】主任技術者は基本的に複数現場を担当できない!よく確認して適切に配置しよう

基本的に主任技術者は複数現場で行われている工事を、1人で担当することはできません。1人で兼務できる条件はありますが、環境や契約内容によっては、対応が難しくなると予想されるでしょう。仮に条件を満たせても、最終的には発注者側の判断に委ねられるため、思う通りに主任技術者の設置ができない可能性もあります。

主任技術者の人数が限られているのなら、まずは工事の契約内容やスケジュールを確認し、適切な配置を行うように心がけましょう。そのうえで、どうしても1人の主任技術者で複数現場の対応が必要になる場合には、各条件をチェックして人員配置の計画を立てることが重要です。

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