解体工事ではアスベストの事前調査が必要!費用相場なども解説

解体工事 アスベスト

古い建物の解体工事の際、建材の中にアスベストが含まれることがあります。その取り扱いについて知識がなければ、後々の健康被害につながりかねません。
今回は、そうしたアスベストの危険性や、解体工事の際の事前調査について解説します。アスベストの除去費用などについても解説しますので、解体工事を受注する方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

アスベストとは?


アスベストは、微細な繊維状の鉱物の総称です。変形や摩擦への高い耐性を持ち、熱や電気の絶縁性に優れるといった特性があります。こうした特性から、建材はもちろん自動車や家庭用品まで、幅広く使用されました。しかし、昭和後期になるとアスベストが持つ人体への有害性が問題となり、現在では使用が禁止されています。
ここからは、アスベストの危険性とそのレベルを解説します。解説する内容を読み、アスベストがどのくらい危険か理解を深めてください。

アスベストの危険性

かつては便利な物質として重宝されたアスベストですが、1970年代に入ると危険性が問題視されました。アスベストは非常に微細な鉱物のため、呼吸することで人体に入ります。呼吸によって体内に取り込まれたアスベストは、吸収されずに肺に蓄積し、肺がんや中皮種の原因になります。
そのため、現在では一切の使用が禁止され、使用された建物を解体する際は、十分な注意が必要です。

アスベストの危険レベル

解説したとおり、人体に有害なアスベストは、危険性を3段階で評価されています。危険性のレベルが高いほど、さまざまな対策が必要となり、場合によっては行政への届け出も必要です。
ここからは、アスベストの危険性を3段階に分けて解説します。それぞれのレベルで注意すべき建材と対策を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

レベル1

アスベストの危険性が最も高いのが「レベル1」です。レベル1の対象となるのは、アスベストを含む吹付材を使用した建物です。かつては、防火材や外壁の仕上げ塗料に使われていて、撤去する際に大量の粉塵が発生します。そのため、作業を行う際は細心の注意が必要です。レベル1の対象となる建物を解体する際は、以下の対策を講じなければいけません。

  • ばく露防止対策
  • 作業場の隔離
  • 前室の設置
  • 高濃度の粉塵に対応可能なマスクと防護服の着用
  • 届出

レベル2

アスベストの危険性が2番目に高いのが「レベル2」です。レベル2の対象となるのは、以下の材料を使用した建物です。

  • アスベストを含有する耐火被覆材
  • アスベストを含有する保温材
  • アスベストを含有する断熱材

これらの材料を除去する際は、多量の粉塵が発生する恐れがあります。そのため、ばく露防止対策と作業場の隔離、前室の設置などを行わなければいけません。また、作業を開始する14日前までに労働基準監督署への届出が必要です。

レベル3

「レベル3」はアスベストの危険性が最も低い位置づけです。レベル3の対象となるのは、以下の材料を使用した建物です。

  • アスベストを含有するスレート
  • アスベストを含有するビニル床タイル
  • その他レベル1とレベル2に該当しないアスベストを含有する建材

レベル3の場合、高濃度の粉塵に対応可能なマスクと防護服を着用すれば作業場の隔離や前室の設置は必要ありません。また、レベル1や2と異なり、届出も必要ありません。

解体工事ではアスベストの事前調査が必要

アスベストを含む建材を使用した建物を解体する際は、所轄の労働基準監督署へ届出を行わなければいけません。また、2023年の10月からは、工事開始前に有資格者による事前調査も義務化されました。
事前調査は、危険性のレベルに関わらず実施が必要です。さらに、事前調査を行ったら、結果を報告しなければいけません。結果の報告は環境省の公式サイトにある専用システムから行えます。

アスベストの事前調査の流れや報告方法

ここでは、アスベストの事前調査を行う際の流れを解説します。アスベストを含有する建材を使用した建物を解体する際は、以下の手順で事前調査を行いましょう。

  1. 専門家へ依頼する
  2. 図面や現地での調査を行う
  3. 分析調査を行う
  4. 報告書を作成・提出する

それぞれの流れを詳しく解説しますので、解体工事を行う際の参考にしてください。

専門家へ依頼する

事前調査は必ず有資格者が実施しなければいけません。解体工事前にアスベストの調査をできるのは、次の資格を保有している人だけです。

  • 一般建築物石綿含有建材調査者
  • 一戸建て等石綿含有建材調査者
  • 特定建築物石綿含有建材調査者

いずれの資格も特定の講習を修了することで取得できます。「一戸建て等石綿含有建材調査者」のみ、調査ができる建物が限られるため、注意が必要です。

図面や現地での調査を行う

資格を持つ有資格者に依頼したら、次は図面や現地での調査です。まずは、建物の図面や資料から、アスベストを含有した建材がどの程度使用されているか把握する必要があります。その後、現地で調査を行い、図面や資料のとおりかを確認しなければいけません。現地で調査を行う際は、内装の内側など隅々まで確認することが重要です。

分析調査を行う

図面と現地での調査をしたら、使用されている建材の分析調査を行います。分析調査では、使用されている建材の一部をサンプルとして採取し、「定性」または「定量」で分析を行います。一般的な解体工事であれば、定性分析でアスベストの含有率が0.1%を超えているかを確認します。分析方法は、「定性」や「定量」以外にも、「偏光顕微鏡法」や「位相差・分散顕微鏡法」などがあります。

報告書を作成・提出する

分析調査まで完了したら、最後に報告書を作成し、所轄の労働基準監督署へ提出を行います。調査結果の報告書は、解体工事の14日前までに提出しなければいけません。報告書の作成自体は、調査を行った専門家や調査機関が行ってくれます。そのため、報告書を受け取ったら、専用のシステムを使って報告書を提出するだけです。

解体工事でアスベストを含む建物を撤去する流れ

H3見出しを踏まえて執筆してください。
ここからは、事前調査を含めてアスベストを含む建物を解体する際の流れを解説します。アスベストを含む建物を解体する際は、次の手順で作業を行い、安全に工事を完了させましょう。

  1. 建物の事前調査を行う
  2. 必要書類を提出する
  3. 近隣へ挨拶する
  4. 解体工事の準備作業を行う
  5. アスベストを除去する
  6. 建物の解体工事を行う
  7. 整地する

1.建物の事前調査を行う

アスベストを含む建材を使用した建物を解体する際は、まず事前調査を行います。事前調査の流れについては、先ほど解説したとおりです。注意すべき点は、事前調査は工事開始の14日前までに報告を完了しなければいけないことです。また、発注者による過剰な値引き要求や過度な工期短縮の要求は、作業の妨げとなるため禁止されています。発注者となる場合は、注意しましょう。

2.必要書類を提出する

事前調査を完了したら、必要な届出書類を各行政機関へ提出しましょう。提出が必要な書類と、提出先、提出の期限は以下のとおりです。

工事計画届出書 建築物解体等作業届 特定粉じん排出等

作業実施届出書

提出先 労働基準監督署長 労働基準監督署長 都道府県知事
提出期限 作業開始の14日前 作業開始の14日前 作業開始日
提出が必要な危険性レベル レベル1のみ レベル1および2 レベル1および2

危険性のレベルが3の場合は、届出書類の提出は必要ありませんが、事前調査と作業計画の策定は行わなければいけません。

3.近隣へ挨拶する

必要書類の提出まで完了したら、工事の開始前に現場の近隣への挨拶を行います。建物の解体を行う際は、騒音や振動の発生は避けられません。事前にそれらを予告しなければ、工事開始後にクレームなどのトラブルにつながる恐れがあります。アスベストの除去が含まれる場合は、ばく露防止対策の内容などを見やすい場所に掲示する必要があるため、掲示物を準備しておきましょう。

4.解体工事の準備作業を行う

工事の開始日になったら、準備作業に取り掛かりましょう。解体工事によってアスベストやホコリなどが近隣に飛散しないように、足場を組み立て、養生シートで囲います。粉塵の発生を抑えるために、水を撒いたり飛散防止剤を使ったりします。電気やガス、水道に電話などライフラインが残っている場合は、解体作業を開始する前に停止して撤去しておきましょう。

5.アスベストを除去する

準備が完了したら、アスベストの除去を行います。アスベストは空気中に飛散しやすいため、水を撒きながら作業を行い、除去しましょう。除去したアスベストは破れない袋で二重に覆ったり、密封できる容器で保管しなければいけません。作業場や使用工具に付着したアスベストも、全て袋や容器に入れる必要があります。保管した袋や容器には、アスベストを含有する建材と明記することが重要です。

6.建物の解体工事を行う

アスベストを含有する建材や建物自体に付着したアスベストの除去が完了したら、建物の解体に移ります。屋根や内装を解体し、その後構造や基礎の解体を行います。建物を解体する時点でも、アスベストがわずかに残っていることがあります。そのため、ホコリとあわせて飛散を防ぎながら、作業を進めることが重要です。建物の解体が完了したら、養生シートや足場を撤去しましょう。

7.整地する

解体作業が全て完了したら、整地を行います。廃材が残っていないか現場の隅々まで確認しましょう。廃材は一度、種類ごとに分別し、処分場へ運搬します。建物を解体した現場は、その後の土地の使い方に応じて、整地を行いましょう。平らな状態に均して終わる場合もあれば、コンクリートやアスファルトで固める場合もあります。

解体工事でアスベストを除去する場合の費用相場

アスベストを含む建物の解体について、大まかな概要を把握したところで、続いては費用相場を見ていきましょう。アスベストを含む建物を解体する際の費用は、業者によって異なります。ただし、国土交通省では以下の表のような金額を目安としています。

アスベストの除去面積 除去費用(1m2あたり)
1,000m2以上 1万円~3万円
300m2~1,000m2 1.5万円~4.5万円
300m2以下 2.0万円~8.5万円

それぞれの建材によっても、費用相場は異なります。以下の主要な建材ごとの費用相場を見ていきましょう。

  • 屋根瓦
  • 外壁
  • 内壁・配管
  • 天井・柱・梁

屋根瓦

石綿スレートなど、アスベストを含む屋根瓦の撤去費用の相場は、30坪の2階建て住宅で、20万円ほどです。屋根瓦という形状の特性から、除去は比較的安全に行えます。そのため、危険性のレベルも3と低めです。ただし、アスベストが飛散しないような対策はとらなければいけません。撤去の際に水や薬剤を散布し、飛散を防止することが一般的です。

外壁

外壁の場合、塗装の上塗り塗料にアスベストが含まれていました。塗料の伸びが良く、垂れを防止できることから、住宅を中心に多くの現場で使われていました。こうした材料が使われた外壁の撤去費用の相場は、30坪の2階建て住宅で、30〜40万円ほどです。屋根瓦同様、飛散が少なく安全に撤去できることから、危険性のレベルは多くの場合3とされています。

内壁・配管

内壁や配管のような建材でも、アスベストは使われていました。断熱材や保温材といった建材でも使われており、危険性レベルは2とされることが多く、より入念な飛散防止の対策が必要です。撤去費用は1m2あたり1〜6万円程度で、建物1棟の場合は100万円以上かかることも珍しくありません。危険性のレベルが2と高めなことから、作業場の隔離や前室の設置などが必要になる場合もあります。

天井・柱・梁

天井や柱、梁は危険性のレベルが高いことから、撤去費用の相場も1m2あたり1.5〜8.5万円程度と少し高めです。建物1棟の場合、数百万円かかることもあります。天井などに吹付の断熱材が使われている場合、危険性のレベルは1と最高のため、厳重な対策を施さなくてはいけません。作業場の隔離や前室の設置、防護服の着用など厳重な対策を施し、アスベストによる健康被害を予防しましょう。

解体工事でアスベストを除去する費用を抑える3つの方法

先ほど解説したとおり、アスベストの撤去には多額の費用がかかることがあります。ここからはそうした高額になりがちなアスベストの撤去費用を抑える方法を解説します。アスベストの撤去費用が高額になりそうな場合は、次の3つの方法を試してみてください。

  • 補助金を利用する
  • 分離発注する
  • 相見積もりをとる

補助金を利用する

アスベストの撤去工事を行う場合、補助金を利用できる場合があります。補助金を利用すれば、撤去費用の軽減が可能です。補助金の対象となるのは、吹付けアスベストかアスベスト含有吹付けロックウールを使用している場合のみです。補助額は事前調査で最高25万円です。撤去費用の補助金額は各地方自治体によって異なります。多くの地方自治体では、100万円を上限に、撤去費用の2/3までとしています。詳しくは、各地方自治体の公式サイトを確認してください。

分離発注する

アスベストの除去作業と、建物の解体作業を分離発注することで、費用を抑えられる場合があります。アスベストは人体に有害なことから、取り扱いには専門的な知識が必要です。そのため、アスベストに関する作業だけ外注していることも少なくありません。そうした場合、外注している専門業者と直接契約することで、余分な中間マージンを節約できます。

相見積もりをとる

アスベストを含む建材を使用した建物の解体を依頼する際は、複数の解体業者から相見積もりをとりましょう。1社からの見積書だけでは金額が妥当かを判断できず、相場より高額な費用を払ってしまうケースもあります。そうしたことを防ぐために、複数の解体業者に作業費用の見積もりを依頼し、金額や作業内容などを総合的に検討しましょう。

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【まとめ】解体工事はアスベストの危険性を理解しきちんと事前調査を行おう

古い建物の解体工事を行う際は、アスベストを含んだ建材を使用していないか、注意が必要です。万が一、アスベストを含む建材を必要な対策をせずに撤去すると、作業員や近隣住民に健康被害が生じる恐れがあります。そうなると、莫大な金額の補償を行わなければいけません。そうしたトラブルを防ぐためにも、アスベストの危険性を理解し、事前調査を行い適切な対策を講じて解体工事を行いましょう。

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