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全建は2026年4月30日、中東情勢に伴う建設資材の需給逼迫を受け、国交省に価格転嫁・工期変更・部分払いなどを緊急要望しました。現場では、燃料・アスファルト・塗料・防水材などの価格高騰と納期遅延への備えが必要です。
何が起きたか
全国建設業協会(全建)の今井雅則会長は、2026年4月30日に金子恭之国土交通相へ、中東情勢に伴う建設資材の需給逼迫に関する緊急要望を提出しました。
日刊建設工業新聞によると、全建は、ホルムズ海峡の実質封鎖に伴う原油供給不安を背景に、ガソリン・軽油などの燃料系石油製品や、燃料・電力を製造過程で使う建設資材で価格高騰が起きているとしています。ナフサを原料とするプラスチック、合成ゴム、溶剤などの石油化学系製品でも、供給不足や納期遅延が発生していると報じられています。
緊急要望の主な内容は、石油製品供給の目詰まり解消、設計変更や単品スライドなどによる価格転嫁、工期延長や代替資材への変更の柔軟な実施、受注者の求めに応じた部分払いです。
ここでいう単品スライドは、契約後に特定資材の価格が大きく変動した場合に、請負代金の変更へ反映する仕組みです。建設業者だけに価格変動を負わせる制度ではなく、契約内容や発注者の運用に基づいて協議するものとして整理する必要があります。

全建は、資材価格の高騰と供給遅延が工事継続に影響しているとして、国交省に価格・工期・資金繰り面での柔軟な対応を求めました。
現場への影響
- 土木業者: 軽油、アスファルト、セメント関連資材などの価格変動により、工事原価を見通しにくくなります。納期遅延が生じる場合は、工期変更協議や出来高に応じた支払いの確認が重要です。
- 塗装業者: ナフサ由来の塗料、溶剤、シンナー類で、調達遅延や仕入単価上昇の影響を受ける可能性があります。既契約工事では、材料変更や価格変更協議の余地を早めに確認する必要があります。
- 防水工事業者: 合成ゴム、樹脂系材料、防水材などで納期や価格の変動リスクがあります。指定材料で納期が読めない場合は、代替材料の技術基準適合性を確認した上で、発注者と協議する準備が必要です。
- 全業種共通: 工事中止、工期延長、材料変更が必要になる場合、資金繰りや工程管理に影響が出ます。発注者への説明では、業界団体の要望、資材業者の通知、公的機関の情報など、客観的な根拠を残しておくことが重要です。
影響は燃料費だけでなく、アスファルト、塗料、溶剤、防水材など石油由来資材に広がります。価格変更・工期変更・代替資材の協議準備が必要です。
今後やること
- 公共工事と民間工事を分けて交渉する: 直轄工事では、国交省が資材価格調査の頻度引き上げ、スライドにおける購入価格の採用、納期遅延時の工事中止・工期延長、設計変更、部分払いへの対応を示しています。一方、民間工事では同じ運用が自動適用されるとは限らないため、契約条項と発注者の方針を確認してください。
- 見積時に「おそれ情報」を通知する: 新規受注時には、石油系資材の供給不足、納期遅延、価格高騰のおそれを見積書やメールで通知し、根拠情報を添付してください。国交省は、メディア記事、資材業者の発表、公的統計などを根拠情報の例として示しています。
- 契約変更方法を事前に確認する: 「予約価格条項」ではなく、資材価格が変動した場合の請負代金等の変更方法を契約書で明確にすることが重要です。契約前に、価格変更協議の条件、通知方法、必要書類を確認してください。
- 工程に余裕を持たせる: 納期遅延が想定される資材は、発注時期、代替品、施工順序を早めに見直してください。既契約工事では、残工期内での完工が難しいと分かった段階で、工期延長協議を始める必要があります。
- 代替資材を比較しておく: 代替資材は、価格だけでなく、技術基準、仕様書適合性、納期、施工性、保証条件を確認してください。発注者へ提案する場合は、変更理由と根拠資料をセットで提示できる状態にしておくと協議が進めやすくなります。
- 部分払い・前払いの可否を確認する: 工期延長や出来高未回収が資金繰りに影響する場合は、契約上の部分払い、前払い、出来高払いの条件を確認してください。直轄工事では国交省が部分払いの実施に言及しています。
実務では、公共・民間の違いを分けた上で、おそれ情報の通知、契約変更方法の確認、工程見直し、代替資材の準備、部分払いの確認を進めます。
この先の注目点
- 民間工事での価格転嫁の実効性: 国交省は、民間工事でもおそれ情報の活用による円滑な価格転嫁や工期見直しを働き掛ける姿勢を示しています。実際に発注者側がどこまで協議に応じるかが注目点です。
- 石油由来資材の供給正常化: 燃料、ナフサ由来製品、塗料、溶剤、防水材などの供給状況が改善するかを継続確認する必要があります。国交省、経済産業省、資源エネルギー庁などの情報も確認対象になります。
- スライド条項・設計変更の運用: 資材価格調査の頻度、購入価格の採用、設計変更の扱いなどについて、今後の通知や発注者ごとの運用変更を確認してください。
- 根拠資料の残し方: 価格変更や工期変更の協議では、口頭説明だけでは不十分です。資材業者の見積、納期回答、価格改定通知、業界団体の要望、公的機関の情報を保存しておくことが重要です。
今後は、民間工事での価格転嫁、石油由来資材の供給回復、スライド条項や設計変更の運用、協議資料の残し方が焦点になります。

