熟練退職で現場はどうなる?技術継承に9割が不安

建設業界で語られてきた「2025年問題」が、いよいよ現実の課題として重くのしかかっています。野原グループ株式会社のBuildApp総合研究所が行った独自調査によると、団塊世代を中心とした熟練技術者の大量退職により、技術継承に不安を感じている人は9割を超えることが明らかになりました。

「2025年問題」についての認識度と、「技術承継」への不安度の掛け合わせ集計

調査では、「2025年問題」という言葉自体の認知度は約9割と高い一方で、その中身まで理解している人は約6割にとどまりました。特に現場に近い職種ほど理解度が低い傾向があり、日々の業務に追われる中で、業界全体の構造的な課題を考える余裕が持ちにくい現状が浮き彫りになっています。

「2025年問題」の認知度

技術継承への不安の背景には、「若手が定着しない」「人手不足が深刻」「技術継承の仕組みが不十分」といった複数の要因があります。本来、有効とされるOJT(現場での実地教育)や資格取得支援も、教育に割ける時間そのものが不足しているため、十分に機能していないケースが多いようです。

熟練技術者の大量退職による技術継承に不安を感じる理由に近いものを選択してください

こうした状況の中で注目されているのが、BIMやデジタルツールの活用です。調査では約7割が「技術継承に役立つ」と回答しました。動画マニュアルやデータ共有によって、時間や場所に縛られずに学べる点が評価されています。一方で、「技術は職人の勘や経験で身につくもの」という考えから、デジタル化に懐疑的な声も少なくありません。

BIMやデジタルツールは、技術継承に役立つと思いますか?

今後の業務に活かす視点として重要なのは、デジタルを“人の代わり”と捉えるのではなく、人が育つスピードを高める補助役として使うことです。設計から施工までの情報を整理し、ベテランの知識を「見える化」することで、少人数でも品質を保った現場運営が可能になります。人手不足が避けられない時代だからこそ、教育と働き方を支える仕組みづくりが、これからの建設業に求められています。

参考:【独自調査②】「建設2025年問題」が建設業界に突きつける現実──技術継承と人材不足の壁熟練技術者の大量退職で「技術継承に不安」9割超、若手定着と教育体制に課題