大規模修繕の仮設工事とは?種類や費用相場・注意点などを解説

大規模修繕 仮設工事

マンションなどの大規模修繕工事では、仮設工事が欠かせません。しかし、

  • そもそも仮設工事ってなに?
  • どんな種類の仮設工事を選べばいいの?

と疑問に思っている方もいるでしょう。
そこで今回は、そうした大規模修繕工事に欠かせない仮設工事について解説します。仮設工事の種類や費用相場、注意点などについて解説しますので、ぜひ参考にしてみてください。

大規模修繕の仮設工事とは

大規模修繕工事など建設工事における仮設工事とは、作業するために必要な足場や現場事務所などを準備する工事のことです。
仮設と聞くと、足場を思い浮かべる人も大勢いますが、現場事務所や仮設トイレなどの設置も仮設工事に含まれます。
こうした仮設の足場や事務所は、工事の完了後に撤去しなければいけません。多くの工事では、仮設の撤去完了を持って現場での作業が完了となります。

大規模修繕工事の仮設工事の種類

ここからは、大規模修繕工事で使われることの多い仮設工事の種類を解説します。マンションなどの大規模修繕工事で使われるのは以下のいずれかです。

  • 直接仮設工事
  • 共通仮設工事

上の2つはそれぞれ異なった特徴を持ちます。種類による違いを把握して、どういった大規模修繕工事ではどの仮設工事が適切かを判断できるようになりましょう。

直接仮設工事

直接足場工事では、足場も細かく分かれ、次のように6つの種類があります。

  • 枠組足場
  • クサビ式足場
  • 単管足場
  • 移動昇降式足場
  • ゴンドラ足場
  • 無足場工法

直接仮設工事でも、上記のように種類はバラバラです。そのため、使用する資材や手順などが異なります。それぞれの特徴を解説しますので、違いを把握し、適切な仮設工事を選べるようになりましょう。

枠組足場

枠組足場は、直接仮設工事でも使用される頻度が多い仮設の足場です。枠組足場で使われる資材は、金属製のため強度がありつつ軽量なこともあり、スムーズに設置や撤去を行えます。ただし、部材は大きい傾向にあるため、狭小な工事現場や複雑な形の建物の仮設足場には向きません。また部材の点数が多くなるため、コストの面では他の仮設工事に比べて高い傾向にあります。

クサビ式足場

クサビ式足場は、「ビケ足場」とも呼ばれる凹凸のついた部材を組み合わせる足場です。支柱には一定の間隔で「コマ」と呼ばれる緊結部が備わっていて、そこに筋交いや手すりなどを装着します。
クサビ式足場は、施工高が31m以下に定められているため、中低層マンションや木造住宅の工事で使用されることが一般的です。工事中はハンマーで叩く音が発生しますが、自由度が高く費用が抑えらえる点がメリットです。

単管足場

単管足場は、いわゆる鉄パイプを組み合わせて仮設の足場を設置します。単管の組み方の自由度がクサビ式より更に高いため、複雑な形状の建物や現場での設置に向いている足場です。
ただし、単管以外のいくつものパーツが必要なため、設置と撤去に時間がかかり、安全性が高くないというデメリットがあります。高層の建築物から小規模の建物まで、幅広く使われる仮設足場です。

移動昇降式足場

移動昇降式足場は、タワーマンションなど高層の建物の工事で使われることが多い足場です。地上から建物に沿ってレールを配置し、それにあわせて足場を設置していきます。工事の状況に合わせて足場が上下するため、作業員の行き来がスムーズになる点がメリットです。また、景観を損ねないため、近隣の人にとっても違和感なく普段通りの生活が送れます。ただし、天候に左右される点がデメリットです。

ゴンドラ足場

ゴンドラ足場は、建物の上からワイヤロープでゴンドラを吊り、上下させる方式の仮設足場です。建物の上から吊る方式のため、足場の設置場所が不要です。設置も容易で、第三者の侵入も不可能な点も大きなメリットといえます。ただし、建物の形状によっては設置できないため、使用できる現場が限られます。また、上から吊るという方式のため、強風などの悪天候の際は作業が行えません。

無足場工法

大規模修繕工事では、足場を使わない無足場工法が採用されることも珍しくありません。無足場工法には先ほど解説したようなゴンドラを使うケースと、ロープを使うケースがあります。ロープを使う場合、作業員はフルハーネスの金具を装着し、ぶら下がって作業を行います。足場を設置する必要はありませんが、ゴンドラ足場同様に、建物によっては使用できず、天候に左右される工法です。

共通仮設工事

共通仮設工事とは、仮設足場以外の現場事務所やトイレといった設備を設置する工事のことです。共通仮設工事では、そういった設備以外にも仮設の水道や電気、掲示板や安全対策といった作業も含まれます。共通仮設工事は、本体の工事には直接関わりません。
しかし、工事をする上でなくてはならない設備を設置する必要があります。そのため、現場代理人は工事に合わせて必要な設備を見定めることが重要です。

大規模修繕の仮設工事の費用相場

マンションなどの大規模修繕の場合、仮設工事の費用相場は、工事総額の20%ほどとされています。
例えば、工事費の総額が2,000万円の場合、仮設工事の費用は400万円ほどです。もちろん割合は目安のため、上下することはあります。しかし、大まかな割合を把握しておけば、原価の計算もしやすくなるため、覚えておいてください。

仮設足場の費用相場

大規模修繕工事の仮設工事費用の目安を把握したところで、仮設足場の費用を見ていきましょう。仮設足場の費用は、1㎡あたりの金額で計算されることが一般的です。通常の相場では、1㎡あたり1,000円〜1,200円が相場です。

1㎡あたりの金額に足場を設置する面積を掛けて、仮設足場の費用は計算できます。足場を設置する面積は次の計算式で算出します。

  • (マンションの外周+8m)×高さ = 足場面積

マンションの外周が192mで高さが30mの場合、足場の面積は次の通りです。

  • (192+8)×30 = 6,000

1㎡あたりの金額を1,000円とした場合、仮設足場の費用は以下のようになります。
6,000 × 1,000 = 6,000,000円

仮設足場の見積書を出してもらったら、一度計算してみて妥当かどうかを検討しましょう。

仮設工事の費用を抑える方法

大規模修繕工事における仮設工事は、決して費用の安い工事ではありません。しかし、以下のようなポイントを抑えれば、費用を抑えられます。

  • 複数の業者から相見積をとる
  • 修繕は1回にまとめる
  • 無足場工法を選ぶ

無足場工法は、現場によって使えるかが不透明ですが、他の2つはどの工事でもできる方法です。仮設工事費用が高くなることが見込まれる場合は、こうした方法を試してみましょう。

大規模修繕工事の仮設工事期間

仮設工事の種類と費用を見てきたところで、次は仮設工事にかかる期間を解説します。仮設工事の期間は、次の2つに分けて見ていきましょう。

  • 仮設足場の工事期間
  • 共通仮設の工事期間

仮設足場と共通仮設では、工事期間が異なります。仮設足場でも種類によって期間は異なります。それぞれ、どの程度の工事期間がかかるかを把握し、工事計画を立てる際に活かしましょう。

仮設足場の工事期間

仮設足場の工事期間は、建物の規模によって異なります。マンションでも50戸程度の建物の場合、設置に1〜2週間程度の工事期間が必要です。100戸を超えるようなマンションの場合は、2〜3週間ほど設置期間が必要です。

仮設足場の撤去にかかる日数は、設置期間の3分の1程度とされています。なお、一定以上の条件を満たす足場を設置する場合、労働基準監督署への届出が必要なことを覚えておきましょう。

共通仮設の工事期間

続いては共通仮設の工事期間を見ていきましょう。大規模修繕に伴う共通仮設の設置は、設備の数や種類にもよりますが、概ね2日程度で完了します。
現場事務所や仮設トイレは設置して固定するだけなので、それほど時間はかかりません。ただし、広範囲の養生などが必要な場合は、日数が伸びることもあります。共通仮設は、必要な設備によって工事期間が前後することを覚えておいてください。

大規模修繕工事の仮設工事の注意点

最後に、大規模修繕工事の仮設工事における注意点を解説します。大規模修繕工事で仮設工事を行う際は、次の3つのポイントに注意しましょう。

  • 共通仮設の範囲を決めておく
  • 管理会社の相見積もり資料に注意する
  • 事前に近隣から足場設置の許可をもらっておく

それぞれの注意点を解説しますので、仮設工事を検討する際の参考にしてください。

共通仮設の範囲を決めておく

共通仮設の範囲は、事前に決めておきましょう。共通仮設をどこまで設置するかは、施工会社によって異なります。そのため、工事計画の段階で詳細に決めておかなければ、工事会社も依頼した側も双方にとって想定外が起こる可能性があります。現場事務所を設ける場合の電気や水道、喫煙所など特にトラブルになりやすい内容に関しては、しっかり確認しておきましょう。

管理会社の相見積もり資料に注意する

管理会社の相見積もり資料には注意しましょう。なぜなら、相見積書といってもきちんと別々の会社に見積書を作成してもらっているかどうかは分からないからです。金額に差がない場合、最も安い金額に合わせて相見積が作成される恐れもあります。
工事内容の知識が無くても、見積書の数字は読めるため、金額にほとんど差がないような相見積を提示されたら、注意深く内容を確認しましょう。

事前に近隣から足場設置の許可をもらっておく

事前に近隣から足場設置の許可をもらっておくことも重要です。大規模修繕工事を行う際、マンションの敷地だけでは仮設足場を設置できないケースもあります。そういった場合、隣地を間借りして仮設工事を行わなければいけません。また、仮設工事の騒音や日当たりによってクレームに繋がる可能性もあります。そうしたトラブルを防ぐために、事前に近隣には仮設工事を行う旨を説明し、必要に応じて許可をもらいましょう。

【まとめ】大規模修繕の仮設工事は作業を安全に進めるため必要不可欠!

マンションの大規模修繕工事を行うためには、仮設工事が欠かせません。仮設工事といっても足場にはさまざまな種類があり、適切な方法を選ばなければ、工事が滞り余分な費用がかかるおそれがあります。仮設足場の種類による違いや、費用の計算方法など今回解説した内容を参考に、大規模修繕工事の際の仮設工事の内容や金額を見極めましょう。

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