塗装業における下請け単価を決める方法とは?下請けと自社施工の違いも解説!

外壁塗装業者の方のなかには
「この下請け単価って、実は安すぎるんじゃないだろうか?…」
「一般的な下請けへの発注単価っていったいどの位なんだろう?」
こんな風に思ったことはないでしょうか?

外壁や屋根といった塗装にかかる費用について、特に業界内で明確な決まりはありません。そのため自社施工や下請けによって単価が異なる…ということはよくあることです。
今回は、塗装工事の単価を決める方法や下請けと自社施工の違いなどをご紹介します。
業種内での決まりが無いにしても、ある程度の目安があれば、これからの単価設定や下請けとして請け負うときの発注価格をチェックする時にも役立ちます。ぜひご参考ください。

塗装業の単価の決め方

施工業者には大きく分けて「元請け」と「下請け」の2種類があります。まずはそれぞれの業者での、単価の決め方についてご紹介します。

元請けの場合

「元請け」とは、依頼主から仕事を受けたら直接自分達で作業を行う業者のことを指します。

2023年現在、リフォーム業界の全体的な単価は3割程度と言われています。元請けは自分のところで直接仕事を受けるため、単価設定も自社で定めることができますので、1割や2割といった単価で請け負うことも可能です。とは言え、実際には事務員雇用などの人件費・広告宣伝費・家賃や通信費などの必要経費も考慮すると単価3割でも厳しい…というのが現状のようです。

下請けの場合

続いて「下請け」ですが、こちらは文字通り、依頼主から発注を受けた業者を通じて仕事を請け負います。下請けの単価に、平均的な単価というものは基本的には存在しません。
その地域によって”暗黙の了解”的な単価設定は存在するかもしれませんが、元請業者から金額設定がなされている前提で依頼を受けるケースも多く、基本的な下請けによる単価設定はないに等しいと言えます。

塗装業における「下請け施工」と「自社施工」の違い

上記で「元請け」と「下請け」をご紹介しましたが、単価とは別の角度から両者を比較してみたいと思います。
値段が安いことに越したことはありませんが、だからといって完成状態が満足のいくもので無ければ、依頼した意味がありません。ここではそれぞれの違いについて、ご紹介します。

品質の違い

元請け業者だったら全てが自社施工…とは、限りません。営業マンが仕事を受けて、あとは下請け業者に丸投げというケースも多々あります。
塗装工事と一言で言っても、ただ塗料を用いて塗るだけではありません。
例えば外壁塗装ひとつを例にしても、足場仮設→高圧洗浄→下地調整→外壁補修→養生作業→塗装…と、いくつもの工程を踏んで行われます。
同じ塗料を使用しても、途中の工程が適切に行なわれていなければ、仕上がりに大きな差が出てきてしまいます。
見積もりの段階で営業マンが依頼主の要望をリサーチし、その要望に沿った作業を進めていくためには、実際の作業員と営業マンや事務員も含めた人達のチームワークが欠かせないと言えるでしょう。

塗装業の下請け単価を確認する方法

続いては下請け単価を確認する方法をご紹介します。ひとつの目安としてご参考いただければと思います。

方法1:塗料を確認する

まずは使用する塗料をチェックする方法です。塗料はグレードによって耐用年数が異なり、耐用年数が長いほど単価も高くなります。

【塗装の種類と耐用年数】
種類…耐用年数/単価

アクリル…5~8年/1,000~1,500円/㎡
ウレタン…7~10年/1,600~2,200円/㎡
シリコン…10~13年/2,200~3,500円/㎡
フッ素…13~15超年/3,200~4,700円/㎡
遮断・断熱…10~25年/4,200~5,200円/㎡
光触媒…10~20年/4,300~5,400円/㎡
無機…10~25年/4,300~5,400円/㎡
※単価は2023年5月現在の参考単価です。

実際に見積もりで表示される価格は、単価×塗装面積になります。
一般的な2階建て住宅として、30坪約100㎡換算で計算していただくと目安として分かりやすいでしょう。

方法2:相場を調べる

おおまかにでも、費用の相場を把握しておくことをオススメします。
塗装工事には大きく分けて「外壁塗装」と「屋根塗装」があり、それによっても相場費用が異なります。

【外壁塗装の場合】
一般的な2階建て住宅での相場は60~120万円です。この費用相場の内訳は

  • 仮設足場
  • 飛散防止ネット
  • 高圧洗浄
  • 養生
  • シーリング(コーキング)の打ち替え
  • 下地補修
  • 産業廃棄物処理
  • 現場管理

となっています。

【屋根塗装】
屋根塗装も、同じく2階建て住宅で35~80万円となっています。こちらの内訳は下記のとおりです。

  • 仮設足場
  • 屋根足場
  • 飛散防止ネット
  • 高圧洗浄
  • 養生
  • ケレン(鉄部分に塗料が付着しやすいようにする作業)
  • 軒天(のきてん・屋根の天井裏にある部分)
  • 雨樋(あまどり・家屋に入らないように雨を外に流すための細長い筒)
  • 破風板(はふいた・天井にある板)
  • 縁切り(えんきり・屋根の水の逃げ道を作る作業)

外壁塗装同様、屋根塗装にも仮設足場を必要とします。
もしどちらの塗装も検討している場合には、同時に行うことで仮設足場費用を節約することができます。

方法3:原価率を調べる

原価率とは、工事金額全体の中でそれぞれの項目の費用割合のことを指します。
塗装工事における原価は「材料費」「足場代」「人件費」の3つに分けられ、それぞれの比率は下記のとおりです。

材料費:足場代:人件費 = 20%:20%:30%

人件費は別名”人工(にんく)”とも呼びます。
1人あたりの相場は15,000~20,000円と言われており、平均的な塗装の人工は20~25人です。

この3つの原価率に加えて、利益を乗せた金額が全体の支払金額となります。

塗装業の原価率とは?原価率の相場や内訳、利益率の重要性についてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

塗装業の原価率とは?原価率の相場や内訳、利益率の重要性について解説

【まとめ】塗装業の下請け単価を正しく決めましょう!下請け施工と自社施工の違いについても要チェック!

塗装業における単価について、ご紹介しました。自社施工・下請け施工の違いについてもご紹介しましたが、自社施工については必要経費が掛かる分、受注段階で利益率を計算しておかないと施工を進めるほどに利益がマイナス…なんてことにもなりかねません。
下請けに流す際も、適切な価格でないと工事の質に影響することもあります。
今回ご紹介した単価の決め方や違いを参考材料の一つとして、単価設定ならびに受注・発注時の価格設定時の参考にしていただければと幸いです。