【2024最新】ウッドショックはいつまで続く?原因や対策を解説

アイキャッチ_ウッドショック

ニュースや新聞でよく耳にするようになったウッドショックですが

  • ウッドショックって一体いつまで続くの?
  • どう対策すればいいの?

とお悩みではありませんか?
ウッドショックがこのまま続けば納期遅れや建材費用の高騰など、建設業界で働く人にとって大きな影響を与えることは間違いないでしょう。
そこで本記事ではウッドショックの原因や建設業界への影響、対策について詳しく解説します。

ウッドショックとは

新型コロナウイルスの流行などの原因によって起きた、木材費用が高騰した状態を「ウッドショック」と呼びます。
新型コロナウイルスが流行した約1年後の2021年3月に、ウッドショックの問題が急激に深刻化しました。木材の不足や木材価格の高騰は、建設業界をはじめ消費者に多大な影響を及ぼしています。

ウッドショックは過去に2度発生している

実は、ウッドショックは今回が初めてではなく、過去に2度発生しています。
1度目は1990年代初頭です。マレーシアや北米における天然林保護運動をきっかけに世界中で輸出量が減り、木材が急騰しました。2度目は2006年頃です。インドネシアの伐採規制が強化され、供給量が減少したのがきっかけでした。これまでのウッドショックに共通しているのは伐採規制でした。しかし、今回のウッドショックは原因が異なります。

ウッドショックの原因

今回のウッドショックはなにが原因で起こってしまったのでしょうか?考えられるのは下記の通りです。

  • ロシアの経済制裁の影響
  • コロナ禍による生産・物流の停滞
  • 米国の住宅建築需要の増加
  • 日本の木材自給率の低さ

ウッドショックは小さな原因から大きな原因が重なって起こっています。

ロシアの経済制裁の影響

一時は回復傾向にあったウッドショックですが、2022年2月に始まったロシアのウクライナ侵攻により、状況は悪化しました。
ロシアは世界の木材輸出の21%の割合を占めており、世界トップの木材輸出国です。以前は日本もロシアから木材を輸入していましたが、ロシアは2022年3月に日本を含めた非友好国に対する木材の輸出を一部禁止することが決定されたのです。
ロシアからの輸入が途絶えたため、さまざまな木材が不足し、木材価格が急激に高騰しました。今後も輸出規制対象が拡大される可能性があるため、さらなる木材の不足、木材価格が高騰する恐れもあります。

コロナ禍による生産・物流の停滞

コロナ禍による生産・物流の停滞もウッドショックの原因につながっています。具体的にいうと、木材工場の一時的な閉鎖や木材を運ぶ船の到着の遅延などです。
なかでもコンテナ不足は深刻な問題です。自宅で過ごす時間が多くなり、ネットショッピングの利用が増えたことで世界的にコンテナ不足に陥りました。コンテナ不足によるコンテナ価格の高騰がウッドショックに拍車をかけています。

米国の住宅建築需要の増加

米国で住宅建築の需要が大幅に増加しているのをご存じでしょうか?リモートワークの推進により、郊外に新たに住宅を購入する人やリフォームする人が増えたことで木材の需要も急上昇したのです。さらに住宅ローンの金利を下げる施策をうちだしたことも、米国の住宅購入やリフォームの後押しをする結果になりました。
このような米国の木材需要の増加により、さらにウッドショックの問題が深刻化しています。

日本の木材自給率の低さ

日本は山や森林が多い国ですが、木材自給率は高くありません。昨今は40%前後となっており、林野庁によると、令和3年度の日本の木材自給率は41.1%と低い水準で推移しています。つまり半分以上が海外からの輸入に頼っている状況です。現在の日本の住宅建築の際に使われる木材も、ほとんどが海外から輸入した木材で作られています。
現在は日本だけでなく世界的にも木材不足なので、当然海外も日本へ輸入する前に自国に供給しなければなりません。結果、日本に回ってくる木材は減り、木材価格が上がっているのです。

参考:林野庁

ウッドショックの現状

現在のウッドショックの状況はどうなっているのでしょうか。林野庁の資料をもとに解説していきます。

木材価格は2021年よりも下落

林野庁から発表されている木材価格の推移を見ると、2021年10月をピークに年々落ち着いていることがわかります。

我が国の木材価格の推移

林野庁「我が国の木材価格の推移」 https://www.rinya.maff.go.jp/j/kikaku/hakusyo/r4hakusyo/attach/pdf/zenbun-26.pdf

2023年の輸入木材量は減少

林野庁から開示されている資料を見ると、2023年の木材輸入量は減少しています。
参考:林野庁

木材価格のピークは落ち着いているものの以前高騰は続き、輸入木材も減行っていることからウッドショックは継続中といえるでしょう。

 

ウッドショックはいつまで続く?

結論から言うと、ウッドショックはしばらく続きます。
木材の価格はピーク時に比べると落ち着いてきましたが、輸入木材の減少、国内の木材自給率も40%前後と低い状態が続いています。また、経済産業省が発表している、木材の輸入価格の増減を示した輸入物価指数を見ると2015年から年々上昇しています。
世界的な物価上昇を考えると木材の価格はこれからも上昇していくでしょう。この現状を考えると、木材や建材費用の高騰はしばらく続くでしょう。

 

木材の輸入物価指数

経済産業省「いつまで続くウッドショック;価格の高止まりが需要に影響?」https://www.meti.go.jp/statistics/toppage/report/minikaisetsu/hitokoto_kako/20211022hitokoto.html

 

第3次ウッドショックによる建設業界への影響

第3次ウッドショックにより建設業界は多大な影響を受けています。
主な影響は下記の通りです。

  • 納期遅延や現場の停滞
  • 建設費と住宅価格の高騰
  • 国産材利用が促進されるというメリットも

詳しく説明していきます。

納期遅延や現場の停滞

第三次ウッドショックが起こり木材不足になると、米国や中国による木材の買い占めが始まりました。
さらにコロナ禍による木材工場の一時閉鎖や人員不足が重なり、納期遅延や現場の停滞が深刻化したのです。日本でも建設現場では工事の中止や延期が相次ぎました。第三次ウッドショックが与えた建築業界への打撃ははかりしれません。

建設費と住宅価格の高騰

木材の不足や木材の価格高騰により、必然的に建設費や住宅価格も高騰しています。新築着工数は減少傾向にあり、建築業界はもちろん、人々の暮らしにまで大きく影響しているのです。
国内の木材価格は一定が保たれているものの、輸入木材の価格次第では建設費と住宅価格の高騰はしばらく続くと予想されています。

国産材利用が促進されるというメリットも

さまざまな悪影響がある一方で、ウッドショックにより国産材利用が促進されるというメリットも生まれました。
これまでの日本は、安価な輸入木材に頼りすぎていたのです。しかし今回のウッドショックにより政府は「輸入木材にばかり頼るのはリスクがある」と実感し「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律の一部を改正する法律」(令和3年法律第77号)が成立し、令和3年10月に施行されました。
法の対象を公共建築物から建築物一般に拡大させたのも大きな変化です。

長引くウッドショックへの建設業界の対策3選

先の述べた通り、ウッドショックもしばらく続くことが考えられます。
木材の不足や木材価格の高騰に建設業界はどのような対策をすればよいのか一緒に確認していきましょう。
具体的な対策は下記の3選です。

  • DX化で生産性をアップ
  • リピーターを獲得する
  • コストを見直す

下記で詳しく解説していきます。

DX化で生産性をアップ

DX化とはDigital Transformation(デジタルトランスフォーメーション)化のことです。ITの技術を利用しDX化に取り組むことで生産性の向上やコスト削減を図れます。インターネットやSNS、ブログなどで自社をアピールし集客をすることもDX化の1つです。
顧客情報、見積書作成、工程表作成、受注管理など一括で管理できるツールも各社から展開されています。昨今はモデルハウスや工務店に足を運ぶ前に、SNSで情報収集をする人が増えているのでDX化は必須といえるでしょう。

リピーターを獲得する

ウッドショック状態に関わらずいかにリピーターを獲得するかが鍵になります。さまざまな製品が溢れている建築業界では、新たな顧客を獲得する方がコストを必要とするためです。
自社の顧客の年代や住宅を建ててから何年経っているのか、どんなニーズがあるのかなどの情報を徹底的に管理することで、最適なタイミングで提案ができます。
顧客のニーズを汲み取った提案をして顧客満足度アップ、リピーターの獲得につなげていきましょう。

コストを見直す

木材価格が高騰している昨今、コストを見直すことも重要です。
具体的には下記の方法です。
・原価が安い木材へ変更
・大量に仕入れる
・チラシからWeb宣伝へ切り替える
仕入れ原価と工事原価の分析を行い、広告費用も削減できることはないか見直して無駄な出費を抑えましょう。
資材調達先の変更を検討することも1つの手です。

建材 高騰建材が高騰している7つの理由や今後の動向・対応策などを解説

【まとめ】ウッドショックはまだ続く!個々の企業の対策が重要

「ウッドショックっていつまで続くの?」「ウッドショックにはどんな対策があるの?」とお悩みの方に向けて
・ウッドショックの原因
・ウッドショックの影響
・ウッドショックの対策3選
を解説してきました。
コロナ禍やロシア情勢などの原因で、建築業界のみならず日本は多大な影響を受けています。ウッドショックが起きたことにより国産材利用が促進されるメリットもありましたが、デメリットの方が多いと言わざるを得ない状況です。木材不足や木材価格の高騰は、まだしばらく終わりが見えない昨今だからこそ、ウッドショックの対策を把握し実践していきましょう。
まずは上記で解説したDX化、リピーター獲得、コストの見直しを優先して行い、しばらく続くウッドショック期を乗り越えていってください。
本記事が参考になりましたら幸いです。

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