電気工事大手のきんでん、同業・弘電社を488億円で買収へ|完全子会社化へ

関電系の電気工事大手・きんでんが2026年5月25日、三菱電機傘下の弘電社に株式公開買付け(TOB)を開始すると発表。買付価格は1株11,501円、買付総額は最大約488億円

電気設備工事大手の株式会社きんでん(東証プライム・1944)は2026年5月25日、株式会社弘電社(東証スタンダード・1948)の普通株式に対する株式公開買付け(TOB)を開始することを発表しました。買付価格は1株あたり11,501円、買付期間は2026年5月26日から7月6日までの30営業日です。公開買付けの目的は弘電社の完全子会社化。買付予定数の下限は1,336,800株(所有割合15.31%)、上限は設けられていません。最大限応募があった場合の買付総額は約488億円となります。
出典:株式会社きんでん「株式会社弘電社の株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2026-05-25 PDF)

完全子会社化のスキームは「TOB+自己株式取得」の二段構え。三菱電機保有の51.36%(4,485,620株)は弘電社が自己株式取得で買い戻す方針

今回の取引は単純なTOBではなく、複数のステップで完全子会社化を進めるスキームです。弘電社の親会社である三菱電機(保有株数4,485,620株、所有割合51.36%)は今回のTOBに応募せず、TOB成立後に行われる株式併合と自己株式取得を通じて、保有株を弘電社へ売却します。きんでんは少数株主分をTOBで取得し、最終的にきんでんが弘電社の100%親会社になる構図です。これに伴い、弘電社の株式は上場廃止になる見通しです。複数の報道では、TOB部分(最大約488億円)と三菱電機保有分の自己株取得を合わせた取引全体の規模は約850億円とされています。

きんでんは関西電力系・連結25社の総合設備エンジニアリング、弘電社は三菱電機系の電気設備工事会社。背景には送配電網の更新・増設需要の拡大と人手不足

きんでんは関西電力系の総合設備エンジニアリング会社で、電気設備工事に加えて情報通信設備工事・空調・衛生設備工事を手掛けます。連結子会社25社・持分法適用関連会社1社の計27社グループです。弘電社は三菱電機系の電気設備工事会社で、首都圏を中心に電気工事・情報通信工事を展開しています。今回の買収の背景には、データセンター・半導体工場・再開発などに伴う電気設備需要の拡大、送配電網の更新・増設需要、そして電気工事業界共通の人手不足があると考えられます。きんでんは2025年3月にも三菱電機が保有する北弘電社の株式を取得しており、三菱電機系の電気工事会社をグループに取り込む動きが続いています。

電気設備工事業の再編が一段進む局面。協力会社・専門工事業者は、元請けの資本関係変化に伴う発注ルートや取引条件の見直しの可能性を視野に入れておきたい

2025年3月の北弘電社取得に続く今回の弘電社完全子会社化により、きんでんは三菱電機系の電気工事会社をグループに取り込む方向で動いています。電気設備工事業界では、データセンター・半導体・再開発などの旺盛な需要を背景に、規模拡大と人材確保を狙った業界再編が一段進む可能性があります。協力会社・専門工事業者の側では、元請けの資本関係変化に伴う発注ルートや取引条件の見直し、グループ内発注の集約などの可能性を視野に入れ、自社の取引先の動向を継続的にウォッチしておくことが現実的です。最終的な経営統合の中身や発注体制の変化は、各社の今後の公式発表を確認しながら判断することをおすすめします。

出典: 株式会社きんでん「株式会社弘電社の株券に対する公開買付けの開始に関するお知らせ」(2026-05-25)きんでん ニュースリリース一覧建設通信新聞「弘電社のTOB開始/買付額は488億円/きんでん」(2026-05-27)日本経済新聞「きんでん、弘電社を850億円で買収 電設工事を強化」(2026-05-25)