取適法2026-01施行で手形払い禁止、鹿島が先行して現金一本化

鹿島、資本金10億円未満の協力会社への工事代金支払いを「現金払い」に一本化する方針と報道。2026年3月末以降の支払から適用

鹿島建設が、資本金10億円未満の協力会社に対する工事代金の支払いを、2026年3月末以降「現金払い」に一本化する方針であることが報じられました。背景には、2026年1月に施行された改正下請法、いわゆる「取適法(中小受託取引適正化法)」への対応があります。建設業界では、手形払いから現金払い・電子記録債権等への移行が進んでおり、大手ゼネコンを中心に支払条件の見直しが先行しています。
出典:建設通信新聞「鹿島/資本金10億未満の協力会社は現金払いに一本化」(2026年5月25日付)

背景にあるのは、改正下請法(いわゆる「取適法」)の2026年1月施行と、政府方針としての紙の約束手形の利用廃止に向けた動き

取適法は、下請代金支払遅延等防止法及び下請中小企業振興法の一部を改正する法律として2025年5月16日に成立し、2026年1月1日に施行されました。対象取引において、手形払いから現金払い・電子記録債権等への移行が求められる流れが強まっています。あわせて政府方針として、2026年度末をめどに紙の約束手形・小切手の利用廃止に向けた取り組みが進められており、産業界・金融界に自主行動計画の策定が求められてきました。鹿島の今回の方針は、こうした制度の流れに沿った業界先行例の一つと位置づけられます。

業界団体側でも、日本建設業連合会(日建連)が2026年3月に「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画」を改訂

大手ゼネコン約150社で構成される日本建設業連合会(日建連)は、2026年3月に「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画」を改訂しました。改訂のポイントとして、改正建設業法に基づく「労務費に関する基準」を踏まえた適正労務費を内訳明示した見積書の提出要請の徹底、下請負人が公的統計などに基づき提示した価格を尊重して協議を行うこと、働き方改革を阻害する取引慣行の改善などが盛り込まれています。手形・現金化と労務費基準の両方が、2026年度の建設業共通テーマとして整理されつつあります。日建連 刊行物・資料ページから自主行動計画本体が閲覧できます。

協力会社側は、元請ごとの支払条件・支払サイトを改めて確認し、今期中に資金繰りや取引条件を見直しておく必要がありそう

協力会社側も、元請ごとの支払条件や支払サイトを改めて確認し、今期中に資金繰りや取引条件を見直しておく必要がありそうです。鹿島と取引があり資本金10億円未満に該当する会社は、現金前倒し受領を前提に資金計画を組み直す動きが現実的です。鹿島以外の元請けについても、取適法施行や紙の約束手形の利用廃止に向けた動きを背景に、支払方法の見直しが広がる可能性があります。手形割引を前提にしていた資金繰りや、各取引が取適法の対象となるかどうかの確認は、税理士や顧問先など専門家と相談しながら進めることをおすすめします。

出典: 建設通信新聞「鹿島/資本金10億未満の協力会社は現金払いに一本化」(2026年5月25日付)中小企業庁「下請取引適正化、価格交渉・価格転嫁、官公需対策」日本建設業連合会「下請取引適正化と適正な受注活動の徹底に向けた自主行動計画(2026年3月改訂版)」鹿島建設「協力会社の皆様へ」