災害対応にも期待、遠隔ドローン測量の最前線

宮崎県日向市に本社を置く旭建設株式会社は、携帯電話の通信が届かない山間部の工事現場において、衛星通信「Starlink」を活用した遠隔ドローン測量に成功しました。本社から直線距離約35km、車での移動では往復4時間を要する現場を、オフィスからリアルタイムで管理できた点は、建設業界にとって大きな前進といえます。

これまで山間地やへき地の工事では、移動時間の長さや通信環境の不安定さが大きな課題でした。今回の実証では、高性能ドローンと衛星通信を組み合わせることで、通信圏外でも安定した映像伝送と操作を実現しています。これにより、現場へ行かずとも三次元測量や空撮が可能となり、業務効率の大幅な向上が期待されます。

特に注目すべきは、安全面への配慮です。通信が途絶えた場合に現場側で即時に手動操作へ切り替える体制や、周囲の状況を把握できる俯瞰カメラ、飛行範囲を制限するジオフェンスといった多重の安全対策が講じられました。遠隔操作という新しい形であっても、現場の安全を最優先に考えた仕組みが整えられています。

この取り組みは、移動時間の削減による生産性向上だけでなく、残業規制への対応や人手不足の緩和にもつながります。さらに、災害時など人が立ち入れない場所の状況把握にも応用できる点は、今後の社会的意義としても重要です。

遠隔技術を業務に取り入れることで、少人数でも複数現場を管理できる体制づくりが現実味を帯びてきました。今後、こうした技術が広がることで、建設業の働き方や現場管理のあり方は大きく変わっていくと考えられます。

参考:https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000008.000162635.html