建設業界における生成AIの活用事例やメリット・可能性などを解説

建設業界で生成AIを取り入れたいと考える企業が増えています。

  • 生成AIとは?
  • 生成AIが建設業界に与えるメリットや効果とは?
  • 大手ゼネコンによる生成AIの具体的な活用方法は?

このような疑問に、答えていきます。

これまで、建設業界では生成AIの導入が遅れていましたが、近年は大手ゼネコンを中心に活用が大きく進み、生産性の向上や人材不足解消などの効果が表れ始めています。

今回の記事では、建設業界における生成AIの導入事例、メリット、可能性ついて詳しく解説していきます。また、生成AI導入における注意点についても触れます。

建設業界でAI導入を検討している法人や、最新の動向を知りたい方はぜひ最後までご覧ください。

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生成AIとは

生成AIとは、文章や画像などを自動で作り出す人工知能のことです。

例えば、人間が入力した短い言葉や質問をもとに、長い文章を生成してくれます。

人間の指示から、自動で文章や画像や音声や動画などを作り出せる理由は、大量のデータを事前に生成AIに学習させているからです。記憶したデータをもとに、生成AIが自分で考えて新しいものを生み出せます。

その他、企業の業務において、以下のように活用される事例が増えています。

  • 文章の要約
  • 議事録の作成
  • 設計図や作業指示の作成
  • 新しいアイデアの提案、壁打ち

各企業の現場では、作業効率を上げたり、人手不足を補ったりするために活用されています。

建設業界における生成AIの活用の実情

建設業界では、実際に生成AIを活用している企業は全体の約9.4%と少ない状況です。

また、「今後、生成AIを検討したい」と考える企業は23.4%あるものの、約6割の企業は「活用予定がない」としています。

建設業界で生成AIの導入が進まない理由は、主に以下の4つです。

  • 情報の信ぴょう性
  • 生成AIを使いこなす知識や人材が足りない
  • 活用できる業務がわからない
  • 生成AIを導入するほど膨大な業務量があるわけではない

しかし、上記のデータは2024年8月のものです。生成AIの進化と社会への浸透は目覚ましいスピードで進んでおり、2025年現在、大手ゼネコンを中心にAI導入は加速しています。

中小企業でも生成AIのメリットを実感したうえで少しずつ導入を進めていくことが、今後の課題といえるでしょう。

参考:生成AI活用「建設/不動産で1割に満たず、予定もないが6割」TDB調査|BUILT

建設業界における生成AIの活用方法

生成AIは建設業界でも注目を集めており、設計や施工・現場管理など、幅広い工程で活用が進んでいます。

建設業界における生成AIの活用方法は、以下4つです。

  • 設計フローの効率化
  • 工期短縮・コスト削減
  • 施工品質の向上
  • 新人教育・トレーニング

それぞれ、詳しく解説します。

設計フローの効率化

設計業務においても生成AIを活用することで、作業効率が向上します。AIは過去の設計データや建設基準をもとに、最適なプランを自動で提案できるためです。

例えば、3Dモデルを使った完成イメージを可視化したり、修正に応じた図面や数量表を更新したり、自動で最適化してくれます。

その他、法令や構造の条件を自動確認することで、人の作業ミスが減り、設計にかかる時間やコストを削減できます。

工期短縮・コスト削減

生成AIを活用することで、工期短縮やコスト削減にも繋がります。AIを活用することで、工事の流れや資材の使い方などを分析し、最適な工事スケジュールを計画することが可能です。

また、過去データをもとに最適な工事の流れを提案したり、資材の手配や搬入日程を自動調整したりできます。

さらに、現場の進捗に合わせた計画の見直しを行うこともできるため、工期の遅れや資材のムダを減らし、コスト削減にもなるのです。

施工品質の向上

大量の設計データをもとに最適な材料や工事の流れを提案することで、施工の品質を高められます。

例えば、材料の強度やコストをふまえて最適な組み合わせを選定したり、設計上のミスを自動で確認したりすることで、工事現場の安全性を向上させることが可能です。

また、法令や地域の条件を反映させることで施工時のミスが減り、完成後のトラブルを減らす効果も見込めます。

現場の安全性向上

生成AIを活用することで、工事現場の安全性を向上できます。AIで学習した過去のデータから、事故の起こりやすい場面や場所を見つけ出せるためです。

例えば、事故が多かった条件を分析し、リスクの高い作業に対して優先的に人員配置することで、見落としがちなリスクに気づけます。

また、危険を知らせるアラートを自動で発信することで、事故を未然に防ぐことも可能です。生成AIを活用することで、現場作業員の安全安心につながります。

新人教育・トレーニング

生成AIを活用することで、新人教育や業務に対するトレーニングに役立ちます。

AIを活用することで、一人ひとりに合った学習方法がわかり、作業の安全面や技術面を効率よく教えられます。

例えば、過去の事故事例をもとに危険予測の練習をしたり、作業ごとのポイントを動画や図でわかりやすく解説したりできます。また、学習の進捗状況に応じてカリキュラムを自動調整します。

生成AIを活用することで教育の質を落とさず時間を短縮できるため、人手不足の現場でも安心して新人教育がおこなえます。

建設業界における生成AIの活用事例

建設業界でも生成AIの導入が進み、多くの企業が業務効率化や安全性向上など、さまざまな場面で活用しています。

中でも、特に注目されているゼネコン各社の生成AIの活用事例として、以下5つを紹介します。

  • 鹿島建設株式会社
  • 株式会社大林組
  • 株式会社mign
  • スパイダープラス株式会社
  • 株式会社光邦・前田建設工業株式会社 ICI未来共創センター・株式会社タジク

それぞれ、詳しく解説します。

鹿島建設株式会社

鹿島建設株式会社は、社内向けの生成AI「Kajima chatAI」を独自に開発しました。

「Kajima chatAI」は、従業員の業務効率化を目指す一方で、情報漏洩のリスクを防止する目的に作られた生成AIです。

「Kajima chatAI」の特徴は、次の3点が挙げられます。

  • 「ChatGPT」と同じ性能のものを社内限定で利用
  • 入力した内容は社外へ漏洩しない安全な環境設定
  • 過去履歴やユーザーを管理できる仕組みを導入

約2万人の従業員にAIを活用できる体制を整えたことで、生産性向上や業務効率化につながっています。

株式会社大林組

株式会社大林組は、建物の外観をデザイン自動生成できるAIツール「AiCorb®」を開発しました。

「AiCorb®」は、設計の初期段階でデザインを提案できる技術が注目されています。その他、「AiCorb®」には次のような特徴があります。

  • 手書きスケッチや文章からデザインを生成
  • デザイン案を3Dモデルにして可視化
  • 設計プラットフォーム「Hypar」と連携し、合意形成を効率化

「AiCorb®」を活用することで、顧客との打ち合わせがスムーズに進み、設計にかかる時間や手間を大幅に削減できます。

今後は、一般公開を視野にいれるなど、さらなる進化が期待されています。

株式会社mign

株式会社mignは、建築の打ち合わせやデザイン制作の手間を減らすため、生成AIを活用しています。

言葉だけで伝えることが難しい建物のイメージを生成AIを使って、瞬時に形にできます。

例えば、ヒアリング内容をもとにAIがイメージ画像を自動作成したり、手書きスケッチや簡易的なモデルをリアルな画像に変換したりできます。また、chatGPTを、建設業向けに特化させた「chact」を搭載しています。

イメージを可視化することで施主との認識違いを防ぎ、修正の回数や時間を大幅に削減できます。また、プランナーや設計者の負担を軽くすることで、業務効率化が可能です。

スパイダープラス株式会社

スパイダープラス株式会社は、建設現場の安全対策として、生成AIを活用しています。

現場での安全対策は、「SPIDERPLUS PARTNER」にChatGPTを連携したり、作業内容に応じて、当日の安全対策を提案したりしています。また、質問テンプレートを活用することで、誰でも簡単に使用が可能なのも特徴的です。

AIで仕組みを作ることで、作業者の経験に頼ることなく、安全対策を行うことが可能です。現場の事故防止や安全意識の向上につながるため、現場でのDX化も進んでいます。

株式会社光邦・前田建設工業株式会社 ICI未来共創センター・株式会社タジク

株式会社光邦・前田建設工業株式会社・株式会社タジクの3社は、生成AIを活用したビジュアル制作の共創を行っています。

例えば、建設や印刷業に特化したAI教育カリキュラムの導入を始めました。また、商談時のイメージ共有による、合意形成の効率化や現場の提案力や表現力の向上にも関わっています。

建設業界でも、画像や動画を活用した質の高い提案が重視されています。今後は中京テレビも連携し、まちづくりや地域再生など、活用範囲が広がるでしょう。

建設業界における生成AIの活用メリット

建設業界における生成AIの活用メリットは、以下の3つです。

  • いつでもどこでも質問が可能
  • 忙しい現場にも瞬時に情報が届く
  • 人に聞きにくい内容も気軽に聞ける

例えば、小さな疑問が瞬時に解決できたり、会議や電話の時間を調整したりする必要がなくなります。

生成AIはコミュニケーションの手間を減らし、作業をスムーズに進められます。

時間と手間を軽減する便利なツールとして、オフィスだけでなく、建設現場でもAIの活用が進んでいます。

人員不足やコスト増大や長時間労働など、数々の課題を抱える建設業界にとって、生成AIが大きな解決策の1つとなることが期待されています。

建設業界で生成AIを活用する際の注意点

生成AIは業務効率化する便利なツールですが、AIの回答を鵜呑みにするのは危険です。
建設業界で生成AIを活用する際の注意点は、以下の3つがあります。

  • 人間による調整が必要な場合がある
  • 管理コストがかかる
  • デジタル技術に対応できるスキルを習得する必要がある

それぞれ、詳しく解説します。

人間による調整が必要な場合がある

生成AIは便利ですが、間違った情報を出すこともあるため、そのまま信じてしまうと危険です。

例えば、AIの回答を鵜呑みにすることで、次のようなリスクがあります。

  • 最新の法令や地域ルールを反映していない
  • 土地の形や条件など、現場の事情に対応していない
  • 正確のようで、実は内容が事実と異なる場合がある

AIの回答をそのまま信じるのではなく、専門部署によるファクトチェックや、現場のマニュアルと照らし合わせる等の再確認が重要です。

安全で正確な判断を行うためにも、生成AIはあくまで補助的に使用しましょう。

管理コストがかかる

建設業など高度なAIモデルが必要な業種は、生成AIを使い続けることで費用が発生します。専門ソフトや高機能パソコンなど、次のようなコストが発生します。

  • AIモデルの開発費
  • 使用するパソコンやサーバーの維持費
  • アップデートや管理のための人件費

特に建設業の生成AIはカスタムされたものが多く、費用も高くなる傾向があります。

生成AIの導入を検討する際は、長期的なコストを前もって確認することが重要です。

デジタル技術に対応できるスキルを習得する必要がある

生成AIを使うためには、デジタル技術に対応できるスキルの習得が必要です。

効果的にAIを使用するためには、作る側も使う側も、ツールに対する深い理解とスキル、そして慎重な判断が求められます。

今後は単純作業をAIに任せ、建設現場のプロが判断力や感性を活かした協力体制が増えるでしょう。そのため、人が主導権を握る力が重要です。

建設業界における生成AIの可能性

生成AIは、建設業界においても新たな可能性を生み出しつつあります。

特に、以下2つの使い方が注目されています。

  • 新しい建築表現
  • 業務の自動化・効率化

それぞれ、詳しく解説します。

新しい建築表現

生成AIを活用すると、建築デザインの可能性が広がります。AIは過去の建築データを学習し、複雑な条件でも、新しいデザインを生み出せます。

例えば、複雑なカーブや曲線を使った建物や環境に応じて変化する設計ができたり、VRやARと組みわせた仮想空間での設計確認することが可能です。

生成AIが生み出すデザインは無限に広がり、新しい建築表現が現実化しはじめています。自由な発想でデザインが生まれ、未来の街づくりにも大きく変化していくでしょう。

業務の自動化・効率化

生成AIを活用することで、建設業の仕事が大きく変化しています。

AIが人のかわりに作業することで、次のような業務の自動化や効率化が可能です。

  • 建築基準に沿って自動で設計図を作成
  • ロボットが危険な場所で作業する
  • AIが建物の電気や空調を調整

生成AI技術の進歩は、作業時間やコスト削減に大きく貢献しています。今後はさらにAIを活用することで、効率よく安全に働ける時代が来るでしょう。

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【まとめ】建設業における生成AIのメリットや注意点を把握し上手に活用しよう!

今回の記事では、建設業界における生成AI導入の現状や今後の展望について解説してきました。

建設業における生成AIは、さまざまな業務を効率化し、作業の質を高める効果があります。

すでに、設計や工期の短縮、安全性の向上・新人教育まで、幅広い場面でAIが活用されています。

その一方、AIの出す回答は常に正しい情報ではなく、最終的に人の確認が必要です。そのため、デジタル技術のスキル習得やシステム管理など手間やコストがかかることには注意が必要です。

AIはあくまでも補助的な役割ととらえ、メリットや注意点を理解したうえで、業務に合った使い方をしましょう。今後もますます注目される生成AIの技術を、上手に活用することが大切です。

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