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「ゼネコン業界は残業時間が長い?」「ゼネコンでは若手社員の残業負担が重いって聞くけど…なぜ?」このような疑問や不安を感じている人は多いです。
実際に、ゼネコン業界では残業時間が月60時間を超えるケースも珍しくありません。
特に、20代~30代の若い世代への業務集中が課題で、業界を上げて解決に向けた取り組みを進めています。
今回の記事では、ゼネコンの残業時間の実態やその原因、そして今後の働き方改革の方向性について詳しく紹介します。
ゼネコンの残業時間は全業界の平均より長い
ゼネコンの残業時間は、その他の業界に比べて2倍以上も長いことが分かっています。
スーパーゼネコンの残業時間と、年代別の残業時間について、データを交えて紹介します。
ゼネコン大手5社の平均残業時間
ゼネコン大手5社(鹿島建設、大林組、清水建設、大成建設、竹中工務店)の平均残業時間は、月50.33時間に達しているというデータがあります。これは全業界の平均である月23.39時間の約2.2倍です。
別の調査で施工管理者の残業データを取りまとめた結果、ゼネコン勤務の施工管理者の平均残業時間は月61.2時間となり、やはり平均値と比べると残業時間の長さが見えてきます。
いずれも、ゼネコン業界は残業時間が長く、働き方改革が必要だということを示すデータになっています。
参照:https://hatarakigai.openwork.jp/posts/53150774/
ゼネコンの年代別の残業時間
ゼネコン業界で働く施工管理者の残業時間は、若い世代ほど長い傾向にあります。
前述の「施工管理者の平均残業時間」のデータを年代別に詳しく見ると、20代の平均残業時間は月76.2時間、30代は月63.8時間と、特に若手の長時間労働の実態が浮き彫りになりました。
一方、40代は46.3時間、50代は48.0時間、60代以上は44.5時間と、40代以降は20代と比較して約30時間も残業時間が少なくなっています。
この結果から、ゼネコン業界では若手社員に業務負荷が集中している可能性が高く、世代間の業務量や労働環境に格差があることがわかります。特に20代の残業時間は法定労働時間を大幅に超過しており、ゼネコン業界の大きな課題と言えそうです。
ゼネコンの残業時間が長い理由
なぜゼネコン業界の残業時間は長いのでしょうか?理由は、主に以下の3つです。
- 納期が短い
- 人手不足
- 長年の慣習
それぞれ、解説します。
納期が短い
ゼネコン業界の残業時間が長い背景には、極めて厳しい納期設定があります。
建設プロジェクトでは、クライアントからの短い納期での発注が一般的で、この状況に応じざるを得ない構造が業界に根付いています。
建築業界ではクライアント優位の商習慣が強く、ゼネコン側から余裕のある納期を提案すると、「他社ならできる」と言われ、仕事を失うリスクがあります。業界内の競争も激しいため、無理な納期でも受注せざるを得ない状況が生まれています。
その結果、現場の労働環境を圧迫し、長時間労働を助長しています。建築業界および不動産業界全体での商慣行や契約の見直しが求められます。
人手不足
建設業界における長時間労働の要因2つ目は、慢性的な人手不足です。現場の大型化や建て替えニーズの高まりに対し、業界の人材確保が追いついていないため、残業時間が長くなってしまうのです。
特に顕著なのは、ゼネコン業界の年齢構成のアンバランスさです。建設業就業者の約34%が55歳以上である一方、29歳以下はわずか11%にとどまっています。人材の高齢化と若手不足により、一人あたりの業務負担が増大し、長時間残業に影響しています。
また、小規模な現場や一人現場では交代要員の確保が難しく、時短勤務や代休取得が実質的に不可能です。さらに、年齢差の大きい職場環境では体力を要する作業が若手に集中しがちで、これが早期離職を招き、さらに残業時間が長くなる…という悪循環を生み出しています。
長年の慣習
ゼネコン業界で長時間労働が改善されにくい背景には、長年続いてきた業界の慣習も影響しています。20〜30年前の建設現場では、夜通し作業し、現場に泊まり込むのが当たり前という文化がありました。
当時、過酷な環境で働いてきた世代が現在の管理職です。そのため、「残業しないで帰るのは甘え」という歪んだ価値観が、暗黙のうちに醸成されているのです。
この意識の隔たりは、単なる世代間ギャップや社風ではなく、業界の構造的問題と言えます。
残業時間の上限規制によるゼネコンの懸念点
2024年4月から建設業界にも適用された残業時間の上限規制(いわゆる「2024年問題」)に対し、ゼネコン大手5社の社員からは深刻な懸念の声が上がっています。
上限規制の施行後も実際の業務量に変化がなければ、表面上の残業時間を減らすために、帳簿上に残らないサービス残業で対応するしかないと言われています。
現場では「絶対的な仕事量が多すぎて、生産性向上だけでは太刀打ちできない」という声が多く、法令で定められた上限時間(月45時間・年360時間、特別条項適用でも年720時間)は、現実的ではないと考えられています。
ゼネコン業界では、2024年問題を契機に、従業員の残業時間について根本的に解決できるよう懸命に企業努力を続けています。
ゼネコンが行うべき残業時間の管理方法
上記のように、残業時間に課題を抱えるゼネコン業界ですが、どのように労働時間を管理すべきでしょうか?
- 勤怠管理システムを活用する
- 新たな働き方を構築する
これら2つの方法について、解説していきます。
勤怠管理システムを活用する
建設業界にも勤怠管理システムが導入されています。建設現場では従業員が直行直帰するケースも多く、正確な労働時間の把握が難しいという業界特有の課題がありました。
システム導入により、現場の多様な勤務形態においても客観的かつ正確な労働時間の記録が可能になり、36協定の上限を超過しそうな従業員を一覧で把握できるようになりました。
さらに、正確な勤怠データは人材確保・定着や休日確保、生産性向上に向けた労働環境整備の基盤となる重要な情報源となります。タイムカードなど従来の方法では捉えきれなかった建設現場の実態を可視化することで、根本的な労働環境の改善策を見いだすことができます。
新たな働き方を構築する
また、ゼネコン業界では労働時間を短くするため、業務量そのものを削減する施策が求められています。
特に注目されるのがICT技術の積極導入です。設計図作成のデジタル化や、現場管理のITツール活用により、これまで時間を要していた業務を効率化できます。人員増が困難な状況下では、テクノロジーの力で生産性を高めることが現実的な解決策となります。
「夜通し作業が当たり前」といった過去の慣習にとらわれず、従来の常識に囚われない新たな働き方が求められています。
ゼネコンが残業時間を管理する際の注意点
ゼネコンが残業時間を管理する際には、以下2つのポイントに注意が必要です。
- 移動時間や作業時間なども労働時間として扱う
- 残業の内容によって36協定届の様式を使い分ける
それぞれ、詳しく解説します。
移動時間や作業時間なども労働時間として扱う
労働時間とは、単に現場で作業している時間だけでなく、「使用者の指揮命令下にある時間」全てを指します。
特にゼネコン業界で見落としがちなのが、実作業以外の時間です。作業着への着替えや道具の準備時間、社用車での現場への移動時間も労働時間に含まれます。
また、次の作業指示を待つ「手待時間」や、参加が義務付けられている研修・教育訓練の時間も労働時間としてカウントする必要があります。
従来、これらの時間は労働時間として認識されないことも多くありました。勤怠管理システムの導入などを通じて、これらの「見えにくい労働時間」も含めた正確な時間管理を行うことが求められています。
残業の内容によって36協定届の様式を使い分ける
36協定届は、残業内容によって使用する様式が異なり、誤った様式で提出すると労働基準法違反となるリスクがあります。
月45時間以内の残業の場合は「様式9号」を使用します。同じく月45時間以内でも、災害時の復旧・復興対応が見込まれる場合は「様式9号の3の2」が必要となります。
一方、繁忙期などで月45時間を超える残業が必要な場合は、特別条項付き36協定を締結し「様式9号の2」を提出します。この場合でも、時間外労働は月100時間未満かつ年720時間以内に収める必要があります。
その他にも、建設会社は適切な様式を選択して36協定を締結・届出する必要があります。
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【まとめ】ゼネコンの残業時間は全業界の平均より長い!働き方を見直し従業員の離職を防止しよう
今回の記事では、ゼネコン業界における残業時間の実態とその原因、今後の課題と対策について解説してきました。
ゼネコンの残業時間は全業界平均の2倍以上にのぼり、特に20代~30代の若手社員の長時間労働が課題になっています。
原因には短納期の常態化、人手不足、そして過去から続く働き方の慣習が挙げられます。
これらの課題に対応するため、勤怠管理システムの導入や、IOTなど新しい働き方の構築が不可欠です。
ゼネコン各社も抜本的な解決を進めています。今後の労働環境の改善に期待しましょう。
ゼネコンが人手不足になる原因やゼネコンのDXへの取り組みについてはこちらの記事で解説しています。ぜひこちらもご確認ください。

